精霊さんと一緒にスローライフ ～異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です～

第049話 商売とは、国づくりとは

　という訳で。

　お偉いさんとの商談は格段に楽になりましたよ。

　え、何の話だって？

　ハンドクリームのお陰です。

　なんせね。

　お偉いさんのところに行くとね。

　大概、話の最中にですね。

「うちのかみさんがね……」

　というワードが出る訳ですよ。

　そんな時に。

　パッパカパッパッパーッパッパー。

　ハンドクリームー（だみ声）。

　貝殻に入った、この小さな逸品。

　どうも垂涎の的でして。

　領主婦人の腕が艶々になったという噂は、上流階級の間で瞬く間に広がったらしく。

　その秘訣を探れと言うお達しが飛び交った訳です。

　ダリーヌさん経由で物品が渡されている感じというふわっとした噂は流れるが。

　確定的事実が分からない。

　そんな時に、旦那様から渡される突然のプレゼント。

　開けてみたら、あらびっくり。

　最近話題のあのアイテムじゃない。

　好き、抱いてのコンボ間違いなしという事で。

　これで夫婦仲も円満です。

　で、これが効くんです。

　どこのお偉いさんも家庭の調和には敏感ですから。

　何故こんなにお偉いさんに媚を売ってまで商売繁盛、笹を持ってくるような真似をするのかって？

　国を作るにしても、他の国が無ければ成り立たない。

　厳密に言えば、単独では効率が悪いからです。

　昔からよく言うじゃないですか。

　可愛い子お金には旅をさせろって。

　お金ちゃんは、遠くに行けば行く程育ちますので。

　なので、周辺諸国とは仲良くなっている事は重要なのです。

　正直な話、青汁を売っているだけでも十分なのですよ？

　積み木なんて幾ら売っても、そんなに儲けにならないですし。

　まぁ、最近ハンドクリームが異常な価格ですが。

　これもある程度商品が安定したら、安くなるでしょうし。

　でも、これらって誰でも作る事が出来るんです。

　要は村の人間に引継ぎが出来る。

　私がいなくなったとしても商売のタネが残っていれば、この領地の人間と仲良く出来る。

　これ、とても大事です。

　継続した信頼関係は確固たる同盟と一緒ですから。

　なので、てちてち歩き回って商売に励む訳です。

　現に、最近村の子供で製薬に興味を持った子供もいますし。

　こうやって、世代を経ながら、国は営まれていくのです。

　出来れば、リサさんとの子供は元より、子々孫々と幸せに暮らせる国が出来れば良いのですが。

　そんな事を考えながら、今回の商談でまた膨れ上がった荷物を馬車に。

　帰路に就くのでした。