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第1話
しおりを挟むその日、私は浮かれていた。どのくらい浮かれていたかって言うと、脳内が一面お花畑と化してしまったくらいには浮かれていた。
だって仕方ないじゃない!
好きな人と付き合って半年の記念日だったんだもの!
普段、旦那様の家の住み込みのメイドとして働いている私からしたら、恋人と過ごせる時間はとっても貴重で。久し振りに会えると思ったら嬉しくなっちゃって。
私は彼の部屋で先に一人、待つことにした。つまりね、サプライズをね、しようとしたの。
今思えば、これが大きな間違いだったのかもしれない──
「……ん、はぁ……ミシェル……」
「リュシー……」
部屋に響き渡る艶めいた声、そしてベッドが軋む音。私が咄嗟に隠れたクローゼットの扉の隙間からは、ベッドの上で裸で抱き合っている男女の姿が見えた。
男は私の恋人、ミシェルだった。女は前に一度だけ会ったことがある。確か、彼が護衛を務めている家の娘だったはず。
まさか二人がそんな関係だったなんて。知る由も無かった。
完全に二人の世界に入っている彼等は、私のことなんて気付く様子も無く。見つめ合っていたかと思えば深い口付けを交わし、性液の滲み出した互いの秘部を擦り合わせていた。
うん。完全にヤっている。
そして私はそれを目の当たりにしている。
「ミシェル……今日はサラさんと会う日だったんじゃ……」
「……大丈夫だ。会うのは今日の夜だから、まだ時間はある」
うん、ごめんね。私、今ここにいるけどね。いや、何で私が謝るのよ?
私、悪くなくない?
「は、ぁ……ミシェル、早く……貴方を……ちょうだい」
「リュシー……!」
ぬちゃりと厭らしい水音を際立たせながら、ミシェルは女の蜜口に自分の先端を宛がう。あっ、もうダメ。見ていられない。頭がおかしくなる。
「ああ、ん! ミシェル、ミシェル……!」
「リュシー、愛している、愛しているよ……っ」
視界を閉ざしても、二人が互いを激しく求め合う耳障りな声が聞こえてくる。思わず耳を両手で塞ぎ、その場にしゃがみ込んだ。
──それからは本当に地獄みたいな時間で。
彼等は飽きることなく身体を貪り合って。二人が部屋から去る頃には、数時間が経っていた。
部屋に取り残された私は、一人その場で泣き崩れた。
結局、その日はミシェルに会わなかった。
彼の部屋に『貴方みたいなクソ野郎には二度と会いません。さようなら』と置き手紙だけ残して。
リュシーの家の主に二人の関係を暴露してやろうとも思ったけど、そんな体力を使う余裕も無かった。
願わくば、彼等が私の人生に二度と関わりませんように。それ以上は望みません。さようなら、ミシェル。
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