士官学校の爆笑王 ~ヴァイリス英雄譚~

まつおさん

文字の大きさ
191 / 199

第三部 第三章「ベルゲングリューンの光と闇」(7)

しおりを挟む


「くっ!! 氷の壁アイスウォールッ!!」

 すさまじい咆哮の後、火竜ファイアードレイクが吐き出したすさまじい炎の息ファイアーブレスを、オールバックくんの無詠唱魔法がなんとか食い止めた。

「くぅっ……!!」

 彼のとっさの反応のおかげで炎の直撃はなんとかまぬがれたけど、皮膚を突き刺すようなすさまじい熱風に、僕たちは顔をしかめた。

「ありがとう、オールバックくん。直撃したら全員死んでたね」
「いや。……動けるか?」
「ダメみたい。足がすくんで動けない。……ビビっちゃってるのかな、僕」

 オールバックくんに苦笑しながら言うと、ヴェンツェルが首を振った。

「いや、これは竜の咆哮によるものだ。常人があれをやられて、立っていられるはずがない」
「これで動けなくなったところを、あのブレスが飛んでくるのか……、むちゃくちゃだな」

 少しずつ動けるようになった身体でなんとか火竜ファイアードレイクから距離を取りながら、キムがうめいた。

 僕たちを火竜ファイアードレイクのブレスから守ってくれたオールバックくんの氷の壁は、あの一発でその氷壁の半分が蒸発していた。

 もう一発食らったらとても保たないだろう。

「ヴェンツェルちゃん、弱点とかないのぉ?」
「……今、情報を送る」

 ヴェンツェルがジョセフィーヌに答えると、視界の端に魔法情報が表示された。

「炎無効、毒無効、麻痺無効、睡眠無効……、うわ、なにこれ。何も効かないじゃん!」
「弱点は氷……そりゃそうだろ」

 ルッ君とキムが魔法情報にツッコんだ。

「だから言っただろう。人生が終わる可能性が高いと」

 ヴェンツェルがため息まじりに言った。
 意外と冷静だ。

 普段のヴェンツェルは何かがあると慌てて駆け込んでくるイメージだったけど、腹が決まるとこんな感じになるんだな。

「ふむ……」

 横で黙って聞いていたジルベールが、ノームの魔法金属製の槍斧ハルバードを片手で担ぎ上げ、その感触を確かめるようにすると、なんと投擲槍ジャベリンのようにそれを火竜ファイアードレイクに向かってぶん投げた。

 ビュッッ、と鋭い風切音を立てて、大きく弧を描いた槍斧ハルバードの穂先が、火竜ファイアードレイクの眉間めがけて飛んでいく。

「ア、アホか!! ワイらの力作を、そんな使い捨てみたいに!!!」
「い、いや……、槍斧ハルバードってめちゃくちゃ重たいのに、あんな風に投げられるのすごくない?」
「意外と軽かったのだ。質の良い魔法金属なのだろうな」
「どアホ!! それがわかっとるなら、もっと大事に扱ったらんかい!!」

 戦列に加わっているノームに叱られながら、僕たちは槍斧ハルバードが着弾する様を観測する。

 ぷすっ。

「い、いや、ぷすって……」

 眉間に刺さった槍斧ハルバードを、巨大なドラゴンはまるで小さなトゲでも刺さったかのように軽く身じろぎさせた。

 ビュッッ!!!

「うわっ!!!」

 ただそれだけで、眉間に突き刺さった槍斧ハルバードがこちらに飛んできて、僕の足元に深々と突き刺さった。

「なんで僕なんだよ……、閣下が投げたのに……」
火竜ファイアードレイクは他のドラゴンより獰猛な分、知能が低いが……、そうは言ってもドラゴンだ。誰が総大将か、わかっているのだろう」
「総大将はルッ君です!!! ドラゴンさん、こいつですよ!!」
「わっ、バカ、そういうのマジでやめろよ!!」

 僕が指差すと、ルッ君が本気で嫌がった。 

「あの強靭な鱗では、剣も矢もまともに通さぬだろうな」

 それを試すために投げたらしい。
 ジルベールが地面に突き立った槍斧ハルバードを拾おうともせずに言った。

「私も!! ハッ!!!」

 ミスティ先輩の真紅のマントの内側が光ったかと思うと、この世で彼女だけの唯一武器ユニークウェポン天雷の斧ザウエルが水平に回転しながら飛んでいき、火竜ファイアードレイクの首に突き刺さった。

 まったくダメージがないのか、火竜ファイアードレイクは声すら上げない。

「……硬いっていう感じじゃないわね……、ただ、圧倒的に肉厚な感じ」

 冷静に分析しながら右手を上げると、シュルシュルと風音を立てて天雷の斧ザウエルがミスティ先輩の手元に戻った。

竜殺しドラゴンスレイヤーって呼ばれるような連中というのは、よほどのバケモノなのだな……」
「動きが遅いのがせめてもの救いですね……」

 ヒルダ先輩とメルがそう言うと、ヴェンツェルがまた首を振った。
 
「いや、たしかに動作は遅いが、一度動くと早いらしい。特にテイルスイングと呼ばれる尻尾による薙ぎ払い攻撃は、熟練の冒険者でも回避は難しい。ブレスによる死因よりも多いと聞く」
「あー、若獅子祭とかクラン戦の時のガーディアンみたいな感じか」

 ルッ君の例えがわかりやすかったので、みんながうんうんと頷いた。
 攻撃動作に入るまでは遅いけど、一度入ったらものすごく早い感じのやつだ。

 あのイメージで動けば、なんとか対応できるかもしれない。
 そう思った瞬間。

 ブンッッッ!!!!

「ッ!! ごはぁッ!!!!」
「ベルっ!?」「ベルくん!!」「殿っ!!!」「お兄様!!」「イヴァッ!!」

 かなり距離を空けていたはずの火竜ファイアードレイクの巨大な尻尾が、まるでテレサの鞭のように大きくしなって、僕の左半身に向かって飛んできた。

 薙ぎ払うと聞いていたので、縦の攻撃を警戒していなかった僕は一瞬対応が遅れ、水晶龍の盾でなんとかガードをしたものの、盾ごと吹き飛ばされて、キムの身体にぶつかった。

「いってぇぇぇぇ!!!!」
「べ、ベル!! 大丈夫ッ?!」
「ああ、メル、大丈夫……。尻尾の一撃より、キムの鎧の尖ったところが、僕の頭に刺さった方がダメージかも……」
「ちょ、ちょっと……出血してるわよ!?」

 危険を顧みずにアリサが駆け寄ってきて、僕に回復魔法をかけてくれる。
 その無謀な行動に、メルとギルサナスがアリサのガードに回った。

「な、なんか、ごめんな」

 キムが自分の鎧を見下ろしながら言った。
 めちゃくちゃ痛かった。
 あんな鎧が転がってきてズタズタにされたんだと思うと、ゴブリンたちに申し訳ない気持ちになった。

 それにしても……。

「あ、左腕が動かない……」
「べ、ベルくん……、う、腕がぷらぷらしてるわよ……」

 強烈な痺れが先にきたからか、頭に刺さったキムの鎧がめちゃくちゃ痛かったからか、腕の痛みをまったく感じなかったんだけど、どうやら今の一撃で僕の腕の骨が折れてしまったらしい。

「アリサ、骨折って、回復魔法ヒールで治せないんだっけ」
「う、うん……。っていうか、なんでそんなにケロっとしてるの?」
「アドレナリンが出ているからだろう。きっと、後ですごく痛いはずだ」
「ヴェンツェル、嫌なこと言うなよ……」
「殿、大丈夫か? 顔色が、真っ白だ」
「真っ青じゃなくて、真っ白なの? ……やばいな」

 骨折のせいか、火竜ファイアードレイクから発せられる熱気のせいか、額から脂汗が止まらない。

 だけど、そうも言っていられない。

「あれ、そういえば、あいつ壁をあんなに派手に壊したのに、火山ガスが全然噴出してこないね」
「あれをよく見て御覧なさい。火竜ファイアードレイクの皮膚が、火山性ガスをどんどん吸収しているんですわ」
「もしかしたら、アレを燃料にして、あの強烈なブレスを吐いているのかもしれないな」

 僕の疑問に、アーデルハイドとギルサナスが答えた。
 ギルサナスは僕に答えながら、暗黒魔法の詠唱に取り掛かっている。

「万物の根源に告ぐ……、常闇の深くより混沌を生み出せし……」
「キム、詠唱を妨害してくる可能性が高い。ギルサナスを守って!」
「お、おう!」

 心配そうに僕を見ていたキムが、我に返ったようにギルサナスの前に配備する。
 
 案の定、そこに火竜ファイアードレイクの尻尾がすさまじい速度で飛んできた。

 ガギィィィンッ!!!!

「ぐぅぅぅっ……!!!」
「おおっ、止めたっ!!!!」

 キムは苦痛に歯を食いしばり、体ごと後ろにノックバックしながらも、火竜ファイアードレイクのテイルスイングを正面から受け止め切った。

「さすが、僕がプロデュースした盾!!」
「そこは『さすがキム』って言えよ!!」
「わ! キム!! 『返し』が来る!!」
「くっ!!!」

 振り払ったタメを使って、火竜の尻尾が反対側から極太の大剣のように振り下ろされる。
 キムはそれを、大盾を屋根に隠れるようにして受け止めた。

「んぐぅぅっ……」
「キ、キム?!」
「だ、大丈夫だ……」

 キムがぷるぷると腕を震わせながら立ち上がった。

「僕は一発で腕が折れたのに、キムだけ無傷なんてズルいな……。僕も肉ガッツ食いしたほうがいいのかな」
「あんたは思いっきり油断してたからでしょ!! ここで冒険終わるかも、とか言ってたんだから、余裕かましてるんじゃないわよ!」

 いつものツッコミかと思ってへらへら笑ってユキを見たら、涙目になっていた。
 そんな顔しないでよ……。

「キム、本当に大丈夫?」
「ああ……。だけどよ、こんな攻撃、そう何回も受け止め切れんぞ……」
「フッ、これで終わらせてやるさ」

 詠唱を終えたギルサナスがキムにそう言うや否や、ノーム王国の天井付近から無数の暗黒剣が出現し、ヒュンヒュンと音を立てて火竜ファイアードレイクにめがけて雨あられのように降り注いだ。

「グゥオオオオオオオオッ!!!」
「おおっ、効いてる効いてる!!!!」

 花京院が叫んだ。
 そういえば、ヴェンツェルの魔法情報に、出血耐性はなかった。

「なるほど、魔法は普通に通るんだね」
「だが……、ダメージはほとんど通っていないようだ……」

 ギルサナスが悔しそうに言う。
 どうやら渾身の威力を込めて放った攻撃だったようだ。

「アーデルハイド」
「ええ、わかっていますわ」

 アーデルハイドはすでに魔法術式を終えていた。
 彼女の魔法は無詠唱ではない。
 だけど、そんなのはハンデにならないぐらい、ものすごく詠唱が早い。

 そして彼女の最も得意とするのは……、並列魔法。

氷撃魔法アイスボルトッ!!!」

 虚空に浮かび上がった無数の魔法陣から、次々と氷の塊が火竜ファイアードレイクをめがけて撃ち出される。

「すごい……、魔法学院で見た時より魔法陣の数が増えてる……」
「私も遊んでいたわけではありませんのよ?」

 感嘆したミヤザワくんの言葉に、アーデルハイドが得意げに言った。

「おおっ、効いてる効いてる!!!」

 花京院が叫んだ。
 さっきからそればっかりだな。

「グォォアアアアッ!!!」

 火竜ファイアードレイクにとっては暗黒魔法以上に嫌な攻撃だったらしく、表皮からシュウウウウッ、と大量の水蒸気を噴き出しながら、雄叫びを上げる。

「ブレス、来るわっ!!!」
氷の壁アイスウォールッ!!」

 メルの言葉に合わせて、オールバックくんがすぐさま防護魔法を展開する。
 だが……。

 火竜ファイアードレイクはさっきと違って、カエルを丸呑みにしたヘビのように喉の下を膨らませて大きく口を開けた。

「ダメだっ!! さっきのブレスより強烈なのがくるぞ!!」

 ヴェンツェルが叫ぶ。

「一枚じゃダメだ、皆、急いで後ろに下がれ!!」
「ゴブリン部隊、全軍すみやかに後退せよ!!」
「ノームのみんなも下がって!! なるべくこっちに寄って!!」

 オールバックくんが叫んだのに合わせて、イングリドと僕がそれぞれ号令する。

氷の壁アイスウォールッ!! 氷の壁アイスウォールッ!! 氷の壁アイスウォールッ!!」

 オールバックくんが、魔法学院で僕にやったように、無詠唱で氷の壁アイスウォールを次々に僕たちの前方に展開させた。

(オールバックくんを連れてきて正解だったな……)

 味方になってこれほど心強い存在は、なかなかいない。
 たとえばこれが戦争だったら、ほとんどの大魔法を防ぐことができるのだから、なるほど、『バルテレミーの盾』として彼の一族が名門貴族なのもうなずける。

「オオオオォォォォォォォッ!!!」

 鼓膜をつんざくような咆哮と共に、目をかれそうなほどまぶしい煉獄の炎が、ノーム王国全体を水平に薙ぎ払うように火竜の口から吐き出される。

「あつっ、あっつ!!!!」
「ひぃぃぃぃぃっ!!!」

 最前列にいるキムが熱風に悲鳴を上げ、ミヤザワくんは慌てて、ローブのポケットにしまい込んでいた火薬袋を片っ端から投げ捨てると、それが次々に引火して爆発した。

 ミヤザワくん、よく気がついたね……。
 それポケットに入れたままだと一人だけ爆死してるとこだ。

「あ、あぶねぇぇぇぇぇっ!!!!」

 ルッ君がうめいた。
 オールバックくんが急いで展開した四枚の氷の壁アイスウォールはドラゴンの炎で跡形もなく消失し、最初のブレスでほとんど溶けかけていた一番手前の氷の壁アイスウォールが、ギリギリのところで火竜ファイアードレイクの強烈なブレスを食い止めてくれたのだ。

「べ、ベルくん、まだ何か思いつかないの?!」
「え、何を?」

 ミスティ先輩のことを、僕は思わずぽかんと見上げた。

「な、何をって、いつもこういう時、何か思いつくでしょ!」
「い、いや、そう言われても……」

 僕は何かを思いつくどころか、何かを考えようともしていなかったことに気づいた。
 骨折のダメージなのか、熱風にやられたのか、脂汗が止まらず、頭がぼーっとする。

「テレサ、あの竜を調教できない?」
「……お兄様、私をなんだと思っているんですか……」
「はは、やっぱりそうだよね」

 僕は苦笑した。
 地獄の番犬すら調教してしまうテレサなら、もしかしたらと思ったんだけど。

「ドラゴンテイマーという伝説の獣使いビーストテイマーがかつて存在したらしいですけど、幼竜の段階からしつけていたそうです。おそらく、あんな完全体の成竜はドラゴンテイマーでも無理だと思います」
「ブッチャーみたいなもんか。あ、そういえばブッチャーは?」
「おなかがすいたみたいで、僕の足を軽くかじって消えちゃった」
「そ、そう……」

 なんてマイペースな奴なんだ。

「あ、ダメだ、死ぬわ俺たち」

 花京院が言った。

「花京院、アンタなんてこと言うの!」

 僕が骨を折ってから、なんだか余裕が感じられないユキが花京院を叱った。

「い、いやだってよ……、まつおさんの顔見てみろよ。完全にアホの顔だぞ。ベルゲンくんの顔だ」

 花京院にアホって言われると腹が立つのはなんでだろう。

「うーん、そう言われてもなぁ……。召喚魔法を使おうにも、僕の魔法は呼びっぱなしで元の場所に返してあげられないから、ここで呼んじゃうと一生地底で暮らすことに……」

 どう考えても太刀打ちできる相手じゃないから、召喚して助っ人を呼ぶことは最初に考えた。
 
 たとえば、あの規格外の「天下無双」ロドリゲス教官とかなら、火竜ファイアードレイク相手でもメッコメコにできるかもしれない。

「なんだお前ら、こんな火トカゲも相手にできんのか。気合が足りんのだ。グラウンド1万周だな」

 とか言ってボコボコにする光景が目に浮かぶ。

 でも、僕たちはメッコリン先生のおかげで小型化できるからいいけど、今ここで呼ばれた人はトンネルを通れないのだ。

 いや、でも、もうそんなこと言ってられないから、呼んじゃおっかな。

 外に出られるようにノームたちに拡張工事をしてもらっている間、ロドリゲス教官にはくそまずい苦茶でも飲んでトンネルで何ヶ月か暮らしてもらって……。

 ……火竜ファイアードレイクから生き延びても、ロドリゲス教官に殺されそうだ。

「ん、いや、待てよ……」

 トンネルを通れるような小柄な体型で。
 竜殺しドラゴンスレイヤーのエキスパートで。
 僕がよく知っている人。

「あ……勝った」
「「「え?」」」

 僕のつぶやきに、アリサやメルが顔を上げた。

「……なんで思いつかなかったんだろ。いるじゃないか! 背が低くて、こんなドラゴン退治にこれ以上ないという適任者が!!」

 僕はキムに護衛を任せて、小鳥遊たかなしを地面に突き立て、自由が利く右手で六芒星を描いた。
 額を伝う脂汗が目に入るけど、その刺激で目を閉じそうになるのを必死に耐えながら僕は意識を集中させる。

 僕が召喚するのは、そう、あの人だ。
 あの人しかいない。

 ユリーシャ王女殿下救出の後に連行された酒場で出会い、その後、ベルゲングリューンランドで再開した、ドワーフの戦士。

 100匹竜殺しドラゴンスレイヤーのギム。
 この状況を解決するのに、彼以上の適任がいるだろうか。

(ああ、これでなんとか打開できる……。生き延びることができる……。オールバックくんの氷の壁アイスウォールで時間を稼いでもらって、あとは、ギムさんに……)
 
 そこまで考えたところで、僕はふっ、と意識が急速に遠のいていくのを感じた。

(そ、そんな……、も、もう少しなのに……、もう少し……なのに……っ)
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

いつまでもドアマットと思うなよ

あんど もあ
ファンタジー
二年前に母を亡くしたミレーネは、後妻と妹が家にやって来てからすっかり使用人以下の扱いをされている。王宮で舞踏会が開催されるが、用意されたのは妹のドレスだけ。そんなミレーネに手を差し伸べる人が……。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

【完結】憧れのスローライフを異世界で?

さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。 日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。

処理中です...