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第一章 高校二年生編
第21話 かのんちゃんは遊びたい!
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まず初めに向かったのはカラオケだ。
昼食までの微妙な時間、午前中ということもあって荷物も増やしたくないため本当はウインドウショッピングの予定だったようだが、ストレス発散のために急遽予定を変更した。
このカラオケでも花音はお金を出すと言う。
俺は悪いと思い出そうとしたが、昼食とカフェ代を払うということで、以前のカラオケ代と合わせて『お礼』ということで話は収まった。
花音は溜まった鬱憤を晴らすように好きな曲を歌う。
アニソンがほとんどだ。
その中でも以前はラブコメ系の明るいポップな曲が多かったが、今日は激しめの叫ぶような曲だ。
「……最っ高!」
真剣な表情で歌い切った花音はスッキリとした表情をしている。
俺は静かに拍手をした。
花音は可愛い声をしている。
素を出している時はワントーン下がるが、それでも可愛い声だ。
その声で激しい曲を歌っても怖い印象はなく、曲調に似合わず明るめに感じる。
そして音程を取るのも上手いため、聞いていて心地が良かった。
お互いに約十曲ほど歌うと、もう時間も終わりが近づいてくる。
「青木くん! 最後に、これ一緒に歌お!」
そう指定されたのは動画サイト発の有名曲。
一般的にも流行しており、サビのラストには叫ぶ部分もあった。
デュエット曲でもあるため、二人で歌うには向いている曲とも言えた。
「うろ覚えでも良ければ」
「いいよー!」
早速、花音は曲を入れるとイントロが始まる。
盛り上がる曲は間違えることもあったが、歌い切ると楽しい。
特に一人ではなく、二人で曲を完成させるということに達成感を覚えた。
こうしてカラオケを終えると、昼食のために喫茶店へと移動する。
店に入って花音がすぐに注文をすると、気がつけば山盛りのパスタが目の前にそびえ立っていた。
山盛りのパスタは会話を楽しみながらゆっくりと食べていると、三十分もしないうちになくなった。
七割程度は俺が食べ、花音は残りの三割程度だ。
お互いに大食いというわけでもないが、俺は食べ盛りの高校生で花音も食が細いわけでもなく、余裕をもって食べ切った。
食後にはショートケーキとコーヒーを二つずつ注文する。こちらは大きくはなく、普通のサイズだ。
「これもおすすめ!」
ケーキセットとなっていて六百円と、そこまで高くはない。
喫茶店はあまり来ないが、どちらかと言えば安い方だろう。
花音と言い、双葉と言い、女子は喫茶店が好きな印象がある。
二人とも紹介してくれたのは隠れ家的な店のため、よほど情報通なのか、もしくは喫茶店めぐりでもしているのだろうか。
花音におすすめされたショートケーキは美味しい。
ケーキなだけあって甘いが、その甘さもしつこくない程よい甘さだ。
滑らかなクリームは口に入れるととろけ、ケーキのスポンジもふわふわとしていてクリームと絡み合う。
合間にすするコーヒーは苦いが嫌な渋さはなく、それによってケーキの甘さがいっそう際立っていた。
「美味しいな……」
「でしょー?」
花音はまるで自分が作ったものかのようなテンションで笑顔を見せる。
「実はここね……私のバイト先なんだ」
「え? まじで?」
唐突なカミングアウトに驚きを隠せない。
ただ、納得はいった。
「かのんちゃんっぽい店だなぁ、とは思ってたよ」
落ち着ける場所でありながら楽しげな雰囲気、お洒落でありながらも立ち入りやすそうな雰囲気だ。
花音にぴったりな店と言える。
「それは……ありがとう。私もこのお店気に入ってるから」
照れ臭そうにそう言うと、気持ちを紛らわせるようにコーヒーを口につけて俯いた。
気に入った店だからこそ、働きたいと思ったのだろう。
先ほどの話と繋ぎ合わせると、元々は客としてこの店が好きになったのがわかる。
「それにしても、バイト先なのに俺と来てよかったの? 俺もバイト先に行くことはあるけど、女の子を連れて行く勇気はないよ」
「んー……別にいいかなって。他の人も友達とか彼氏彼女と来る人もいるし、事前に『友達』って言ってあったからね」
あまり強調しすぎると逆に怪しい気もするが、花音がいいと言うならいいのだろう。
花音から「逆になんで?」と聞き返される。
「勘違いされるのが嫌っていうのもあるし、前も言ったけど俺のバイト先は親の友達がやってるから、絶対に冷やかされる」
「あー、なるほどね」
俺の気持ちも納得してくれたようだ。
来たことがあるのは虎徹と若葉くらい。
親も知っているため、変な勘違いはされることもない。
他の友人は、偶然会うことはあっても自発的に呼ぶことはなかった。
ケーキを食べてコーヒーを飲み切ると、次の場所に移動すべく会計を済ませた。
従業員割引ということもあって、本来は二千円のところを千六百円にしてもらった。
バイトをしているとはいえ、高校生にとって四百円は大きい。
コンビニでチキンと飲み物を買ってもお釣りがくるほどなのだ。
店を出てから俺は花音に着いていく。
時間はまだ二時過ぎのため、これだけ話して濃い時間を過ごしたが、まだまだ時間はたくさんあった。
「これからどこに行くの?」
遊びに行く定番のカラオケは短い時間ながら午前中に行ったし、映画館は周辺にはない。
「服とか見たいかなって思ってるけど、どうかな?」
大きめのショッピングセンターに視線を向け、花音は聞き返してくる。
プランは花音に一任しているため、否定する理由はない。
「もちろん大丈夫」
そう答えると、花音は嬉しそうな表情を浮かべ、こう言った。
「やった! じゃあ、青木くんに見立ててもらおっと」
「……え?」
思いもよらない提案に、俺は唖然としていた。
昼食までの微妙な時間、午前中ということもあって荷物も増やしたくないため本当はウインドウショッピングの予定だったようだが、ストレス発散のために急遽予定を変更した。
このカラオケでも花音はお金を出すと言う。
俺は悪いと思い出そうとしたが、昼食とカフェ代を払うということで、以前のカラオケ代と合わせて『お礼』ということで話は収まった。
花音は溜まった鬱憤を晴らすように好きな曲を歌う。
アニソンがほとんどだ。
その中でも以前はラブコメ系の明るいポップな曲が多かったが、今日は激しめの叫ぶような曲だ。
「……最っ高!」
真剣な表情で歌い切った花音はスッキリとした表情をしている。
俺は静かに拍手をした。
花音は可愛い声をしている。
素を出している時はワントーン下がるが、それでも可愛い声だ。
その声で激しい曲を歌っても怖い印象はなく、曲調に似合わず明るめに感じる。
そして音程を取るのも上手いため、聞いていて心地が良かった。
お互いに約十曲ほど歌うと、もう時間も終わりが近づいてくる。
「青木くん! 最後に、これ一緒に歌お!」
そう指定されたのは動画サイト発の有名曲。
一般的にも流行しており、サビのラストには叫ぶ部分もあった。
デュエット曲でもあるため、二人で歌うには向いている曲とも言えた。
「うろ覚えでも良ければ」
「いいよー!」
早速、花音は曲を入れるとイントロが始まる。
盛り上がる曲は間違えることもあったが、歌い切ると楽しい。
特に一人ではなく、二人で曲を完成させるということに達成感を覚えた。
こうしてカラオケを終えると、昼食のために喫茶店へと移動する。
店に入って花音がすぐに注文をすると、気がつけば山盛りのパスタが目の前にそびえ立っていた。
山盛りのパスタは会話を楽しみながらゆっくりと食べていると、三十分もしないうちになくなった。
七割程度は俺が食べ、花音は残りの三割程度だ。
お互いに大食いというわけでもないが、俺は食べ盛りの高校生で花音も食が細いわけでもなく、余裕をもって食べ切った。
食後にはショートケーキとコーヒーを二つずつ注文する。こちらは大きくはなく、普通のサイズだ。
「これもおすすめ!」
ケーキセットとなっていて六百円と、そこまで高くはない。
喫茶店はあまり来ないが、どちらかと言えば安い方だろう。
花音と言い、双葉と言い、女子は喫茶店が好きな印象がある。
二人とも紹介してくれたのは隠れ家的な店のため、よほど情報通なのか、もしくは喫茶店めぐりでもしているのだろうか。
花音におすすめされたショートケーキは美味しい。
ケーキなだけあって甘いが、その甘さもしつこくない程よい甘さだ。
滑らかなクリームは口に入れるととろけ、ケーキのスポンジもふわふわとしていてクリームと絡み合う。
合間にすするコーヒーは苦いが嫌な渋さはなく、それによってケーキの甘さがいっそう際立っていた。
「美味しいな……」
「でしょー?」
花音はまるで自分が作ったものかのようなテンションで笑顔を見せる。
「実はここね……私のバイト先なんだ」
「え? まじで?」
唐突なカミングアウトに驚きを隠せない。
ただ、納得はいった。
「かのんちゃんっぽい店だなぁ、とは思ってたよ」
落ち着ける場所でありながら楽しげな雰囲気、お洒落でありながらも立ち入りやすそうな雰囲気だ。
花音にぴったりな店と言える。
「それは……ありがとう。私もこのお店気に入ってるから」
照れ臭そうにそう言うと、気持ちを紛らわせるようにコーヒーを口につけて俯いた。
気に入った店だからこそ、働きたいと思ったのだろう。
先ほどの話と繋ぎ合わせると、元々は客としてこの店が好きになったのがわかる。
「それにしても、バイト先なのに俺と来てよかったの? 俺もバイト先に行くことはあるけど、女の子を連れて行く勇気はないよ」
「んー……別にいいかなって。他の人も友達とか彼氏彼女と来る人もいるし、事前に『友達』って言ってあったからね」
あまり強調しすぎると逆に怪しい気もするが、花音がいいと言うならいいのだろう。
花音から「逆になんで?」と聞き返される。
「勘違いされるのが嫌っていうのもあるし、前も言ったけど俺のバイト先は親の友達がやってるから、絶対に冷やかされる」
「あー、なるほどね」
俺の気持ちも納得してくれたようだ。
来たことがあるのは虎徹と若葉くらい。
親も知っているため、変な勘違いはされることもない。
他の友人は、偶然会うことはあっても自発的に呼ぶことはなかった。
ケーキを食べてコーヒーを飲み切ると、次の場所に移動すべく会計を済ませた。
従業員割引ということもあって、本来は二千円のところを千六百円にしてもらった。
バイトをしているとはいえ、高校生にとって四百円は大きい。
コンビニでチキンと飲み物を買ってもお釣りがくるほどなのだ。
店を出てから俺は花音に着いていく。
時間はまだ二時過ぎのため、これだけ話して濃い時間を過ごしたが、まだまだ時間はたくさんあった。
「これからどこに行くの?」
遊びに行く定番のカラオケは短い時間ながら午前中に行ったし、映画館は周辺にはない。
「服とか見たいかなって思ってるけど、どうかな?」
大きめのショッピングセンターに視線を向け、花音は聞き返してくる。
プランは花音に一任しているため、否定する理由はない。
「もちろん大丈夫」
そう答えると、花音は嬉しそうな表情を浮かべ、こう言った。
「やった! じゃあ、青木くんに見立ててもらおっと」
「……え?」
思いもよらない提案に、俺は唖然としていた。
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