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第3話 自由なきお嬢様

追跡する二人

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「亜子・・・・・・それは・・・・・・まさか・・・・・・」
「ふっふっふ、感謝しなさいよ。こういう事もあろうかと、お父様にプラチナカードを借りていたのよ。だから安心して直哉君のいるホテルに向かいましょう」
「亜子さん・・・・・・凄いです。まるで女神様に見えます」
「亜子のお父さんが、何をしてるのか気になるけど、今は直哉を迎えに行かないとね」

 三人はできる限りの正装をしてから、直哉と沙織がいる『ホテル紅』へと向かったのであった。


 予約の時間が近づき、直哉と沙織は『ホテル紅』でディナーを取るためにリムジンで移動をしていた。沙織は煌びやかなドレスを纏い、まるでどこかのお姫様の様であった。

 ホテルの前でリムジンが止まると、直哉はたどたどしい手つきで沙織をエスコートをする。そんな新鮮な態度を取っていた直哉を見た沙織は笑みを零したが、緊張している直哉に合わせゆっくりとディナー会場まで歩いていったのだ。

 ディナー会場に着くと、落ち着いた雰囲気が直哉を飲み込み、まるで別世界の扉を開いてしまったかと直哉は思ったのだ。

 そんな直哉を現実世界に引き戻したのは、直哉の肩に手をかけた沙織であった。現実世界に戻った直哉は、沙織が座る椅子を引いて先に座らせ、反対側の席に直哉も座ったのだった。

「かなり緊張されているご様子ですが、神崎様はこういう場所は、初めてでございますか?」
「普通の高校生はこういう所に来ないから、初めてが普通だと思います」
「わたくしとした事が、そうですわよね。大変失礼致しました。それと、わたくしの事は沙織と及び下さい。よろしいでしょうか?直哉様」
「え、名前で呼んでいいのでしたら、そうしますね」
「それと、普通にタメ口で構いませんよ?その方が親しみがありますので」

 沙織のペースで会話が進み、直哉はただ沙織の言う通りに答えるしかなかったのだ。一つ上とはいえ、これ程まで会話能力に差があるとは考えておらず、直哉は沙織の独特な雰囲気に魅力されていったのだ。

 そんな二人を遠くから凝視していた三人の少女達は、仲良さそうに話をしている直哉に怒りを覚えていた。お姫様の様な沙織にデレデレな直哉が、気に入らなかったのである。

「何よ・・・・・・直哉ったら、デレデレしちゃって。全く美人と巨乳に弱いんだからっ」
「デレデレというよりは・・・・・・この雰囲気に飲まれてるって感じだと思うわよ。でも、あんな綺麗な人を目の前にしたら、デレデレになってしまうのは悲しい男の性ね」
「でも、直哉君・・・・・・何を話してるんだろ。女の人・・・・・・あんなにお洒落して・・・・・・本当にお礼なのかな」

 テーブルに料理が運ばれてきたが、直哉の事が気になりそれどころではなかった。だが、その美味しそうな香りにお腹を空かせた優子達は、怒りをぶつける様に料理を口に運んでいったのだ。

 その味は今までに食べた事がないくらい濃厚で、お肉は柔らかく口の中に入れると溶ける程であった。
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