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第5話 愛のバカンス
小悪魔な令嬢
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高校入学から息をつく暇もなく、紗英の人見知り改善、沙織との出会い、そしてアイドル葵のマネージャーと濃密な日々を過ごしていた。
その間にも中間試験や期末試験もあったのだが、濃密な日々に押し潰され、直哉の記憶にはほとんど残っていなかった。気がつけば夏休みまで数日となっていたのだ。
一人暮らしで迎える初めての夏休みを、どう過ごすかベッドに横になり考えると、部屋のドアが開く音が聞こえたのだ。
鍵をかけ忘れたのか、たが今はそれどころではなく、こんな夜遅くに部屋に侵入する人に警戒をしていた。
「あら、直哉様寝ておられましたか?せっかくお料理をお持ちしましたのに」
「・・・・・・沙織さん?てっきり空き巣かと思って警戒してしまいましたよ。ところで鍵開けっ放しでしたか?」
「もちろん、しっかりと閉まっていましたわ」
「え・・・・・・じゃ・・・・・・どうやってドアを・・・・・・」
沙織の口元がニヤリとし、持っていた鍋をテーブルに置いたのだ。すると、ポケットにしまってあった鍵を取り出し直哉に見せたのであった。
「・・・・・・一応聞くけど・・・・・・その鍵は?」
「はい、大家さんに事情をお話したら、涙を流して合鍵をいただけましたわ」
(大家さん!セキュリティーはどこに行ったんですか!)
心の中で大家さんに対して叫んだ直哉だったが、沙織が説明した事情というのがどうしても気になり尋ねたのだ。
「・・・・・・そこは良くないけどいいとして、事情って・・・・・・どんな事を説明したの?」
「ありのままを話しただけですわ。自由を手に入れる為、父親の反対を押し切って直哉様がわたくしを連れ出してくれたのです。そして、愛し合う二人は将来結婚する約束をし、今は年齢的にも出来ないので一人部屋を二部屋借りている・・・・・・と」
「・・・・・・九割作り話じゃないですかあああ」
「あら、わたくしを守ってくれるという、プロポーズの言葉は嘘だったのですか?」
潤んだ瞳で直哉を見つめ、まるで捨てられた仔犬のようであった。
一瞬、直哉が悪いと思ってしまう程に、沙織の迫真演技であったがすぐに自分が正しいと思い直したのだ。
「あの・・・・・・守る約束はしましたが・・・・・・プロポーズは全く記憶にないんですけど」
「そうでしょうね、だって先程考えましたので」
「・・・・・・沙織さん、からかってますよね・・・・・・」
「ふふふ、わたくしは本気ですわ。その証拠に・・・・・・この婚姻届、後は直哉様のハンコだけになります」
どこまで本気なのか分からない沙織であるが、直哉の事を真剣に考えているのは間違いがないのだ。直哉はもはや苦笑するしかなかったのだった。
「さて、せっかく作った料理が冷めてしまいますわ。一緒にいただきましょう」
「そ、そうですね。せっかく作って貰ったんですから食べましょうよ」
直哉はご飯をよそうと、沙織の作ってくれた肉じゃがと一緒にたべたのだ。沙織が料理する事が意外であり、とても作っている姿を想像出来なかった。
その間にも中間試験や期末試験もあったのだが、濃密な日々に押し潰され、直哉の記憶にはほとんど残っていなかった。気がつけば夏休みまで数日となっていたのだ。
一人暮らしで迎える初めての夏休みを、どう過ごすかベッドに横になり考えると、部屋のドアが開く音が聞こえたのだ。
鍵をかけ忘れたのか、たが今はそれどころではなく、こんな夜遅くに部屋に侵入する人に警戒をしていた。
「あら、直哉様寝ておられましたか?せっかくお料理をお持ちしましたのに」
「・・・・・・沙織さん?てっきり空き巣かと思って警戒してしまいましたよ。ところで鍵開けっ放しでしたか?」
「もちろん、しっかりと閉まっていましたわ」
「え・・・・・・じゃ・・・・・・どうやってドアを・・・・・・」
沙織の口元がニヤリとし、持っていた鍋をテーブルに置いたのだ。すると、ポケットにしまってあった鍵を取り出し直哉に見せたのであった。
「・・・・・・一応聞くけど・・・・・・その鍵は?」
「はい、大家さんに事情をお話したら、涙を流して合鍵をいただけましたわ」
(大家さん!セキュリティーはどこに行ったんですか!)
心の中で大家さんに対して叫んだ直哉だったが、沙織が説明した事情というのがどうしても気になり尋ねたのだ。
「・・・・・・そこは良くないけどいいとして、事情って・・・・・・どんな事を説明したの?」
「ありのままを話しただけですわ。自由を手に入れる為、父親の反対を押し切って直哉様がわたくしを連れ出してくれたのです。そして、愛し合う二人は将来結婚する約束をし、今は年齢的にも出来ないので一人部屋を二部屋借りている・・・・・・と」
「・・・・・・九割作り話じゃないですかあああ」
「あら、わたくしを守ってくれるという、プロポーズの言葉は嘘だったのですか?」
潤んだ瞳で直哉を見つめ、まるで捨てられた仔犬のようであった。
一瞬、直哉が悪いと思ってしまう程に、沙織の迫真演技であったがすぐに自分が正しいと思い直したのだ。
「あの・・・・・・守る約束はしましたが・・・・・・プロポーズは全く記憶にないんですけど」
「そうでしょうね、だって先程考えましたので」
「・・・・・・沙織さん、からかってますよね・・・・・・」
「ふふふ、わたくしは本気ですわ。その証拠に・・・・・・この婚姻届、後は直哉様のハンコだけになります」
どこまで本気なのか分からない沙織であるが、直哉の事を真剣に考えているのは間違いがないのだ。直哉はもはや苦笑するしかなかったのだった。
「さて、せっかく作った料理が冷めてしまいますわ。一緒にいただきましょう」
「そ、そうですね。せっかく作って貰ったんですから食べましょうよ」
直哉はご飯をよそうと、沙織の作ってくれた肉じゃがと一緒にたべたのだ。沙織が料理する事が意外であり、とても作っている姿を想像出来なかった。
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