ツンデレヒロインの逆襲

朽木昴

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第2話 復讐の下準備と悪女な後輩

復讐の下準備と悪女な後輩 3ページ目

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「──コホン。私が陰キャかどうかは、おいておきまして。可愛い後輩を助けるのも、優しい先輩の役目。だから、お互い協力しましょうか。決して、私に友だちがいないとか、そういう理由じゃないですからねっ」

「あー、まぁ、そういうことに、しておきますねー。朱音先輩とは長い付き合いになりそうです。よろしくお願いしますねー」

 私は神崎さんと結託して、選挙戦へ望むことにした。熱い握手で共闘を誓うも、神崎さんの手は文字通り暖かった。

 いや、普通の人よりもかなり熱く感じる。

 手のひらが熱いと心が冷たいだなんて、ただの迷信だよね。

 だから、神崎さんの視線が悪魔っぽいのも、私の気のせいに決まってるから……。

「こちらこそよろしくね、神崎さん」

「私のことは奈乃って呼んでください、朱音先輩っ」

「う、うん。奈乃さん、ね」

 主導権を握られたら気がしますけど、大丈夫、私にはまだ勝機は残ってる。いくら元陰キャだからって、後輩には負けられないもん。

 私は職員室の重いトビラを開け、奈乃さんと一緒に想いの詰まった立候補用紙を提出した。

 これでもうあとには引けない。すべては拓馬と担任教師へ復讐するため、会長の座につかなければならない。

 ツンデレ貧乳こそが正義。

 ツンデレを制するモノは世界を制す。

 マスターおなつの言葉を信じ、私は大きな一歩を踏み出した。


「思ったより、あっさり受け取ってもらえたよね」

「ただ提出するだけですから。それより、朱音先輩、公約とかちゃんと考えてるんですか? まさか、白紙だなんてオチはないですよね?」

「ギクッ。も、もちろんだよ。公約のひとつやふたつ、私にとっては、朝飯前だからね」

「それじゃ、今考えている公約を言ってみてください」

「え、えっと……。あ、明るい学園生活とか……?」

「朱音先輩……。それって、この学園の教育理念ですよ?」

 何も考えてなかったなんて、奈乃さんに言えるわけもなく。

 私が不意に口にしたのは、学園の教育理念。

 ジト目で奈乃さんが見つめるも、すぐに満面の笑みに変わっていた。

「こ、これは奈乃さんを試しただけ、なんですからねっ」

「私にツンデレされても、意味がありませんよ。やはり、元陰キャには荷が重いようですね。でも、安心してくださいね? 私が一緒に考えてあげますから」

「ま、待って、元陰キャとか言わないでーーーーーーっ」

 私の心の声はスルーされ、奈乃さんに図書室へと連れていかれる。その力は思ったより強く、私は流れに身を任せるしかなかった。

「ここなら静かなので、じっくり公約を考えられますよ」

「うぅ、私ってこういうの苦手なんですよ」

「大丈夫、大丈夫ですよ、朱音先輩。私の言う通りに動けば、何も心配ありません。そうすれば、私が影の支配者になれますので」

「ねー、今影の支配者って言ったよね? まさか、私を操り人形にでもしようとしてるんじゃないでしょうね?」

「……気のせいですよ、朱音先輩」

 あからさまに視線を逸らしましたわよ。
 見た目は可愛いのに、この子の心は真っ黒だよ。

 気をつけないと、利用するだけ利用して、あっさり可燃ゴミのように捨てられちゃうよ。

 これは試練、そう、神が与えし試練なのよ。ツンデレマスターになったなら、色んな属性をその手中に収めなさいってことなのね。

 いいわよ、やってやるわ。これぐらいできないと、復讐だなんて成し遂げられないもの。

 鬼よ、心を鬼にするのよ、朱音。あの修行で挫けぬ心を学んだじゃない。このままだとクイーン・オブ・ツンデレの名が泣いてしまうからね。
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