ツンデレヒロインの逆襲

朽木昴

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最終話 フラれた恨みはどこへいく

フラれた恨みはどこへいく 1ページ目

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「でも、よく放送室を使うなんて思いついたよね。ひょっとして、知らなかったのは私だけなの?」

 リベンジャーズルームへ戻ると、私は素朴な疑問をみんなに投げかけた。

 だって、理事長たちにあんな酷いこと言われても黙ってたんだから、その可能性はあるかなって。私だけ知らなかったのはきっと理由がある。と、信じてるからねっ。

「ボクは奈乃さんから口止めされてたよ」

「サキはねー、アメ玉で買収されたのだー」

「二人とも酷いよー。ということは、リアコン王子も知ってたってことなのっ! 嘘偽りなく私の目を見て答えてよねっ」

「ぼ、僕はその……えっと、ごめんなさい、知ってました。で、でも、西園寺会長に伝えようとしたら、神崎さんに脅されて……」

「ふぅーん、そっかぁ、奈乃ちゃんの言うことを聞くんだねー」

「さ、西園寺会長……?」

 私の意見には必ず反対するくせに、奈乃ちゃんには素直に従うんだ。べ、別に管君が誰の言うことを聞こうと、私には一ミリも関係ないし。だいたい、たとえイケメンであっても、留年高校生とか隣にいるだけで、恥ずかしすぎるんだよっ。

 それに、デートの件は私のためだったとしても、綾崎さんとデレデレしたのは事実なんだし、これは裁判しかないよね。今この場で徹底的に追求してあげるんだからっ。

「何よリアコン王子、ロリコン好きなくせに、エセお嬢様にはデレデレするとか節操がなさすぎたよっ!」

「僕は綾崎さんとデレデレなんてしてませんよー。何かの間違いですってぇぇぇぇぇぇ」

「ウソよそんなのウソに決まってるもん! だって、あのエセお嬢様が来たとき、ずっとデレデレしてたじゃないのっ」

 気づいたときには、リベンジャーズルームから走り去っていた。

 目からこぼれ落ちる涙を周囲にまき散らしながら、私は走ってはいけない廊下を駆け抜ける。

 どこへ向かってるなんてわからない。

 なんで走り出したのか、その理由すらわからない。

 ただがむしゃらに校内を走り回るしかなかった。

 そして、私が意識せずに辿り着いた場所は──。

「ここは……屋上、だよね。どうして、ここに来ちゃったんだろ」

 ううん、理由なんて簡単よね。ここなら人がいないからに決まってるもん。自分の気持ちを整理するには、ちょうどいい場所なんだから。

 私、なんで泣いちゃったんだろ。

 管君なんて興味すらなかったのに、なんで……。

 確かにイケメンではあるけどさ、管君のこと全然知らないわけだし。ちょっと変わってて留年とかしてるけど、顔がいいからって、それだけで私が惹かれるわけ──。

 あっ、拓馬もイケメンだったよね。ということは、あれっ、ひょっとして、私イケメンに弱い系なのかな? ち、違うよっ、私はそんなにチョロくないもん。だいたい、管君のどこが気になってるっていうのよ。

 やっぱり……顔?

 それって、原点回帰じゃないのぉぉぉぉぉぉ。
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