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クマと枝
しおりを挟む私は森で6年、木こりをしているクマだ。
森に住んでいて大きくなった木を切って生活してる。
切った木は近くの町に束にして売りに行っている。
このお話は私が森に住んで3年目のことだった。
とても暖かくなった春。
今日も成長した木を汗を流しながら切っていた。
切った木を集め、小屋に持っていく。
そして、束にして乾かす。
そんな作業を繰り返していた時だった。
切った木の枝が一人でに動いていた。
不思議な枝だなと思い、近づいてみると。
枝「あら、こんにちは。」
枝がしゃべった。
私もオウム返ししてみることにした。
クマ「こんにちは…」
枝「そんなに不思議そうな目で見ないでくださいな。」
枝に目がついている。
クマ「あなたは何という種族ですか?」
枝「わたしのような種族を知らない?」
クマ「はい。はじめて見ました。」
枝「そうなのね。じゃあ、しかたないわ。教えてあげる。わたしは尺取虫という種族よ。」
クマ「名前は聞いたことがあります。しかし、なぜ枝のような見た目なのですか?」
つい、失礼な質問をしてしまった。
尺取虫「そうね。なんででしょうね。なぜ枝のような見た目で生まれてきたのかは、私も知らないの。」
クマ「失礼なことを聞いてしまいました。ごめんなさい。」
尺取虫「いいえ、気にしないで。私たちの種族を見た方々は言わないだけであなたのように思っている方が多いと思うわ。」
クマ「もう一つ気になったことがあるのですが、この辺りで何をされていたのですか?」
尺取虫「ここで、蝶々になるために安全な場所をさがしていたの。」
クマ「蝶々になるとはどうゆうことですか?」
尺取虫「きれいな姿になることよ。きれいになることは、私たちの種族では、誇り高いことなのよ。」
クマは少し考え、こんなことを言った。
クマ「そんなにすごいことなのですね。わかりました。誰も切らない木を知っているのでそこで蝶々になるのはどうでしょう。」
尺取虫「ほんとうですか。そんないい場所があるなんて、ぜひその木できれいな蝶々になりたいわ。」
クマは、その木がある場所に尺取虫を連れて行った。
尺取虫は大きな木をとても気に入り、また枝になった。
クマ「それでは、きれいな姿になったらまたお会いしましょう。」
といってクマは小屋に戻っていった。
それから10日ほど経った日のこと、クマは尺取虫が気になり、こっそり木を見に行くことにした。
しかし、隠れて木を見てみたが、尺取虫の姿はなく、大きな実のようなものだけがあった。
クマは、不思議でたまらなかった。
探そうとも思ったが、尺取虫を傷つけるかもしれないと思い、その日は帰ることにした。
はじめてのことに、クマは好奇心と心配で、ずっと気になっていた。
そんな状態が20日ほど続いた。
クマは、我慢できず木をもう一度見に行くとこにした。
すると、そこには黒くくすんだ色の生き物がいた。
クマ「あ!」
クマは驚きのあまり、声が出てしまった。
「あ…私は蝶々ではなかったようです。」
とその生き物は言った。
クマはその声に聞き覚えがあった。
クマ「もしかして尺取虫さんですか?」
ガ「ええ、こんなガになってしまったけど、あなたとお話した尺取虫よ。先ほど目が覚めてこの姿を見たの。こんなガの姿になってしまって、どんな顔であなたに会おう、なんて言おうかってずっと考えていたの。」
クマ「大きな羽、細い触覚、確かにあなたが望んでいなかった色かもしれない。だけど、私は立派な蝶々に見えますよ。」
ガ「あなたに会えてよかったわ。まだ悲しいけど少し気持ちが楽になりました。私はこの姿で生きていくわ。」
ガは、クマにそう言い、去っていった。
それから3年たった今、また暖かい春がやってくる。
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