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「炎上」
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「炎上」
根畑が姿を消した翌日の12月10日から、SNSは「#まりあの方舟」、「#令和のマリア様」、「#万石まりあ」の各種「駆け込み寺番組」以降のニコニコプロレス関連のハッシュタグが炎上しまくっていた。
昔からのファンや、純粋に「居酒屋ニコニコ」、「BARまりあ」を良く知る者から「テレビは噓つきだ!まりあさんも仲間もいたって普通に優しい人たちだ!」や「ニコニコプロレスは変な宗教じゃないし、誤情報を流すのはやめてください。」といった正論に次々と否定のリツイートが書き込まれ、中にはおかしな日本語の書き込みも多く寄せられ、多くのアカウントが機能不全に追い込まれた。
夏子と陽菜のアカウントも「#ヤリマン」、「#売女」で占拠され、普通の書き込みが埋もれて読めない状況に追い込まれていた。
陽菜が運営しているユーチューブチャンネルの「陽菜チャンネル」もいわれのない多数の「違反通報」で違反行為確認審査による一時閉鎖に追い込まれた。
「私は皆とのラインくらいしかせえへんからわからへんけど、今しばらくは、なっちゃんも陽菜ちゃんもSNSは控えた方がええで。」
と稀世は言うのだが、夏子と陽菜は
「やられた分は100倍返しや!この騒動の発信元を突き止めて絶対に「ぎゃふん」って言わせたるからな!」
と裏アカウントを使って、炎上の火元探しに必死になっているのを見て、まりあがため息をついた。
そして午前10時過ぎ、まりあのスマホに見覚えのない大阪市内発信の電話番号で着信があった。「はい、もしもし、どちら様ですか?」と電話の主に問うと、テレビでよく見る人権派と呼ばれるやや思想が偏った関西のタレント女弁護士の名と要件が短く答えられた。
「万石まりあさんですか?こちら、万城目法律事務所の万城目伊織と申します。奥村賢治様の代理人として、そちらで未成年略取及び児童労働強制されている奥村武雄君と凛ちゃんの親元への返還の話でお電話させていただきました。少し、お時間よろしいですか?」
まりあは毅然とした態度で、「武雄君と凛ちゃんは奥村賢治の親権を停止させ、家庭裁判所で児童相談所署長に親権異動させ、うちで預かっています。家庭裁判所にご確認の上、改めてお電話ください。」と応えると、電話を切った。
そのタイミングで道場の外から、ハンディーメガホン独特の割れた音声で「子供を返せー!」、「児童虐待をやめろー!」と声が響いた。
稀世と直が窓のブラインドの隙間から表の通りを見ると、20人ほどのハチマキやたすき姿の男女グループがメッセージの書かれたプラカードやデモボードを頭上にかざして騒いでいるのが見え、その横に先日の「駆け込み寺」特集を制作したテレビ局の車両と撮影スタッフがいるのが確認できた。
「ちっ!武雄と凛のあほ親父が女弁護士を巻き込んで強硬手段に出よったんやろか?こんな小さい商店街でデモなんかされたら、他の店も客が入らへんようになってしまうぞ!
わしは裏口から出て、副島はんと森先生の所に行ってくるわ。稀世ちゃんは児童相談所の所長に電話を入れて対応を相談してくれ!夏子と陽菜はカツラと眼鏡で「変装」してポケットGPSを何個か持ってわしについてこい!」
と直は叫ぶと、副島に電話を入れた。
まもなく、近隣の店舗が110番したのか、それともデモ隊の誰かが連絡をしたのかわからないが、2台のパトカーが道場の前に来て止まり、2人のスーツ姿の男が降りて来た。制服警官がデモ隊に注意を促すと騒ぎはいったん収まったが故に、マイクを持ったテレビ局の女性リポーターの甲高い声が2階にまで響いた。
「ついに悪の教団「まりあの方舟」に警察のメスが入ります。教団に拉致されている子供や女性たちは大丈夫なのでしょうか!」
そこに直が副島を連れて事務室に入って来た後、夏子と陽菜が帰って来た。
「直さん、とりあえず、メガホン持って騒いでたリーダー格の女と、一番後ろで腕組んで偉そうに見てたやつのポケットにGPSは放り込んできたで。そいつらには「盗聴器」も入れてきたたわ。それにしてもメガホンの声、どこかで聞いた気がするんやけど、思い出されへん。」
「あいつらみんな大阪弁やあれへん。いわゆる「プロのデモ屋」っていう奴かもしれへんな。来てたテレビ局が1社って事みたいやからこの間のインチキ番組作った奴らに仕込まれた「サクラ」とちゃうか?」
カツラと眼鏡をはずしながら2人が状況を報告した。直は「ご苦労さん。「サクラ」やったら警察が帰ったら昼のワイドショー用に取れ高を確保したらあいつらも昼の放送に向けて解散しよるやろ。」と夏子と陽菜を労い、夏子にGPSの追跡と盗聴器の音声を録音する準備に入るよう指示した。
インターホンが鳴り、まりあが受信ボタンを押すとスピーカーから「門真署の坂井といいます。市民よりこちらに児童2名が監禁されていると通報がありました。少しお話伺わせてもらってよろしいですか?」と男の声が響いた。
まりあは副島にアイコンタクトを取ると、「どうぞ、お入りください。」と返事をした。直は稀世に「稀世ちゃんは、小学校に武雄と凛を迎えに行ってくれ。ここに連れて帰ると厄介やから森先生が待ってる金城事務所の方で騒ぎが収まるまで待機させとってくれ。」と指示され、稀世は事務所を出て勝手口へ向かった。
事務所に制服警官2名を連れて、門真署刑事課のベテラン刑事「坂井三郎」と若手バディー刑事の「載田龍二」が入って来て警察手帳を掲示した。
まりあはソファーに2人の刑事を座らせると、麦茶を出すよう陽菜に指示した。坂井と載田に「ニコニコプロレス」の名刺を渡し、武雄と凛の状況を副島に説明してもらった。副島が家庭裁判所の親権異動承認書類を見せると、坂井は意外そうな顔を見せた。
まりあが坂井の目の前で児童相談所の代表番号に電話をして、所長を呼び出し現状を説明してもらった。坂井はソファーを立ちあがり、
「なるほど、正規の手続きを取られているのであれば、今日の所はこれ以上お話を伺う事はありません。ただ、かなり「ややこしい」ところが絡んでますので近いうちにまた寄らせてもらう事になりますのでよろしく。」
と思わせぶりに言い残すと載田を連れて事務所を出た。
予想通り、警察が去るとテレビ局もデモ隊も道場の前から消えた。
「おい、夏子、音声は採取できたか?あと、GPSの追跡も頼むぞ!」
直の声に夏子は黙ってサムアップして見せた。陽菜がつけたテレビのワイドショーでは、30分前のニコニコプロレス前の騒ぎが映し出されていた。
ある事無い事でなく、「ない事」だらけの取材報道にみんなげんなりとする中、副島はテレビを気にすることなく、まりあと直を呼び寄せ何かを話し始めていた。
根畑が姿を消した翌日の12月10日から、SNSは「#まりあの方舟」、「#令和のマリア様」、「#万石まりあ」の各種「駆け込み寺番組」以降のニコニコプロレス関連のハッシュタグが炎上しまくっていた。
昔からのファンや、純粋に「居酒屋ニコニコ」、「BARまりあ」を良く知る者から「テレビは噓つきだ!まりあさんも仲間もいたって普通に優しい人たちだ!」や「ニコニコプロレスは変な宗教じゃないし、誤情報を流すのはやめてください。」といった正論に次々と否定のリツイートが書き込まれ、中にはおかしな日本語の書き込みも多く寄せられ、多くのアカウントが機能不全に追い込まれた。
夏子と陽菜のアカウントも「#ヤリマン」、「#売女」で占拠され、普通の書き込みが埋もれて読めない状況に追い込まれていた。
陽菜が運営しているユーチューブチャンネルの「陽菜チャンネル」もいわれのない多数の「違反通報」で違反行為確認審査による一時閉鎖に追い込まれた。
「私は皆とのラインくらいしかせえへんからわからへんけど、今しばらくは、なっちゃんも陽菜ちゃんもSNSは控えた方がええで。」
と稀世は言うのだが、夏子と陽菜は
「やられた分は100倍返しや!この騒動の発信元を突き止めて絶対に「ぎゃふん」って言わせたるからな!」
と裏アカウントを使って、炎上の火元探しに必死になっているのを見て、まりあがため息をついた。
そして午前10時過ぎ、まりあのスマホに見覚えのない大阪市内発信の電話番号で着信があった。「はい、もしもし、どちら様ですか?」と電話の主に問うと、テレビでよく見る人権派と呼ばれるやや思想が偏った関西のタレント女弁護士の名と要件が短く答えられた。
「万石まりあさんですか?こちら、万城目法律事務所の万城目伊織と申します。奥村賢治様の代理人として、そちらで未成年略取及び児童労働強制されている奥村武雄君と凛ちゃんの親元への返還の話でお電話させていただきました。少し、お時間よろしいですか?」
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そのタイミングで道場の外から、ハンディーメガホン独特の割れた音声で「子供を返せー!」、「児童虐待をやめろー!」と声が響いた。
稀世と直が窓のブラインドの隙間から表の通りを見ると、20人ほどのハチマキやたすき姿の男女グループがメッセージの書かれたプラカードやデモボードを頭上にかざして騒いでいるのが見え、その横に先日の「駆け込み寺」特集を制作したテレビ局の車両と撮影スタッフがいるのが確認できた。
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「ついに悪の教団「まりあの方舟」に警察のメスが入ります。教団に拉致されている子供や女性たちは大丈夫なのでしょうか!」
そこに直が副島を連れて事務室に入って来た後、夏子と陽菜が帰って来た。
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カツラと眼鏡をはずしながら2人が状況を報告した。直は「ご苦労さん。「サクラ」やったら警察が帰ったら昼のワイドショー用に取れ高を確保したらあいつらも昼の放送に向けて解散しよるやろ。」と夏子と陽菜を労い、夏子にGPSの追跡と盗聴器の音声を録音する準備に入るよう指示した。
インターホンが鳴り、まりあが受信ボタンを押すとスピーカーから「門真署の坂井といいます。市民よりこちらに児童2名が監禁されていると通報がありました。少しお話伺わせてもらってよろしいですか?」と男の声が響いた。
まりあは副島にアイコンタクトを取ると、「どうぞ、お入りください。」と返事をした。直は稀世に「稀世ちゃんは、小学校に武雄と凛を迎えに行ってくれ。ここに連れて帰ると厄介やから森先生が待ってる金城事務所の方で騒ぎが収まるまで待機させとってくれ。」と指示され、稀世は事務所を出て勝手口へ向かった。
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