『「まりあの方舟」はカルト宗教団体?極悪女子レスラー「万石デンジャラスまりあ」のクリスマスの奇跡』

M‐赤井翼

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「反撃」

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「反撃」

 12月22日午後5時、大阪ニコニコプロレスが仮の宿としている東大阪の古い一戸建てのひとつの部屋は怪しい雰囲気に包まれていた。1年で一番昼の時間が短い冬至である今日の東大阪市は午後4時50分に日没という事で5時の時点で表は既に真っ暗である。
 建屋内も基本的に電気が通っていない為、皆が集まっている1階の大広間だけは持ち込んだ発電機で証明が灯っているだけで残りの部屋や廊下は100均のランタンが置かれているだけである。

 夏子と陽菜は黒装束に身を包み、ろうそくの明かりだけが小さく揺れる2階の和室で来るべき出番を待ち構えていた。京橋の「おとなのおもちゃ」店で仕入れて来たSMグッズの拘束具がいくつも床に転がっている。
「なっちゃん、陽菜ちゃん準備できたで。太田さんも副島さんも祥ちゃんもスタンバってるからそろそろ始めよか。」
襖が開き、稀世が呼びに来た。
「あいよ、3人合わせて予定な90分。がっつり証言を引き出したら一気に反攻作戦開始やな。「1222ニイタカヤマノボレ」やな。けらけらけら。」
「うん、一発で決めて太田さんや副島さんの説の穴を埋められたら速攻で今晩に「トラトラトラ」やで!直さんが暴れたくて仕方がないみたいやからな!くすくすくす。」
 夏子と陽菜はハイタッチを交わすと自ら頬をパシパシと叩き気合を入れた。

 隣の和室に行くと、太田が赤外線カメラを構え、出口はブームマイクを持ちSMグッズに全身を固められた「ホワイトタイガー」の半グレが足を前に伸ばして出した状態で座らされていた。両手は後ろ手でしっかりとした革手錠で、両足も足首膝に革枷で完全に固定されているので暴れ出しても心配はない。
「稀世姉さん、いつものように姉さんがこよなく尊敬して止まない100の可憐な技を持つ男「初代タイガーマスク」の「佐山悟」のフィニッシュ技「チキンウイングフェイスロック」で意識を刈り取ってる状態やねんな?」
 夏子が問うと、稀世は黙って頷いた。陽菜がかつて結衣に性的虐待を繰り返した有粗苗克信に「催眠ナイトメア」を見せた時と同じ段取りで、半グレ男に「VRゴーグル」をかけ、密閉式ヘッドホンをセットするとノートパソコンのスイッチを入れた。

 周りには聞こえないが、半グレ男の両耳には非可聴域のアルファ波とシータ波がかかり、催眠導入の画面の再生が始まった。夏子がヘッドセットをつけサムアップして見せると稀世が半グレ男の背中の中心部に膝をあてがい両肩に手を添え「ふんっ!」と膝を押し込むと、「こほっ」と小さくせき込み、男は意識を取り戻した。
「ここ、どこだ?いったいどうなってるんだ?」
と明らかに大阪弁とは違う元の横浜言葉のイントネーションで男は狼狽えた。
 視界と身体の自由を完全に奪われている男の耳に催眠波が染み込んでいくにつれて、男の反応は弱まっていった。

 ゆっくりと夏子の尋問が始まった。男の氏名、住所、素性を次々と聞いていく。すっかり催眠状態に入った男は夏子の尋ねる質問に100%答えていく様子を太田はカメラに収め続ける。
 副島が夏子のインカムに「次は「コレ・・」聞いて下さい。」、「次は「アレ・・について尋ねてください。」とメモがまわってくる。最後に男のスマホのログインパスワードを聞き出して30分が経った。
「よっしゃ、次の「ブルードラゴン」のやつの尋問に入りましょか。」の副島の一言で再度稀世が男の背後に回り込み、「裸締め」で男を落とした。

 続いて「ブルードラゴン」の男、そしてワゴンの運転手役の男の催眠尋問が勧められた。起動パスワードを聞き出した3台のスマホで関係者に「偽のメッセージ」を送り付けた。
「すみません。「まりあの方舟」の女信者を拉致して尋問中に不意打ちで「カプサイシンスプレー」を喰らってしまい3人とも声が出ません。ボスの所に連れて行こうと思うのですが、今からだと「どこ」に連れて行けばいいのか指示ください。
 あと、誘拐中にスマホを落としてしまい、いつも使っている秘匿性通信アプリが飛んでしまいました。今日いっぱいは再インストールができないのでとりあえず今日いっぱいの連絡は私が使っているものでおねがいします。ダウンロードアドレスを送ります。」
 3人の男に共通して通信履歴のあった「根畑由多」にメッセージを送った。

 5分後、根畑のスマホは夏子と陽菜の支配下となった。根畑のクローンスマホの子機となったブランクスマホを使い、根畑の人間関係をさらい、そのアドレス帳、通話、メッセージの過去ログ等をすべてパソコンにダウンロードしていった。何度も同じ名前が出てきて、黒幕とその背景にある団体の影がはっきりとしてきた。更に、よく知った名前もそこに登場した事で事件の縦横の糸が明確な「柄」を描き出した。
 ノートパソコンのモニターを太田、副島、出口がチェックし、「おっしゃ、これくらいで証拠はええやろ。じゃあ、おいちゃんは原先生と万石さんが待ってるやろうから、今から門真署に走るわ。」と言い副島は先に部屋を出た。

 「じゃあ、仕上げはなっちゃんに頼もうか!根畑の音声データの人工生成はできるんやな。こいつらのボスに電話して、今、この文章を流したって欲しいねや。まずは、こいつらの電話でかけて「留守番電話」になる状況を作るから、留守電になったら偽根畑のメッセージを入れてくれな。
 これを聞いたらあいつら、疑心暗鬼どころか、互いに「敵同士」になって内部崩壊しよるやろ。そうしたら、今晩、22時に作戦開始や!」
 太田が皆に声をかけると「おうっ!」とその場にいた皆が声を揃えた。

 作戦開始から予定通り1時間、内部崩壊した「敵」のアジトを急襲した大阪ニコニコプロレスメンバーはアジトを完全制圧し、全ての証拠を押さえた。坂井刑事と載田刑事を呼び出し、当事者たちを引き渡し、12月23日の午前0時前で作戦は完了した。
 状況証拠と証言が認められ、まりあは解放され、原、副島と共に帰って来た。
まりあは、スポンサーが降りたままの関西インディーズプロレスの共同開催大会の為に根回しをしていた相手に複数の電話を入れた。
「そうですか、「ミセスまりあ」良かったですね!「ミス稀世」の出ない大会じゃつまらないですもんね。出場辞退で欠員が出た部分は私たちがサプライズでフォローしますので安心して下さい。
 その代わり、「バーターディール」についてはこちらの条件を飲んでもらいますからね。その時は「ミセスまりあ」も「ミス稀世」とリングに上がってくださいね。では、明日、「RACTABドーム」でお会いするのを楽しみにしていますよ!チャオ!」
「サンキュー、サー!私も楽しみにしています。」
と言って電話を切ったまりあは笑顔だった。



「おまけ」







※今日はRBFC女子部の読者さんに忖度です。
「ロン毛祥ちゃん」アップしてなかったですかねぇ?
忙しすぎて忘れてます。(。-人-。) ゴメンネ
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