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「奪還作戦」
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「奪還作戦」
翌日の午前3時、夏子と陽菜は良太郎の四駆で三人一緒に「魂の解放」教団の2ブロック離れた空き地にいた。前日の昼にバンとトラックとマイクロバスの屋根に付けていたGPSが教団側により発見されたのだった。
バンの中に設置した携帯電話を用いた盗聴器により漏れ伝わってきた情報では、教団側は、夏子や大樹たちの仕業ではなく、マスコミか公安の仕業と思っているようだった。花音奪還作戦として、次回のシティーホテルの外出時を狙っての奪還作戦が良太郎から発案されていたのだが、その移動先を知るための肝であるGPSが取り外されてしまった事で作戦変更を余儀なくされた。
大樹には今晩の出動の話は伝えず、三人だけで来たのには理由があった。
「陽菜ちゃん、なっちゃん今回のミッションは「違法性」がある。せやから、大樹さんには内緒でしようと思うんや。一つは、教団施設内のワイファイで電波ジャック…。そしてハッキングや。教団のホームページから入り込むことも考えたんやけど、ページは全く関係のないサーバー管理会社に委託してるみたいやねん。信者募集も全てアナログでやってて、メールアドレスすら公表してへん。電話番号が出てるくらいやねんな。
外部からのハッキングに対して神経をとがらせてるみたいや。ただ、今のご時世で全くパソコンを使ってないはずはあれへん。せやから、そこで施設内にドローンを飛ばして尻尾をつかみに行くんや。」
良太郎の言葉に夏子と陽菜は頷き、大樹を残し夜中に良太郎と合流したのだった。
「ところでワイファイの電波ジャックってそんなことできんの?」
陽菜の問いに、良太郎は「僕を誰やと思ってるねん。そんなもん、朝飯前やで。午前3時だけにな。カラカラカラ。」と笑った。
空き地に止めた車から、小型のドローンを飛ばした。車内で、開かれた2台のノートパソコンには、ドローンに付けられた赤外線カメラ画像と現在は「0」を示す電波受信のモニターが映し出されている。ドローンは、上空15メートルで教団施設中央のきらびやかな建屋に近づいた。
「ゲロゲロ、すげえなぁ。フェンスの中は赤外線探知装置が張り巡らされてるわ。こりゃ、外部から侵入するのは幽霊でもない限り無理やわな。」
とパソコンモニターの画像の中でまっすぐ伸びる光の線を良太郎が指差し、二人に説明をした。
「ふーん、外部からの侵入にそこまで敏感になってるってことは、何か隠されたもんがあるってことやな。」
と陽菜が頷いた。夏子は、「いざというときの為に、メモ書いておくから良太郎、ちょっとホバリングで止めて。」と施設のどの部分にセンサーが設置されているのかを書き記した。
「あいよ、オッケーやで。もしかして、教団施設に突入せなあかん様なことになった時に備えて記録しといたわ。じゃあ、ここから先は良太郎に任せるわな。」
夏子がメモを取り終わると、良太郎は中央の建物にドローンを近づけた。電波受信のモニターの数値がカウントアップされ、数値があがっていく。
中央施設の屋根にドローンを着陸させると、良太郎はパソコン操作に入った。
「良太郎、今、何してんの?」
陽菜が尋ねると、ワイファイ電波を拾い、アクセスパスワードをパソコンに自動入力させ、ルーターのアクセスポイントを特定し接続サーバーのアドレスを確認していると説明を受けたが、夏子と陽菜には理解できなかった。
約30分の作業で、良太郎は作業を終え、二人に言った。
「はー、完全にお隣の国ベースでやってんねんな。サーバーは、結構しっかりしたファイアーウォールやからちょっとこの場で侵入は無理やな。 満君のスパコンTSUBASAを借りて、攻略戦に入ったら半日で落とせるとは思うけどな。
さあ、もう、4時や。最後にもうひとつ「仕掛け」を残したら、ドローンを回収して日南田さんが目を覚ます前に帰ろか。」
その日の夕方に、良太郎と満がリサイクルショップニコニコにやってきた。
「あー、満君、良太郎お疲れさん。新たに仕込んだ盗聴器って言うかハッキングシステムって凄いな。早速、使わせてもろてるで。良太郎が言うように、「鍵のウルトラマン」のチラシ見て、すぐに電話がかかってきたし良太郎の掌であいつらコロコロ転がされとんな。それにしても明け方のドローンで最後に仕掛けたスマートキーの妨害電波出すやつって凄いよな。どういう仕組みなん?」
ヘッドホンをしてノートパソコンをいじっていた陽菜が良太郎に質問した。
「あー、あれは、スマートキーの電波を読み取って逆位相波長をぶつけてキー操作をできへんようにする電波発信機やな。
教祖のマイバッハはスマートキーなんはわかってたから、車の運転席の近くに石に偽装した電波発信機を落としていっただけや。教祖が、トラックやバンに乗るはずはないって思ったから「24時間受付OK!電話から10分で参上!カギのウルトラマン門真市駅前店」ってチラシをポスティングしとったんが効果出たやろ。」
と良太郎が説明すると、陽菜が感心した。
「あー、最後に石っころなんかなんでドローンで運ぶんかなって思ってたらそういう事やったんや。まあ、GPSが見つかったあとやから、車そのものには変なモンつけられへんもんな。」
朝一のワイファイ電波ジャックの後にスマートキーを不能にする機材を仕込んだ石の模型を駐車場に落とし、リサイクルショップニコニコで朝を迎えた良太郎は電話がかかってくることを確信していた。
朝、7時半に教祖は信者の運転するマイバッハで出かけるのが日課なのはわかっていた。普通の鍵屋が開く時間は10時とふまえ、帰りに「鍵のウルトラマン」のチラシをポスティングしてきたのだった。
予想通り、7時半に電話がかかってきた。ツナギを着込んだ良太郎はかつらで変装した夏子とすぐに教団本部を訪れ、マイバッハの鍵を開けた。エンジンはかからないように設定をしていた。「ちょっと中見させてもらいますね。」と運転席に潜り込むと、夏子は運転手役の信者に話しかけ注意を逸らせてる間に、エンジンをかけた。
「あー、リモコンの電池が弱ってますわ。交換したから、これでもう大丈夫やと思います。ところで、車のシートにこんなもんありましたけど…。」
とマッチ箱ほどの黒い箱とキャラメルほどの大きさの箱を信者に渡した。
見覚えのない箱をいぶしがって見つめる信者に、その黒い物体が盗聴器と盗撮カメラである旨を説明した。驚く信者に、良太郎はさらに追い打ちをかけた。
「うちは、「盗聴盗撮バスターズ」って盗聴器や盗撮カメラの発見サービスもやってるんでなんやったらチェックさせてもらいますよ。この盗聴器とカメラはプロ用の機材ですね。他にも仕掛けられてる可能性ありますから、10分程でチェックできますけど…。」
信者は携帯で教祖に連絡を入れたようで、教祖が慌てた様子で駐車場に出てきた。
「盗聴器とカメラが仕掛けられてたんやて?どういうことやねん?この間のGPSだけやあれへんかったんかいな。」
と教祖は信者をきつく叱った。
「まあまあ、私らが口挟むことやあれへんのですけど、これらの機材は「プロ仕様」のもんですわ。うまいこと仕掛けられてたから、普通の人じゃ気がつけへんのは当たり前ですから、その人に言うてもしゃあないですよ。それよりも、仕掛けられたんがこの車だけなんかどうかを心配しはった方がええんとちゃいますか?車だけで済めへんのが普通ですからね。」
良太郎が口を挟むと、
「それもせやな。もう、今日の朝の予定はキャンセルや。お兄ちゃんら、その道のプロやったら、他の車と建物の中もチェックしてくれるか?ただし、セット料金でサービスしたってや。」
と教祖は良太郎に言い放った。(すげぇ…、良太郎ってこんな「タヌキ」やったんや。自分で持ち込んだもんをあたかも他の誰かが仕込んだって教祖を信じ込ませよった。)夏子は、盗撮カメラを見つける特殊なレンズを工具箱から取り出すと教祖に手渡した。
良太郎が、レンズの前にカメラのレンズ面を向け、「はい、赤い光が見えますよね。盗聴器はアンテナを使って探すしかないんですけど、カメラはこのレンズを通して見てもらうとカメラのレンズに反応してこのように光りますから。」と使い方を説明すると、教祖自らマイバッハの後部座席に潜り込みレンズを前に向けた。助手席のヘッドレストの付け根に「光点」を教祖が発見した。もちろん、数分前に良太郎が仕掛けたカメラであるが、そうとは知らない教祖は
「よし、まずはこの車とバンを徹底して洗い出してんか。それが終わったら、中に入ってきてくれ。事務室、応接、あと理事室も頼むわ。なんかあったら、こいつに説明しといてくれな。」
と運転手役の信者をその場に残し、踵を返し建物に戻っていった。
30分程の作業でマイバッハからはカメラ3台、盗聴器2台が見つかり、バンからも2台ずつのカメラと盗聴器が見つかったことが信者を通じ教祖へ報告された。
携帯で電話をしている信者の後ろで「良太郎、バンの方はうまくいったんか?」と夏子が尋ねると、良太郎は「モチのロンやがな。」とサムアップして見せた。
「すみません。今から、建物内も調べてもらうようにしてほしいとの話ですので、ご案内させていただきます。」
と信者に案内されて夏子と良太郎は教団本部の中に入っていった。表のきらびやかさに反して、内装は木目調でシックにまとめられているというより、壁紙を省いた板張りの安普請にも思えた。
事務室ではまずはアンテナを使い、電話の受話器の中から盗聴器を発見した芝居をした。監視カメラのモニターを映し出す位置にある照明器具の影からカメラも発見された。応接室も同様に、ソファーの隙間やテーブルタップ、電源のスイッチに盗聴器とカメラが仕込まれている芝居を続けた。教祖はあからさまに不安な表情を浮かべ、3階にある理事室に夏子と良太郎を迎え入れた。
ここでも教祖に話しかける夏子と、仕込みを続ける良太郎の連係プレイで複数個のカメラと盗聴器を発見した体で教祖の前に並べた。
「えらいやられ方ですね。何やったら、パソコンもチェックしましょか?ここまで仕込まれてるんやったらチェックしとかはった方がええと思いますよ。」
と良太郎が誘い水を投げかけると「せやな…。頼むわ…。」とだけ言うと教祖は理事室の大きなチェアーに「どっ」と腰を落とすと、大きなため息をついて「畜生…、いったい誰が…。まさかあいつが…。」と呟いた。
良太郎が理事室のパソコンのチェックを始めて約10分。夏子は理事室の中を見回した。なぜか壁にはフルフェイスの水中眼鏡とダイバースーツがかかっていた。後は大きな花壺とダイソンのサイクロン掃除機が目立つ以外は思いのほか什器類は少なく質素なイメージの部屋だった。良太郎は数分作業するとうつむいたままの教祖に声をかけた。
「あー、今晩、不正アクセスの履歴が残ってますねぇ…。ほれ、ココ見てください。今日の午前3時半、ワイファイから外部アクセスの履歴が残ってますでしょ。ちょっとお金はかかりますけど、外部アクセスできへん機材に代えますか?このままやと、データ漏れまくりになってしまいますよ。」
(良太郎もよう言うわ。それって犯人は私らやろ。でも、これで良太郎の機材を持ち込めたら後はこっちの思うがままや。もう一押しガンバレ!)夏子は笑いをこらえるのに必死だった。
「それって、なんぼや?すぐにできるんか?月末締めの翌月末の払いで良かったらやっていってくれ…。」
と言われ、ゲームの準備は出来上がった。夏子の頭の中でファンファーレが鳴り響いた。
「はい、初めてのお電話でいろいろさせてもらいましたから、しっかりと勉強させてもらいますわ!機材は値引きできませんけど、作業の工賃は思いっきりサービスさせてもらいますわな。」
作業が全て終わると、門を出てすぐに良太郎が夏子に呟いた。
「なっちゃん、理事室の壁は全部鉄板張りやったぞ。入り口のドアは垂直式のシャッターが仕込まれとった。厚さ3センチ、重さにして2トン。あれを下ろされたら機動隊では突入できへんでなぁ…。ありゃ、銃撃戦を想定してるっていう智の話もあながち嘘やあれへん。
確認までは行けへんかったけど、教祖が座っとったデスクの下は脱出口みたいや。カーペットに四角く切れ目が入ってたわ。なかなかの準備や。クワバラクワバラ…。」
「へー、作業しながら何気に観察してんねんな。さすが良太郎や!頼りにしてるで!」
「へー、そんなことがあったんですか?まあ、おかげさまで教団のパソコンの中身は全部TSUBASAとリンクできました。帳面から信者名簿まで何でもござれですよ。さすがは良太郎さんと夏子さん。やることに「そつ」がないですよねー。」
今日の午前中の出来事を聞き、満は事の経緯を知った。
それから30分程、打ち合わせをして満は「じゃあ、お先に失礼しますね。この事は弘道さんには内緒なんですよね。じゃあ、夏子さん、おやすみなさい。」と言い店を出るのと入れ替わりで、大学から帰ってきた大樹が顔を出した。
事前に大樹に伝えるべき内容は良太郎から指定されており、3日後の夕方に花音は再度大阪市内のシティーホテルに出向くことが分かったとだけ伝えられた。
「教団のバンに仕掛けをしてきたんで、その外出中に花音ちゃんを奪還するで。単純に作戦を話しておくと、教団施設を出たバンを私と大樹チームのワゴンRと良太郎陽菜ちゃんチームの四駆で挟み込んで、国道163号線に出るまでの人気のない道で止めて、バンの中の「仕掛け」で運転手と花音ちゃんを眠らせて、花音ちゃんを奪取したら、そこから「トンズラ」ちゅう作戦や。
大樹は私とチームやから息が合うように「親睦」を深めていかんとあかんで。カラカラカラ。」
と茶化して言う夏子に
「なっちゃん、ありがとう。本来ならなっちゃん達を危険に巻き込むべき話やないのは十分にわかってる。でも、今は、なっちゃん達を頼るしかあれへん。もし、無事に花音を助け出すことができたら、何でも言って欲しい。誠心誠意、なっちゃん達にお返しをしたいと思ってるから…。まさに、なっちゃんは僕の前に天から遣わされた「天使」や。」
と夏子の両手を握り、夏子の顔から10センチの距離で熱く語る長いまつ毛の大樹の顔を前に夏子は真っ赤になって蚊の鳴くような声で囁くのが精一杯だった。
「じゃあ、花音ちゃんをうまく救い出せたら、デートしてくれる…?できたら、私と…」
大樹は夏子をぎゅっと抱きしめ「花音を無事に助け出せたら、なっちゃんの希望はなんでも叶えるよ。だから、最後までお願いします。」と耳元で大樹が囁くと、夏子は陸に上がったタコのようにぐにゃりとなった。
(おっ、大樹さんもなっちゃんのことまんざらでもないんかな?もしかして、満君より先に大樹さんがなっちゃんとくっつくんかな?)陽菜は夏子に優しい視線を送った。
三日後の夕方、教団のパソコンをハッキングした良太郎から「予定通り、午後4時にそちらに向かいます。」とラインが来ていた。
「おっしゃ、大樹、いよいよ花音ちゃん奪還や。段取りはしっかりと頭に入ってるか?一発勝負やから気合入れていくで!」
と夏子が大樹に気合を入れた。
良太郎が合流した。
「さっき、私服の教祖に市駅前で偶然顔合わせたんや。「先日はどうも」って挨拶したんやけど、「あんた誰?」ってなもんで何の反応もあれへんかったわ。」
と言う、良太郎の言葉に深く考える暇もないまま、午後4時半に「魂の解放」教団本部手前の空き地に夏子と良太郎は車を動かした。
バンに新たに仕込んだカメラと盗聴器で花音と運転手役の女性信者が乗り込んだのを確認した。正門が開き、バンが出てきた。
夏子が先行し、やや強引に追い越して教団のバンの前に回り込み、前後に他の車がいないことを確認し、ゆっくりとブレーキをかけバンを停車させた。クラクションを鳴らす教団のバンの後ろに良太郎の四駆が位置づけると、助手席の陽菜がスイッチを入れた。
「バンッ!」っという破裂音と共に、バンの中に閃光が溢れた。良太郎特製のスタングレネード「音響閃光弾」が160デシベル以上の爆音と100万カンデラを超える閃光は車内にいた二人の意識を一時的に刈り取るには十分だった。
夏子は良太郎作成の150万ボルトのスタンバーを手に取り、運転席でハンドルにしなだれかかる女性信者の首元に押し付けると念のための放電トリガーを引いた。
大樹は、サイドスライドドアを引き開けると中で気を失っている花音を肩に担ぎ夏子のワゴンRの後部座席に乗り込んだ。陽菜は、教団のバンのハザードランプをつけると、運転席のドアを閉め、後部に三角の停止版を設置してワゴンRの助手席に乗り込むと夏子はアクセルを踏み込んだ。今回の作戦は弘道、智、満には伝えてなかったので、とりなすために良太郎は別行動を取り、予定されていたやろうぜ会の会合の場であるお好み焼きがんちゃんに向かった。
「思った以上にすんなりといったな!大樹、花音ちゃんの様子はどうや?1分もしたら「スタングレネード」のショックから意識を取り戻すと思うから、パニック起こさんようにしっかりと介抱したりや。」
という夏子の言葉に反し、花音の意識はいつまでも戻らないまま大樹の腕の中で寝息を立てつづけていた。
翌日の午前3時、夏子と陽菜は良太郎の四駆で三人一緒に「魂の解放」教団の2ブロック離れた空き地にいた。前日の昼にバンとトラックとマイクロバスの屋根に付けていたGPSが教団側により発見されたのだった。
バンの中に設置した携帯電話を用いた盗聴器により漏れ伝わってきた情報では、教団側は、夏子や大樹たちの仕業ではなく、マスコミか公安の仕業と思っているようだった。花音奪還作戦として、次回のシティーホテルの外出時を狙っての奪還作戦が良太郎から発案されていたのだが、その移動先を知るための肝であるGPSが取り外されてしまった事で作戦変更を余儀なくされた。
大樹には今晩の出動の話は伝えず、三人だけで来たのには理由があった。
「陽菜ちゃん、なっちゃん今回のミッションは「違法性」がある。せやから、大樹さんには内緒でしようと思うんや。一つは、教団施設内のワイファイで電波ジャック…。そしてハッキングや。教団のホームページから入り込むことも考えたんやけど、ページは全く関係のないサーバー管理会社に委託してるみたいやねん。信者募集も全てアナログでやってて、メールアドレスすら公表してへん。電話番号が出てるくらいやねんな。
外部からのハッキングに対して神経をとがらせてるみたいや。ただ、今のご時世で全くパソコンを使ってないはずはあれへん。せやから、そこで施設内にドローンを飛ばして尻尾をつかみに行くんや。」
良太郎の言葉に夏子と陽菜は頷き、大樹を残し夜中に良太郎と合流したのだった。
「ところでワイファイの電波ジャックってそんなことできんの?」
陽菜の問いに、良太郎は「僕を誰やと思ってるねん。そんなもん、朝飯前やで。午前3時だけにな。カラカラカラ。」と笑った。
空き地に止めた車から、小型のドローンを飛ばした。車内で、開かれた2台のノートパソコンには、ドローンに付けられた赤外線カメラ画像と現在は「0」を示す電波受信のモニターが映し出されている。ドローンは、上空15メートルで教団施設中央のきらびやかな建屋に近づいた。
「ゲロゲロ、すげえなぁ。フェンスの中は赤外線探知装置が張り巡らされてるわ。こりゃ、外部から侵入するのは幽霊でもない限り無理やわな。」
とパソコンモニターの画像の中でまっすぐ伸びる光の線を良太郎が指差し、二人に説明をした。
「ふーん、外部からの侵入にそこまで敏感になってるってことは、何か隠されたもんがあるってことやな。」
と陽菜が頷いた。夏子は、「いざというときの為に、メモ書いておくから良太郎、ちょっとホバリングで止めて。」と施設のどの部分にセンサーが設置されているのかを書き記した。
「あいよ、オッケーやで。もしかして、教団施設に突入せなあかん様なことになった時に備えて記録しといたわ。じゃあ、ここから先は良太郎に任せるわな。」
夏子がメモを取り終わると、良太郎は中央の建物にドローンを近づけた。電波受信のモニターの数値がカウントアップされ、数値があがっていく。
中央施設の屋根にドローンを着陸させると、良太郎はパソコン操作に入った。
「良太郎、今、何してんの?」
陽菜が尋ねると、ワイファイ電波を拾い、アクセスパスワードをパソコンに自動入力させ、ルーターのアクセスポイントを特定し接続サーバーのアドレスを確認していると説明を受けたが、夏子と陽菜には理解できなかった。
約30分の作業で、良太郎は作業を終え、二人に言った。
「はー、完全にお隣の国ベースでやってんねんな。サーバーは、結構しっかりしたファイアーウォールやからちょっとこの場で侵入は無理やな。 満君のスパコンTSUBASAを借りて、攻略戦に入ったら半日で落とせるとは思うけどな。
さあ、もう、4時や。最後にもうひとつ「仕掛け」を残したら、ドローンを回収して日南田さんが目を覚ます前に帰ろか。」
その日の夕方に、良太郎と満がリサイクルショップニコニコにやってきた。
「あー、満君、良太郎お疲れさん。新たに仕込んだ盗聴器って言うかハッキングシステムって凄いな。早速、使わせてもろてるで。良太郎が言うように、「鍵のウルトラマン」のチラシ見て、すぐに電話がかかってきたし良太郎の掌であいつらコロコロ転がされとんな。それにしても明け方のドローンで最後に仕掛けたスマートキーの妨害電波出すやつって凄いよな。どういう仕組みなん?」
ヘッドホンをしてノートパソコンをいじっていた陽菜が良太郎に質問した。
「あー、あれは、スマートキーの電波を読み取って逆位相波長をぶつけてキー操作をできへんようにする電波発信機やな。
教祖のマイバッハはスマートキーなんはわかってたから、車の運転席の近くに石に偽装した電波発信機を落としていっただけや。教祖が、トラックやバンに乗るはずはないって思ったから「24時間受付OK!電話から10分で参上!カギのウルトラマン門真市駅前店」ってチラシをポスティングしとったんが効果出たやろ。」
と良太郎が説明すると、陽菜が感心した。
「あー、最後に石っころなんかなんでドローンで運ぶんかなって思ってたらそういう事やったんや。まあ、GPSが見つかったあとやから、車そのものには変なモンつけられへんもんな。」
朝一のワイファイ電波ジャックの後にスマートキーを不能にする機材を仕込んだ石の模型を駐車場に落とし、リサイクルショップニコニコで朝を迎えた良太郎は電話がかかってくることを確信していた。
朝、7時半に教祖は信者の運転するマイバッハで出かけるのが日課なのはわかっていた。普通の鍵屋が開く時間は10時とふまえ、帰りに「鍵のウルトラマン」のチラシをポスティングしてきたのだった。
予想通り、7時半に電話がかかってきた。ツナギを着込んだ良太郎はかつらで変装した夏子とすぐに教団本部を訪れ、マイバッハの鍵を開けた。エンジンはかからないように設定をしていた。「ちょっと中見させてもらいますね。」と運転席に潜り込むと、夏子は運転手役の信者に話しかけ注意を逸らせてる間に、エンジンをかけた。
「あー、リモコンの電池が弱ってますわ。交換したから、これでもう大丈夫やと思います。ところで、車のシートにこんなもんありましたけど…。」
とマッチ箱ほどの黒い箱とキャラメルほどの大きさの箱を信者に渡した。
見覚えのない箱をいぶしがって見つめる信者に、その黒い物体が盗聴器と盗撮カメラである旨を説明した。驚く信者に、良太郎はさらに追い打ちをかけた。
「うちは、「盗聴盗撮バスターズ」って盗聴器や盗撮カメラの発見サービスもやってるんでなんやったらチェックさせてもらいますよ。この盗聴器とカメラはプロ用の機材ですね。他にも仕掛けられてる可能性ありますから、10分程でチェックできますけど…。」
信者は携帯で教祖に連絡を入れたようで、教祖が慌てた様子で駐車場に出てきた。
「盗聴器とカメラが仕掛けられてたんやて?どういうことやねん?この間のGPSだけやあれへんかったんかいな。」
と教祖は信者をきつく叱った。
「まあまあ、私らが口挟むことやあれへんのですけど、これらの機材は「プロ仕様」のもんですわ。うまいこと仕掛けられてたから、普通の人じゃ気がつけへんのは当たり前ですから、その人に言うてもしゃあないですよ。それよりも、仕掛けられたんがこの車だけなんかどうかを心配しはった方がええんとちゃいますか?車だけで済めへんのが普通ですからね。」
良太郎が口を挟むと、
「それもせやな。もう、今日の朝の予定はキャンセルや。お兄ちゃんら、その道のプロやったら、他の車と建物の中もチェックしてくれるか?ただし、セット料金でサービスしたってや。」
と教祖は良太郎に言い放った。(すげぇ…、良太郎ってこんな「タヌキ」やったんや。自分で持ち込んだもんをあたかも他の誰かが仕込んだって教祖を信じ込ませよった。)夏子は、盗撮カメラを見つける特殊なレンズを工具箱から取り出すと教祖に手渡した。
良太郎が、レンズの前にカメラのレンズ面を向け、「はい、赤い光が見えますよね。盗聴器はアンテナを使って探すしかないんですけど、カメラはこのレンズを通して見てもらうとカメラのレンズに反応してこのように光りますから。」と使い方を説明すると、教祖自らマイバッハの後部座席に潜り込みレンズを前に向けた。助手席のヘッドレストの付け根に「光点」を教祖が発見した。もちろん、数分前に良太郎が仕掛けたカメラであるが、そうとは知らない教祖は
「よし、まずはこの車とバンを徹底して洗い出してんか。それが終わったら、中に入ってきてくれ。事務室、応接、あと理事室も頼むわ。なんかあったら、こいつに説明しといてくれな。」
と運転手役の信者をその場に残し、踵を返し建物に戻っていった。
30分程の作業でマイバッハからはカメラ3台、盗聴器2台が見つかり、バンからも2台ずつのカメラと盗聴器が見つかったことが信者を通じ教祖へ報告された。
携帯で電話をしている信者の後ろで「良太郎、バンの方はうまくいったんか?」と夏子が尋ねると、良太郎は「モチのロンやがな。」とサムアップして見せた。
「すみません。今から、建物内も調べてもらうようにしてほしいとの話ですので、ご案内させていただきます。」
と信者に案内されて夏子と良太郎は教団本部の中に入っていった。表のきらびやかさに反して、内装は木目調でシックにまとめられているというより、壁紙を省いた板張りの安普請にも思えた。
事務室ではまずはアンテナを使い、電話の受話器の中から盗聴器を発見した芝居をした。監視カメラのモニターを映し出す位置にある照明器具の影からカメラも発見された。応接室も同様に、ソファーの隙間やテーブルタップ、電源のスイッチに盗聴器とカメラが仕込まれている芝居を続けた。教祖はあからさまに不安な表情を浮かべ、3階にある理事室に夏子と良太郎を迎え入れた。
ここでも教祖に話しかける夏子と、仕込みを続ける良太郎の連係プレイで複数個のカメラと盗聴器を発見した体で教祖の前に並べた。
「えらいやられ方ですね。何やったら、パソコンもチェックしましょか?ここまで仕込まれてるんやったらチェックしとかはった方がええと思いますよ。」
と良太郎が誘い水を投げかけると「せやな…。頼むわ…。」とだけ言うと教祖は理事室の大きなチェアーに「どっ」と腰を落とすと、大きなため息をついて「畜生…、いったい誰が…。まさかあいつが…。」と呟いた。
良太郎が理事室のパソコンのチェックを始めて約10分。夏子は理事室の中を見回した。なぜか壁にはフルフェイスの水中眼鏡とダイバースーツがかかっていた。後は大きな花壺とダイソンのサイクロン掃除機が目立つ以外は思いのほか什器類は少なく質素なイメージの部屋だった。良太郎は数分作業するとうつむいたままの教祖に声をかけた。
「あー、今晩、不正アクセスの履歴が残ってますねぇ…。ほれ、ココ見てください。今日の午前3時半、ワイファイから外部アクセスの履歴が残ってますでしょ。ちょっとお金はかかりますけど、外部アクセスできへん機材に代えますか?このままやと、データ漏れまくりになってしまいますよ。」
(良太郎もよう言うわ。それって犯人は私らやろ。でも、これで良太郎の機材を持ち込めたら後はこっちの思うがままや。もう一押しガンバレ!)夏子は笑いをこらえるのに必死だった。
「それって、なんぼや?すぐにできるんか?月末締めの翌月末の払いで良かったらやっていってくれ…。」
と言われ、ゲームの準備は出来上がった。夏子の頭の中でファンファーレが鳴り響いた。
「はい、初めてのお電話でいろいろさせてもらいましたから、しっかりと勉強させてもらいますわ!機材は値引きできませんけど、作業の工賃は思いっきりサービスさせてもらいますわな。」
作業が全て終わると、門を出てすぐに良太郎が夏子に呟いた。
「なっちゃん、理事室の壁は全部鉄板張りやったぞ。入り口のドアは垂直式のシャッターが仕込まれとった。厚さ3センチ、重さにして2トン。あれを下ろされたら機動隊では突入できへんでなぁ…。ありゃ、銃撃戦を想定してるっていう智の話もあながち嘘やあれへん。
確認までは行けへんかったけど、教祖が座っとったデスクの下は脱出口みたいや。カーペットに四角く切れ目が入ってたわ。なかなかの準備や。クワバラクワバラ…。」
「へー、作業しながら何気に観察してんねんな。さすが良太郎や!頼りにしてるで!」
「へー、そんなことがあったんですか?まあ、おかげさまで教団のパソコンの中身は全部TSUBASAとリンクできました。帳面から信者名簿まで何でもござれですよ。さすがは良太郎さんと夏子さん。やることに「そつ」がないですよねー。」
今日の午前中の出来事を聞き、満は事の経緯を知った。
それから30分程、打ち合わせをして満は「じゃあ、お先に失礼しますね。この事は弘道さんには内緒なんですよね。じゃあ、夏子さん、おやすみなさい。」と言い店を出るのと入れ替わりで、大学から帰ってきた大樹が顔を出した。
事前に大樹に伝えるべき内容は良太郎から指定されており、3日後の夕方に花音は再度大阪市内のシティーホテルに出向くことが分かったとだけ伝えられた。
「教団のバンに仕掛けをしてきたんで、その外出中に花音ちゃんを奪還するで。単純に作戦を話しておくと、教団施設を出たバンを私と大樹チームのワゴンRと良太郎陽菜ちゃんチームの四駆で挟み込んで、国道163号線に出るまでの人気のない道で止めて、バンの中の「仕掛け」で運転手と花音ちゃんを眠らせて、花音ちゃんを奪取したら、そこから「トンズラ」ちゅう作戦や。
大樹は私とチームやから息が合うように「親睦」を深めていかんとあかんで。カラカラカラ。」
と茶化して言う夏子に
「なっちゃん、ありがとう。本来ならなっちゃん達を危険に巻き込むべき話やないのは十分にわかってる。でも、今は、なっちゃん達を頼るしかあれへん。もし、無事に花音を助け出すことができたら、何でも言って欲しい。誠心誠意、なっちゃん達にお返しをしたいと思ってるから…。まさに、なっちゃんは僕の前に天から遣わされた「天使」や。」
と夏子の両手を握り、夏子の顔から10センチの距離で熱く語る長いまつ毛の大樹の顔を前に夏子は真っ赤になって蚊の鳴くような声で囁くのが精一杯だった。
「じゃあ、花音ちゃんをうまく救い出せたら、デートしてくれる…?できたら、私と…」
大樹は夏子をぎゅっと抱きしめ「花音を無事に助け出せたら、なっちゃんの希望はなんでも叶えるよ。だから、最後までお願いします。」と耳元で大樹が囁くと、夏子は陸に上がったタコのようにぐにゃりとなった。
(おっ、大樹さんもなっちゃんのことまんざらでもないんかな?もしかして、満君より先に大樹さんがなっちゃんとくっつくんかな?)陽菜は夏子に優しい視線を送った。
三日後の夕方、教団のパソコンをハッキングした良太郎から「予定通り、午後4時にそちらに向かいます。」とラインが来ていた。
「おっしゃ、大樹、いよいよ花音ちゃん奪還や。段取りはしっかりと頭に入ってるか?一発勝負やから気合入れていくで!」
と夏子が大樹に気合を入れた。
良太郎が合流した。
「さっき、私服の教祖に市駅前で偶然顔合わせたんや。「先日はどうも」って挨拶したんやけど、「あんた誰?」ってなもんで何の反応もあれへんかったわ。」
と言う、良太郎の言葉に深く考える暇もないまま、午後4時半に「魂の解放」教団本部手前の空き地に夏子と良太郎は車を動かした。
バンに新たに仕込んだカメラと盗聴器で花音と運転手役の女性信者が乗り込んだのを確認した。正門が開き、バンが出てきた。
夏子が先行し、やや強引に追い越して教団のバンの前に回り込み、前後に他の車がいないことを確認し、ゆっくりとブレーキをかけバンを停車させた。クラクションを鳴らす教団のバンの後ろに良太郎の四駆が位置づけると、助手席の陽菜がスイッチを入れた。
「バンッ!」っという破裂音と共に、バンの中に閃光が溢れた。良太郎特製のスタングレネード「音響閃光弾」が160デシベル以上の爆音と100万カンデラを超える閃光は車内にいた二人の意識を一時的に刈り取るには十分だった。
夏子は良太郎作成の150万ボルトのスタンバーを手に取り、運転席でハンドルにしなだれかかる女性信者の首元に押し付けると念のための放電トリガーを引いた。
大樹は、サイドスライドドアを引き開けると中で気を失っている花音を肩に担ぎ夏子のワゴンRの後部座席に乗り込んだ。陽菜は、教団のバンのハザードランプをつけると、運転席のドアを閉め、後部に三角の停止版を設置してワゴンRの助手席に乗り込むと夏子はアクセルを踏み込んだ。今回の作戦は弘道、智、満には伝えてなかったので、とりなすために良太郎は別行動を取り、予定されていたやろうぜ会の会合の場であるお好み焼きがんちゃんに向かった。
「思った以上にすんなりといったな!大樹、花音ちゃんの様子はどうや?1分もしたら「スタングレネード」のショックから意識を取り戻すと思うから、パニック起こさんようにしっかりと介抱したりや。」
という夏子の言葉に反し、花音の意識はいつまでも戻らないまま大樹の腕の中で寝息を立てつづけていた。
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