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「司祭 出雲万呂」
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「司祭 出雲万呂」
夏子と大樹が門真に戻ると陽菜と良太郎と智は既に教団近くの空き地に待機してるとのことだった。夏子は大急ぎでワンピースからデニムとトレーナーに着替え現地に向かった。智から、司祭が単独で教団本部から移動する情報をつかんだので拉致する機会が着た旨が伝えられた。拉致する方法は花音を奪取した時と同じ場所でスタンガンを使って気を失わせ良太郎の車に連れ込み、陽菜は司祭の車を近所のホームセンターの地下駐車場に移動させ発見を遅らせるという作戦だった。
午後5時、司祭のSクラスのベンツが教団信者に見送られ施設を出たのを確認すると、2台の車が追跡に入った。教団施設を抜け、一方通行の道に入ると交差点店に夏子はワゴンRを止め、大樹は後ろに積んでいた「工事中 通行止め 迂回お願いします」と書かれた工事用の立て看板を設置した。
前後に他の車がいないことを確認して良太郎の四駆の助手席で陽菜が電波発信機をベンツのトランクに向けてスイッチを入れた。
数秒でベンツのワイヤレスキーと周波数が一致し、ゆっくりとベンツのリアトランクが開いた。トランクが開いたことに気づいた司祭はベンツを左に寄せハザードランプを点滅させると停車させた。イケメン中年の司祭は運転席から降りてトランクの中身を念入りに確認していると良太郎はベンツの後ろに四駆を止めると、白い封筒を持って
「これ、さっきトランクから落ちましたよ。」
と腰の高さで封筒を差し出すと、覚えがなさそうな顔をして司祭は前かがみになり良太郎の持つ封筒に顔を近づけた。その瞬間、司祭の首筋に150万ボルトのスタンガンが押し当てられスパークした。気を失ってその場に崩れ落ちた司祭のポケットから、スマートキーとスマホを抜き出すとキーは陽菜に渡し、スマホは「機内モード」にして電波の発信をストップさせた。智は、司祭が覗き込んでいたトランクの中の中年男性には似つかわしくない、チョコレート菓子の段ボール箱に気が付きガムテープをはがした。
「おっ、これはスクープの匂いがプンプンや!」
と二箱を四駆に移すとベンツの運転席に着いた陽菜に
「じゃあ、ベンツ置いたら西沢米穀特設リング会場で合流な!」
と言い、司祭を良太郎と抱えて四駆の後部座席に放り込むと、手錠、足錠をかけると黒い布袋を被せた。
陽菜と次の交差点で別れると智が「なっちゃん、こっちはオッケーや。看板撤去してリング会場で合流な!」と電話が入り、夏子と大樹は手際よく看板を収納すると良太郎の後を追った。
午後5時10分、ニコニコ商店街ほぼ中央にあるニコニコプロレスの本拠地になる西沢米穀店の倉のリング上には密閉式ヘッドホンとVRゴーグルをつけられ、手足を拘束された司祭が項垂れて座っていた。
土曜日はニコニコプロレスの練習は休みなので他のレスラー仲間が来ることはない。10分遅れて陽菜が走って帰ってきた。
「あー、ごめんごめん、遅くなってしもて。もう始めてるん?」
陽菜が息を切らせながら皆に声をかけると、彩雲が前に出て陽菜にこの10分の事を説明した。
「まだ、睡眠導入までや。良太郎がシーター波をヘッドフォンに流して、VRはまだ回してへん。それよりも、智がこいつのベンツのトランクからパクってきた段ボール箱の中身が驚きや。チョコの箱の中身は満タンの「大麻」やで!
そんでもって、こいつのスマホの中身を良太郎が浚って電話帳見たら、反社や半愚連がごっそり出てきまくりや。大麻っちゅうのは、カンノビノイドちゅう脳の扁桃体内の受容体の動きを促進させてPTSD等のトラウマ症状を軽減させる効果もあるんやな。
おそらく、DVや虐待にあった女性信者に大麻成分を吸わせて話をすることで、教祖やこいつら幹部が信者の心の重しを下ろしたように感じさせて洗脳しとったんやろなって話をしてたところや。ところで陽菜、あんた手に持ってんの何や?男もんのセカンドバッグとちゃうんか?」
陽菜はバッグを彩雲に渡した。彩雲がテーブルの上にバッグの中身を出すと数種類の錠剤といわゆる「パケ」と小容量の注射器が数本とネームタグが出てきた。
「あちゃー、弘道がおったら速攻逮捕案件やな。「パケ」と注射器はおそらく覚せい剤用で間違いないし、錠剤は「向精神薬」から「ダウン系の精神安定剤」にこの間お目にかかったマイスリーだけやなくハルシオンからユーロジンまであるやないかい。
そんでこのネームタグみたらこいつ製薬会社のMRやないかい!まあ、名前を見た感じやけど在日か向こうの国の人やろな…。こりゃ、闇は深いなぁ…。」
彩雲が天を仰ぐと夏子が尋ねた。
「MRってなんや?それにハルシオンっていうたら、バブルの頃に男がお持ち帰りしたい女の子にハルシオンっていう薬入れた甘めのウォッカやジンベースのカクテル飲ませて眠らせるのに使ってたって直さんが言うてたやつか?」
「せやな。バブルの頃っていうのは私はわからんけど、ハルシオンやマイスリーみたいに導入スピードが速い奴をウォッカやジンに混ぜられたら速攻コロリや。まあ、私らの時は「笑気ガス」っていう麻酔で導入されとったから、記憶を消すために使いよったんやろうけどな…。睡眠導入剤だけでもいろんな種類があるのは眠らせる時間と眠らせるまでの時間によって薬の種類を選んどったんやろな。
あと「MR」っていうのは「Medical Representatives」の略で日本語に直すと「医薬情報担当者」ってなるんやけど、まあ製薬会社の営業の総称でもあるわな。」
彩雲が説明をすると大樹が真っ赤な顔をして憤慨して言った。
「じゃあ、花音はこいつに薬飲まされて記憶もない状態で犯されてたってことなんか!絶対に許せん!」
と司祭につかみかかろうとするのを智と満が止めた。
良太郎が大樹の前に割って入り「落ち着いて下さい。」と諫めた。身体的な衝撃を加えると催眠状態が解けてしまうことがあるので今は我慢して、これからの催眠尋問で事実を追求する流れを改めて説明した。夏子が大樹の横に着きパイプ椅子に座らせた。
「じゃあ、今から尋問に入るから智はカメラ回せよ。満君は睡眠導入の脳波のモニターを頼むで。陽菜ちゃんは万一、術が解けた時に備えてスタンガンを持っててや。なっちゃんと彩雲は大樹さんに着いといてあげたって。」
良太郎はヘッドセットに着いたマイクに向かっていつになく低い声で話しかけ始めた。
催眠深度を探るための導入質問が終わると言われるがままに司教は頭を前後左右にスイングさせ催眠術が十分にかかっていることを示した。司教のVRゴーグルに映っている画像が満の横のノートパソコンにも映し出されている。真っ暗な画面が続く中、暗闇の奥から本家教団の亡くなった先代総裁の映像が浮かんでくる。「あぁ、真なる私の教祖様…、こうしてまたお会いすることができるとは…。」と司祭は拘束された状態のまま、ゆっくりと体を前に倒し、額をリングのキャンバスにこすりつけ、むせび泣いている。良太郎はゆっくりと司祭の体を起こしてやった。そこから良太郎の質問に司教が一つ一つ丁寧に答え始めた。
司祭の本名は金田正。教団でのホーリーネームは「出雲万呂と名乗った。智が「出雲万呂って名は、本国の教団幹部の中に見たことがあるで。」と呟くと満が、もう一台のパソコンで新たなウインドウを開き検索し、日本語翻訳表示に変換すると日本支部の代表として確かにその名前が出てきた。
「へー、本国ではこっちでの教祖の天宮城伊織はお飾りで実質はこの金田正がトップ扱いなんやな…。」と夏子が相づちを打った。
良太郎の質問は次々と進んでいた。夏子たちが考えていた「最悪」のシナリオが現実のものとして計画されていることが分かった。本国の創設教祖である総裁が死亡し、その妻に代替わりすると同時に本国に根強く残る男尊女卑の慣習からそれまで味方だった大物男性政治家や検察局、税務庁等の上部の人物は女性である新総裁を軽く見だした。
組織維持に必要なラインを保つために多額の賄賂が必要となり、その資金源として宗教法人に対する警察力の弱い日本で大麻栽培を始め、北の隣国から仕入れた覚せい剤を反社に販売するようになったことが語られた。
軍用ライフルについては、かつてのアメリカでの宗教団体と警察・検察との抗争を参考にただ解散させられるよりは「闘っての殉教」を日本支部が見せることで本国団体を鼓舞するためだと語られた。
「うーん、人に国に来て何勝手なこと言っとんねん。ほんま迷惑なやっちゃなぁ!」
陽菜がうなった。
約60分の質疑応答が終わり、智から「俺の方は十分や。後は、厳しい話居なるかわからへんけど日南田さんの妹さんの事を聞いたって。」との言葉が出たので、良太郎は「日南田さん、どんな言葉が出ても落ち着いて聞いて下さいね。」と念押しをして質問に入った。
司祭と花音の関係に関する質問に対する回答はその場にいる7人の予想外のものだった。
良太郎の質問に対し、司祭は花音に薬物を使用していたことはあっさりと最初に認めた。「シティーホテルでの奉仕」とは何か、「撮影」とは何かとの質問に対し、司祭と花音による「SMプレイ」であり、その状況を撮影したビデオを「マニア向けサイト」に提供することで教団収入としている旨が司祭の口から語られた。
思わず怒りの電流が流れた夏子が飛び出しそうになるのを逆に大樹が止めに入ることになった。「夏子、落ち着いて!まだ尋問の途中や。ここであんたが暴れたら無茶苦茶になってしまうで!」と彩雲も夏子を諫めた。
良太郎が落ち着いた声で「それはどういったプレイなんだ」と問うと、満の横のパソコンで本国の初代総裁が司祭に語り掛ける3DのAI画像が流れている画面と良太郎の前で正座で語る司祭の姿が全員の視線を集めた。
「はい、信者日南田花音を女王様とし、私、出雲万呂が下僕として、鞭をふるってもらい、蝋燭を垂らし、罵倒してもらうプレイです。信者日南田花音は、内気な性格によりなかなか私の望む女王様にならなかったのでアッパー系覚せい剤を投与し、私の身分は隠し教団のゴミと信じ込ませ、天宮城伊織の命で、私を辱めさせました。
初回は途中で催眠が切れ、鞭をふるい罵倒した相手が私であるとバレてしまい、本人が自殺しようとしたので薬物とアルコールで記憶を消し、その後は細心の注意を経て薬を投与し、数回のビデオ説明を行いました。
私自身、信者日南田花音のプレイには満足を感じておりますし、アップサイトでは人気コンテンツとして教団に対し優良な収入源となっております。」
と説明があった。良太郎は続けて、その行為の中で「性行為」はあったのかを確認すると司祭はあっさりと回答した。
「いえ、性行為はございません。視聴者もそれは望んではおりませんし、信者日南田花音には男性に対する「性欲」も「経験」もございませんので…。ただ、私自身はプレイの中で何度も「絶頂」に達したのは事実でございます。」
「性行為」が無く、花音の身体が汚されて無かったことを知った大樹はほっと溜息を落とすと同時に腰が抜けたようにリングのキャンバスに腰を下ろした。陽菜と良太郎も顔を見合わせ笑顔になった。「薬物の件は許されるべきことやあれへんけど、花音ちゃんの貞操が護られてたんはよかったな」とほほ笑む彩雲にカメラを抱えた智はサムアップし満もモニターから目を離し笑顔を返した。皆に安どの空気が流れる中、夏子だけは納得がいかない様子で
「何みんなで、安心してんねん!花音ちゃんに変なことはせえへんかったにしても変なことさせたこいつを許してええんか?シバかれて喜ぶんやったら、私がこんな変態は二度と表に出られへんように「昇天」させたるわ!18の乙女を変態女王にさせた罪は重いで!
満君、今の前教祖の画像を教団服の女の子に変えることはできるか?何分かかる?」
と声を上げた。満は教団ホームページで教団服の女性信者の画像があることを確認すると「10分あれば、2次元画像からポリゴン化して3D化できます。」と答えると「よっしゃ、10分やな!準備しとってくれ!」と満に言い残すと走って西沢米穀特設リング会場の勝手口から出ていった。
10分後、大きなボストンバッグを抱えて帰ってきた夏子は息を切らせて
「良太郎、まだこいつの催眠は続いてんねんな!女の敵であるこいつに私が「成敗」かけたるわ!」
と良太郎に問い、頷いた瞬間ヘッドセットを奪いボストンバッグの中からリサイクルショップニコニコの「18禁」コーナーで売っている「SMグッズ」をテーブルにぶちまけた。
皆があっけにとられる中、「智!ビデオ回しとけよ!こいつらのトップの醜態をいつか晒したるんや!」と叫び、先端に幅広の8枚の皮ひもが付いたかつての人気レスラー「インリン様」仕様の皮鞭を手に取ると
「ゴルア!女の敵!女の弱点利用して好き勝手しやがって!」
と司祭の尻に鞭を入れた。
「がおっ!いつもより気合が入ってらっしゃいますね。刺激的でございます!もっといたぶってください!」
の司祭の返事に「悪魔の夏子」のスイッチが入った。「ほりゃ、どこがええねん!ここか?それともこっちか?」と鞭をふるいまくる。涎を垂らして喜びまくる司祭とは対して、怒りに任せて本気で鞭をふるいまくる夏子はいら立ちを強め
「ええーい、うるさいわい!貴様を喜ばせるためにしばいてんのとちゃうねんぞ!お前らが喰いもんにしてきた女の代表としてしばいてんねや!」
と叫ぶが「ありがとうございます!もっと強くたたいて下さい!過去再呼応の興奮です!」と喜ぶ司祭の不毛な戦いが始まった。
「ええー、うるさい!貴様のようなブタはこうしてくれる!」と中年イケメンの鼻フックをかけボールギャグを口にかけ縛りあげた。
「ギャハハハ!もう軽口は叩かれへんやろ!ブタはブタらしくブーブー言っとったらええんじゃい!」
と鞭を赤い巨大な蝋燭に持ち替えると、司祭のシャツのボタンを外し仰向けに寝かせると溶けた真っ赤な蝋を司祭の胸にかけまくった。見た目に熱そうな蝋をかけられ、「やめてください!」、「もう勘弁してください!」という言葉を期待していた夏子の耳に届いた、嬉しそうに「ブウブウ」叫ぶ司祭の声が更に夏子のボルテージを上げた!
「くっそー、私はお前を喜ばすためにやってんのとちゃうねんぞー!勝手にお前らの都合でお前らの国でジャンジャン結婚させやがって!結婚したくても結婚相手どころか彼氏の一人も持ったことがない可憐な美少女もおんのにいったいなんやねん!」
と方向性がずれてきている夏子を大樹は唖然として見ていた。
「あー、これ「悪魔のなっちゃん」っていって、恒例行事やから気にせんとってな。」
と智が大樹にフォローを入れた。満と陽菜は「もっとやっちゃえー!」とはやし立てている。
右手に鞭、左手に蝋燭を持った鬼の形相の夏子の右フックの無知が司祭の顔にあたりVRゴーグルがはじけ飛んだ。歓喜の声を上げた司祭が振り向きざまに夏子と目が合った。
「あれ、さっきまでの「巨乳美女信者」はどこに行ったんですか?ところで「ぺったんこ」の胸をしたあなたは誰?」
の一言で完全に切れた夏子が司祭に飛び掛かるのを
「あかん、なっちゃんを止めて!SMグッズで無く本気で拳や蹴りをいれてしもたら暴行罪や!」
の陽菜の声で皆正気に戻り、満、大樹、彩雲、陽菜の四人がかりで夏子を取り押さえた。良太郎は冷静に司祭の首筋にスタンガンをあてて、意識を刈り取ると
「彩雲、こいつの記憶飛ばしたってんか。3時間程飛ばしてくれたらええ。薬と酒飲ませたらホームセンターの駐車場に止めてるこいつのベンツに放り込んでお終いや。なっちゃんも日南田さんの前やねんから、それぐらいで終わっときや!」
と言った。はたと、現実世界に戻された夏子は目が合った大樹と10秒の静寂の後
「まあ、こんなところでええやろ。教団の権威を失墜させるための映像やからな。智、後は上手に編集していつでもネットにアップできるようにしといてくれよ!」
と言い残し、トイレに駆け込むと(あぁ、またやらかしてしもた…。これは絶対に引かれたし嫌われたわ…。)と一人泣いた。
夏子と大樹が門真に戻ると陽菜と良太郎と智は既に教団近くの空き地に待機してるとのことだった。夏子は大急ぎでワンピースからデニムとトレーナーに着替え現地に向かった。智から、司祭が単独で教団本部から移動する情報をつかんだので拉致する機会が着た旨が伝えられた。拉致する方法は花音を奪取した時と同じ場所でスタンガンを使って気を失わせ良太郎の車に連れ込み、陽菜は司祭の車を近所のホームセンターの地下駐車場に移動させ発見を遅らせるという作戦だった。
午後5時、司祭のSクラスのベンツが教団信者に見送られ施設を出たのを確認すると、2台の車が追跡に入った。教団施設を抜け、一方通行の道に入ると交差点店に夏子はワゴンRを止め、大樹は後ろに積んでいた「工事中 通行止め 迂回お願いします」と書かれた工事用の立て看板を設置した。
前後に他の車がいないことを確認して良太郎の四駆の助手席で陽菜が電波発信機をベンツのトランクに向けてスイッチを入れた。
数秒でベンツのワイヤレスキーと周波数が一致し、ゆっくりとベンツのリアトランクが開いた。トランクが開いたことに気づいた司祭はベンツを左に寄せハザードランプを点滅させると停車させた。イケメン中年の司祭は運転席から降りてトランクの中身を念入りに確認していると良太郎はベンツの後ろに四駆を止めると、白い封筒を持って
「これ、さっきトランクから落ちましたよ。」
と腰の高さで封筒を差し出すと、覚えがなさそうな顔をして司祭は前かがみになり良太郎の持つ封筒に顔を近づけた。その瞬間、司祭の首筋に150万ボルトのスタンガンが押し当てられスパークした。気を失ってその場に崩れ落ちた司祭のポケットから、スマートキーとスマホを抜き出すとキーは陽菜に渡し、スマホは「機内モード」にして電波の発信をストップさせた。智は、司祭が覗き込んでいたトランクの中の中年男性には似つかわしくない、チョコレート菓子の段ボール箱に気が付きガムテープをはがした。
「おっ、これはスクープの匂いがプンプンや!」
と二箱を四駆に移すとベンツの運転席に着いた陽菜に
「じゃあ、ベンツ置いたら西沢米穀特設リング会場で合流な!」
と言い、司祭を良太郎と抱えて四駆の後部座席に放り込むと、手錠、足錠をかけると黒い布袋を被せた。
陽菜と次の交差点で別れると智が「なっちゃん、こっちはオッケーや。看板撤去してリング会場で合流な!」と電話が入り、夏子と大樹は手際よく看板を収納すると良太郎の後を追った。
午後5時10分、ニコニコ商店街ほぼ中央にあるニコニコプロレスの本拠地になる西沢米穀店の倉のリング上には密閉式ヘッドホンとVRゴーグルをつけられ、手足を拘束された司祭が項垂れて座っていた。
土曜日はニコニコプロレスの練習は休みなので他のレスラー仲間が来ることはない。10分遅れて陽菜が走って帰ってきた。
「あー、ごめんごめん、遅くなってしもて。もう始めてるん?」
陽菜が息を切らせながら皆に声をかけると、彩雲が前に出て陽菜にこの10分の事を説明した。
「まだ、睡眠導入までや。良太郎がシーター波をヘッドフォンに流して、VRはまだ回してへん。それよりも、智がこいつのベンツのトランクからパクってきた段ボール箱の中身が驚きや。チョコの箱の中身は満タンの「大麻」やで!
そんでもって、こいつのスマホの中身を良太郎が浚って電話帳見たら、反社や半愚連がごっそり出てきまくりや。大麻っちゅうのは、カンノビノイドちゅう脳の扁桃体内の受容体の動きを促進させてPTSD等のトラウマ症状を軽減させる効果もあるんやな。
おそらく、DVや虐待にあった女性信者に大麻成分を吸わせて話をすることで、教祖やこいつら幹部が信者の心の重しを下ろしたように感じさせて洗脳しとったんやろなって話をしてたところや。ところで陽菜、あんた手に持ってんの何や?男もんのセカンドバッグとちゃうんか?」
陽菜はバッグを彩雲に渡した。彩雲がテーブルの上にバッグの中身を出すと数種類の錠剤といわゆる「パケ」と小容量の注射器が数本とネームタグが出てきた。
「あちゃー、弘道がおったら速攻逮捕案件やな。「パケ」と注射器はおそらく覚せい剤用で間違いないし、錠剤は「向精神薬」から「ダウン系の精神安定剤」にこの間お目にかかったマイスリーだけやなくハルシオンからユーロジンまであるやないかい。
そんでこのネームタグみたらこいつ製薬会社のMRやないかい!まあ、名前を見た感じやけど在日か向こうの国の人やろな…。こりゃ、闇は深いなぁ…。」
彩雲が天を仰ぐと夏子が尋ねた。
「MRってなんや?それにハルシオンっていうたら、バブルの頃に男がお持ち帰りしたい女の子にハルシオンっていう薬入れた甘めのウォッカやジンベースのカクテル飲ませて眠らせるのに使ってたって直さんが言うてたやつか?」
「せやな。バブルの頃っていうのは私はわからんけど、ハルシオンやマイスリーみたいに導入スピードが速い奴をウォッカやジンに混ぜられたら速攻コロリや。まあ、私らの時は「笑気ガス」っていう麻酔で導入されとったから、記憶を消すために使いよったんやろうけどな…。睡眠導入剤だけでもいろんな種類があるのは眠らせる時間と眠らせるまでの時間によって薬の種類を選んどったんやろな。
あと「MR」っていうのは「Medical Representatives」の略で日本語に直すと「医薬情報担当者」ってなるんやけど、まあ製薬会社の営業の総称でもあるわな。」
彩雲が説明をすると大樹が真っ赤な顔をして憤慨して言った。
「じゃあ、花音はこいつに薬飲まされて記憶もない状態で犯されてたってことなんか!絶対に許せん!」
と司祭につかみかかろうとするのを智と満が止めた。
良太郎が大樹の前に割って入り「落ち着いて下さい。」と諫めた。身体的な衝撃を加えると催眠状態が解けてしまうことがあるので今は我慢して、これからの催眠尋問で事実を追求する流れを改めて説明した。夏子が大樹の横に着きパイプ椅子に座らせた。
「じゃあ、今から尋問に入るから智はカメラ回せよ。満君は睡眠導入の脳波のモニターを頼むで。陽菜ちゃんは万一、術が解けた時に備えてスタンガンを持っててや。なっちゃんと彩雲は大樹さんに着いといてあげたって。」
良太郎はヘッドセットに着いたマイクに向かっていつになく低い声で話しかけ始めた。
催眠深度を探るための導入質問が終わると言われるがままに司教は頭を前後左右にスイングさせ催眠術が十分にかかっていることを示した。司教のVRゴーグルに映っている画像が満の横のノートパソコンにも映し出されている。真っ暗な画面が続く中、暗闇の奥から本家教団の亡くなった先代総裁の映像が浮かんでくる。「あぁ、真なる私の教祖様…、こうしてまたお会いすることができるとは…。」と司祭は拘束された状態のまま、ゆっくりと体を前に倒し、額をリングのキャンバスにこすりつけ、むせび泣いている。良太郎はゆっくりと司祭の体を起こしてやった。そこから良太郎の質問に司教が一つ一つ丁寧に答え始めた。
司祭の本名は金田正。教団でのホーリーネームは「出雲万呂と名乗った。智が「出雲万呂って名は、本国の教団幹部の中に見たことがあるで。」と呟くと満が、もう一台のパソコンで新たなウインドウを開き検索し、日本語翻訳表示に変換すると日本支部の代表として確かにその名前が出てきた。
「へー、本国ではこっちでの教祖の天宮城伊織はお飾りで実質はこの金田正がトップ扱いなんやな…。」と夏子が相づちを打った。
良太郎の質問は次々と進んでいた。夏子たちが考えていた「最悪」のシナリオが現実のものとして計画されていることが分かった。本国の創設教祖である総裁が死亡し、その妻に代替わりすると同時に本国に根強く残る男尊女卑の慣習からそれまで味方だった大物男性政治家や検察局、税務庁等の上部の人物は女性である新総裁を軽く見だした。
組織維持に必要なラインを保つために多額の賄賂が必要となり、その資金源として宗教法人に対する警察力の弱い日本で大麻栽培を始め、北の隣国から仕入れた覚せい剤を反社に販売するようになったことが語られた。
軍用ライフルについては、かつてのアメリカでの宗教団体と警察・検察との抗争を参考にただ解散させられるよりは「闘っての殉教」を日本支部が見せることで本国団体を鼓舞するためだと語られた。
「うーん、人に国に来て何勝手なこと言っとんねん。ほんま迷惑なやっちゃなぁ!」
陽菜がうなった。
約60分の質疑応答が終わり、智から「俺の方は十分や。後は、厳しい話居なるかわからへんけど日南田さんの妹さんの事を聞いたって。」との言葉が出たので、良太郎は「日南田さん、どんな言葉が出ても落ち着いて聞いて下さいね。」と念押しをして質問に入った。
司祭と花音の関係に関する質問に対する回答はその場にいる7人の予想外のものだった。
良太郎の質問に対し、司祭は花音に薬物を使用していたことはあっさりと最初に認めた。「シティーホテルでの奉仕」とは何か、「撮影」とは何かとの質問に対し、司祭と花音による「SMプレイ」であり、その状況を撮影したビデオを「マニア向けサイト」に提供することで教団収入としている旨が司祭の口から語られた。
思わず怒りの電流が流れた夏子が飛び出しそうになるのを逆に大樹が止めに入ることになった。「夏子、落ち着いて!まだ尋問の途中や。ここであんたが暴れたら無茶苦茶になってしまうで!」と彩雲も夏子を諫めた。
良太郎が落ち着いた声で「それはどういったプレイなんだ」と問うと、満の横のパソコンで本国の初代総裁が司祭に語り掛ける3DのAI画像が流れている画面と良太郎の前で正座で語る司祭の姿が全員の視線を集めた。
「はい、信者日南田花音を女王様とし、私、出雲万呂が下僕として、鞭をふるってもらい、蝋燭を垂らし、罵倒してもらうプレイです。信者日南田花音は、内気な性格によりなかなか私の望む女王様にならなかったのでアッパー系覚せい剤を投与し、私の身分は隠し教団のゴミと信じ込ませ、天宮城伊織の命で、私を辱めさせました。
初回は途中で催眠が切れ、鞭をふるい罵倒した相手が私であるとバレてしまい、本人が自殺しようとしたので薬物とアルコールで記憶を消し、その後は細心の注意を経て薬を投与し、数回のビデオ説明を行いました。
私自身、信者日南田花音のプレイには満足を感じておりますし、アップサイトでは人気コンテンツとして教団に対し優良な収入源となっております。」
と説明があった。良太郎は続けて、その行為の中で「性行為」はあったのかを確認すると司祭はあっさりと回答した。
「いえ、性行為はございません。視聴者もそれは望んではおりませんし、信者日南田花音には男性に対する「性欲」も「経験」もございませんので…。ただ、私自身はプレイの中で何度も「絶頂」に達したのは事実でございます。」
「性行為」が無く、花音の身体が汚されて無かったことを知った大樹はほっと溜息を落とすと同時に腰が抜けたようにリングのキャンバスに腰を下ろした。陽菜と良太郎も顔を見合わせ笑顔になった。「薬物の件は許されるべきことやあれへんけど、花音ちゃんの貞操が護られてたんはよかったな」とほほ笑む彩雲にカメラを抱えた智はサムアップし満もモニターから目を離し笑顔を返した。皆に安どの空気が流れる中、夏子だけは納得がいかない様子で
「何みんなで、安心してんねん!花音ちゃんに変なことはせえへんかったにしても変なことさせたこいつを許してええんか?シバかれて喜ぶんやったら、私がこんな変態は二度と表に出られへんように「昇天」させたるわ!18の乙女を変態女王にさせた罪は重いで!
満君、今の前教祖の画像を教団服の女の子に変えることはできるか?何分かかる?」
と声を上げた。満は教団ホームページで教団服の女性信者の画像があることを確認すると「10分あれば、2次元画像からポリゴン化して3D化できます。」と答えると「よっしゃ、10分やな!準備しとってくれ!」と満に言い残すと走って西沢米穀特設リング会場の勝手口から出ていった。
10分後、大きなボストンバッグを抱えて帰ってきた夏子は息を切らせて
「良太郎、まだこいつの催眠は続いてんねんな!女の敵であるこいつに私が「成敗」かけたるわ!」
と良太郎に問い、頷いた瞬間ヘッドセットを奪いボストンバッグの中からリサイクルショップニコニコの「18禁」コーナーで売っている「SMグッズ」をテーブルにぶちまけた。
皆があっけにとられる中、「智!ビデオ回しとけよ!こいつらのトップの醜態をいつか晒したるんや!」と叫び、先端に幅広の8枚の皮ひもが付いたかつての人気レスラー「インリン様」仕様の皮鞭を手に取ると
「ゴルア!女の敵!女の弱点利用して好き勝手しやがって!」
と司祭の尻に鞭を入れた。
「がおっ!いつもより気合が入ってらっしゃいますね。刺激的でございます!もっといたぶってください!」
の司祭の返事に「悪魔の夏子」のスイッチが入った。「ほりゃ、どこがええねん!ここか?それともこっちか?」と鞭をふるいまくる。涎を垂らして喜びまくる司祭とは対して、怒りに任せて本気で鞭をふるいまくる夏子はいら立ちを強め
「ええーい、うるさいわい!貴様を喜ばせるためにしばいてんのとちゃうねんぞ!お前らが喰いもんにしてきた女の代表としてしばいてんねや!」
と叫ぶが「ありがとうございます!もっと強くたたいて下さい!過去再呼応の興奮です!」と喜ぶ司祭の不毛な戦いが始まった。
「ええー、うるさい!貴様のようなブタはこうしてくれる!」と中年イケメンの鼻フックをかけボールギャグを口にかけ縛りあげた。
「ギャハハハ!もう軽口は叩かれへんやろ!ブタはブタらしくブーブー言っとったらええんじゃい!」
と鞭を赤い巨大な蝋燭に持ち替えると、司祭のシャツのボタンを外し仰向けに寝かせると溶けた真っ赤な蝋を司祭の胸にかけまくった。見た目に熱そうな蝋をかけられ、「やめてください!」、「もう勘弁してください!」という言葉を期待していた夏子の耳に届いた、嬉しそうに「ブウブウ」叫ぶ司祭の声が更に夏子のボルテージを上げた!
「くっそー、私はお前を喜ばすためにやってんのとちゃうねんぞー!勝手にお前らの都合でお前らの国でジャンジャン結婚させやがって!結婚したくても結婚相手どころか彼氏の一人も持ったことがない可憐な美少女もおんのにいったいなんやねん!」
と方向性がずれてきている夏子を大樹は唖然として見ていた。
「あー、これ「悪魔のなっちゃん」っていって、恒例行事やから気にせんとってな。」
と智が大樹にフォローを入れた。満と陽菜は「もっとやっちゃえー!」とはやし立てている。
右手に鞭、左手に蝋燭を持った鬼の形相の夏子の右フックの無知が司祭の顔にあたりVRゴーグルがはじけ飛んだ。歓喜の声を上げた司祭が振り向きざまに夏子と目が合った。
「あれ、さっきまでの「巨乳美女信者」はどこに行ったんですか?ところで「ぺったんこ」の胸をしたあなたは誰?」
の一言で完全に切れた夏子が司祭に飛び掛かるのを
「あかん、なっちゃんを止めて!SMグッズで無く本気で拳や蹴りをいれてしもたら暴行罪や!」
の陽菜の声で皆正気に戻り、満、大樹、彩雲、陽菜の四人がかりで夏子を取り押さえた。良太郎は冷静に司祭の首筋にスタンガンをあてて、意識を刈り取ると
「彩雲、こいつの記憶飛ばしたってんか。3時間程飛ばしてくれたらええ。薬と酒飲ませたらホームセンターの駐車場に止めてるこいつのベンツに放り込んでお終いや。なっちゃんも日南田さんの前やねんから、それぐらいで終わっときや!」
と言った。はたと、現実世界に戻された夏子は目が合った大樹と10秒の静寂の後
「まあ、こんなところでええやろ。教団の権威を失墜させるための映像やからな。智、後は上手に編集していつでもネットにアップできるようにしといてくれよ!」
と言い残し、トイレに駆け込むと(あぁ、またやらかしてしもた…。これは絶対に引かれたし嫌われたわ…。)と一人泣いた。
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