五番目の季節

4月の思い出。

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プロローグ

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 家の決め手は扉を開けた瞬間に見える木だった。
春になれば暖かい気持ちにさせてくれる桃色、夏になれば爽やかさを与えてくれるような緑色、秋になれば夕陽のような色、そして冬になれば春を待つ茶色が季節を教えてくれるような気がして引っ越しを決めた。
だから扉を開けた先に木ではなく、ふわふわの銀髪が現れた時は“あ、5番目の季節だ。”なんて思ってしまった。
「今日から1ヶ月住まれ放題のご契約ありがとうございます。ご契約者様の四谷波留ですね?」
扉を開けた先にいつも見える木ではなく、ふわふわの銀髪が揺れている。その銀髪の持ち主は玄関にキャリーケースを持って立っていた。
「いや、勝手に兄貴が依頼して‥‥。」
「暮らしのことならお任せください。暮らし屋業界満足度No.4!クラシメイト3号店から参りました、小野風太が四谷様に快適な2人暮らしをご提供させていただきます。本日よりどうぞよろしくお願い致します。」
ニッコリと人当たりの良い笑顔を浮かべる暮らし屋を見て、俺は大きく口を開いた。
「すみません、キャンセルってできますか?」
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