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サービス出勤開始から早2週間。
一度言われたら裏道を止める生徒もいれば、なぜか何度も使おうと挑戦する生徒、遅刻しそうな時にだけ使う生徒。とにかくいろんな種類がいることはわかった。
「どーよどーよ!サービス出勤は。慣れた?」
「月島、お前一日も代わってくれないとか俺らの友情はそこまでだったのか?」
補修で使う予定のプリントを印刷していると、後ろからニヤニヤ笑っている月島に声をかけられた。あの日から2週間、まだまだ終わりそうもないサービス出勤に小さく溜息をつく。
唯一の救いは毎朝俺の所に来てくれる大天使年長児ゆみちゃんの存在。最初は絶対零度や、ゆか先生が一緒に来ていたけれど最近は俺がいることで信頼されているのか、ゆみちゃんだけで来てもOKになった。
「朝は裏道の見張り、帰りはバスケ部の顧問って俺に自由はないのか?俺はまだ花盛りの24歳だぞ。」
「あと1年でアラサーだね。おめでとう。」
「月島、お前との友情はこれまでだ。」
「わーごめんって木元!お詫びに日曜日、高等部の先生達との合コンセットする予定なんだけどどう?」
「そんなので許されるわけ‥あるに決まってんだろ!どこで何時?」
「21時赤坂。」
「なんでそんな遅いわけ?」
「その中の一人のチア部の顧問がさ大会の引率があるんだってよ。ま、いいっしょ?」
次の日サービス出勤なのになあ、と思いつつもチア部の顧問は美女なのでウキウキ気分で日曜日の21時に赤坂に向かう。
やはりそこに集まっていたのは美女しかいなくて、来てよかったなあと心から思った。
「そういえば木元先生、今幼等部の裏道の見張りやってるんでしょ?」
お酒も進んできた頃、一番美女であるチア部の顧問の先生がふと出した話題に全員「あ、それ聞きたい!」と食いついてきた。
「あ、うん。やってるよ。」
「え~!木元先生本当に顔だけじゃなくて中身までイケメン!」
話題の中心になるのは悪いことではない。「いやいやそんなことないよ。」と一応謙遜を表せば女性陣は色めき立つし、男性陣は「いつも文句言ってるだろ。」と言いたげな視線を送ってくる。
「あたし、あの会議で水津先生の言い方怖くてびっくりしちゃったあ。」
「ねえそれ私も!せっかく顔はあんなカッコいいのに残念よねぇ~!」
「本当に木元先生と正反対!ねえ、実際水津先生ってどんな感じなの?」
「え、水津先生?」
いきなり出た話題に口に付けていたグラスを置く。女性陣も男性陣もそれは知りたいようで身を乗り出して俺に視線を寄越していた。
「うーん。正直相変わらず絶対零度だけど、子どもと話している姿を見る限りは仕事熱心な人だと思うよ。いつも俺より早く来てるし。」
「えー!その噂本当なんだ!子どもにも冷たそうなのにやっぱり優しいの?」
「俺も双子じゃないかって疑うレベルで違うよ。あの優しさを少しでも分けてくれればいいんだけどね。」
「顔は完璧なのにね~!でも実は恋人だけに特別対応していたりして!?」
キャー!と女性陣が妄想だけで悲鳴を上げる。水津先生が恋人には甘い???
全く頭に浮かび上がらない想像に、思わず笑ってしまう。
「ねえ、じゃあゲームしようよ。ロシアンルーレットやってさ、ハズレ引いた人が水津先生に告白してみようよ。」
「は?」
隣に座る月島が変な提案をしたので、思わず変な声を出してしまう。何言ってんだこいつ?
「えー、でもそれあたし達だけが罰ゲームじゃん。」
「いや、俺らもちゃんと告白するよ。付き合ってください、って。」
「は!?月島それガチ!?」
俺は慌てて聞くも既に向かい側のテーブルでは盛り上がっているし、月島の奥にいる男性陣もアルコールの力で「お、いいねー!」なんて変な盛り上がり方をしている。気がついたら本当にロシアンルーレットのたこ焼きを誰かが頼み、いざゲーム。
そう。俺は一生この時を忘れないし、なんならこの飲み会を二重の意味で後悔することになる。
「はい!というわけで、ハズレを引いたのは木元~!!!明日、月曜日中に必ず告白してきてください!」
盛り上がる月島の声が遠くで聞こえる。水津先生に告白?いや、いや、いや!!凍死させられるぞそんなの!!!
「ハイボール追加で!!!!」
俺は大声を出して目の前のグラスを一気に傾けた。
一度言われたら裏道を止める生徒もいれば、なぜか何度も使おうと挑戦する生徒、遅刻しそうな時にだけ使う生徒。とにかくいろんな種類がいることはわかった。
「どーよどーよ!サービス出勤は。慣れた?」
「月島、お前一日も代わってくれないとか俺らの友情はそこまでだったのか?」
補修で使う予定のプリントを印刷していると、後ろからニヤニヤ笑っている月島に声をかけられた。あの日から2週間、まだまだ終わりそうもないサービス出勤に小さく溜息をつく。
唯一の救いは毎朝俺の所に来てくれる大天使年長児ゆみちゃんの存在。最初は絶対零度や、ゆか先生が一緒に来ていたけれど最近は俺がいることで信頼されているのか、ゆみちゃんだけで来てもOKになった。
「朝は裏道の見張り、帰りはバスケ部の顧問って俺に自由はないのか?俺はまだ花盛りの24歳だぞ。」
「あと1年でアラサーだね。おめでとう。」
「月島、お前との友情はこれまでだ。」
「わーごめんって木元!お詫びに日曜日、高等部の先生達との合コンセットする予定なんだけどどう?」
「そんなので許されるわけ‥あるに決まってんだろ!どこで何時?」
「21時赤坂。」
「なんでそんな遅いわけ?」
「その中の一人のチア部の顧問がさ大会の引率があるんだってよ。ま、いいっしょ?」
次の日サービス出勤なのになあ、と思いつつもチア部の顧問は美女なのでウキウキ気分で日曜日の21時に赤坂に向かう。
やはりそこに集まっていたのは美女しかいなくて、来てよかったなあと心から思った。
「そういえば木元先生、今幼等部の裏道の見張りやってるんでしょ?」
お酒も進んできた頃、一番美女であるチア部の顧問の先生がふと出した話題に全員「あ、それ聞きたい!」と食いついてきた。
「あ、うん。やってるよ。」
「え~!木元先生本当に顔だけじゃなくて中身までイケメン!」
話題の中心になるのは悪いことではない。「いやいやそんなことないよ。」と一応謙遜を表せば女性陣は色めき立つし、男性陣は「いつも文句言ってるだろ。」と言いたげな視線を送ってくる。
「あたし、あの会議で水津先生の言い方怖くてびっくりしちゃったあ。」
「ねえそれ私も!せっかく顔はあんなカッコいいのに残念よねぇ~!」
「本当に木元先生と正反対!ねえ、実際水津先生ってどんな感じなの?」
「え、水津先生?」
いきなり出た話題に口に付けていたグラスを置く。女性陣も男性陣もそれは知りたいようで身を乗り出して俺に視線を寄越していた。
「うーん。正直相変わらず絶対零度だけど、子どもと話している姿を見る限りは仕事熱心な人だと思うよ。いつも俺より早く来てるし。」
「えー!その噂本当なんだ!子どもにも冷たそうなのにやっぱり優しいの?」
「俺も双子じゃないかって疑うレベルで違うよ。あの優しさを少しでも分けてくれればいいんだけどね。」
「顔は完璧なのにね~!でも実は恋人だけに特別対応していたりして!?」
キャー!と女性陣が妄想だけで悲鳴を上げる。水津先生が恋人には甘い???
全く頭に浮かび上がらない想像に、思わず笑ってしまう。
「ねえ、じゃあゲームしようよ。ロシアンルーレットやってさ、ハズレ引いた人が水津先生に告白してみようよ。」
「は?」
隣に座る月島が変な提案をしたので、思わず変な声を出してしまう。何言ってんだこいつ?
「えー、でもそれあたし達だけが罰ゲームじゃん。」
「いや、俺らもちゃんと告白するよ。付き合ってください、って。」
「は!?月島それガチ!?」
俺は慌てて聞くも既に向かい側のテーブルでは盛り上がっているし、月島の奥にいる男性陣もアルコールの力で「お、いいねー!」なんて変な盛り上がり方をしている。気がついたら本当にロシアンルーレットのたこ焼きを誰かが頼み、いざゲーム。
そう。俺は一生この時を忘れないし、なんならこの飲み会を二重の意味で後悔することになる。
「はい!というわけで、ハズレを引いたのは木元~!!!明日、月曜日中に必ず告白してきてください!」
盛り上がる月島の声が遠くで聞こえる。水津先生に告白?いや、いや、いや!!凍死させられるぞそんなの!!!
「ハイボール追加で!!!!」
俺は大声を出して目の前のグラスを一気に傾けた。
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