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女神転移計画
歪みの聖女 4
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「つ、冷たいぃぃ」
人にボディプレスをかけながら、心底嫌そうな顔をする聖女。
どうも、この女とは仲良くなれそうな気がしない。
向うからすれば、いきなり死体を押しつけられたのだから仕方がないと言えば否定はできない。
けれど、聖女ならば瀕死の人間を救おうと懸命に寄り添ってくれるはずだ。
そう思うのは、僕の妄想だろうか……。
いや、違うはずだ。
聖女だから困窮する人々を救うのでない。
誰にでも献身的に救済の手を差し伸べることができるから聖女として選ばれるんだ。
事情がどうであれ、慈悲があるのなら僕を見捨てたりはしない。
少女が逃げ出そうしているのは、疑う余地もない事実である。
この時点で早速、メッキが剥がれそうなっている。
信者たちの期待の眼差しに気づいた彼女は、軽く咳払いをし伝えた。
「この者たちは神聖なミサを穢した罪人です。
本来ならば罰せられる立場にあります。
ですが、神は何人にもチャンスを与えます。
お兄さんでしたね。
弟さんを想う気持ちが本物であれば、貴方は試練を乗り越えないといけません。
罪を償うためレヴィナス山脈にある宝瓶宮へと向かい浄化の宝珠を手に入れるのです」
「分かったから、早く弟を生き返らせてくれ!」
「それは難しい相談です。
今の段階で私が蘇生しても、貴方の罪により弟さんに悪しき魂が宿るかもしれません。
せっかく復活させても、別人じゃ意味がないでしょう?」
ただのお飾りかと思ったが、この聖女は弁が立つ。
嘘と真実を織り交ぜながら、この難局を脱しようとしている。
「それは……」
条件を突きつけられたナインセルは拒むことなどできない。
今の彼は弟の身を案じる兄である。
否応なしに聖女が与える課題に応じないとならない。
さらに困ったことに【宝珠】があるという、貴重な情報をマホリックたちの方でもつかんでいた。
目的は謎だが、連中も宝珠を欲しているということだ。
チンターマニに手に入れるには、ヴォイドアークを倒さないといけない。
僕的にはそちらの方が都合良いが……。
ナインセルの方に視線を移すと、何故か卑しい笑みを浮かべていた。
僕はカン違いしていた。
彼は人の良い兄でも何でもない。
自分の解釈と都合のみで話を押し進める闇ギルドの一員だ。
彼は聖女に近づくなり、その手を取ると信者に向けて仰々しく言い放った。
「ありがとうございます。私の弟のために……。
皆さん、聖女様が弟を蘇生してくださるそうです。
この御方、自ら危険を冒して死地へと同行して下さるそうですよ。
さすが、聖女様です。その、お心は広く美しいー」
予期せぬ、しっぺ返しに聖女の目がギョッとしていた。
否定するにしても、わざと涙ぐみ同情を誘うナインセルの悪だくみによって、教会内は称賛の嵐に包まれた。
満場一致で拍手送る信者たちに対して、後には引けない状況となった聖女はよほど悔しかったのだろう。
密かに僕の身体に蹴りを入れてきた。
この、お礼は生き返た後でキッチリとさせてもらう。
それまで、どんなお仕置きをするか考えておこう。
「それじゃあ、今から支度を済ませましょう」
「今から!? です……か? まだミサの途中―――――」
出かかった言葉を飲み込みながら、彼女は周囲に向けて目線を配った。
誰も彼もが、聖女のありがたい言葉を心待ちにしている。
頼みの綱である神官たちも黙りながら首を横に振っていた。
「分かりました。罪を償うというのであれば、私にも見届ける義務があります。
ただし、レヴィナス山脈には危険な魔物が住まうと聞き及んでいます。
護衛としてラムゼイスケイルのメンバーから、腕利きの冒険者に同行をお願いしたいのですが?」
毅然とした態度で、宣言するも彼女の手元がブルブルと震えていた。
おそらく、恐怖ではない……ナインセルに向けた怒りが、ヒシヒシと伝わってくる。
「当然です。その大役、我々がお引き受けいたします」
回廊の方から、足音を響かせながら人影が近づいてくる。
人々の注目を一身に浴びた三人の男女が僕らの前に勇ましく現れた。
先頭に立つ若者を見て聖女は両手を合わせながら、顔を綻ばせていた。
間違いなく彼らこそが正規ギルド、ラムゼイスケイルの精鋭たちだ。
上手く言えないが、そこいら居る冒険者とは、雰囲気からして別格だ。
引き締まった肉体と使いこなされた武具が彼らにより一層の凄みを与えている。
一部の隙も見当たらない。
まさしく歴戦の猛者という表現が似合う彼らと出くわし、心の震えが止まらない自分がいた。
創設したばかりのギルドと有名一流ギルドでは、こうも格差が開いているのか……。
アホそうな顔をし鼻をほじっている同僚を横にして、僕はいたたまれない気分になった。
人にボディプレスをかけながら、心底嫌そうな顔をする聖女。
どうも、この女とは仲良くなれそうな気がしない。
向うからすれば、いきなり死体を押しつけられたのだから仕方がないと言えば否定はできない。
けれど、聖女ならば瀕死の人間を救おうと懸命に寄り添ってくれるはずだ。
そう思うのは、僕の妄想だろうか……。
いや、違うはずだ。
聖女だから困窮する人々を救うのでない。
誰にでも献身的に救済の手を差し伸べることができるから聖女として選ばれるんだ。
事情がどうであれ、慈悲があるのなら僕を見捨てたりはしない。
少女が逃げ出そうしているのは、疑う余地もない事実である。
この時点で早速、メッキが剥がれそうなっている。
信者たちの期待の眼差しに気づいた彼女は、軽く咳払いをし伝えた。
「この者たちは神聖なミサを穢した罪人です。
本来ならば罰せられる立場にあります。
ですが、神は何人にもチャンスを与えます。
お兄さんでしたね。
弟さんを想う気持ちが本物であれば、貴方は試練を乗り越えないといけません。
罪を償うためレヴィナス山脈にある宝瓶宮へと向かい浄化の宝珠を手に入れるのです」
「分かったから、早く弟を生き返らせてくれ!」
「それは難しい相談です。
今の段階で私が蘇生しても、貴方の罪により弟さんに悪しき魂が宿るかもしれません。
せっかく復活させても、別人じゃ意味がないでしょう?」
ただのお飾りかと思ったが、この聖女は弁が立つ。
嘘と真実を織り交ぜながら、この難局を脱しようとしている。
「それは……」
条件を突きつけられたナインセルは拒むことなどできない。
今の彼は弟の身を案じる兄である。
否応なしに聖女が与える課題に応じないとならない。
さらに困ったことに【宝珠】があるという、貴重な情報をマホリックたちの方でもつかんでいた。
目的は謎だが、連中も宝珠を欲しているということだ。
チンターマニに手に入れるには、ヴォイドアークを倒さないといけない。
僕的にはそちらの方が都合良いが……。
ナインセルの方に視線を移すと、何故か卑しい笑みを浮かべていた。
僕はカン違いしていた。
彼は人の良い兄でも何でもない。
自分の解釈と都合のみで話を押し進める闇ギルドの一員だ。
彼は聖女に近づくなり、その手を取ると信者に向けて仰々しく言い放った。
「ありがとうございます。私の弟のために……。
皆さん、聖女様が弟を蘇生してくださるそうです。
この御方、自ら危険を冒して死地へと同行して下さるそうですよ。
さすが、聖女様です。その、お心は広く美しいー」
予期せぬ、しっぺ返しに聖女の目がギョッとしていた。
否定するにしても、わざと涙ぐみ同情を誘うナインセルの悪だくみによって、教会内は称賛の嵐に包まれた。
満場一致で拍手送る信者たちに対して、後には引けない状況となった聖女はよほど悔しかったのだろう。
密かに僕の身体に蹴りを入れてきた。
この、お礼は生き返た後でキッチリとさせてもらう。
それまで、どんなお仕置きをするか考えておこう。
「それじゃあ、今から支度を済ませましょう」
「今から!? です……か? まだミサの途中―――――」
出かかった言葉を飲み込みながら、彼女は周囲に向けて目線を配った。
誰も彼もが、聖女のありがたい言葉を心待ちにしている。
頼みの綱である神官たちも黙りながら首を横に振っていた。
「分かりました。罪を償うというのであれば、私にも見届ける義務があります。
ただし、レヴィナス山脈には危険な魔物が住まうと聞き及んでいます。
護衛としてラムゼイスケイルのメンバーから、腕利きの冒険者に同行をお願いしたいのですが?」
毅然とした態度で、宣言するも彼女の手元がブルブルと震えていた。
おそらく、恐怖ではない……ナインセルに向けた怒りが、ヒシヒシと伝わってくる。
「当然です。その大役、我々がお引き受けいたします」
回廊の方から、足音を響かせながら人影が近づいてくる。
人々の注目を一身に浴びた三人の男女が僕らの前に勇ましく現れた。
先頭に立つ若者を見て聖女は両手を合わせながら、顔を綻ばせていた。
間違いなく彼らこそが正規ギルド、ラムゼイスケイルの精鋭たちだ。
上手く言えないが、そこいら居る冒険者とは、雰囲気からして別格だ。
引き締まった肉体と使いこなされた武具が彼らにより一層の凄みを与えている。
一部の隙も見当たらない。
まさしく歴戦の猛者という表現が似合う彼らと出くわし、心の震えが止まらない自分がいた。
創設したばかりのギルドと有名一流ギルドでは、こうも格差が開いているのか……。
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