追放神官とケモミミ探偵

心絵マシテ

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三章、思惑渦巻くクシュルティナ

67話 嘘の臭い

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 サラへの質問はたった五分程度で終わってしまった。
 キィーナが何を思って、聞き込みを止めてしまったのか私にも分からない。
 身内が頭を悩ませるのだから、ソフィーなんかは困惑した表情をしている。

「大丈夫なの? キィーナちゃん。お節介かもしれないけど、サラさんともう少しお話したら?」

「問題ないよ、お姉さん」

 さすがに黙っては見ているのは無理なようだ。
 ソフィ―が私以上に心配している。こりゃ……不安の矛先が私に向けられるのは、ほぼ確定だな。
 そう考えながらも出された紅茶に手を伸ばす。芳醇な香りとすっきりとした渋み、ここの理事長もなかなかのセンスを持っていらっしゃる。

「呑気にお茶してていいんですか? ディズさん」

 やっぱり来た……いつになく、ソフィーは不服そうだ。原因は私にあるのだろうけど、ここでどうこう言ってもキィーナの為にはならない。
 これは試験を兼ねて行われていることだ。
 大事な孫娘を救うべく、司祭様も私という禁じ手に頼ってきたのだ。
 本来ならば、教会側の働きで私に依頼を回すことはできない。
 なぜなら、グランデル司祭が教会関係者だからだ。

 中央協会としては是が非でも私に貸しを作りたくないのだ。
 連中は愚かだ。人命と自分たちのプライドを天秤にかけてしまう。
 彼らは私によく言っていた「お前は自分の価値が分かっていない。それが危険だ」と。
 何が危険なのかは、すぐに理解した。
 連中にとってディズ・ジーニスという存在そのものが危険視に値するのだ。

 まあ……過ぎたことを話していても仕方ない。
 キィーナの試験という建前で回されてきた依頼だ。
 やるべきことは、わきまえている。

「ソフィ、ここはキィーナに任せようよ。この子が何ら考えなしに判断するとは、私は思っていないから」

「それは、私もですけど……不安じゃないんですか?」

 キィーナに気を遣い小声でソフィーが訴えてくる。
 ようやく困っている私に気づいたようだ。手帳にメモを取るのを止めて小さな探偵さんは答えた。

「さっきの人は何か隠しているよ。キィ、分かっちゃった。
あの人、フルート奏者のはずなのに指先に弦の後が残っていたの」

「えっとぉ……どういうことかな? 弦楽器の練習でもしていたんじゃないの?」

「お姉さん、吹奏楽に弦楽器は使用しないよ。弦楽器を使用するのはオーケストラだよ」

 なるほどね、よく見ている。
 確かに吹奏楽は管楽器と打楽器で編成されている。ただし、それだけで相手を疑うのには理由として弱い。
 もう一つ、何か決定打が欲しいところだ。

「あとは、キィが聞き込みをやめるって言った時、明らかに動揺していたことかな? いそがしいって言いながら身だしなみも整っていたし、今までの経験からどういった質問がくるのか予想を立てていたんじゃないかな? 顔色一つ変えなかった。なのに……最後だけは表情をクモらせていたの」
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