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幻影抱く灰色の都
馬革を以て屍を裹む
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ミノさんとオイスタの安否を確認しつつ、戦況を把握する。
依然として、紫甲冑の包囲は解除されていない不利な状態。
ペイルライダーを迎え撃とうとするトルテは、それだけで手一杯なはずだ。
ソルジャー達まで相手にしている余裕もないと思う。
私にできるのは、彼女が集中して戦えるように露払いすることだ。
が……それだけで本当に充分なのか?
そもそも、ペイルライダーの実力からして未知数だ。
当然、クロムウェルアーカイブスを通してみても、ペイルライダーが不死体ではなく魔法生物であること以外は真っ当な情報が出てこない。
そんなにも、レアな魔物なんだろうか?
いけない、余計なことに気を回し過ぎだ。
「アース・オールスティングス!」
私が、優先して進めないといけないのは地中から無数の石柱を生み出し、天然のバリケードを築いてゆくことだけだ。
敵を殲滅できなくとも、進行を妨害する事で外部から介入させずに討伐するまでの時間を稼ぐ算段だ。
「はあぁああ――――!!」
馬上からランスを繰り出す蒼騎士。
その強烈な一撃をガリアブレ―ヴァがさばく。
一撃の重さにおいて、双方に大差はない。
勝敗は武器の性能だけでは左右されない。
先にダメージを与えても有利になるはずだ。
もっとも、魔法生物にダメージを蓄積させるような肉体が与えられているのかは謎だが……。
いずれにせよ。
戦いが長引けば長引くほど、戦局は持久力の高いペイルライダーの方へと傾いてくる。
そうなる前に、討ち取らなければこちら側が厳しくなる――――
再度、ランスとハンマーが交わる。
周囲に金属音が鳴り響き、突如として鉄鎚が炎を噴き上げた。
炎をまとう己が獲物をふり回しつつ、騎馬の方へ狙い定めるトルテ。
しかし、大振りすぎるのが災いし、ものの見事に回避されてしまった。
すぐさま、カウンターと言わんばかりの一突きが彼女に飛んでくる。
これに関しては、トルテの方が一枚上手だった。
彼女は、地面に突き立てたままのハンマーの柄を軸として、軽業師のように利き腕の力だけで全身を支える。
直後、騎馬の胸元めがけ痛烈な蹴り上げをかました。
俗にいうロケットキックという奴だ。
見かけとは比べ物にならないほど、蹴りの威力は凄まじかったらしい。
巨躯の馬がフラついて、尻込みしている。
絶好のチャンスだ。
助走をつけて跳躍し、蒼の騎士の頭上で身体一回転させたトルテ渾身の一撃が放たれる。
蒼騎士は咄嗟に防御姿勢を取る。
が、腕で頭部を庇うだけでは、重量があるガリアブレ―ヴァ止める事は不可能だ。
そのまま腕ごと、頭部を打ち砕かれてペイルライダーは落馬した。
「よしっ! 討伐完了だ」
地面に横たわる蒼白い騎士を見下ろしながら、ゆっくりと近づいていく。
そんな彼女に向かって私は叫んだ。
「近づいちゃダメだ!! 早く、後退して」
「ネェーちゃん?」
私の声は雨音で、完全にかき消されてしまっていた。
こちらの様子に気づきはしたものの、状況が飲み込めていない……その場から、一向に動こうとはしない。
「くっ、間に合って!」
走るのと同時に、エアーブラストを踏み込んでトルテの元へと急ぎ駆けつける。
しかしながら、敵はそれ以前に呪文詠唱を完了させていた。
首のない騎馬。頭部を失い空洞となった、その中から光速の鞭が飛び出しトルテの小さな身体を貫いた。
「トルテぇええええ――!!」
態勢を大きく崩す少女、彼女に張っていた薄膜のバリアは今の一撃で破壊されてしまった。
倒れ込みそうになる手前で、再度足の踏み込みを利かせ堪えるトルテ。
勿論、無傷では済まされない、肩口から結構な出血が見られる。
それでも彼女は辛うじて直撃を免れていた。
決して運が良いとか奇跡じみたものではない。
ごくごく当たり前のことでありながらも、非常に高度な技術のおかげでトルテは九死に一生を得たのだ。
片足を一歩後ろひくだけの極限の回避動作は、実際にやってみると容易なモノではない。
窮地においてはなおさらだ。
私も武術の経験者の端くれだ。その辺りは理解しているつもりだ。
先見の目と呼ばれる鍛錬を積み重ねてきた者だけが、到達する高みがあるという。
それはわずかな変化への気づき、直感により自身を守る天賦の才。
これまで、実在する能力なのかも疑わしかった。
それでも、トルテの戦い方を見ていると疑惑が確信に変わってくる。
不可能を可能する力は魔法だけに留まらず、武術にも通ずるものがあると――
致命傷は避けれても、トルテの置かれた状況は未だ芳しくない。
今度、叩き割ったはずのペイルライダーの身体から黒煙が流れ出し、瞬く間に辺り一帯に広がってゆく。
アレはかなり危険な瘴気だ!
浴びただけで、猛毒に侵され絶命する。
すぐさま、空糸・結束で縄を作りトルテの方に投げ渡す。
一瞬、手に取るのを躊躇う素振りをみせつつも断念したかのように舌打ちすると彼女。
なんとか、空糸の縄を握り締めてくれた。
瞬時に私の方へ引き寄せる。
間もなくして、黒煙に触れたアテリアルソルジャーたちが苦しみ始めた。
絶句してしまうほど、凄惨な光景だった……彼ら、ソルジャーたちは不死の魔物だ。
なのに、未だ苦しみから解放されず、眠りにつくことも許されない。
ペイルライダーにとっては、格下の魔物など都合の良い道具に過ぎないのだろう。
だからこそ、どんなに周りを巻き込んでも平気なのだろう。
混乱に乗じて傷ついた自身だけ修復し、再起する蒼騎士はまさに悪意の象徴だ。
「あんにゃろう――。復活しやがった、だったら今度は全身粉々に砕いてやる!」
「トルテ、落ち着いて! 闇雲に突っ込んでいっても、それだけではアイツを倒す事はできないわ。まずは、傷の手当を」
瘴気をさける為、私は彼女の手をひいて走った。
同時に背後から大きな物音が鳴った。
ほどなくして建屋の陰に身を潜めたが、トルテはつないだ手を振りほどきすぐ様、戦場に戻ろうとする。
何て聞き分けがない娘なんだ、これでは治療どころではない。
「今から作戦を立てよう。一人で戦うより二人してかかれば、勝機は充分にあるわ」
「んな、悠長なこと言ってられっか! いいか! ペイルライダーは俺様の獲物だ! 邪魔だけはすんなよ。いくら、ネェーちゃんでも許さねからなぁ!!」
「トルテ……いいえ、あなた誰なの?」
それまで興奮状態にあった彼女がその一言だけで急に大人しくなった。
「やっぱ、三度目は気づくか」と告げると含みを持たせながら口元を緩める。
少女らしからぬ仕草に、薄々と違和感を覚えていたがそういうことか……。
「俺様の名前はタタン。トルテの片割れで、アンタと同じ御使いだ」
「片割れ? それに御使いって……巫女の事なの?」
「ああ、そう言う奴もいるな。まあ、言い方はそれぞれってこった……俺様には使命がある、ペイルライダー討伐は俺様の独断でミノのオッサンから依頼を受けた。トルテは無関係だ、アイツには、こちらのワガママに付き合って貰っているだけだ、だからアイツを怒らないでくれ」
「タタン、あなたは?」
「魔性……そう呼ばれているモノが俺様の正体さ。本来ならば宿主のトルテに発現するはずだったんがな……神のきまぐれなのか何か知らんけど俺様とアイツは完全に別個体として活動している」
魔性、それは誰しもが抱えている心の闇。
自身の裏側の部分。
願望や本性など……。
これはアーカイブスの情報欄には記されていない、私個人の見解だ。
本来ならば、宿主と魔性は同一でないとならない。
トルテとタタンのケースは極めて異例で判断しかねるのだが……本当に、宿主と魔性が共存関係をとるのは有り得るのだろうか?
「人に質問するのは結構だがよー。俺様もネェーちゃんに訊きたい事があんだよ」
依然として、紫甲冑の包囲は解除されていない不利な状態。
ペイルライダーを迎え撃とうとするトルテは、それだけで手一杯なはずだ。
ソルジャー達まで相手にしている余裕もないと思う。
私にできるのは、彼女が集中して戦えるように露払いすることだ。
が……それだけで本当に充分なのか?
そもそも、ペイルライダーの実力からして未知数だ。
当然、クロムウェルアーカイブスを通してみても、ペイルライダーが不死体ではなく魔法生物であること以外は真っ当な情報が出てこない。
そんなにも、レアな魔物なんだろうか?
いけない、余計なことに気を回し過ぎだ。
「アース・オールスティングス!」
私が、優先して進めないといけないのは地中から無数の石柱を生み出し、天然のバリケードを築いてゆくことだけだ。
敵を殲滅できなくとも、進行を妨害する事で外部から介入させずに討伐するまでの時間を稼ぐ算段だ。
「はあぁああ――――!!」
馬上からランスを繰り出す蒼騎士。
その強烈な一撃をガリアブレ―ヴァがさばく。
一撃の重さにおいて、双方に大差はない。
勝敗は武器の性能だけでは左右されない。
先にダメージを与えても有利になるはずだ。
もっとも、魔法生物にダメージを蓄積させるような肉体が与えられているのかは謎だが……。
いずれにせよ。
戦いが長引けば長引くほど、戦局は持久力の高いペイルライダーの方へと傾いてくる。
そうなる前に、討ち取らなければこちら側が厳しくなる――――
再度、ランスとハンマーが交わる。
周囲に金属音が鳴り響き、突如として鉄鎚が炎を噴き上げた。
炎をまとう己が獲物をふり回しつつ、騎馬の方へ狙い定めるトルテ。
しかし、大振りすぎるのが災いし、ものの見事に回避されてしまった。
すぐさま、カウンターと言わんばかりの一突きが彼女に飛んでくる。
これに関しては、トルテの方が一枚上手だった。
彼女は、地面に突き立てたままのハンマーの柄を軸として、軽業師のように利き腕の力だけで全身を支える。
直後、騎馬の胸元めがけ痛烈な蹴り上げをかました。
俗にいうロケットキックという奴だ。
見かけとは比べ物にならないほど、蹴りの威力は凄まじかったらしい。
巨躯の馬がフラついて、尻込みしている。
絶好のチャンスだ。
助走をつけて跳躍し、蒼の騎士の頭上で身体一回転させたトルテ渾身の一撃が放たれる。
蒼騎士は咄嗟に防御姿勢を取る。
が、腕で頭部を庇うだけでは、重量があるガリアブレ―ヴァ止める事は不可能だ。
そのまま腕ごと、頭部を打ち砕かれてペイルライダーは落馬した。
「よしっ! 討伐完了だ」
地面に横たわる蒼白い騎士を見下ろしながら、ゆっくりと近づいていく。
そんな彼女に向かって私は叫んだ。
「近づいちゃダメだ!! 早く、後退して」
「ネェーちゃん?」
私の声は雨音で、完全にかき消されてしまっていた。
こちらの様子に気づきはしたものの、状況が飲み込めていない……その場から、一向に動こうとはしない。
「くっ、間に合って!」
走るのと同時に、エアーブラストを踏み込んでトルテの元へと急ぎ駆けつける。
しかしながら、敵はそれ以前に呪文詠唱を完了させていた。
首のない騎馬。頭部を失い空洞となった、その中から光速の鞭が飛び出しトルテの小さな身体を貫いた。
「トルテぇええええ――!!」
態勢を大きく崩す少女、彼女に張っていた薄膜のバリアは今の一撃で破壊されてしまった。
倒れ込みそうになる手前で、再度足の踏み込みを利かせ堪えるトルテ。
勿論、無傷では済まされない、肩口から結構な出血が見られる。
それでも彼女は辛うじて直撃を免れていた。
決して運が良いとか奇跡じみたものではない。
ごくごく当たり前のことでありながらも、非常に高度な技術のおかげでトルテは九死に一生を得たのだ。
片足を一歩後ろひくだけの極限の回避動作は、実際にやってみると容易なモノではない。
窮地においてはなおさらだ。
私も武術の経験者の端くれだ。その辺りは理解しているつもりだ。
先見の目と呼ばれる鍛錬を積み重ねてきた者だけが、到達する高みがあるという。
それはわずかな変化への気づき、直感により自身を守る天賦の才。
これまで、実在する能力なのかも疑わしかった。
それでも、トルテの戦い方を見ていると疑惑が確信に変わってくる。
不可能を可能する力は魔法だけに留まらず、武術にも通ずるものがあると――
致命傷は避けれても、トルテの置かれた状況は未だ芳しくない。
今度、叩き割ったはずのペイルライダーの身体から黒煙が流れ出し、瞬く間に辺り一帯に広がってゆく。
アレはかなり危険な瘴気だ!
浴びただけで、猛毒に侵され絶命する。
すぐさま、空糸・結束で縄を作りトルテの方に投げ渡す。
一瞬、手に取るのを躊躇う素振りをみせつつも断念したかのように舌打ちすると彼女。
なんとか、空糸の縄を握り締めてくれた。
瞬時に私の方へ引き寄せる。
間もなくして、黒煙に触れたアテリアルソルジャーたちが苦しみ始めた。
絶句してしまうほど、凄惨な光景だった……彼ら、ソルジャーたちは不死の魔物だ。
なのに、未だ苦しみから解放されず、眠りにつくことも許されない。
ペイルライダーにとっては、格下の魔物など都合の良い道具に過ぎないのだろう。
だからこそ、どんなに周りを巻き込んでも平気なのだろう。
混乱に乗じて傷ついた自身だけ修復し、再起する蒼騎士はまさに悪意の象徴だ。
「あんにゃろう――。復活しやがった、だったら今度は全身粉々に砕いてやる!」
「トルテ、落ち着いて! 闇雲に突っ込んでいっても、それだけではアイツを倒す事はできないわ。まずは、傷の手当を」
瘴気をさける為、私は彼女の手をひいて走った。
同時に背後から大きな物音が鳴った。
ほどなくして建屋の陰に身を潜めたが、トルテはつないだ手を振りほどきすぐ様、戦場に戻ろうとする。
何て聞き分けがない娘なんだ、これでは治療どころではない。
「今から作戦を立てよう。一人で戦うより二人してかかれば、勝機は充分にあるわ」
「んな、悠長なこと言ってられっか! いいか! ペイルライダーは俺様の獲物だ! 邪魔だけはすんなよ。いくら、ネェーちゃんでも許さねからなぁ!!」
「トルテ……いいえ、あなた誰なの?」
それまで興奮状態にあった彼女がその一言だけで急に大人しくなった。
「やっぱ、三度目は気づくか」と告げると含みを持たせながら口元を緩める。
少女らしからぬ仕草に、薄々と違和感を覚えていたがそういうことか……。
「俺様の名前はタタン。トルテの片割れで、アンタと同じ御使いだ」
「片割れ? それに御使いって……巫女の事なの?」
「ああ、そう言う奴もいるな。まあ、言い方はそれぞれってこった……俺様には使命がある、ペイルライダー討伐は俺様の独断でミノのオッサンから依頼を受けた。トルテは無関係だ、アイツには、こちらのワガママに付き合って貰っているだけだ、だからアイツを怒らないでくれ」
「タタン、あなたは?」
「魔性……そう呼ばれているモノが俺様の正体さ。本来ならば宿主のトルテに発現するはずだったんがな……神のきまぐれなのか何か知らんけど俺様とアイツは完全に別個体として活動している」
魔性、それは誰しもが抱えている心の闇。
自身の裏側の部分。
願望や本性など……。
これはアーカイブスの情報欄には記されていない、私個人の見解だ。
本来ならば、宿主と魔性は同一でないとならない。
トルテとタタンのケースは極めて異例で判断しかねるのだが……本当に、宿主と魔性が共存関係をとるのは有り得るのだろうか?
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