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幻影抱く灰色の都
雨垂れ石を穿つ
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ペイルライダーと再戦を果たす為、襲撃を受けた場所に戻ってきた。
雨の勢いは変わらず、荒々しいが風のバリア、ウインドコートの効力は未だに健在だ。
あれ程、凄まじい行軍があったのにも関わらず住居区内は、妙な静けさに包まれていた。
一体、マテリアルソルジャーたちは何処に消えてしまったのだろうか?
周囲を見渡しても、影も形もなく痕跡すら雨に流され残っていない。
そういえば、ミノさんたちはあれからどうなってしまったのか?
ソルジャーたちと同様、姿が見当たらない。
脳裏にふと嫌な光景が浮かぶ。
よもや、あの二人は奴らに捕まってしまったのではないかと……。
縁起でもない事だと頭を横に振るう。
これ以上は考えるだけ悪い方向に進んでしまうようだ、自重しておこう。
よく、探し物をしている時に限り、不要な物を見つけてしまう事がある。
感覚としては、ソレに近い。
これも因果律の賜物なのか実に非肉が効いている。
よりにもよって男衆を見つけ出すまえに、ペイルライダーの姿を目撃してしまった。
なるべく目立たないように近場の石柱の陰に身を潜める。
先に発見した場合は、不意打ちでやり返してやる事に決定している。
幸い、ここからだと奴の動きがよく見える。
攻撃するならこちらに背を向けたその時だ。
今だ――――!!
ペイルライダーの隙を見計らい土魔法ダイアミサイルを六発、一斉に発射した。
「狙いも速度も申し分ない、これなら必ず直――光の壁!?」
ペイルライダーの背中に着弾する寸前で光属性の防御魔法が発動した。
次々と壁に弾き飛ばされるダイヤミサイル。
ライダーによる仕業ではない。
おそらく、やったのは騎馬の方だ。
これで確信に至った、あの騎馬は聖法が使える。
騎士と騎馬、ペイルライダーという脅威は二体で一組の魔物となる。
これでは、正攻法で挑めば挑むほど勝ち目は薄くなる。
まったく、騎士の恰好をしているくせに騎士道精神の欠片すらないとは、とんだ食わせ者だ。
私に気づいた騎馬がゆっくりと身を翻した。
こちら様子を警戒して見据えているようだが、今にも走り込んできそうな怖さがある。
此処まで走って来れるか? どうかはペイルライダー次第だ――それよりも、既に余裕はないと思う。
いつまで、よそ見をしているんだ? この魔物たちは。
「うらぁあ――しゃぁあああ!!」
ガリアブレ―ヴァのスイングが容赦なく蒼騎士の脇腹を穿つ。
ランスでの防御が追いつかない。
ならば、頼みの綱は騎馬の機動力だと回避行動にでるが、タタンとの距離感は一向に変わらない。
それもそのはず、騎馬を所持しているのは何もペイルライダーだけではない。
こちらにも、高機動力を誇る銀の騎馬がある。
銀の一角獣、シルバーブレット。
ディザスターワーウルフとの闘いで活躍した幻獣は、その背中に少女を乗せたまま悠然と首なし騎馬に飛び掛かっていた。
跳弾のごとき、その脚力により危うく落馬しそうになる蒼騎士。
辛うじて騎馬の方が体勢を崩さないように踏ん張りを利かせている始末だ。
もはや、騎馬戦による力の差は歴然だった。
それでも、油断は禁物。
深手を負っていても魔法生物である騎士は、止まることなく反撃に打って出ようとしている。
ランスを天にかかげるモーション、見ただけでは恰好つけているようにしか見えない。
魔力の流れを追跡すればどのような魔法を使用しようとしているのか? 判別はつく。
しかし、現状ではマジックジャマーの雨に阻害され追うことができない。
タタンを乗せたシルバーブレットが、背後に跳躍し敵と距離を置いた。
判断自体は特に間違ってはいない。
得体の知れない魔法には、近づかない方が身の安全になる。
「嘘でしょ!?」
天に向かって構えられたランスを注意深く観察していると、魔力に類似した力の流れを微かに感じ取った。
それは、天から降りてくる災い。
降雨によってもたらされた大量の雨水が魔力を吸収し、バラけていた水分は何百ヶ所にも渡り集合することで、それぞれが槍の形を象ってゆく。
頭上から迫ってくる水属性魔法のオールレンジ攻撃。
通常の魔法では到底考えられないほどの複雑で緻密な性能。
降り注いでくる水の槍を回避するのはほぼ不可能に近い。
「フレイムウォール――!!」
急いで、タタンたちの元へと駆けより、私は巨大な炎の壁を形成した。
無数に飛来してくる水槍をすべて防ぐにはそれだけは足らず、空かさず迎撃用のブレイズガードナーを発動させる。が……所詮、付け焼刃。
以前、ゾイが使用した魔法の見様見真似にすぎない。
彼女のように手足を動かす要領で火球をコントロールしようとしても、風をコントロールするのとは、わけが違う。
水槍は数の暴力でフレイムウォールを貫通してくる。
せめて、あと一枚でも魔法障壁があれば……この状況を打開できるのに!
歯をくいしばる私の間近で、シルバーブレットの角が淡く輝き始めた。
まるで、私の願いに呼応するかのごとく、光は徐々に強くなり目を開けていられないほど眩しくなっていった。
周囲の空気が暖かい……そう思い閉じた、まぶたを開く。
視界に映ったのは、私達を囲うようにして出来たドーム状の光の繭だった。
繭は、尚も続く敵の弾幕から私達を守ってくれていた。
これならイケる!!
ブレイズガードナーとウインドコートを解除し、私は風属性同士のダブルキャストを唱え、風属性中位魔法チェイスストームを生み出す。
小さな風が螺旋を描き瞬く間に、特大のうねりとなり天へと上昇していく。
さらに崩れかけていたフレイムウォールを吸収した竜巻は炎の鎧を身にまとい、変質してゆく。
超級魔法インフェルノテンペスト。
天空をも焼き尽くす、この特大火炎竜巻は周囲を移動しながら、ありとあらゆる物質を巻き込み消し炭すら残らない状態にする悪質極まりない魔法だ。
正直、こればかりは使用する事はないと考えていた。
けれど、今回は事態が事態だ。
串刺しになる前にすべての水槍を消し飛ばしておかないと。
「これで! 終息させる」
遥か上空で爆発音が轟く。
直後、熱風が地上に吹き抜け熱線が降り注いできた。
幾ら一瞬だけの自然現象だとしても、ここで人々が暮らしていたら地上は阿鼻叫喚地獄と化す。
三秒ルールを用いても、この様。
本当に厄介な魔法だ。
制御ができなれば自分達が被害を受ける事だって充分に在り得るだろう。
ゆえに、ペイルライダーの凶悪な攻撃など容易に退け、この辺り一帯は雨も降らせられないほどに空気中の水分すべてが、蒸気化してしまっている。
散り散りになる蒸気に向こうから人型の陰が見えた……次第に明白になる蒼騎士の姿は、ちっとも変りない。
魔法生物とっては、気温の変化などあってないに等しい。
ただ、下馬しているのは意外だった。
それもそのはず、彼の愛馬は近場で横倒れぐったりとしていた。
首がない部分から雪のように真っ白な何かがはみ出している。
一目見て、臓物でも飛び出ているのかと慌てたけれど、よくよく目を凝らしてみると人の上半身のようだ。
もっと正確に言えば血の気の通わない人形のような、アンデッドの肉体。
大方ずっと、騎馬の内部に隠れていたのであろう。
魔物は天からの熱気により、外へと脱出できないまま蒸し焼きにされたらしい。
皮膚がただれて見るも無残になっている。
ゼィゼィと息を切らせて悶え苦しむ様子は、海岸に打ち上げられた魚同然だ。
これまで正々堂々と戦うのを捨て、狡猾に暗躍してきたツケが回ってきたに違いない。
雨の勢いは変わらず、荒々しいが風のバリア、ウインドコートの効力は未だに健在だ。
あれ程、凄まじい行軍があったのにも関わらず住居区内は、妙な静けさに包まれていた。
一体、マテリアルソルジャーたちは何処に消えてしまったのだろうか?
周囲を見渡しても、影も形もなく痕跡すら雨に流され残っていない。
そういえば、ミノさんたちはあれからどうなってしまったのか?
ソルジャーたちと同様、姿が見当たらない。
脳裏にふと嫌な光景が浮かぶ。
よもや、あの二人は奴らに捕まってしまったのではないかと……。
縁起でもない事だと頭を横に振るう。
これ以上は考えるだけ悪い方向に進んでしまうようだ、自重しておこう。
よく、探し物をしている時に限り、不要な物を見つけてしまう事がある。
感覚としては、ソレに近い。
これも因果律の賜物なのか実に非肉が効いている。
よりにもよって男衆を見つけ出すまえに、ペイルライダーの姿を目撃してしまった。
なるべく目立たないように近場の石柱の陰に身を潜める。
先に発見した場合は、不意打ちでやり返してやる事に決定している。
幸い、ここからだと奴の動きがよく見える。
攻撃するならこちらに背を向けたその時だ。
今だ――――!!
ペイルライダーの隙を見計らい土魔法ダイアミサイルを六発、一斉に発射した。
「狙いも速度も申し分ない、これなら必ず直――光の壁!?」
ペイルライダーの背中に着弾する寸前で光属性の防御魔法が発動した。
次々と壁に弾き飛ばされるダイヤミサイル。
ライダーによる仕業ではない。
おそらく、やったのは騎馬の方だ。
これで確信に至った、あの騎馬は聖法が使える。
騎士と騎馬、ペイルライダーという脅威は二体で一組の魔物となる。
これでは、正攻法で挑めば挑むほど勝ち目は薄くなる。
まったく、騎士の恰好をしているくせに騎士道精神の欠片すらないとは、とんだ食わせ者だ。
私に気づいた騎馬がゆっくりと身を翻した。
こちら様子を警戒して見据えているようだが、今にも走り込んできそうな怖さがある。
此処まで走って来れるか? どうかはペイルライダー次第だ――それよりも、既に余裕はないと思う。
いつまで、よそ見をしているんだ? この魔物たちは。
「うらぁあ――しゃぁあああ!!」
ガリアブレ―ヴァのスイングが容赦なく蒼騎士の脇腹を穿つ。
ランスでの防御が追いつかない。
ならば、頼みの綱は騎馬の機動力だと回避行動にでるが、タタンとの距離感は一向に変わらない。
それもそのはず、騎馬を所持しているのは何もペイルライダーだけではない。
こちらにも、高機動力を誇る銀の騎馬がある。
銀の一角獣、シルバーブレット。
ディザスターワーウルフとの闘いで活躍した幻獣は、その背中に少女を乗せたまま悠然と首なし騎馬に飛び掛かっていた。
跳弾のごとき、その脚力により危うく落馬しそうになる蒼騎士。
辛うじて騎馬の方が体勢を崩さないように踏ん張りを利かせている始末だ。
もはや、騎馬戦による力の差は歴然だった。
それでも、油断は禁物。
深手を負っていても魔法生物である騎士は、止まることなく反撃に打って出ようとしている。
ランスを天にかかげるモーション、見ただけでは恰好つけているようにしか見えない。
魔力の流れを追跡すればどのような魔法を使用しようとしているのか? 判別はつく。
しかし、現状ではマジックジャマーの雨に阻害され追うことができない。
タタンを乗せたシルバーブレットが、背後に跳躍し敵と距離を置いた。
判断自体は特に間違ってはいない。
得体の知れない魔法には、近づかない方が身の安全になる。
「嘘でしょ!?」
天に向かって構えられたランスを注意深く観察していると、魔力に類似した力の流れを微かに感じ取った。
それは、天から降りてくる災い。
降雨によってもたらされた大量の雨水が魔力を吸収し、バラけていた水分は何百ヶ所にも渡り集合することで、それぞれが槍の形を象ってゆく。
頭上から迫ってくる水属性魔法のオールレンジ攻撃。
通常の魔法では到底考えられないほどの複雑で緻密な性能。
降り注いでくる水の槍を回避するのはほぼ不可能に近い。
「フレイムウォール――!!」
急いで、タタンたちの元へと駆けより、私は巨大な炎の壁を形成した。
無数に飛来してくる水槍をすべて防ぐにはそれだけは足らず、空かさず迎撃用のブレイズガードナーを発動させる。が……所詮、付け焼刃。
以前、ゾイが使用した魔法の見様見真似にすぎない。
彼女のように手足を動かす要領で火球をコントロールしようとしても、風をコントロールするのとは、わけが違う。
水槍は数の暴力でフレイムウォールを貫通してくる。
せめて、あと一枚でも魔法障壁があれば……この状況を打開できるのに!
歯をくいしばる私の間近で、シルバーブレットの角が淡く輝き始めた。
まるで、私の願いに呼応するかのごとく、光は徐々に強くなり目を開けていられないほど眩しくなっていった。
周囲の空気が暖かい……そう思い閉じた、まぶたを開く。
視界に映ったのは、私達を囲うようにして出来たドーム状の光の繭だった。
繭は、尚も続く敵の弾幕から私達を守ってくれていた。
これならイケる!!
ブレイズガードナーとウインドコートを解除し、私は風属性同士のダブルキャストを唱え、風属性中位魔法チェイスストームを生み出す。
小さな風が螺旋を描き瞬く間に、特大のうねりとなり天へと上昇していく。
さらに崩れかけていたフレイムウォールを吸収した竜巻は炎の鎧を身にまとい、変質してゆく。
超級魔法インフェルノテンペスト。
天空をも焼き尽くす、この特大火炎竜巻は周囲を移動しながら、ありとあらゆる物質を巻き込み消し炭すら残らない状態にする悪質極まりない魔法だ。
正直、こればかりは使用する事はないと考えていた。
けれど、今回は事態が事態だ。
串刺しになる前にすべての水槍を消し飛ばしておかないと。
「これで! 終息させる」
遥か上空で爆発音が轟く。
直後、熱風が地上に吹き抜け熱線が降り注いできた。
幾ら一瞬だけの自然現象だとしても、ここで人々が暮らしていたら地上は阿鼻叫喚地獄と化す。
三秒ルールを用いても、この様。
本当に厄介な魔法だ。
制御ができなれば自分達が被害を受ける事だって充分に在り得るだろう。
ゆえに、ペイルライダーの凶悪な攻撃など容易に退け、この辺り一帯は雨も降らせられないほどに空気中の水分すべてが、蒸気化してしまっている。
散り散りになる蒸気に向こうから人型の陰が見えた……次第に明白になる蒼騎士の姿は、ちっとも変りない。
魔法生物とっては、気温の変化などあってないに等しい。
ただ、下馬しているのは意外だった。
それもそのはず、彼の愛馬は近場で横倒れぐったりとしていた。
首がない部分から雪のように真っ白な何かがはみ出している。
一目見て、臓物でも飛び出ているのかと慌てたけれど、よくよく目を凝らしてみると人の上半身のようだ。
もっと正確に言えば血の気の通わない人形のような、アンデッドの肉体。
大方ずっと、騎馬の内部に隠れていたのであろう。
魔物は天からの熱気により、外へと脱出できないまま蒸し焼きにされたらしい。
皮膚がただれて見るも無残になっている。
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