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自由へのゴング
14話 空転する偽証
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「フン」早速、愚者の進言に鼻を鳴らす者が出てきた。
カツコツと、手持ちの杖を床に打ち鳴らし続ける。
闇の中、蛍光色に染まった眼光が浮かび上がる。
ワカモトさんだった……魔力を消耗しながらも、心のリーダーは夜行性動物のように瞳を滾らせていた。
「わたしゃ、知っているんよ。さっちゃんは、いつも人の悪口ばかり言っているけど本当は寂しがり屋さんで、誰も傷つけられない優しい子だってね」
「はあああ? ババア、何を寝惚けたこと言ってんだ!? 誰がいつ、寂しがっていたんだよ? コイツは無能で目障りだから、追い出すんだよ!!」
ワカモトさんが、さびしんぼうを諭そうと試みる。
差し出された手に戸惑う、さっちゃん。
こんなに人に気にかけてもらっても……なかなか素直になれない自分に葛藤する様はいとおかし。
「この野郎! 適当な語り入れてんじゃねぇぞ。それに僕のことを、さっちゃん呼びにしやがって。マイト、お前だけは許さんからな。あとで消し炭にしてやる!!」
「さっちゃん。これ以上、マイトちゃんに嫉妬するのはおやめ!」
「嫉妬だぁ? 僕が、スキルブックもまともに扱えないコイツに妬く理由があるわけないだろっ? それに、リンもシャルターナも、このクズのポイント補正が目当てで親しくしているにすぎない。そうだろう? なぁ?」
サトランが呼び掛けると女子二人は罰の悪そうな顔をしていた。
俺が視線を合わせようとすると、ゴキブリを素足で踏んでしまった時のように凄惨な表情をしていた。
知っていたさ……あの眩いばかりの笑顔は、俺ではなく低ランカー特典補正に向けられていたことを。
「ババアの戯言かもしれんけど、さっちゃんは人より劣る人間がキライなのかい?」
「当たり前だ。弱者くせに文句だけは一丁前、そのくせ肝心な時に役に立たないんだ。そんなのをどう好きになればいいんだ?」
「じゃあ、さっちゃん自身がより優れた人間から必要ないと言われたらどうすんだい? 素直に受け入れて、パーチィーから出ていくのかい?」
「僕が、そんなヘマをやらかすわけないだろう。そもそも僕より強い相手とは、組むつもりはない!」
「いいかい、人というのはね。自分とかけ離れたモノに対して客観視してしまうものなんだよ。富、名誉、権力どれも手に入れている大富豪相手に憎いとは思わないだろう。せいぜい、羨ましいがるのが関の山さ。対抗心を燃やすのは決まって、自身と比較できる存在だけだよ」
「この価値のない男を僕がライバル視しているとでも言うのか? 笑わせてくれる、あり得ないだろう!!」
あり得ないのはこちらも同感だ。
いつまで、婆さんとイチャついているつもりだ。
というか、二人して勝手に俺のことを語っているけど、余計なお世話だ。
お前たちが長々と話すせいで、俺たちの発言回数が減るのを忘れているんじゃないか?
「そうかい。残念だよ、わたしゃ、二人とも救ってやりたかったけど……さっちゃん、マイトちゃん、お前さんたちはもう不要だよ。あと、そこでのびている熊男もさね」
「待ってくれ、ワカモトさん。サトランの奴はともかく、どうして俺まで追い出すんだよ!? これでもポイント稼ぎには貢献してきたつもりだ」
「ドギュゥゥゥ―――ン!! あんたが、ドスケベだからさ!」
ファファファのファ―――――――――――!!!
シワだらけの顔をさらに満面の笑みでクシャクシャにしてくる。
せっかく、下手に出たのに、この婆さん容赦なしかよ!
単に追放ムーブをかましたかったんじゃないの!?
追放されるなら、せめて性癖以外の理由にして欲しいんだよ! こっちは。
でなければ、俺がこのパーティーに加入してきたこと自体、さして必要のないことになるのだが…………。
「ついにボケてしまったか……リーダーは僕だ! メンバーをどうするかは、僕の裁量にかかっているんだ。そういう事でバアアの方こそ追放だ。それで良いよな? 二人とも!!」
「悪い……サトラン、マイトをクビにするなら、アンタもついて行けないかな?」申しわけなさそうに頭を下げるリン。
「私は最初から貴方のことはキライでしたよ~、サトランさん。なんかー、ジメジメしていて生理的に合わないんです」シャルなどは、これで最後だからと言いたい事ばかり笑顔で言ってきやがる。
「ハハッ、お前らぁぁああああ!! 僕が面倒を見てやったのを忘れたのか!? 恩を仇で返すだと? ――――こんなババアに手名づけられやがって!! 覚えていろよ、僕を追放したことを後悔させてやる!!」
ホント、お前……どこまで反省しないつもりなんだよ、サトラン。
カツコツと、手持ちの杖を床に打ち鳴らし続ける。
闇の中、蛍光色に染まった眼光が浮かび上がる。
ワカモトさんだった……魔力を消耗しながらも、心のリーダーは夜行性動物のように瞳を滾らせていた。
「わたしゃ、知っているんよ。さっちゃんは、いつも人の悪口ばかり言っているけど本当は寂しがり屋さんで、誰も傷つけられない優しい子だってね」
「はあああ? ババア、何を寝惚けたこと言ってんだ!? 誰がいつ、寂しがっていたんだよ? コイツは無能で目障りだから、追い出すんだよ!!」
ワカモトさんが、さびしんぼうを諭そうと試みる。
差し出された手に戸惑う、さっちゃん。
こんなに人に気にかけてもらっても……なかなか素直になれない自分に葛藤する様はいとおかし。
「この野郎! 適当な語り入れてんじゃねぇぞ。それに僕のことを、さっちゃん呼びにしやがって。マイト、お前だけは許さんからな。あとで消し炭にしてやる!!」
「さっちゃん。これ以上、マイトちゃんに嫉妬するのはおやめ!」
「嫉妬だぁ? 僕が、スキルブックもまともに扱えないコイツに妬く理由があるわけないだろっ? それに、リンもシャルターナも、このクズのポイント補正が目当てで親しくしているにすぎない。そうだろう? なぁ?」
サトランが呼び掛けると女子二人は罰の悪そうな顔をしていた。
俺が視線を合わせようとすると、ゴキブリを素足で踏んでしまった時のように凄惨な表情をしていた。
知っていたさ……あの眩いばかりの笑顔は、俺ではなく低ランカー特典補正に向けられていたことを。
「ババアの戯言かもしれんけど、さっちゃんは人より劣る人間がキライなのかい?」
「当たり前だ。弱者くせに文句だけは一丁前、そのくせ肝心な時に役に立たないんだ。そんなのをどう好きになればいいんだ?」
「じゃあ、さっちゃん自身がより優れた人間から必要ないと言われたらどうすんだい? 素直に受け入れて、パーチィーから出ていくのかい?」
「僕が、そんなヘマをやらかすわけないだろう。そもそも僕より強い相手とは、組むつもりはない!」
「いいかい、人というのはね。自分とかけ離れたモノに対して客観視してしまうものなんだよ。富、名誉、権力どれも手に入れている大富豪相手に憎いとは思わないだろう。せいぜい、羨ましいがるのが関の山さ。対抗心を燃やすのは決まって、自身と比較できる存在だけだよ」
「この価値のない男を僕がライバル視しているとでも言うのか? 笑わせてくれる、あり得ないだろう!!」
あり得ないのはこちらも同感だ。
いつまで、婆さんとイチャついているつもりだ。
というか、二人して勝手に俺のことを語っているけど、余計なお世話だ。
お前たちが長々と話すせいで、俺たちの発言回数が減るのを忘れているんじゃないか?
「そうかい。残念だよ、わたしゃ、二人とも救ってやりたかったけど……さっちゃん、マイトちゃん、お前さんたちはもう不要だよ。あと、そこでのびている熊男もさね」
「待ってくれ、ワカモトさん。サトランの奴はともかく、どうして俺まで追い出すんだよ!? これでもポイント稼ぎには貢献してきたつもりだ」
「ドギュゥゥゥ―――ン!! あんたが、ドスケベだからさ!」
ファファファのファ―――――――――――!!!
シワだらけの顔をさらに満面の笑みでクシャクシャにしてくる。
せっかく、下手に出たのに、この婆さん容赦なしかよ!
単に追放ムーブをかましたかったんじゃないの!?
追放されるなら、せめて性癖以外の理由にして欲しいんだよ! こっちは。
でなければ、俺がこのパーティーに加入してきたこと自体、さして必要のないことになるのだが…………。
「ついにボケてしまったか……リーダーは僕だ! メンバーをどうするかは、僕の裁量にかかっているんだ。そういう事でバアアの方こそ追放だ。それで良いよな? 二人とも!!」
「悪い……サトラン、マイトをクビにするなら、アンタもついて行けないかな?」申しわけなさそうに頭を下げるリン。
「私は最初から貴方のことはキライでしたよ~、サトランさん。なんかー、ジメジメしていて生理的に合わないんです」シャルなどは、これで最後だからと言いたい事ばかり笑顔で言ってきやがる。
「ハハッ、お前らぁぁああああ!! 僕が面倒を見てやったのを忘れたのか!? 恩を仇で返すだと? ――――こんなババアに手名づけられやがって!! 覚えていろよ、僕を追放したことを後悔させてやる!!」
ホント、お前……どこまで反省しないつもりなんだよ、サトラン。
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