問答無用!でランキングブレイカー!! ースキル、グラビアこそ最強最高ですー

心絵マシテ

文字の大きさ
14 / 122
自由へのゴング

14話 空転する偽証

しおりを挟む
「フン」早速、愚者の進言に鼻を鳴らす者が出てきた。

 カツコツと、手持ちの杖を床に打ち鳴らし続ける。
 闇の中、蛍光色に染まった眼光が浮かび上がる。
 ワカモトさんだった……魔力を消耗しながらも、心のリーダーは夜行性動物のように瞳を滾らせていた。

「わたしゃ、知っているんよ。さっちゃんは、いつも人の悪口ばかり言っているけど本当は寂しがり屋さんで、誰も傷つけられない優しい子だってね」

「はあああ? ババア、何を寝惚けたこと言ってんだ!? 誰がいつ、寂しがっていたんだよ? コイツは無能で目障りだから、追い出すんだよ!!」

 ワカモトさんが、さびしんぼうを諭そうと試みる。
 差し出された手に戸惑う、さっちゃん。
 こんなに人に気にかけてもらっても……なかなか素直になれない自分に葛藤かっとうする様はいとおかし。

「この野郎! 適当な語り入れてんじゃねぇぞ。それに僕のことを、さっちゃん呼びにしやがって。マイト、お前だけは許さんからな。あとで消し炭にしてやる!!」

「さっちゃん。これ以上、マイトちゃんに嫉妬するのはおやめ!」

「嫉妬だぁ? 僕が、スキルブックもまともに扱えないコイツに妬く理由があるわけないだろっ? それに、リンもシャルターナも、このクズのポイント補正が目当てで親しくしているにすぎない。そうだろう? なぁ?」

 サトランが呼び掛けると女子二人は罰の悪そうな顔をしていた。
 俺が視線を合わせようとすると、ゴキブリを素足で踏んでしまった時のように凄惨な表情をしていた。
 知っていたさ……あの眩いばかりの笑顔は、俺ではなく低ランカー特典補正に向けられていたことを。

「ババアの戯言かもしれんけど、さっちゃんは人より劣る人間がキライなのかい?」

「当たり前だ。弱者くせに文句だけは一丁前、そのくせ肝心な時に役に立たないんだ。そんなのをどう好きになればいいんだ?」

「じゃあ、さっちゃん自身がより優れた人間から必要ないと言われたらどうすんだい? 素直に受け入れて、パーチィーから出ていくのかい?」

「僕が、そんなヘマをやらかすわけないだろう。そもそも僕より強い相手とは、組むつもりはない!」

「いいかい、人というのはね。自分とかけ離れたモノに対して客観視してしまうものなんだよ。富、名誉、権力どれも手に入れている大富豪相手にとは思わないだろう。せいぜい、羨ましいがるのが関の山さ。対抗心を燃やすのは決まって、自身と比較できる存在だけだよ」

「この価値のない男を僕がライバル視しているとでも言うのか? 笑わせてくれる、あり得ないだろう!!」

 あり得ないのはこちらも同感だ。
 いつまで、婆さんとイチャついているつもりだ。
 というか、二人して勝手に俺のことを語っているけど、余計なお世話だ。
 お前たちが長々と話すせいで、俺たちの発言回数が減るのを忘れているんじゃないか?

「そうかい。残念だよ、わたしゃ、二人とも救ってやりたかったけど……さっちゃん、マイトちゃん、お前さんたちはもう不要だよ。あと、そこでのびている熊男もさね」

「待ってくれ、ワカモトさん。サトランの奴はともかく、どうして俺まで追い出すんだよ!? これでもポイント稼ぎには貢献してきたつもりだ」

「ドギュゥゥゥ―――ン!! あんたが、ドスケベだからさ!」


 ファファファのファ―――――――――――!!!

 シワだらけの顔をさらに満面の笑みでクシャクシャにしてくる。
 せっかく、下手に出たのに、この婆さん容赦なしかよ!
 単に追放ムーブをかましたかったんじゃないの!?
 追放されるなら、せめて性癖以外の理由にして欲しいんだよ! こっちは。
 でなければ、俺がこのパーティーに加入してきたこと自体、さして必要のないことになるのだが…………。

「ついにボケてしまったか……リーダーは僕だ! メンバーをどうするかは、僕の裁量にかかっているんだ。そういう事でバアアの方こそ追放だ。それで良いよな? 二人とも!!」

「悪い……サトラン、マイトをクビにするなら、アンタもついて行けないかな?」申しわけなさそうに頭を下げるリン。

「私は最初から貴方のことはキライでしたよ~、サトランさん。なんかー、ジメジメしていて生理的に合わないんです」シャルなどは、これで最後だからと言いたい事ばかり笑顔で言ってきやがる。

「ハハッ、お前らぁぁああああ!! 僕が面倒を見てやったのを忘れたのか!? 恩を仇で返すだと? ――――こんなババアに手名づけられやがって!! 覚えていろよ、僕を追放したことを後悔させてやる!!」

 ホント、お前……どこまで反省しないつもりなんだよ、サトラン。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おいでよ!死にゲーの森~異世界転生したら地獄のような死にゲーファンタジー世界だったが俺のステータスとスキルだけがスローライフゲーム仕様

あけちともあき
ファンタジー
上澄タマルは過労死した。 死に際にスローライフを夢見た彼が目覚めた時、そこはファンタジー世界だった。 「異世界転生……!? 俺のスローライフの夢が叶うのか!」 だが、その世界はダークファンタジーばりばり。 人々が争い、魔が跳梁跋扈し、天はかき曇り地は荒れ果て、死と滅びがすぐ隣りにあるような地獄だった。 こんな世界でタマルが手にしたスキルは、スローライフ。 あらゆる環境でスローライフを敢行するためのスキルである。 ダンジョンを採掘して素材を得、毒沼を干拓して畑にし、モンスターを捕獲して飼いならす。 死にゲー世界よ、これがほんわかスローライフの力だ! タマルを異世界に呼び込んだ謎の神ヌキチータ。 様々な道具を売ってくれ、何でも買い取ってくれる怪しい双子の魔人が経営する店。 世界の異形をコレクションし、タマルのゲットしたモンスターやアイテムたちを寄付できる博物館。 地獄のような世界をスローライフで侵食しながら、タマルのドキドキワクワクの日常が始まる。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

処理中です...