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恋するコペルニクス
25話 共闘宣言
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顔を合わせれば、即座にいがみ合い。
この二人は、いつからこうなってしまったのか?
当事者でもない俺に分かるわけもなく、両者の口論を静観する羽目になってしまった。
強いて言うならば、原因を作ったのはグゼンのほうだ。
日頃から、リンやシャルばかり贔屓にして、高齢のワカモトさんをないがしろにしていたのは、何度も見かけた。
険しい道を歩く時でさえ、グゼンはあの二人の荷物しかもたなかったし、料理の献立も彼女たちのリクエストに従って決めていたのも事実だ。
ワカモトさんが脂っぽい物が食べられないのに、グゼンは何も配慮しなかった。
かなり酷い仕打ちにワカモトさんはよく耐えてきたと思う。
年齢など関係なく彼女も女性だ。そんな差別を受けて良い気はしないだろうに。
グゼンが悪い。
そう決めつけるのは簡単だ。
けど、俺にはアイツを責める資格などない。
お荷物扱いされて俺も、自分のことで頭がいっぱいだった。
いつ、パーティーから切り離されるのかと考えると気が気でなかった。
他人を気に掛ける余裕など、どこにもなかった。
今でも、そうだが俺にランキングシステムは適応されていない。
何をどうしても自力で強くなることなどできやしない。
こうして、誰かと行動を共にしなければ日銭を稼ぐことすらままならない。
俺はあまりにも非力だった。
そんな出来損ない冒険者を雇ってくれるのは、訳ありだらけの奴らだけだ。
このパーティー、デュアル・ゴースティングに加入した時も、怪しいと薄々、感じていた。
脱法なのは分かっていた。
だとしてもルールに沿った生き方では、まともな生活は送れない。
気づけば、同業者キラーの仲間として罪を重ねていた。
挙句、賞金首としてドミネーションズから付け狙われている。
後ろめたさがないと言えば、嘘になる。
それでも、今回のようにパーティーが分裂することがなかったら、俺はこの仕事を続けていた。
まっとうな仕事など、いくら頼んでも誰一人、斡旋してくれない。
話がそれたが……俺自身もワカモトさんに手を差し伸べることすらしてこなかった側の人間だ。
どこかしら、互いに警戒していた所もあったし、必要以上に感情移入をしてしまうことへの恐れもあった。
付かず、離れずの適度な距離感。
それこそが、俺の冒険者としてモットー、処世術だ。
「アンタに助けてもらうぐらいなら、わたしゃ一人で行くよ。アンタと一緒にいるだけで穢れがうつる」
「別に婆のことなんざ、どうでも良いんだよ。俺が心配しているのは、捕まった二人のことだけだ!」
「なんだってー! このケダモノが。あの子たちも、アンタが来るのは望んでいないんだよ。いい加減、自分が抱かれたくない男、ランキングで殿堂入りしていること自覚しなっ」
「こ、この……言わせておけば!」
パァーン!! 力強く、合掌した音が周囲に響いた。
俺が鳴らした、不意をつく音にグゼンとワカモトさんは眉を吊り上げ、口論を中断していた。
「二人とも、このまま喧嘩を続けている場合か? こうしている間にも、時間は過ぎているんだ。あの二人が牢獄にぶち込まれたら、それこそ救出する術を失うぞ」
本意ではないが仕方ない。
俺は、二人の仲裁に入った。
すぐさま、ワカモトさんと目が合うと強い口調が俺へと向かって飛んできた。
「けれど、マイトちゃん……アンタは手を貸してくれないんだろう?」
「確かに、パーティーとして行動できないとは言ったよ。でも、あの二人を見捨てるとは一言も言っていないはずだが?」
「なら、単独でシャルちゃんたちを救おうとでも言うのかい? それこそ、無謀さねぇ。だったら、皆で力を合わせて動いたほうが正解だと、わたしゃ思うよ」
「そもそも、ワカモトさんはポイント稼ぎ要員でしかない俺に何を期待しているんだ? 俺が戦闘で役立てるのは、せいぜい壁役か、囮くらいだ……まさかとは思うけど、俺を犠牲にして彼女たちを……」
「――――なんてこと言うんだい、この子は!」
あからさまな間が生じた。
激しく否定はするも、その眼は俺の顔を直視しないようにつとめている。
どうやら、ビンゴのようだ。
この婆さんは、俺を身代わりにして自分の仲間だけを救おうとしている。
これで判明した、彼女とは手を取り合ってはならない。
したたかさの中に、謀略を巡らせている、こいう人物には要注意だ。
「悪いけど、ここから先は俺のやり方で進ませてもらう。後についてくるかはワカモトさんの自由にすればいい」
この二人は、いつからこうなってしまったのか?
当事者でもない俺に分かるわけもなく、両者の口論を静観する羽目になってしまった。
強いて言うならば、原因を作ったのはグゼンのほうだ。
日頃から、リンやシャルばかり贔屓にして、高齢のワカモトさんをないがしろにしていたのは、何度も見かけた。
険しい道を歩く時でさえ、グゼンはあの二人の荷物しかもたなかったし、料理の献立も彼女たちのリクエストに従って決めていたのも事実だ。
ワカモトさんが脂っぽい物が食べられないのに、グゼンは何も配慮しなかった。
かなり酷い仕打ちにワカモトさんはよく耐えてきたと思う。
年齢など関係なく彼女も女性だ。そんな差別を受けて良い気はしないだろうに。
グゼンが悪い。
そう決めつけるのは簡単だ。
けど、俺にはアイツを責める資格などない。
お荷物扱いされて俺も、自分のことで頭がいっぱいだった。
いつ、パーティーから切り離されるのかと考えると気が気でなかった。
他人を気に掛ける余裕など、どこにもなかった。
今でも、そうだが俺にランキングシステムは適応されていない。
何をどうしても自力で強くなることなどできやしない。
こうして、誰かと行動を共にしなければ日銭を稼ぐことすらままならない。
俺はあまりにも非力だった。
そんな出来損ない冒険者を雇ってくれるのは、訳ありだらけの奴らだけだ。
このパーティー、デュアル・ゴースティングに加入した時も、怪しいと薄々、感じていた。
脱法なのは分かっていた。
だとしてもルールに沿った生き方では、まともな生活は送れない。
気づけば、同業者キラーの仲間として罪を重ねていた。
挙句、賞金首としてドミネーションズから付け狙われている。
後ろめたさがないと言えば、嘘になる。
それでも、今回のようにパーティーが分裂することがなかったら、俺はこの仕事を続けていた。
まっとうな仕事など、いくら頼んでも誰一人、斡旋してくれない。
話がそれたが……俺自身もワカモトさんに手を差し伸べることすらしてこなかった側の人間だ。
どこかしら、互いに警戒していた所もあったし、必要以上に感情移入をしてしまうことへの恐れもあった。
付かず、離れずの適度な距離感。
それこそが、俺の冒険者としてモットー、処世術だ。
「アンタに助けてもらうぐらいなら、わたしゃ一人で行くよ。アンタと一緒にいるだけで穢れがうつる」
「別に婆のことなんざ、どうでも良いんだよ。俺が心配しているのは、捕まった二人のことだけだ!」
「なんだってー! このケダモノが。あの子たちも、アンタが来るのは望んでいないんだよ。いい加減、自分が抱かれたくない男、ランキングで殿堂入りしていること自覚しなっ」
「こ、この……言わせておけば!」
パァーン!! 力強く、合掌した音が周囲に響いた。
俺が鳴らした、不意をつく音にグゼンとワカモトさんは眉を吊り上げ、口論を中断していた。
「二人とも、このまま喧嘩を続けている場合か? こうしている間にも、時間は過ぎているんだ。あの二人が牢獄にぶち込まれたら、それこそ救出する術を失うぞ」
本意ではないが仕方ない。
俺は、二人の仲裁に入った。
すぐさま、ワカモトさんと目が合うと強い口調が俺へと向かって飛んできた。
「けれど、マイトちゃん……アンタは手を貸してくれないんだろう?」
「確かに、パーティーとして行動できないとは言ったよ。でも、あの二人を見捨てるとは一言も言っていないはずだが?」
「なら、単独でシャルちゃんたちを救おうとでも言うのかい? それこそ、無謀さねぇ。だったら、皆で力を合わせて動いたほうが正解だと、わたしゃ思うよ」
「そもそも、ワカモトさんはポイント稼ぎ要員でしかない俺に何を期待しているんだ? 俺が戦闘で役立てるのは、せいぜい壁役か、囮くらいだ……まさかとは思うけど、俺を犠牲にして彼女たちを……」
「――――なんてこと言うんだい、この子は!」
あからさまな間が生じた。
激しく否定はするも、その眼は俺の顔を直視しないようにつとめている。
どうやら、ビンゴのようだ。
この婆さんは、俺を身代わりにして自分の仲間だけを救おうとしている。
これで判明した、彼女とは手を取り合ってはならない。
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「悪いけど、ここから先は俺のやり方で進ませてもらう。後についてくるかはワカモトさんの自由にすればいい」
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