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魔王様はアイドル!?
55話 エマージェンシーコール
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「さ、ササブリ――!」有り得ない事態に、慌てて彼女の元へと駆け寄ろうとした。
「ちょい、待ちな……」俺の服の袖を引っ張ったのはワカモトさんだ。
「一体、どうゆう―――」言葉を出し切る前に、彼女はメイデンちゃん、こと魔製石斧の砕けた破片を歪んだ空間へと弾き飛ばした。
占い師の魔法によって飛ばされた破片がササブリ同様に空間の奥へと沈んでゆく。
「これで、分かったかい? 近づくとアンタもああなるよ」
「だからといって、見捨てるわけには……」
「こういう時こそ、冷静さが求められるんさ。アンタまで、相手の術中にはまったら、誰がササちゃんを助けるんだい?」
その通りだ……。
ここで感情のまま、行動すれば被害が大きくなるだけだ。
落着け、俺……まずは、深呼吸だ。
そうすれば、翼だって授かるかもしれない!
んな、わけあるか!? ダメだ、情報が不足している中であれこれ探っても、時間の無駄だ。
なら、アプーチの仕方を変えるまでのことだ。
「マイトちゃん。おやめ!!」
ワカモトさんの忠告を聞かず、俺は前に飛び出した。
鞘から、宝剣を引き抜き一直線に庭園を中央まで駆ける。
そして、十字の道の中心にいるホロモン、目掛けて刃を突きつけた。
押し潰されそうな衝撃が全身を貫いた。
意識が飛びそうになる寸でのところで、持ちこたえる。
身体が鉛のように重い……そうか、俺は蹴られたのか。
片膝を上げたまま立っている爺さん。
その様子を見て自分はあの膝を喰らったのだと知った。
知性のない本体とは、比べ物にならないほどの強敵。
どれほど、優れた武器を持っていても使い手が弱ければこんなモノだ。
一太刀も浴びせられず、叩きのめされてしまう。
正攻法じゃ無理だ……なにか手を打たねば……。
強力な一撃を御見舞いされ、今になって頭が冷えてきた。
ワカモトさんが危惧していたのは、こういう事だ……しゃにむにやっても状況は進展しない。
「しっかりしな。今、回復してやるからね……」
今回も物の見事にワカモトさんの治癒魔法にお世話になってしまった。
我ながら情けないと思いつつも治療を受けていつと、シャルが傍へとやってきた。
見るからにご機嫌斜めといった感じで俺を冷たく直視してくる。
「ロビー君、相手は先ほど戦った魔王ですよね? リンさん同様、あの魔王とお知り合いのようですけど、どういう事か? きちんと経緯を説明してもらえませんか? でなければ、私も先生もどう立ち回れば良いのか分かりません」
彼女がそう言うのも頷ける。
いきなり、ここに移動させられた上、魔王同士で勝手にやり始めたせいで、ホロモン爺さんについて詳しく話すタイミングを逃していた。
これは先走って動いた俺にも責任はある。ちゃんとそこに触れるべきだったのだ。
「ただの顔見知りよ、シャル。お爺ちゃ……ううん。あの魔王は、ササブリを人質に取って、本体の封印を解くようにアタイら脅してきた悪い魔王なんだよ」
俺に代わって、リンが二人に説明した。
元々、ホロモン爺さんとは深い関わりがあるわけじゃない。
二人とも、話を聞くなり、すんなりと状況を飲み込んでくれた。
彼女たちが「ササブリの救出に手を貸す」と言ってくれたのは、とても有難い。
嬉しさのあまり、何度も聞き返していたら、リンに耳を引っ張られた。
皆のバックアップは本当に心強い……だが、ササブリは魔王だ。そう簡単にはくたばらない。
それに、まだ俺たちの近くにいる。
彼女が、スキルブックから離れすぎれば強制力が働き自動で本の方へと引き戻される仕様だ。
万が一、不足な事態が発生すれば、自動でスキルが解除されるようにもなっている。
ただ、それができていればすぐにでもササブリを戻すことができた。
爺さんに斬りかかる以前から何度も試していたが、スキルを強制解除することができない状態に陥っている。
多分、爺が持つスキルブックの影響だ。
物が出たり、移動したりするのは、爺さんの能力内での事。
こちらから、干渉することはできないという事だ。
よって結論は、ササブリが自力で脱出するしかないということだ。
「スキルブック! フォトグラファー!」
『5000ポイントを使用して、衣装を購入します。宜しいですか?』
購入ボタンを迷わず押した。
彼女を助けられるのは、このオプションだけだ。
一度に大量のポイント消費、これにより何が起きるのか? 想像もつかない……。
それでも、ササブリを助けると決めたんだ。後悔はしない!
『2000ポイント購入特典 スキャニングシステム解放……。
3000ポイント購入特典 イベント 果実の王からの挑戦状、解放……。
5000ポイント購入特典 リストルームが解放されました……』
「ちょい、待ちな……」俺の服の袖を引っ張ったのはワカモトさんだ。
「一体、どうゆう―――」言葉を出し切る前に、彼女はメイデンちゃん、こと魔製石斧の砕けた破片を歪んだ空間へと弾き飛ばした。
占い師の魔法によって飛ばされた破片がササブリ同様に空間の奥へと沈んでゆく。
「これで、分かったかい? 近づくとアンタもああなるよ」
「だからといって、見捨てるわけには……」
「こういう時こそ、冷静さが求められるんさ。アンタまで、相手の術中にはまったら、誰がササちゃんを助けるんだい?」
その通りだ……。
ここで感情のまま、行動すれば被害が大きくなるだけだ。
落着け、俺……まずは、深呼吸だ。
そうすれば、翼だって授かるかもしれない!
んな、わけあるか!? ダメだ、情報が不足している中であれこれ探っても、時間の無駄だ。
なら、アプーチの仕方を変えるまでのことだ。
「マイトちゃん。おやめ!!」
ワカモトさんの忠告を聞かず、俺は前に飛び出した。
鞘から、宝剣を引き抜き一直線に庭園を中央まで駆ける。
そして、十字の道の中心にいるホロモン、目掛けて刃を突きつけた。
押し潰されそうな衝撃が全身を貫いた。
意識が飛びそうになる寸でのところで、持ちこたえる。
身体が鉛のように重い……そうか、俺は蹴られたのか。
片膝を上げたまま立っている爺さん。
その様子を見て自分はあの膝を喰らったのだと知った。
知性のない本体とは、比べ物にならないほどの強敵。
どれほど、優れた武器を持っていても使い手が弱ければこんなモノだ。
一太刀も浴びせられず、叩きのめされてしまう。
正攻法じゃ無理だ……なにか手を打たねば……。
強力な一撃を御見舞いされ、今になって頭が冷えてきた。
ワカモトさんが危惧していたのは、こういう事だ……しゃにむにやっても状況は進展しない。
「しっかりしな。今、回復してやるからね……」
今回も物の見事にワカモトさんの治癒魔法にお世話になってしまった。
我ながら情けないと思いつつも治療を受けていつと、シャルが傍へとやってきた。
見るからにご機嫌斜めといった感じで俺を冷たく直視してくる。
「ロビー君、相手は先ほど戦った魔王ですよね? リンさん同様、あの魔王とお知り合いのようですけど、どういう事か? きちんと経緯を説明してもらえませんか? でなければ、私も先生もどう立ち回れば良いのか分かりません」
彼女がそう言うのも頷ける。
いきなり、ここに移動させられた上、魔王同士で勝手にやり始めたせいで、ホロモン爺さんについて詳しく話すタイミングを逃していた。
これは先走って動いた俺にも責任はある。ちゃんとそこに触れるべきだったのだ。
「ただの顔見知りよ、シャル。お爺ちゃ……ううん。あの魔王は、ササブリを人質に取って、本体の封印を解くようにアタイら脅してきた悪い魔王なんだよ」
俺に代わって、リンが二人に説明した。
元々、ホロモン爺さんとは深い関わりがあるわけじゃない。
二人とも、話を聞くなり、すんなりと状況を飲み込んでくれた。
彼女たちが「ササブリの救出に手を貸す」と言ってくれたのは、とても有難い。
嬉しさのあまり、何度も聞き返していたら、リンに耳を引っ張られた。
皆のバックアップは本当に心強い……だが、ササブリは魔王だ。そう簡単にはくたばらない。
それに、まだ俺たちの近くにいる。
彼女が、スキルブックから離れすぎれば強制力が働き自動で本の方へと引き戻される仕様だ。
万が一、不足な事態が発生すれば、自動でスキルが解除されるようにもなっている。
ただ、それができていればすぐにでもササブリを戻すことができた。
爺さんに斬りかかる以前から何度も試していたが、スキルを強制解除することができない状態に陥っている。
多分、爺が持つスキルブックの影響だ。
物が出たり、移動したりするのは、爺さんの能力内での事。
こちらから、干渉することはできないという事だ。
よって結論は、ササブリが自力で脱出するしかないということだ。
「スキルブック! フォトグラファー!」
『5000ポイントを使用して、衣装を購入します。宜しいですか?』
購入ボタンを迷わず押した。
彼女を助けられるのは、このオプションだけだ。
一度に大量のポイント消費、これにより何が起きるのか? 想像もつかない……。
それでも、ササブリを助けると決めたんだ。後悔はしない!
『2000ポイント購入特典 スキャニングシステム解放……。
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