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心のティアラ
77話 贅沢三昧な彼女
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このままでは、何も進展しない。
これ以上、大雨が降ると村が水没してしまう。
悩んでいる間はない、一万ポイントで皆を助けることができるなら安い買い物だ。
もちろん、これまでの冒険者を襲ってきた罪滅ぼしになるワケでもないが……どのみち、俺たちも巻き添えを喰らう。
死ねばもろともと言う。角の卓三……ちがう、一蓮托生だ。
そんな精神に支配され、俺はアカシックレコードを購入した。
「シャル、コイツがあればどうにかなるんだな? なら、希望を託すぞ」
手にしたスキルブックを彼女に差し出す。
「本当に、買ったのですか!? いくら……方法がないからといって、これで解決してもいいものか? あっ、すみません。もちろん、私としては有難いのですよ」
あまり、狼狽えることが少ないシャルでも、高価なスキルブックを前にすると遠慮がちになってしまうようだ。
以外だった……見るからに裕福な家庭で育った温室育ちのお嬢様といった感じの聖女様なら、これぐらいはさも当たり前のように受け取ると思っていた。
スキルブック自体は生まれ待ったモノしか使用できないが、職に応じてパワーアップ用のスキルブックが存在する。
まぁ、簡潔に言えば更新、アップデートだ。
ようはアカシックレコード自体、聖女の聖典系のスキルブックを所持していなければ意味を成さない。
それゆえ、シャルの動揺は当然とは言えた……が、世間知らずな彼女とはイメージが食い違って見えた。
ひょっとしたら、シャルはシャルターナという人物を演じているのではないか? ふと、そのような疑念が湧いて出た。
「早速、使わせていただきます。新スキル、オーバーコネクト!」
シャルの持つ白いスキルブックの表紙に天使の片翼ついた。淡い白光が俺たち周囲を包み飲み込んだ。
「この結界の中では、魔力の共有ができます。つまり、MPがないロビーくんでも私の力を使い、魔法を使用することが可能です」
「言われれば……変な感覚がする。なんか、全身に殺虫剤をかけられた時に似ている」
「貴方の前世は、やぶ蚊だったみたいですね。どうりで普段、ブンブブーンとやっているわけですか!?」
俺も何かしましたっけ?
とうとう俺も、無自覚系の主人公に抜擢されてしまったらしい。
謎のブンブブーンによって様々なことを解決してきた俺は、今日も人知れず夜の国道を走り出す。
とりあえず、そこ辺の地面に数字の書かれた看板でも立てておけば、そこは国道となるだろう。
「さあ、スターマインを唱えて下さい。さすれば、この悪天候も消し飛ぶでしょう」
「任せてくれ!」と意気込んでみたものの……魔法って何だっけ? などと今更になぅ、って聞くわけにもいかなかった。
俺の記憶が間違っていなければ、確かケツから出す奴だったはずだ。
下腹部に力をこめる。丹田とかいう場所から腸の働きを活性化させる。
良い感じだ、だいぶ魔力が溜まってきた。
あとは肛門がインパクトに耐えられるかどうかテストしていないのが、不安ではある。
もう、ここまで来たら後には引けない。
大博打になってしまうが、初めてのマホウ、計画的に利用しなければならん。
「スタぁ―――――まっ!!!」魔法を唱えるよりも先に魔法が発動しだした。
ケツから閃光を放ち、俺は天高く打ち上げられた。
この雨曝しの中、空を斬り裂くように飛翔し、煌めくスパンコールのズボンを装着していた。
というか……強制装備だなんて一切、聞いていない。
俺の身体が七色の光を放ち、爆散してゆく。
魔力があろうが、なかろうが自爆魔法だなんて惨すぎる。
そう思いきや、なんと天に砕け散り、雨雲を吹き飛ばしてゆくのは、俺の外側だけだった。
まるで、脱皮したかのように、俺の中から新たな俺が爆誕した。
ここまでくればホラーでもありだ。
脱皮する青年! というタイトルとサブに脱ぐと凄いんですとでも、つけておけば初回だけでも売れるはずだ。
あれだけ、激しかった雨が一気に消えた。
もう少し遅かったら、壁ドンしていたかもしれない。
エロマンガ島に再び照りつける日差しが戻ってきた。
島の名前が合っているのかどうなんだい!? と問いてはいけない。
島というのはエロマンガなのだから。
あと、筋肉を駆使して脱税してはいけない。
スパンコール姿の俺の前ではすべてが霞んで――――
「キャッハァアアアア―――!! 魔王さんではないですか!?」
英雄とは人知れず世界を救う者である……もっとも喜びを分かち合うはずの仲間は、豪雨で閉ざされていた視界の先に自身のお気にを発見し暴走していた。
これ以上、大雨が降ると村が水没してしまう。
悩んでいる間はない、一万ポイントで皆を助けることができるなら安い買い物だ。
もちろん、これまでの冒険者を襲ってきた罪滅ぼしになるワケでもないが……どのみち、俺たちも巻き添えを喰らう。
死ねばもろともと言う。角の卓三……ちがう、一蓮托生だ。
そんな精神に支配され、俺はアカシックレコードを購入した。
「シャル、コイツがあればどうにかなるんだな? なら、希望を託すぞ」
手にしたスキルブックを彼女に差し出す。
「本当に、買ったのですか!? いくら……方法がないからといって、これで解決してもいいものか? あっ、すみません。もちろん、私としては有難いのですよ」
あまり、狼狽えることが少ないシャルでも、高価なスキルブックを前にすると遠慮がちになってしまうようだ。
以外だった……見るからに裕福な家庭で育った温室育ちのお嬢様といった感じの聖女様なら、これぐらいはさも当たり前のように受け取ると思っていた。
スキルブック自体は生まれ待ったモノしか使用できないが、職に応じてパワーアップ用のスキルブックが存在する。
まぁ、簡潔に言えば更新、アップデートだ。
ようはアカシックレコード自体、聖女の聖典系のスキルブックを所持していなければ意味を成さない。
それゆえ、シャルの動揺は当然とは言えた……が、世間知らずな彼女とはイメージが食い違って見えた。
ひょっとしたら、シャルはシャルターナという人物を演じているのではないか? ふと、そのような疑念が湧いて出た。
「早速、使わせていただきます。新スキル、オーバーコネクト!」
シャルの持つ白いスキルブックの表紙に天使の片翼ついた。淡い白光が俺たち周囲を包み飲み込んだ。
「この結界の中では、魔力の共有ができます。つまり、MPがないロビーくんでも私の力を使い、魔法を使用することが可能です」
「言われれば……変な感覚がする。なんか、全身に殺虫剤をかけられた時に似ている」
「貴方の前世は、やぶ蚊だったみたいですね。どうりで普段、ブンブブーンとやっているわけですか!?」
俺も何かしましたっけ?
とうとう俺も、無自覚系の主人公に抜擢されてしまったらしい。
謎のブンブブーンによって様々なことを解決してきた俺は、今日も人知れず夜の国道を走り出す。
とりあえず、そこ辺の地面に数字の書かれた看板でも立てておけば、そこは国道となるだろう。
「さあ、スターマインを唱えて下さい。さすれば、この悪天候も消し飛ぶでしょう」
「任せてくれ!」と意気込んでみたものの……魔法って何だっけ? などと今更になぅ、って聞くわけにもいかなかった。
俺の記憶が間違っていなければ、確かケツから出す奴だったはずだ。
下腹部に力をこめる。丹田とかいう場所から腸の働きを活性化させる。
良い感じだ、だいぶ魔力が溜まってきた。
あとは肛門がインパクトに耐えられるかどうかテストしていないのが、不安ではある。
もう、ここまで来たら後には引けない。
大博打になってしまうが、初めてのマホウ、計画的に利用しなければならん。
「スタぁ―――――まっ!!!」魔法を唱えるよりも先に魔法が発動しだした。
ケツから閃光を放ち、俺は天高く打ち上げられた。
この雨曝しの中、空を斬り裂くように飛翔し、煌めくスパンコールのズボンを装着していた。
というか……強制装備だなんて一切、聞いていない。
俺の身体が七色の光を放ち、爆散してゆく。
魔力があろうが、なかろうが自爆魔法だなんて惨すぎる。
そう思いきや、なんと天に砕け散り、雨雲を吹き飛ばしてゆくのは、俺の外側だけだった。
まるで、脱皮したかのように、俺の中から新たな俺が爆誕した。
ここまでくればホラーでもありだ。
脱皮する青年! というタイトルとサブに脱ぐと凄いんですとでも、つけておけば初回だけでも売れるはずだ。
あれだけ、激しかった雨が一気に消えた。
もう少し遅かったら、壁ドンしていたかもしれない。
エロマンガ島に再び照りつける日差しが戻ってきた。
島の名前が合っているのかどうなんだい!? と問いてはいけない。
島というのはエロマンガなのだから。
あと、筋肉を駆使して脱税してはいけない。
スパンコール姿の俺の前ではすべてが霞んで――――
「キャッハァアアアア―――!! 魔王さんではないですか!?」
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