問答無用!でランキングブレイカー!! ースキル、グラビアこそ最強最高ですー

心絵マシテ

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ライバルとの決着

90話 漢の世界

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 開門するのと同時に、このフィールドに記入して下さいの文言をスキャニングが捉えた。
 ああ、アレか! 飲食店で名前を書いて順番待ちをするのと一緒か。
 名前と人数を記入しないと、このフィールド防御は解けない仕組みになっているのか……。
 なんとなく、視界に合わせ指先でマイウと書いてみた。

『コード承認。ゲートを開きます』

 どうやら、俺はマイウだったらしい。
 自分の新たな一面にショックを抱え込んだまま、新世界の扉を開いた。

「ようこそ。男の園、ダメンズワルードへ……ちっ、野郎か」

 明らかに、不自然だった。
 門を潜れば山道に入るはず……そんな俺の良識を踏みにじるがごとく、自身は怪しげな店内に迷いこんでいた。
 ネーミングからして男性向けな店のような気がすると思ったが、どうやら期待外れのようだ。
 ここは女性専門のタヴァンらしい、看板にはそう書いてある。
 タヴァンとは、宿泊可能な居酒屋のことだ。

 どうして、こんなところに店があるのか? 先程からカウンター越しに凄い形相で睨みを利かせている店の主人に俺は突撃した。

「この野郎! 釣り上げられた魚かよ、カウンター前で飛び跳ねるんじゃねぇっぇ!! カスハラだろっが」

「カスタネットハラスメントとか、フラメンコに対する冒涜だとは思わないのかね?」

「ちげぇーよ、客人。カス野郎ハラスメントの略だろう」

 それも何か違うような気がします。
 マジレスするとキレッキレになりそうなので「へぇ~、ふ~ん」と会話に興味がない女子ような反応で、その場をやり過ごした。

「そんで、お前さんランブレだろう? 俺の名はジョージ・ドラゴンフライ、この店のオーナーだ」

 伸びた髪を後ろで束ねたマンバンヘアスタイルの髭面の男は、いかにもリア充臭くて敵わない。
 二十代後半ぐらいの兄ちゃんだが、オーナーと名乗るだけはある。
 そこはかとなく威厳を感じる。
 ゴクリと喉を鳴らし、俺はジョージの旦那に尋ねた。

「この店、違法経営じゃねぇ? というか、ホストクラブだよな?」

「ハハアッ!! 面白い事を言うな、最近のガキは。ここが、異世界なのは既知しているんだろう? なら、その問いは愚問だ!」

 よほど、ツボったのか? 膝をパンパン叩きながらオーナーは爆笑していた。
 ごもっとな意見だが、俺が言いたいのはそういうことではない。
 ホストクラブなど、このセカイには存在しない。
 男尊女卑とかではなく、元から高額な金銭の取引には、厳格な審査を通す必要があると公式で決定づけられている。
 治安維持のため、そのルールを作ったのは無論、転生組の奴らだ。
 彼らは、採掘や採取、狩猟を生業とする原始的な、このセカイで商人個人が力を誇示することを恐れていた。
 ギルドはその為の受け皿だ。
 物を売り買いする組織として成立させてしまえば、貧富の格差が広がることを防ぐことができる。
 商人というのは、それだけ手強く危険視されている。

 成功事例が一つでも、出てくれば追従する者は後を絶たない。
 そうなれば、均衡が崩れ各々が好き勝手にあろうとする。
 転生組が神経質にはなるのは、致し方無いことだ。
 俺を含め、誰しもの二の舞だけは防ぎたいと望んでいるからだ。

 公正、平等を保とするセカイで、このホストクラブは異端とも呼べた。
 完全にルールを無視している。

「そんな怖い顔すんなって。心配すんな、異世界住人相手には経営してねぇよ。なんせ、ここはランキングブレイカーなど改変者たち専用の店だ。来たくても資格がなければこれねぇのさ」

「リストルームと同じ仕組みなのか……」

「客人の言う、リストルームとやらは俺にはサッパリだが。ここには様々なセカイに旅立った者たちが集う場所だ。当然ながら、スキルの使用は一切できないから注意しろよ」

 オーナーの言い分に一応は合点がいった。
 もちろん、彼の発言に嘘偽りがなければの話だが……スキルが使えない以上、探ることはできない。
 念のため「一晩、泊めてくれないか」と頼み込むとオーナーは両手を上げ、やれやれといった風に首を横に振った。

「別に一晩だけなら構わんよ」

「おまっ……さっきのリアクションはなんだったんだよ!」

「いんや、ああした方が面白いと思ってな」

 どこまでも、俺をおちょくろうとするジョージはカラカラと笑っていた。
 さしてムカつきもしないのは、悪そうな出で立ちでありながらも人当たりの良い性格からだろう。
 ギャップの使い方を、マスターしている。
 オーナーでありながらマスタークラスとは盆と正月が同時に来たようなもんだ。

「ついでだ、ここにしかないショップアイテムを見ていけよ。そうだな、これなんかオススメだぞ」

「何これ……修学旅行のお土産?」

 出されたのは、どこをどう見ても普通の竹刀だった。
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