問答無用!でランキングブレイカー!! ースキル、グラビアこそ最強最高ですー

心絵マシテ

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ライバルとの決着

92話 スクランブルダッシュ

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 ほら、汲んで汲んで意図を。俺の言いたいことをしっかりと受けめてくれ。
 いつもなら、魔女の呪いで勝手に口走ってしまうことも、ここでは無効とされてしまう。
 どうやら、呪いもスキル一種としてみなされているらしい。

 毎度、邪魔をしておきながら肝心な時に使えねぇのは、呪いの醍醐味だろう。
 受けた方はちっとも面白くないけど……かけた方にとっては最高だろう。
 バスローブ姿で、ワインボトル振り回しボストロルごっこするぐらいには盛り上がるさ。

 伝えたいことがあれば、口頭で伝えれば? と自分でも思ってはいる。
 けれど、いざ思っていることを意図して話そうとすると、イ〇ンみたいな笑いが出てきてしまう。
 それに話をまとめるのが厄介だし、挙句は別に伝える必要性はないやと匙を投げてしまう。
 かといってフォーク投げたら最悪、誰かに刺さるかもしれない。
 130キロ台で飛ばしたら、まずヒットマン。銃弾いらずだ。

 怨念波では、気持ちが伝わらない。
 そう理解した俺は、初心に帰ってボディランゲージを試みた。
 言葉ではなくとも、動きで分かることはある。
 両腕をワシャワシャと動かし水を汲み取る動作を続ける。

「どうだ、今の動き分かった?」

「いや、見てねぇです」

 この野郎――参加すらしてなかったのか……よ。
「いいか! もう一度やるからしっかり目に焼き付けるんだぞ」

 二度目のジェスチャーが始まった。
 今回も、同じ動きで相手を翻弄する。

「ほほう、なるほどね」

「そう! わかっ―――――」
 俺のジェスチャーをいち早く、解いたのは他の何者でもない。この店のアンポンタンだった。
 奴に伝えることなど、ちり一つない。
 なのに、小姑が部屋のホコリを指先ですくい取ってくるように俺の思考を呼んでくる。

「度々、すんません。目にゴミが入っちゃて、よくわかりません」

「…………次が最期だから」

 次にすっとぼけたら、剣で真っ二つしてやろうかと思った。
 ただ、寺の住職でもない奴に住職のフリをしろなどと頼んでも、何一つ意味を成さない。
 しょせん、僧侶への道など夢のまた夢。
 眼圧で、物を吹き飛ばせるぐらいの力がなけば、務まらない職業だ。

 そもそもゼブラ柄のユニフォームを着た、坊さんがいてたまるか!
 宅急便屋かよ……。

「かき揚げが食べたいんですか? さすがに無理ですよ、ここでは」

 最後のトライもみごと失敗に終わった。
 俺は頑張った……自身の限界を超えて恥をしのいでフシダラに伝え続けた。
 もう、かき揚げも刈り上げでも関係ねぇや。

「疲れたから、もう寝るわ」

 夫婦仲が冷めた旦那のように、俺は二階へと移動しようとした。
 好きな事は率先し、嫌な事は後回しにする、それが俺のライフスタイルだ。
 ここの二階は、旅館になっていて風呂も完備しているらしい。
 旅でたまった疲れと汚れを、根こそぎ落とすにはうってつけの場所といえる。

『ピガガァガガア!! エマージェンシー! エマージェンシー! こちら、キヨシの里長宅。裏山にて謎の巨大兵器の接近を確認。ただちに応援を要請する』

 せっかく人がストレスを発散しようとしている所に、ただ事ではない店内放送が流れた。
「じゃ、お疲れ~」これ以上は巻き込まれたくない、その思いだけに従い俺は階段横の手すりを掴んだ。

「きっと、報復ですよ……これは。里の者たちがサトランに行った仕打ちに対する奴らの宣戦布告です」

「落着け、フシダラ。慌てたところで何一つ上手くはいかんよ。まずは、敵情視察からでしょ? 部隊を編成してそれから……」

「事態は一刻を争うんです! そない悠長なことは言ってられません。敵はあの巨大兵器を持ち出してきたんですよ。指令、発進許可を! 拙者たちなら、どうにかできるはず!!」

 俺を尻目に奇妙なドラマが生まれようとしていた。
 それまで、のほほんとしていたフシダラが、警報以降、覚醒したかのごとく熱血漢と化していた。
 そして、指令と称されたオーナーも変貌を遂げていた。

 まったく気概を感じられない。
 こともあろうに、対処方法に手間取り視野が狭くなっておる。
 オーナーの時のように自由気ままとはいかない。

 後ろを振り向きつつ、弱り切ったオーナーを目にした、その時だった。
 俺の中でドクンと何かが胎動した。

「まだだ、本部から追加情報が入らなければ、我々が動くことも叶わない。それに、お前達の方も人手は足りてないじゃんよ!?」

「ファルコンの搭乗者ですか? なら、そこに居ますわ。セグウェイを持つ彼なら乗りこなせるはず」

 フシダラの指先が俺の方へ向くのと同時に、階段の段数がもう一段増えた。
 床に突っ伏した俺は階段の一部として擬態することに成功した。
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