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全てを知る者
97話 汝、ダルマで有れ
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「げっ! 関羽……」
それまで自身たっぷりバターなサトランが、女児たちを見るなり後退し始めた。
まぁ、気持ちは分からなくもない。
こんな幼気な少女たちが鎌ヌンチャクなどという、物騒なモンを振り回していたら誰だって理解に苦しむ。
一体、この里ではどんな児童教育がなされているのか……不審者を見かけたら武器を持って撃退しろと教わっているのは確実だろうがな。
「マリ、あそこにダルマがいる」
黒髪ストレートの女児が相方を呼びとめながら俺の方を指さしていた。
ダルマというワードに妙な引っかかりを覚えたが、俺にダルマ的な要素なんてまったくもってない。
せいぜい、身体中が血液でトマトのように赤くに染まっているだけだ。
いたって健康ではある。
「レイ、そいつは後で持って帰って神棚にでも飾っておくか。それより、今日は何をして遊ぶんだ? サトラン」
「ふざけんなっ……遊びと称して僕を、いたぶるばかりじゃないか! クソっが、R指定さえなければ、コイツら相手に苦戦しないのに……」
「仕方ないさ。ガリガリなオマエじゃ、私たちにイタズラすることもできないんだからな」
「そうよ。こんな女児相手に下心を丸出しにしてはずかしくないの? セイヘキをこじらせて良いのは、サカシタ君ぐらいなものよ」
出会い頭から、少女たちにボロクソに言われ続けるサトラン。
どうやら、イジられているという情報は、あながち誤報でもなさそうだ。
俺だったらウンコを投げつけ応戦するが、エエー、カッコシィのサトランは、アドリブとかに弱いタイプだ。
無言になって、また天を仰ぎだしている。
奴の中では、それがマイブーム。ガイルの中ではソニックブーム。
昇竜拳で回避できても、小市民では直撃必死だ。
女児二人組は、構う事のない構ってちゃんだ。
容赦なく爆薬などを投げ飛ばし、サトランに襲い掛かっていた。
魔法職である奴が、肉弾戦で上手く立ち回れるわけもない。
すばしっこく動き回る二人の弄ばれて、傷だらけとなり、みじめな醜態をさらしていた。
魔法を使う隙を与えさせないとは、女児たちもなかなかやる。
「ち、ちくしょおぉぉおおおお!! オマエら十年後だ、覚えていろよ! その時は僕のスキルブックでコテンパンにしてやるからなぁ!!」
「それ、前にも言っていたわ。十年したら私たち、きっとアナタを忘れていると思う。サトランをキオクするだけ脳内メモリーのムダだから」
「ンギギギギギィィィィ……マイト!! 今日はこれで勘弁してやる! 次こそは、覚悟しておけ」
「吉本新喜劇かよ……」
相手に勝てないと見れば、疾風のごとく戦線離脱してゆく。
スキルブックの能力でもないのに、大した逃走心だ。
「ちっ、しけてやがる。やはり、落とし穴の数を増やしたほうがいいみたいだぜ……」
「マリ、それよりもダルマを運ばないと!」
「ああっ、あ? コイツ、どこかで見かけなかったっか?」
「気のせいよ。ホラ、このダルマまだ未使用よ。目が書かれていないわ」
俺は悟られないように必死で白目を向いていた。
気分は、金剛力士像。
けれど、自身は人間……二人に触れられたら一発で正体がバレる。
しからば、ペーパークラフトの力を借りるしかない。
「なんか、さっきより一回り大きくなっていないか?」
「それは遠近法ね、マリ。これはどっから見てもダルマさんよ、ちょっと等身がおかしいけど張り子のダルマなのは間違いないわ」
「うーん、レイがそう言い切るのなら問題はないか!」
ああ、いいぞ。君の言う通り、俺は自分を型にして真っ赤な印刷紙をまとったダルマさんだよぉ~。
こんなカタチでグラビアの力が役立つとは思って見なかった。
しかも、ガチガチに固めたおかげで止血も上手くできたみたいだ。
とりあえず、コイツらの家で厄介になって隙を、見計らいながら逃げ出してやろう。
ガタァン! 脚のふくろはぎに衝撃が走った。
痛みに顔を歪めそうになったが、何とかこらえてみせた。
ガキどもは、どうやら自力ではダルマを運べないとみて、台車を持ってきたらしい。
そのまま押し倒され、台車に乗せられる。
乗り心地は文句しか出ないほど最悪だ。
台車の車輪が地面の凹凸に引っ掛かる度に、地味にダメージを受けている。
マイトよ、ここは我慢だ。忍耐の漢ならば、耐えて窮地を乗り越えてみせろ!
「もう、運ぶのめんどくせぇから、ゴミ捨て場におこうぜ」
金髪の癖っ毛が血も涙もないことを言い始めた。
ダルマを大事にしない奴は、ダルマの呪いにかかってしまえばいい。
「ダメよ。捨てるならちゃんと供養しないと! お婆ちゃんに怒られる」
「うぇぇえ……マジ、かんべん」
君たちのお婆ちゃんは良識人なのに、どうしてその血が受け継がれなかったのかな? ダルマ的にも不思議だ。
それまで自身たっぷりバターなサトランが、女児たちを見るなり後退し始めた。
まぁ、気持ちは分からなくもない。
こんな幼気な少女たちが鎌ヌンチャクなどという、物騒なモンを振り回していたら誰だって理解に苦しむ。
一体、この里ではどんな児童教育がなされているのか……不審者を見かけたら武器を持って撃退しろと教わっているのは確実だろうがな。
「マリ、あそこにダルマがいる」
黒髪ストレートの女児が相方を呼びとめながら俺の方を指さしていた。
ダルマというワードに妙な引っかかりを覚えたが、俺にダルマ的な要素なんてまったくもってない。
せいぜい、身体中が血液でトマトのように赤くに染まっているだけだ。
いたって健康ではある。
「レイ、そいつは後で持って帰って神棚にでも飾っておくか。それより、今日は何をして遊ぶんだ? サトラン」
「ふざけんなっ……遊びと称して僕を、いたぶるばかりじゃないか! クソっが、R指定さえなければ、コイツら相手に苦戦しないのに……」
「仕方ないさ。ガリガリなオマエじゃ、私たちにイタズラすることもできないんだからな」
「そうよ。こんな女児相手に下心を丸出しにしてはずかしくないの? セイヘキをこじらせて良いのは、サカシタ君ぐらいなものよ」
出会い頭から、少女たちにボロクソに言われ続けるサトラン。
どうやら、イジられているという情報は、あながち誤報でもなさそうだ。
俺だったらウンコを投げつけ応戦するが、エエー、カッコシィのサトランは、アドリブとかに弱いタイプだ。
無言になって、また天を仰ぎだしている。
奴の中では、それがマイブーム。ガイルの中ではソニックブーム。
昇竜拳で回避できても、小市民では直撃必死だ。
女児二人組は、構う事のない構ってちゃんだ。
容赦なく爆薬などを投げ飛ばし、サトランに襲い掛かっていた。
魔法職である奴が、肉弾戦で上手く立ち回れるわけもない。
すばしっこく動き回る二人の弄ばれて、傷だらけとなり、みじめな醜態をさらしていた。
魔法を使う隙を与えさせないとは、女児たちもなかなかやる。
「ち、ちくしょおぉぉおおおお!! オマエら十年後だ、覚えていろよ! その時は僕のスキルブックでコテンパンにしてやるからなぁ!!」
「それ、前にも言っていたわ。十年したら私たち、きっとアナタを忘れていると思う。サトランをキオクするだけ脳内メモリーのムダだから」
「ンギギギギギィィィィ……マイト!! 今日はこれで勘弁してやる! 次こそは、覚悟しておけ」
「吉本新喜劇かよ……」
相手に勝てないと見れば、疾風のごとく戦線離脱してゆく。
スキルブックの能力でもないのに、大した逃走心だ。
「ちっ、しけてやがる。やはり、落とし穴の数を増やしたほうがいいみたいだぜ……」
「マリ、それよりもダルマを運ばないと!」
「ああっ、あ? コイツ、どこかで見かけなかったっか?」
「気のせいよ。ホラ、このダルマまだ未使用よ。目が書かれていないわ」
俺は悟られないように必死で白目を向いていた。
気分は、金剛力士像。
けれど、自身は人間……二人に触れられたら一発で正体がバレる。
しからば、ペーパークラフトの力を借りるしかない。
「なんか、さっきより一回り大きくなっていないか?」
「それは遠近法ね、マリ。これはどっから見てもダルマさんよ、ちょっと等身がおかしいけど張り子のダルマなのは間違いないわ」
「うーん、レイがそう言い切るのなら問題はないか!」
ああ、いいぞ。君の言う通り、俺は自分を型にして真っ赤な印刷紙をまとったダルマさんだよぉ~。
こんなカタチでグラビアの力が役立つとは思って見なかった。
しかも、ガチガチに固めたおかげで止血も上手くできたみたいだ。
とりあえず、コイツらの家で厄介になって隙を、見計らいながら逃げ出してやろう。
ガタァン! 脚のふくろはぎに衝撃が走った。
痛みに顔を歪めそうになったが、何とかこらえてみせた。
ガキどもは、どうやら自力ではダルマを運べないとみて、台車を持ってきたらしい。
そのまま押し倒され、台車に乗せられる。
乗り心地は文句しか出ないほど最悪だ。
台車の車輪が地面の凹凸に引っ掛かる度に、地味にダメージを受けている。
マイトよ、ここは我慢だ。忍耐の漢ならば、耐えて窮地を乗り越えてみせろ!
「もう、運ぶのめんどくせぇから、ゴミ捨て場におこうぜ」
金髪の癖っ毛が血も涙もないことを言い始めた。
ダルマを大事にしない奴は、ダルマの呪いにかかってしまえばいい。
「ダメよ。捨てるならちゃんと供養しないと! お婆ちゃんに怒られる」
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