私達、魔砲使い少女パーティーです!

TEKKON

文字の大きさ
9 / 11

第九話 魔法総会当日

しおりを挟む
 ――そして魔法総会当日、全ての舞台は整った。 


「さぁ、いくわよ!」 
「私達は別にいいんだけどなぁ」 
「「ねー」」 
「まあまあ。リリィさんの目的でもありますし」 

「……まぁ、デビューは派手な方が良いしね!」 
「そうそう! 偉い人達の度肝を抜いて“ざまぁ”してやるんだから!」 

 4人は魔法学会の入り口に立ち、そこで円陣を組む。 
 『えいえいおー!』と気合を入れると掛け声が周りに響き渡った。 

 こうして、リリィの長い一日が始まった。 

… 
…… 
……… 

「さて、ゲストパスも受け取ったし、中に入りますか!」 

 受付所に向かうと、高そうなスーツを身にまとったカテリーナが、勝ち誇った顔でリリィに近づいてきた。 

「お久しぶりですねリリィさん。とうとう学会から追放される気持ちはどうですか?」 

「そうね。今からあなた達の ”ざまぁ” が見れると思うと、楽しみで仕方ないわ!」 

「リリィさんは一体何を言って…… って、あなたはフィナカーン家の落ちこぼれじゃないですか」 

「お、お久しぶりです。カテリーナさん……」 

 レイシアはビクビクしながらも、カテリーナの前に立ちお辞儀をする。 

「他のお兄さまやお姉さま方は、立派な魔法使いになったというのに、あなたはロクに魔法も使えず見捨てられた恥さらし。よく神聖なこの場所に来れたものですね」 

 そう言って見下すカテリーナの目の前に立ち、リリィは睨んだ。 

「私の友達をバカにしないで」 
「うっ……」 

 いつもより低い声でカテリーナを威圧する。 

「……まぁ、いいですわ。どうやってゲストパスを手に入れたかは存じませんが、リリィさんの追放が決定する瞬間を、間近で見守る事ね。アハハハッ!」 

 笑い声を響かせながらカテリーナは中に入っていき、入れ替わりに受付のお手伝いをしていたルリノがやってきた。 

「リリリン! やっと来たのね!」
 
「ルリノー久しぶりー!」とリリィは両手を握り、レイシアとファム、マァムはルリノに会釈をした。 

「とりあえず、今日の流れね」 

 ルリノは手に持ってるプログラムを広げ、大まかな説明を始める。 

「……で、今年の活動を報告する所で、カテリーナの報告と提言が入り、その時に追放が決定したら即刻退場させられるわ」 

「まったく、あの女らしいやり方ね」 

「リリリンが発言出来るのはその審議中の1回のみ。そこでみんなを説得出来るかどうかよ」 

「そうね。私に残されたワンチャンス。それをモノにしてみせるわ」 

「うん」 

 ルリノは4人が何をするのか、詳しい話は聞いていない。

しかし、リリィの自信に溢れた表情。そしてパーティーとして来ている事で確信していた。 


――今日、何かとんでもない事が起こる。 

 ルリノは楽しそうな表情を見せる。 
  
 この表情から「いつもは退屈な魔法総会だけど、今回は楽しみでワクワクが止まらないわ!」という台詞が聞こえてきそうだ。 

「リリリン。みんな」 

「ん?」 
「はい?」 
「うん」 
「何です?」 

「楽しみにしてるねっ!」 

 ルリノは目を輝かせながらそう言うと、手を大きく振りながら元の場所に戻っていった。 

「……楽しそうですね。あの人」 

「うん。ルリノは私の事を理解してくれる数少ない友人。そして私と志を共にする、”戦友”よ」 

 そう言いながら、リリィは鞄に入れているクリスタルに触れる。 


――きっと大丈夫。私はノルフィ・リンの娘なのだから。 


 4人が受付の方に行こうとすると、そこに現れた男達の中の一人を見て、不意にレイシアは足を止めた。 

「……あっ」 
「…………」 

 レイシアの存在に気づきじっと見る大柄の男性。ルエスタ魔法界隈の重鎮であり、フィナカーン家の当主。
 そしてレイシアの父親だ。 

「お父様……」 

 そう呟いた後、レイシアは下を向いて何も言う事が出来ない。 

「…………」 

 父親は娘に何も言わずにそのまま歩いていった。 

「ちょ、ちょっと一言くらい娘に何か……」と言いかけたのをレイシアは止めた。 

「リリィさん、いいんですよ。いつもの事ですから……」 

「で、でも今の態度は流石に……」 

 そう言いながら、リリィは先ほどのカテリーナの言葉を思い出していた。 

 “ロクに魔法も使えず見捨てられた恥さらし”、そしてレイシアがパーティーに入る時に言っていた “フィナカーン家の恥” それらの言葉が彼女をずっと苦しめている。 

(私とは違う形ではあるけれど、同じ苦しみを味わっている。こんなのいけない。私はレイシアの為にも頑張らないといけない……!) 

 リリィはレイシアを見ながらそう強く思った。 

「行こう? レイシア。私もレイシアも、勿論ファムとマァムも凄い魔法使いだって事を見せつけるんだから!」 

「は、はいっ!」 
「「もっちろん!」」 


――さぁ、行こう。私達の明日に向かって。 


 そうして、様々な思惑が絡み合った、ルエスタ魔法総会はついに始まった。 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

勇者パーティを追放された地味な器用貧乏は、 魔王軍の女騎士とスローライフを送る

ちくわ食べます
ファンタジー
勇者パーティから「地味、英雄譚の汚点」と揶揄され追放された器用貧乏な裏方の僕。 帰る場所もなく死の森を彷徨っていたところ、偶然にも重傷を負った魔王軍四天王で最強の女騎士「黒鉄剣のリューシア」と遭遇する。 敵同士のはずなのに、なぜか彼女を放っておけなくて。治療し、世話をし、一緒に暮らすことになった僕。 これは追放された男と、敗北を重ね居場所を失った女の物語。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

落ちこぼれの【無属性】魔術師、実は属性そのものを定義する「概念魔法」の創始者だった

風船色
ファンタジー
「魔法とは才能(血筋)ではなく、記述されるべき論理(ロジック)である」 王立魔導学院で「万年最下位」の烙印を押された少年、アリスティア・レイロード。属性至上主義のこの世界で、火すら出せない彼は「無属性のゴミ」と蔑まれ、ついに卒業試験で不合格となり国外追放を言い渡される。 しかし、彼を嘲笑う者たちは知らなかった。アリスティアが、既存の属性魔法など比較にならないほど高次の真理――世界の現象を数式として捉え、前提条件から書き換える『概念魔法(コンセプト・マジック)』の使い手であることを。 追放の道中、彼は石ころに「硬度:無限」の概念を付与し、デコピン一つで武装集団を粉砕。呪われた最果ての森を「快適な居住空間」へと再定義し、封印されていた銀嶺竜の少女・ルナを助手にして、悠々自適な研究生活をスタートさせる。 一方、彼を捨てた王国は、属性魔法が通用しない未知の兵器を操る帝国の侵攻に直面していた。「助けてくれ」と膝をつくかつての同級生や国王たちに対し、アリスティアは冷淡に告げる。 「君たちの誇りは、僕の昼寝より価値があるのか?」 これは、感情に流されない徹底した合理主義者が、己の知的好奇心のために世界の理を再構築していく、痛快な魔導ファンタジー。

生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう
ファンタジー
 村の仕来りで生贄にされた少年、天月・オボロナ。魔物が蠢く危険な森で死を覚悟した天月は、三人の異形の者たちに命を救われる。  異形の者たちの弟子となった天月は、数年後故郷を離れ、魔物による被害と魔法の溢れる町でバイトをしながら冒険者活動を続けていた。  そこで待ち受けるのは数々の陰謀や危険な魔物たち。  生贄として魔物に捧げられた少年は、冒険者活動を続けながらゆるりと日常を満喫する!  ※とりあえず、一時完結いたしました。  今後は、短編や別タイトルで続けていくと思いますが、今回はここまで。  その際は、ぜひ読んでいただけると幸いです。

処理中です...