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第四話
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ピピピ・・・ピピピ・・・
その時トーク終了のアラームが鳴った。やはり10分という時間はあっという間なんだと感じた。
「んじゃ,後でね」
「うん。待ってる」
一旦お別れした後、僕は受付に行き彼女と外出する旨を伝えた。
「へっ!?」
店員も予想外の展開に驚いている。今まで一度も外出しなかった娘と、同じく一度もトークルームを使わなかった男が、一緒に外出するのは相当珍しいケースなのだろう。
その後、受付で外出料とお小遣いを渡して、あとはほのかが女性ルームから出るのを待つだけだ。
ガチャッ。
数分後、ドアが開いてそこから鞄を持ったほのかが出てきた。
「おまたせ」とほのかは言い、一緒にエレベーターに歩いていく。その際、受付の店員が声をかけてきた。
「それではいってらっしゃいませ」
…
……
………
「……」
「……」
エレベーターの中で2人とも無口になる。やはりほのかも緊張しているのだろうか。
「……あっ!」
僕は一階に降りず、レストランのある2階のボタンを押して、ほのかにそこで降りるよう声をかけた。
「えっ? どうしたの?」
2階に降りた後、不安そうに尋ねるほのかに対して、僕は簡単に状況説明をした。
「少し離れた所に車止めているから、近くの公園で待ってて」
「えっ? 一緒に駐車場まで行けば……」
「流石に今の状況で男と女子高生が、2人で並んで歩くのはますいでしょ? 同じ生徒や先生に見られたら大問題だ」
「えーっ。 私は全然気にしな……」
「いいから少し待ってて。さっきのお小遣いでジュースでも買っててよ」
僕は彼女の答えを聞く前に、隣にある階段を使って下に降りた。
……
普通このパターンになったら、戻ってくる頃には女はいなくなっている。お小遣いも既に渡されているから女性側が待つメリットは特に無い。
しかし僕はそれでも構わないと思いながら、先ほどの提案をした。目的の一つは店から出す事だから、今の時点で半分は達成している。むしろ、帰っていてくれた方が、ホッとする気持ちすらあったのだ。
…
……
………
僕は色々な事を考えながら有料駐車場に着くと、車内を片付けてそのまま公園の方に向かった。
この角を曲がれば公園の入り口が見える。僕はドキドキしながらハンドルを切ると、コーヒーを飲みながら退屈そうにしているほのかがそこにいた。
「待ってたんだ……」
僕は正直驚いていた。しかしそれ以上に嬉しかった。ほのかは僕とドライブするのを、楽しみにしていたという証拠なのだから。
「おじさん遅いー」
ほのかは少し怒った声で言った。
「ごめん車を片付けてた。乗って」
「うん。お邪魔しまーす」
ほのかはドアを開けると、躊躇せずさっと車に乗り、僕はここから早く離れようと早めに車を動かした。
「ドライブなんて久しぶりっ!」
「そうなんだ」
「早く免許ほしいなー。そうしたら毎日ドライブするのに」
ほのかは窓の外を見ながら呟くように言った。
「でも、一つ聞いていいかな。何で僕と外出してくれたの? しかもドライブなんて普通しないし」
「んー。なんだろ。うまく言えないけど、後輩さんの話をしてるおじさんを見て、この人なら大丈夫だと思ったから」
「それは信用するの早いんじゃないか」
「いいのっ。私、人を見る目あるんだからっ」
最初の内は楽しく会話していた。しかし、出会い方がアレだからか、少しずつ話の内容はおかしな方向になっていってしまう。
「処女だと言ったら10万でどう? と聞くおじさんいたよ。凄いよね」
「10万かー。凄い金額だな」
僕はそう答えながら苦笑いをする。まさか車の中で女子高生と、こういう話をするとは思わなかった。
「お金欲しければ考えるかもだけど、私はそこまでお金に興味無いから断っちゃった。色々怖いし」
「うん。それが絶対良いよ。こんな形で初体験するのはいけないし、人生が狂ってしまうよ」
「ふーん」
ほのかはじっと僕の目を見た後に、信号待ちの時にこう問いかけた。
「正直な所、おじさんは私としたいの? したくないの?」
「……ッ!?」
いきなりの衝撃発言に、僕は思わずほのかの方を振り向く。
「?」
ほのかは少しキョトンとしているような、掴みどころの無い表情をしている。
この顔は、自分が性欲の対象になる事を実感していない顔だ。
だから、簡単に男の車に乗ってしまう。男が怖いと言いつつも、一度大丈夫だと思えば警戒を緩めてしまうタイプなのだろう。
僕は彼女の軽率な行動を見て不安を感じた。
「したくないと言えば嘘になるけど、ほのかさんとは出来ないかな」
「何それ?」
「大人には色々あるからね。男は性欲だけで生きてる訳じゃないよ」
「う~」
信号が青になり車を発進させるが、どうやら納得していないらしい。
「なら何で私を外に連れ出したの? 後輩さんに似てるから?」
「基本的にはそうだね。事故さえなければあり得た未来を体験したかったのかもしれない」
「うん」
「でも、それだけでは無いんだ」
「そうなの?」
「ほのかさんを、あの水族館から出したかったんだよ」
「水族館?」
「うん。水族館。ほのかさんは出会い喫茶の画像検索をした事はある?」
「ううん。無いけど」
「なら今調べてみてごらん? 男側の光景を見たら僕の言ってる事がわかるから」
ほのかはスマホを触り始めた。そして数分後、僕の方を向いて言った。
「知らなかったー。男の方からはこういう風に見えてたんだね」
「うん」
「私は水槽の中のお魚さん、か……」
ほのかはそれから話すのをやめて、窓の方を向いてじっと外の風景を見ていた。
…
……
………
段々空が暗くなってきたし、そろそろ頃合いだろう。
「そろそろ戻ろうか」
「……ううん。私、海に行きたい」
ほのかはそう呟いた。
「えっ? 時間の方は大丈夫?親とか」
「いいの。家に帰っても嫌な思いをするだけだし」
「嫌な思いって」
「おじさん、私を海に連れてってよ。それとさん付けは止めて欲しいな。ほのかでいい」
「……わかった」
僕は直進する予定だった信号を左折して、近くの海に向かった。
その時トーク終了のアラームが鳴った。やはり10分という時間はあっという間なんだと感じた。
「んじゃ,後でね」
「うん。待ってる」
一旦お別れした後、僕は受付に行き彼女と外出する旨を伝えた。
「へっ!?」
店員も予想外の展開に驚いている。今まで一度も外出しなかった娘と、同じく一度もトークルームを使わなかった男が、一緒に外出するのは相当珍しいケースなのだろう。
その後、受付で外出料とお小遣いを渡して、あとはほのかが女性ルームから出るのを待つだけだ。
ガチャッ。
数分後、ドアが開いてそこから鞄を持ったほのかが出てきた。
「おまたせ」とほのかは言い、一緒にエレベーターに歩いていく。その際、受付の店員が声をかけてきた。
「それではいってらっしゃいませ」
…
……
………
「……」
「……」
エレベーターの中で2人とも無口になる。やはりほのかも緊張しているのだろうか。
「……あっ!」
僕は一階に降りず、レストランのある2階のボタンを押して、ほのかにそこで降りるよう声をかけた。
「えっ? どうしたの?」
2階に降りた後、不安そうに尋ねるほのかに対して、僕は簡単に状況説明をした。
「少し離れた所に車止めているから、近くの公園で待ってて」
「えっ? 一緒に駐車場まで行けば……」
「流石に今の状況で男と女子高生が、2人で並んで歩くのはますいでしょ? 同じ生徒や先生に見られたら大問題だ」
「えーっ。 私は全然気にしな……」
「いいから少し待ってて。さっきのお小遣いでジュースでも買っててよ」
僕は彼女の答えを聞く前に、隣にある階段を使って下に降りた。
……
普通このパターンになったら、戻ってくる頃には女はいなくなっている。お小遣いも既に渡されているから女性側が待つメリットは特に無い。
しかし僕はそれでも構わないと思いながら、先ほどの提案をした。目的の一つは店から出す事だから、今の時点で半分は達成している。むしろ、帰っていてくれた方が、ホッとする気持ちすらあったのだ。
…
……
………
僕は色々な事を考えながら有料駐車場に着くと、車内を片付けてそのまま公園の方に向かった。
この角を曲がれば公園の入り口が見える。僕はドキドキしながらハンドルを切ると、コーヒーを飲みながら退屈そうにしているほのかがそこにいた。
「待ってたんだ……」
僕は正直驚いていた。しかしそれ以上に嬉しかった。ほのかは僕とドライブするのを、楽しみにしていたという証拠なのだから。
「おじさん遅いー」
ほのかは少し怒った声で言った。
「ごめん車を片付けてた。乗って」
「うん。お邪魔しまーす」
ほのかはドアを開けると、躊躇せずさっと車に乗り、僕はここから早く離れようと早めに車を動かした。
「ドライブなんて久しぶりっ!」
「そうなんだ」
「早く免許ほしいなー。そうしたら毎日ドライブするのに」
ほのかは窓の外を見ながら呟くように言った。
「でも、一つ聞いていいかな。何で僕と外出してくれたの? しかもドライブなんて普通しないし」
「んー。なんだろ。うまく言えないけど、後輩さんの話をしてるおじさんを見て、この人なら大丈夫だと思ったから」
「それは信用するの早いんじゃないか」
「いいのっ。私、人を見る目あるんだからっ」
最初の内は楽しく会話していた。しかし、出会い方がアレだからか、少しずつ話の内容はおかしな方向になっていってしまう。
「処女だと言ったら10万でどう? と聞くおじさんいたよ。凄いよね」
「10万かー。凄い金額だな」
僕はそう答えながら苦笑いをする。まさか車の中で女子高生と、こういう話をするとは思わなかった。
「お金欲しければ考えるかもだけど、私はそこまでお金に興味無いから断っちゃった。色々怖いし」
「うん。それが絶対良いよ。こんな形で初体験するのはいけないし、人生が狂ってしまうよ」
「ふーん」
ほのかはじっと僕の目を見た後に、信号待ちの時にこう問いかけた。
「正直な所、おじさんは私としたいの? したくないの?」
「……ッ!?」
いきなりの衝撃発言に、僕は思わずほのかの方を振り向く。
「?」
ほのかは少しキョトンとしているような、掴みどころの無い表情をしている。
この顔は、自分が性欲の対象になる事を実感していない顔だ。
だから、簡単に男の車に乗ってしまう。男が怖いと言いつつも、一度大丈夫だと思えば警戒を緩めてしまうタイプなのだろう。
僕は彼女の軽率な行動を見て不安を感じた。
「したくないと言えば嘘になるけど、ほのかさんとは出来ないかな」
「何それ?」
「大人には色々あるからね。男は性欲だけで生きてる訳じゃないよ」
「う~」
信号が青になり車を発進させるが、どうやら納得していないらしい。
「なら何で私を外に連れ出したの? 後輩さんに似てるから?」
「基本的にはそうだね。事故さえなければあり得た未来を体験したかったのかもしれない」
「うん」
「でも、それだけでは無いんだ」
「そうなの?」
「ほのかさんを、あの水族館から出したかったんだよ」
「水族館?」
「うん。水族館。ほのかさんは出会い喫茶の画像検索をした事はある?」
「ううん。無いけど」
「なら今調べてみてごらん? 男側の光景を見たら僕の言ってる事がわかるから」
ほのかはスマホを触り始めた。そして数分後、僕の方を向いて言った。
「知らなかったー。男の方からはこういう風に見えてたんだね」
「うん」
「私は水槽の中のお魚さん、か……」
ほのかはそれから話すのをやめて、窓の方を向いてじっと外の風景を見ていた。
…
……
………
段々空が暗くなってきたし、そろそろ頃合いだろう。
「そろそろ戻ろうか」
「……ううん。私、海に行きたい」
ほのかはそう呟いた。
「えっ? 時間の方は大丈夫?親とか」
「いいの。家に帰っても嫌な思いをするだけだし」
「嫌な思いって」
「おじさん、私を海に連れてってよ。それとさん付けは止めて欲しいな。ほのかでいい」
「……わかった」
僕は直進する予定だった信号を左折して、近くの海に向かった。
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