4 / 6
第四話
しおりを挟む
ピピピ・・・ピピピ・・・
その時トーク終了のアラームが鳴った。やはり10分という時間はあっという間なんだと感じた。
「んじゃ,後でね」
「うん。待ってる」
一旦お別れした後、僕は受付に行き彼女と外出する旨を伝えた。
「へっ!?」
店員も予想外の展開に驚いている。今まで一度も外出しなかった娘と、同じく一度もトークルームを使わなかった男が、一緒に外出するのは相当珍しいケースなのだろう。
その後、受付で外出料とお小遣いを渡して、あとはほのかが女性ルームから出るのを待つだけだ。
ガチャッ。
数分後、ドアが開いてそこから鞄を持ったほのかが出てきた。
「おまたせ」とほのかは言い、一緒にエレベーターに歩いていく。その際、受付の店員が声をかけてきた。
「それではいってらっしゃいませ」
…
……
………
「……」
「……」
エレベーターの中で2人とも無口になる。やはりほのかも緊張しているのだろうか。
「……あっ!」
僕は一階に降りず、レストランのある2階のボタンを押して、ほのかにそこで降りるよう声をかけた。
「えっ? どうしたの?」
2階に降りた後、不安そうに尋ねるほのかに対して、僕は簡単に状況説明をした。
「少し離れた所に車止めているから、近くの公園で待ってて」
「えっ? 一緒に駐車場まで行けば……」
「流石に今の状況で男と女子高生が、2人で並んで歩くのはますいでしょ? 同じ生徒や先生に見られたら大問題だ」
「えーっ。 私は全然気にしな……」
「いいから少し待ってて。さっきのお小遣いでジュースでも買っててよ」
僕は彼女の答えを聞く前に、隣にある階段を使って下に降りた。
……
普通このパターンになったら、戻ってくる頃には女はいなくなっている。お小遣いも既に渡されているから女性側が待つメリットは特に無い。
しかし僕はそれでも構わないと思いながら、先ほどの提案をした。目的の一つは店から出す事だから、今の時点で半分は達成している。むしろ、帰っていてくれた方が、ホッとする気持ちすらあったのだ。
…
……
………
僕は色々な事を考えながら有料駐車場に着くと、車内を片付けてそのまま公園の方に向かった。
この角を曲がれば公園の入り口が見える。僕はドキドキしながらハンドルを切ると、コーヒーを飲みながら退屈そうにしているほのかがそこにいた。
「待ってたんだ……」
僕は正直驚いていた。しかしそれ以上に嬉しかった。ほのかは僕とドライブするのを、楽しみにしていたという証拠なのだから。
「おじさん遅いー」
ほのかは少し怒った声で言った。
「ごめん車を片付けてた。乗って」
「うん。お邪魔しまーす」
ほのかはドアを開けると、躊躇せずさっと車に乗り、僕はここから早く離れようと早めに車を動かした。
「ドライブなんて久しぶりっ!」
「そうなんだ」
「早く免許ほしいなー。そうしたら毎日ドライブするのに」
ほのかは窓の外を見ながら呟くように言った。
「でも、一つ聞いていいかな。何で僕と外出してくれたの? しかもドライブなんて普通しないし」
「んー。なんだろ。うまく言えないけど、後輩さんの話をしてるおじさんを見て、この人なら大丈夫だと思ったから」
「それは信用するの早いんじゃないか」
「いいのっ。私、人を見る目あるんだからっ」
最初の内は楽しく会話していた。しかし、出会い方がアレだからか、少しずつ話の内容はおかしな方向になっていってしまう。
「処女だと言ったら10万でどう? と聞くおじさんいたよ。凄いよね」
「10万かー。凄い金額だな」
僕はそう答えながら苦笑いをする。まさか車の中で女子高生と、こういう話をするとは思わなかった。
「お金欲しければ考えるかもだけど、私はそこまでお金に興味無いから断っちゃった。色々怖いし」
「うん。それが絶対良いよ。こんな形で初体験するのはいけないし、人生が狂ってしまうよ」
「ふーん」
ほのかはじっと僕の目を見た後に、信号待ちの時にこう問いかけた。
「正直な所、おじさんは私としたいの? したくないの?」
「……ッ!?」
いきなりの衝撃発言に、僕は思わずほのかの方を振り向く。
「?」
ほのかは少しキョトンとしているような、掴みどころの無い表情をしている。
この顔は、自分が性欲の対象になる事を実感していない顔だ。
だから、簡単に男の車に乗ってしまう。男が怖いと言いつつも、一度大丈夫だと思えば警戒を緩めてしまうタイプなのだろう。
僕は彼女の軽率な行動を見て不安を感じた。
「したくないと言えば嘘になるけど、ほのかさんとは出来ないかな」
「何それ?」
「大人には色々あるからね。男は性欲だけで生きてる訳じゃないよ」
「う~」
信号が青になり車を発進させるが、どうやら納得していないらしい。
「なら何で私を外に連れ出したの? 後輩さんに似てるから?」
「基本的にはそうだね。事故さえなければあり得た未来を体験したかったのかもしれない」
「うん」
「でも、それだけでは無いんだ」
「そうなの?」
「ほのかさんを、あの水族館から出したかったんだよ」
「水族館?」
「うん。水族館。ほのかさんは出会い喫茶の画像検索をした事はある?」
「ううん。無いけど」
「なら今調べてみてごらん? 男側の光景を見たら僕の言ってる事がわかるから」
ほのかはスマホを触り始めた。そして数分後、僕の方を向いて言った。
「知らなかったー。男の方からはこういう風に見えてたんだね」
「うん」
「私は水槽の中のお魚さん、か……」
ほのかはそれから話すのをやめて、窓の方を向いてじっと外の風景を見ていた。
…
……
………
段々空が暗くなってきたし、そろそろ頃合いだろう。
「そろそろ戻ろうか」
「……ううん。私、海に行きたい」
ほのかはそう呟いた。
「えっ? 時間の方は大丈夫?親とか」
「いいの。家に帰っても嫌な思いをするだけだし」
「嫌な思いって」
「おじさん、私を海に連れてってよ。それとさん付けは止めて欲しいな。ほのかでいい」
「……わかった」
僕は直進する予定だった信号を左折して、近くの海に向かった。
その時トーク終了のアラームが鳴った。やはり10分という時間はあっという間なんだと感じた。
「んじゃ,後でね」
「うん。待ってる」
一旦お別れした後、僕は受付に行き彼女と外出する旨を伝えた。
「へっ!?」
店員も予想外の展開に驚いている。今まで一度も外出しなかった娘と、同じく一度もトークルームを使わなかった男が、一緒に外出するのは相当珍しいケースなのだろう。
その後、受付で外出料とお小遣いを渡して、あとはほのかが女性ルームから出るのを待つだけだ。
ガチャッ。
数分後、ドアが開いてそこから鞄を持ったほのかが出てきた。
「おまたせ」とほのかは言い、一緒にエレベーターに歩いていく。その際、受付の店員が声をかけてきた。
「それではいってらっしゃいませ」
…
……
………
「……」
「……」
エレベーターの中で2人とも無口になる。やはりほのかも緊張しているのだろうか。
「……あっ!」
僕は一階に降りず、レストランのある2階のボタンを押して、ほのかにそこで降りるよう声をかけた。
「えっ? どうしたの?」
2階に降りた後、不安そうに尋ねるほのかに対して、僕は簡単に状況説明をした。
「少し離れた所に車止めているから、近くの公園で待ってて」
「えっ? 一緒に駐車場まで行けば……」
「流石に今の状況で男と女子高生が、2人で並んで歩くのはますいでしょ? 同じ生徒や先生に見られたら大問題だ」
「えーっ。 私は全然気にしな……」
「いいから少し待ってて。さっきのお小遣いでジュースでも買っててよ」
僕は彼女の答えを聞く前に、隣にある階段を使って下に降りた。
……
普通このパターンになったら、戻ってくる頃には女はいなくなっている。お小遣いも既に渡されているから女性側が待つメリットは特に無い。
しかし僕はそれでも構わないと思いながら、先ほどの提案をした。目的の一つは店から出す事だから、今の時点で半分は達成している。むしろ、帰っていてくれた方が、ホッとする気持ちすらあったのだ。
…
……
………
僕は色々な事を考えながら有料駐車場に着くと、車内を片付けてそのまま公園の方に向かった。
この角を曲がれば公園の入り口が見える。僕はドキドキしながらハンドルを切ると、コーヒーを飲みながら退屈そうにしているほのかがそこにいた。
「待ってたんだ……」
僕は正直驚いていた。しかしそれ以上に嬉しかった。ほのかは僕とドライブするのを、楽しみにしていたという証拠なのだから。
「おじさん遅いー」
ほのかは少し怒った声で言った。
「ごめん車を片付けてた。乗って」
「うん。お邪魔しまーす」
ほのかはドアを開けると、躊躇せずさっと車に乗り、僕はここから早く離れようと早めに車を動かした。
「ドライブなんて久しぶりっ!」
「そうなんだ」
「早く免許ほしいなー。そうしたら毎日ドライブするのに」
ほのかは窓の外を見ながら呟くように言った。
「でも、一つ聞いていいかな。何で僕と外出してくれたの? しかもドライブなんて普通しないし」
「んー。なんだろ。うまく言えないけど、後輩さんの話をしてるおじさんを見て、この人なら大丈夫だと思ったから」
「それは信用するの早いんじゃないか」
「いいのっ。私、人を見る目あるんだからっ」
最初の内は楽しく会話していた。しかし、出会い方がアレだからか、少しずつ話の内容はおかしな方向になっていってしまう。
「処女だと言ったら10万でどう? と聞くおじさんいたよ。凄いよね」
「10万かー。凄い金額だな」
僕はそう答えながら苦笑いをする。まさか車の中で女子高生と、こういう話をするとは思わなかった。
「お金欲しければ考えるかもだけど、私はそこまでお金に興味無いから断っちゃった。色々怖いし」
「うん。それが絶対良いよ。こんな形で初体験するのはいけないし、人生が狂ってしまうよ」
「ふーん」
ほのかはじっと僕の目を見た後に、信号待ちの時にこう問いかけた。
「正直な所、おじさんは私としたいの? したくないの?」
「……ッ!?」
いきなりの衝撃発言に、僕は思わずほのかの方を振り向く。
「?」
ほのかは少しキョトンとしているような、掴みどころの無い表情をしている。
この顔は、自分が性欲の対象になる事を実感していない顔だ。
だから、簡単に男の車に乗ってしまう。男が怖いと言いつつも、一度大丈夫だと思えば警戒を緩めてしまうタイプなのだろう。
僕は彼女の軽率な行動を見て不安を感じた。
「したくないと言えば嘘になるけど、ほのかさんとは出来ないかな」
「何それ?」
「大人には色々あるからね。男は性欲だけで生きてる訳じゃないよ」
「う~」
信号が青になり車を発進させるが、どうやら納得していないらしい。
「なら何で私を外に連れ出したの? 後輩さんに似てるから?」
「基本的にはそうだね。事故さえなければあり得た未来を体験したかったのかもしれない」
「うん」
「でも、それだけでは無いんだ」
「そうなの?」
「ほのかさんを、あの水族館から出したかったんだよ」
「水族館?」
「うん。水族館。ほのかさんは出会い喫茶の画像検索をした事はある?」
「ううん。無いけど」
「なら今調べてみてごらん? 男側の光景を見たら僕の言ってる事がわかるから」
ほのかはスマホを触り始めた。そして数分後、僕の方を向いて言った。
「知らなかったー。男の方からはこういう風に見えてたんだね」
「うん」
「私は水槽の中のお魚さん、か……」
ほのかはそれから話すのをやめて、窓の方を向いてじっと外の風景を見ていた。
…
……
………
段々空が暗くなってきたし、そろそろ頃合いだろう。
「そろそろ戻ろうか」
「……ううん。私、海に行きたい」
ほのかはそう呟いた。
「えっ? 時間の方は大丈夫?親とか」
「いいの。家に帰っても嫌な思いをするだけだし」
「嫌な思いって」
「おじさん、私を海に連れてってよ。それとさん付けは止めて欲しいな。ほのかでいい」
「……わかった」
僕は直進する予定だった信号を左折して、近くの海に向かった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる