私、推しVに認知してもらう為にロボに乗って戦います!

TEKKON

文字の大きさ
17 / 28

第16話 でも、その日々ももうすぐ終わります

「大事なお知らせ……?」

 このサムネを見て知奈は猛烈な不安を感じていた。
 そう思ったのは、ほづみはあまりこうした宣伝をしない事。そして、告知の書き方が今までとは全く違っている事だ。

 今まで「緊急告知!」「速報!」みたいな”煽る系”の案件サムネは何度かありはした。しかし、今回の様な書き方は今まで見たことが無い。

 案の定、このツイートに他のファン達も反応する。杞憂民が発生して、まとめサイト系も動き出す。個人勢だと言っても中堅ライバーなのだ。
 知奈も不安になって色々調べてみるが推測以上の情報は見つからなかった。

 やはり今日の深夜定期配信を待つしか無さそうだ。知奈はただ良いニュースである事を祈る事しか出来ない。


……
………

 * * *

 そしてついに運命の配信時間がやってくる。

 深夜にもかかわらずたくさんの人が見に来ている中、いつもの様に液体の中で髪を揺らしながら、ほづみ・パトラクシェは静かに眠り続けている。
 いつもはワクワクする待機画面も、今日ばかりはもどかしく感じてしまう。

 そして、少しした後に画面が切り替わり、ほづみは目覚めて辺りを見渡し静かに話し始める。

「……この声聞こえてるのかな。おーい。サンプルさん聞こえる? ボリュームは問題無い?」

 視聴者はすぐに反応して「聞こえるよー」「おはよう」という文字でコメント欄が埋まっていく。

「うわっ。今日はいつもよりサンプルさんいるね。こんなに来るとは思わなかったよ。ありがとう」

 コメント欄はいつもと比べて流れが速く、またいつもは来ない人も集まってる。それによって雰囲気も少し殺伐としている。
 正直、状況が状況だから仕方ないが、知奈は今日の雰囲気はあまり好きでは無かった。
 
 しかし、それにも関わらず、ほづみはいつものように穏やかに雑談を始める。
 どうやら20分後、”大事なお知らせ”について話すらしい。


……
………

「……そうだね。そろそろ本題に入るね」

 知奈はじっと画面を見つめる。そして画面の向こうのほづみはゆっくりと話しだした。

「皆さんご存じのとおり、僕は育成ポッドの中でみんなと会える日を楽しみにしていながら、何年もずっと過ごしていました」

(……)

「モニター越しではない外の世界は一体どれだけ輝いているのだろう。スピーカー越しではない本当の”音”は一体どう聞こえるのだろう」

(……)

「でも、その日々ももうすぐ終わります」

(……!?)

 知奈のドキドキは止まらない。胸がはちきれそうになる。

(一体”どっち”なの?ほづみ君。ほづみ君!)

「色々考えたけど、決めました。近日中にこの育成ポッドの電源を落として、今までしてきた配信を終わらせたいと思います」

 その言葉にコメントは一気に加速していく。Twitterでもツイートが出回り始める。

 そして、知奈はショックで何も考えられない。彼が言ってる理由も頭に入ってこない。

 (この日常は永遠では無いと頭では知っていても、こんなに急にやってくるとは夢にも考えていなかったわ……)

「皆さん。本当に今までありがとう」

 彼の口から聞きたくなかった言葉が、知奈の胸深くに突き刺さる。

「もちろん最後までみんなと楽しく遊びたいし、それまで色々企画をやっていくからよろしくね」
「そして、最後の配信に来てもらえたら、その時もっと色んな事を話せると思うから是非遊びに来て欲しいな」

 (そうだ。今、私に出来る事は最後までほづみ君と一緒にいる事なんだ。配信の一分一秒を大切にしてほづみ君と一緒に過ごすんだ!)
 
 そう思いながら知奈は配信を見続ける。

「僕の最後の配信日は……」

「……えっ?」

 (まって)

 (まって、その日なの?)

 (よりにもよってその日時なの!?)

 彼の口から発せられた配信日程。
 それはロボバトの決勝戦開始と全く同じ日時だった。
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について

マカロニ
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。 かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。 しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。 現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。 その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。 「今日から私、あなたのメイドになります!」 なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!? 謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける! カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。