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第18話 私、私の事を推してくれる人の為にロボに乗って戦います!
「……はぁっ」
あの衝撃の配信から3日が経過した。知奈は店を早退してから一歩も家の外に出ておらず、ネットに入り浸る事しかしていない。
もちろん知奈は、これからどうすべきかは知っている。しかし、動くだけの力がどうしても湧き起こらないのだ。
ほづみはVtuberだから、たとえ配信を止めたからと言ってもこの世界から完全に消える訳ではない。アニメキャラの様にストーリーや台詞が決まっている訳でも無いし、Vtuberはリアルとのシンクロ率の高さが一番の特色だ。
(彼は私の知らない所でこれからもずっと生きていく)
(ほづみ君が望んで新しい事を見つけたのなら、むしろ喜んで送り出すのが正しい姿なのかもしれない)
しかし、頭ではそう考えられても、この現実を受け止めるのは決して容易な事ではない。特に最後の配信をリアルタイムで見る事が出来ない。という事実は耐えられない。
推しに見てもらう為に頑張ってきたのに、それが原因で最後の配信が見れないなんて本末転倒過ぎる。
「なんやかんや言っても同好会とは正式に契約した訳でもない。店長も許してくれている。だったら……!」
♪~♪~♪~
その時、知奈のスマホから聞きなれた音楽が流れてきた。
「着信?誰からだろう…… みぅだ」
知奈は正直、今は誰からの電話も取る気にはなれなかった。しかし周りの現在の状況が気になるのも確かである。そして、みぅに謝りたい気持ちもあり、そのまま取る事にした。
「もしもし。みぅ?」
「ねいねちゃん……元気?」
凄く心配そうな声がスピーカーから聞こえてくる。
「うん。ご飯はちゃんと食べてるよ」
「よかったぁ」
「大学やお店に行かなくてごめんね」
「ううん。こっちは大丈夫だから気にしないで。
「で、でね?ねいねちゃん……」
電話の向こうからでも、みぅが緊張しているのがわかる。
「み、みぅ。どうしたの?」
「あのね? ロボバト決勝戦だけど、私、ねいねちゃんの代わりに追放天使に乗ろうと思うんだ」
「はぁっ!!??」
知奈は驚きのあまり大声を出してしまう。
「いや、私はずっとねいねちゃんの傍にいたから操縦の仕方は知ってるし、ハンドクリックはねいねちゃんよりずっと上手かったんだよ?」
頑張って明るく振舞っているが、強がっているのは声のトーンと震えでわかってしまう。
「確かにみぅの射撃は凄かったけど、違うでしょ! そもそも、会長が交代をOKする訳が無いわ」
「お願いして明日、採寸してもらう事になったよ。急場しのぎだけど最低限の動きは出来るって」
「えっ!?」
それを聞いて知奈はかなり驚いた。
自分の意見を突き通すあの渡辺会長が、私以外の選択肢も入れた? とても信じられない。
勿論山本さんとかも色々動いたんだろうけど、みぅがゴリ押ししたのは容易に想像出来る。彼女はそういう事が出来る娘なのだ。
みぅの優しさはとても嬉しいし、思わずその言葉に甘えたくなる。
(しかし、だからこそ……)
「……ううん。みぅが追放天使になる必要は無いわ」
「えっ?」
根っからのインドア派であるみぅは、こういう舞台は未経験だろう。何よりロボバトの実戦を人一倍怖がっている。そんな彼女に出場をお願いするなんて出来ない。
――私のワガママに、これ以上付き合わせる訳にはいかない。
「大丈夫。きっと私は大丈夫だから。お願い。少しだけ時間を頂戴?」
「う、うん……」
「とにかくみぅは乗らないでね? いざとなったら会長が天使になればいいんだから」
「あ。それちょっと見てみたいかも」
おそらくみぅも会長の制服姿を想像したのだろう。少しだけ雰囲気が柔らかくなった気がした。
…
……
………
「あ、そうそう! ねいねちゃんが帰った後、まりぃさんが血相を変えてお店に飛び込んで来たよ」
「やっぱり来たのね」
それからしばしの間、二人は他愛のない雑談を楽しんだ。
「あ。晩御飯みたい。呼ばれちゃった」
「うん。結構喋っちゃったね。……みぅ?」
「うん?」
「本当にありがとう!」
知奈はみぅへの気持ち全てをこの一言に込める。
「うんっ! また後でね!」
そしてみぅもそれを受け止めてくれた。
…………
通話が終わってまた一人の時間が始まるが。知奈は今までとは違う穏やかな気持ちになっていた。それはみぅのおかげだ。
「……あっ。今日の配信はいつもより早いんだった。先にお風呂入って準備しなきゃ!」
”大事なお知らせ”以来の配信になる。正直どんな心境で見れば良いか不安だったが、今ならいつも通り楽しく見る事が出来そうだ。
早くほづみ君の声が聞きたい。知奈は心からそう思った。
* * *
「だからさ、サンプルさんもこのアニメは絶対観た方が良いって」
ほづみの雑談配信が始まって30分が経過した。サンプル以外の視聴者も多く、最後の配信についてのコメントも時折見かけるが、それでもいつもと同じ雰囲気で配信は続いていく。
知奈がほづみの配信の中でも雑談系が好きなのは、この穏やかな空気感による所が大きい。特に口数も少なく、BGMすら流れない作業垂れ流し配信は、まるで同じ部屋にいるかのような感じがして大好きなのだ。
しかし、何かを思い出したかのように、ほづみは話の流れを変えてきた。
「……あっ。そうだ。今日は言っておきたい事があったんだ。本当は個人に向けてこういう発言するのは、あまり良くない事だとは思うけど……」
”んっ?”
”どうしたの?”
知奈も他のサンプルさんもその言葉に反応した。
(一体どのような”お気持ち表明”をするの……?)
ほづみは少し間をおいた後、ゆっくりと話し始める。
「みんなも知っているように、僕は来週の日曜日にここで最後の配信をします」
「しかし、サンプルさんの中にはその日大切な事、大事な大会がある人もいるのを知っています」
(……大会!?)
知奈はいきなり出てきたその単語にドキっとした。
「迷惑になると思うのであえて名前は出しませんが、本人には伝わると思うのでそのまま続けます」
その発言を受けてコメント欄が一気にざわつく。ねいねの事だと気づく者も当然いる。
普通、Vはこういった個人に向けてのメッセージは異例中の異例だ。いくら個人勢でも普通そんな事はしない。
「僕の休止配信を見るために大会を欠場するという噂を聞きました」
「でも、そんな事はしないでください。僕が推している人が、僕の所為で欠場するのはとても悲しい事なんです」
(えっ……!)
思いもしなかった言葉に、知奈のドキドキが止まらない。
「大丈夫です。僕はあなたを悲しませるような事はしません。だから、その日はその大切な事に集中してください」
「僕はあなたの勇士をとても楽しみにしています。決勝戦、頑張ってください」
…
……
………
* * *
その言葉を最後に配信は元の雑談に戻っていく。
大騒ぎしていたコメント欄もゆっくりではあるものの、少しずつ平常の流れになっていった。
「ぅえぇぇっ…!!」
そして、知奈の目から涙が溢れて止まらなかった。
----------------------
ほづみ君は間違いなく私の事を言っていた。私がほづみ君推しという事は、一部で暗黙の了解となっていたし、それが原因でロボバト関連の話題が減ったのも感じていた。
そして、おそらく先日のお店でのやり取りが、どこからかほづみ君の耳に入ったのだろう。
それで彼は、配信を見ているであろう私に向けてメッセージを送ってきた。
しかも、配信中のリスナーへの私信というある意味タブーとも言える行為で。
----------------------
「……ずるいよ。ほづみ君」
あんな事を言われたら、私は決勝戦に出てあいつに勝たないといけなくなったじゃない……!!
「私、私は……」
もう泣かない。もう迷わない。
私がすべき事はもう決まったのだから。
――私、私の事を推してくれる人の為にロボに乗って戦います!
あの衝撃の配信から3日が経過した。知奈は店を早退してから一歩も家の外に出ておらず、ネットに入り浸る事しかしていない。
もちろん知奈は、これからどうすべきかは知っている。しかし、動くだけの力がどうしても湧き起こらないのだ。
ほづみはVtuberだから、たとえ配信を止めたからと言ってもこの世界から完全に消える訳ではない。アニメキャラの様にストーリーや台詞が決まっている訳でも無いし、Vtuberはリアルとのシンクロ率の高さが一番の特色だ。
(彼は私の知らない所でこれからもずっと生きていく)
(ほづみ君が望んで新しい事を見つけたのなら、むしろ喜んで送り出すのが正しい姿なのかもしれない)
しかし、頭ではそう考えられても、この現実を受け止めるのは決して容易な事ではない。特に最後の配信をリアルタイムで見る事が出来ない。という事実は耐えられない。
推しに見てもらう為に頑張ってきたのに、それが原因で最後の配信が見れないなんて本末転倒過ぎる。
「なんやかんや言っても同好会とは正式に契約した訳でもない。店長も許してくれている。だったら……!」
♪~♪~♪~
その時、知奈のスマホから聞きなれた音楽が流れてきた。
「着信?誰からだろう…… みぅだ」
知奈は正直、今は誰からの電話も取る気にはなれなかった。しかし周りの現在の状況が気になるのも確かである。そして、みぅに謝りたい気持ちもあり、そのまま取る事にした。
「もしもし。みぅ?」
「ねいねちゃん……元気?」
凄く心配そうな声がスピーカーから聞こえてくる。
「うん。ご飯はちゃんと食べてるよ」
「よかったぁ」
「大学やお店に行かなくてごめんね」
「ううん。こっちは大丈夫だから気にしないで。
「で、でね?ねいねちゃん……」
電話の向こうからでも、みぅが緊張しているのがわかる。
「み、みぅ。どうしたの?」
「あのね? ロボバト決勝戦だけど、私、ねいねちゃんの代わりに追放天使に乗ろうと思うんだ」
「はぁっ!!??」
知奈は驚きのあまり大声を出してしまう。
「いや、私はずっとねいねちゃんの傍にいたから操縦の仕方は知ってるし、ハンドクリックはねいねちゃんよりずっと上手かったんだよ?」
頑張って明るく振舞っているが、強がっているのは声のトーンと震えでわかってしまう。
「確かにみぅの射撃は凄かったけど、違うでしょ! そもそも、会長が交代をOKする訳が無いわ」
「お願いして明日、採寸してもらう事になったよ。急場しのぎだけど最低限の動きは出来るって」
「えっ!?」
それを聞いて知奈はかなり驚いた。
自分の意見を突き通すあの渡辺会長が、私以外の選択肢も入れた? とても信じられない。
勿論山本さんとかも色々動いたんだろうけど、みぅがゴリ押ししたのは容易に想像出来る。彼女はそういう事が出来る娘なのだ。
みぅの優しさはとても嬉しいし、思わずその言葉に甘えたくなる。
(しかし、だからこそ……)
「……ううん。みぅが追放天使になる必要は無いわ」
「えっ?」
根っからのインドア派であるみぅは、こういう舞台は未経験だろう。何よりロボバトの実戦を人一倍怖がっている。そんな彼女に出場をお願いするなんて出来ない。
――私のワガママに、これ以上付き合わせる訳にはいかない。
「大丈夫。きっと私は大丈夫だから。お願い。少しだけ時間を頂戴?」
「う、うん……」
「とにかくみぅは乗らないでね? いざとなったら会長が天使になればいいんだから」
「あ。それちょっと見てみたいかも」
おそらくみぅも会長の制服姿を想像したのだろう。少しだけ雰囲気が柔らかくなった気がした。
…
……
………
「あ、そうそう! ねいねちゃんが帰った後、まりぃさんが血相を変えてお店に飛び込んで来たよ」
「やっぱり来たのね」
それからしばしの間、二人は他愛のない雑談を楽しんだ。
「あ。晩御飯みたい。呼ばれちゃった」
「うん。結構喋っちゃったね。……みぅ?」
「うん?」
「本当にありがとう!」
知奈はみぅへの気持ち全てをこの一言に込める。
「うんっ! また後でね!」
そしてみぅもそれを受け止めてくれた。
…………
通話が終わってまた一人の時間が始まるが。知奈は今までとは違う穏やかな気持ちになっていた。それはみぅのおかげだ。
「……あっ。今日の配信はいつもより早いんだった。先にお風呂入って準備しなきゃ!」
”大事なお知らせ”以来の配信になる。正直どんな心境で見れば良いか不安だったが、今ならいつも通り楽しく見る事が出来そうだ。
早くほづみ君の声が聞きたい。知奈は心からそう思った。
* * *
「だからさ、サンプルさんもこのアニメは絶対観た方が良いって」
ほづみの雑談配信が始まって30分が経過した。サンプル以外の視聴者も多く、最後の配信についてのコメントも時折見かけるが、それでもいつもと同じ雰囲気で配信は続いていく。
知奈がほづみの配信の中でも雑談系が好きなのは、この穏やかな空気感による所が大きい。特に口数も少なく、BGMすら流れない作業垂れ流し配信は、まるで同じ部屋にいるかのような感じがして大好きなのだ。
しかし、何かを思い出したかのように、ほづみは話の流れを変えてきた。
「……あっ。そうだ。今日は言っておきたい事があったんだ。本当は個人に向けてこういう発言するのは、あまり良くない事だとは思うけど……」
”んっ?”
”どうしたの?”
知奈も他のサンプルさんもその言葉に反応した。
(一体どのような”お気持ち表明”をするの……?)
ほづみは少し間をおいた後、ゆっくりと話し始める。
「みんなも知っているように、僕は来週の日曜日にここで最後の配信をします」
「しかし、サンプルさんの中にはその日大切な事、大事な大会がある人もいるのを知っています」
(……大会!?)
知奈はいきなり出てきたその単語にドキっとした。
「迷惑になると思うのであえて名前は出しませんが、本人には伝わると思うのでそのまま続けます」
その発言を受けてコメント欄が一気にざわつく。ねいねの事だと気づく者も当然いる。
普通、Vはこういった個人に向けてのメッセージは異例中の異例だ。いくら個人勢でも普通そんな事はしない。
「僕の休止配信を見るために大会を欠場するという噂を聞きました」
「でも、そんな事はしないでください。僕が推している人が、僕の所為で欠場するのはとても悲しい事なんです」
(えっ……!)
思いもしなかった言葉に、知奈のドキドキが止まらない。
「大丈夫です。僕はあなたを悲しませるような事はしません。だから、その日はその大切な事に集中してください」
「僕はあなたの勇士をとても楽しみにしています。決勝戦、頑張ってください」
…
……
………
* * *
その言葉を最後に配信は元の雑談に戻っていく。
大騒ぎしていたコメント欄もゆっくりではあるものの、少しずつ平常の流れになっていった。
「ぅえぇぇっ…!!」
そして、知奈の目から涙が溢れて止まらなかった。
----------------------
ほづみ君は間違いなく私の事を言っていた。私がほづみ君推しという事は、一部で暗黙の了解となっていたし、それが原因でロボバト関連の話題が減ったのも感じていた。
そして、おそらく先日のお店でのやり取りが、どこからかほづみ君の耳に入ったのだろう。
それで彼は、配信を見ているであろう私に向けてメッセージを送ってきた。
しかも、配信中のリスナーへの私信というある意味タブーとも言える行為で。
----------------------
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