私、推しVに認知してもらう為にロボに乗って戦います!

TEKKON

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第19話 今年のロボバトは最高ですね!

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 そして決勝戦当日となった。
 会場自体は同じものの、照明や機材、セット関係が遥かにグレードアップしており、ゴールデンタイム生中継という物を実感させられる。

「うわー。これは凄いね」
「この大舞台でねいねちゃんは戦うんだ……」
「私もこんなのは初めてで少し緊張するわ」

 いつもの様に設営中の会場を見て回る二人。

 会場設営中の雰囲気を味わう事により、少しずつモチベーションを高める事が大事だと、知奈は他の人よりも外に出る事を好んでいる。
 そうしていると、ロボの待機場から例のメイド集団が現れた。

「あっ」
「やっぱりあの人たち目立つねー」

 フィフネルガールズの先頭を歩く伊集院まりぃは、ねいねに声をかける。

「ごきげんよう天使さん」
「まりぃさん、やっほ!」

 知奈はこの前の事もありフランクに挨拶を返す。

「噂は聞いてたけど元気そうで良かったわ。まぁ、私のライバルだから心配はしてなかったけどね」

 それを聞いて知奈とみぅは、お互いの顔を見てクスっと笑った。
 まりぃは今でこそ余裕の顔をしているが、ねいねがトラブルを起こして店を早退した事を知った時の事を知っているからだ。
 まりぃは血相を変えて店に飛び込んで来て、同好会メンバーと言い争いをした挙句「私、どうしたら良いの……?」と私事のように真剣に悩んでいた。

 その話をみぅから聞かされた時、まりぃの優しさを感じられて知奈はとても嬉しかった。

「ありかどうございます。まりぃさんも3位決定戦頑張ってくださいね」
「あら。私があんなガラクタに苦戦するとでも?」
「い、いえ、でもあいつは結構厄介だから……」
「それは他のチームの戦い方がなってないからです!」

 完全に言い切るまりぃ。

「まぁ、見てなさい。秒殺は無理ですが、圧倒的な戦いを見せてさしあげますわ」

 笑顔も見せず淡々と話すまりぃを見て、知奈はパラスアテナの勝利を確信した。まりぃの脳内で、完璧にシミュレーションが出来ているからだ。

「そんな事より天使さんの方はどうなの? あの化け物に勝つ秘策とか見つけられた?」
「え、えーと……はははっ」

 知奈は思わず言葉を濁してしまう。

「まぁ、そうでしょうね。私もシミュレーションしてみたけど、残念ながら突破口は見つからなかった」
「やっぱりそうなんですか……」

 (このまりぃさんの頭脳を持ってしても勝機が見えないなら、もう駄目じゃない!)

「でも、私は知っています。不可能を可能に変える凄いパイロットが中に入っているという事。そして追放天使もそのパイロットに答えてくれる凄いロボだという事を」
「まりぃさん……」

「私のライバルは伊達じゃないんです。ですから、精一杯戦いなさい。そうしたらきっと光が見えてくる筈です」
「……はいっ!」

 二人は笑顔で固い握手を交わした。

 * * *

 そしてついにテレビ特番が始まり、会場は大会最終日に相応しい賑やかな雰囲気に包まれる。

 今までの試合のダイジェスト映像が流れている横で、三位決定戦で戦う「DAN-GAN ZZ」と「パラスアテナ」が、そして決勝戦で戦う「追放天使」と「カイエン」の4機が待機場で並ばされていた。

 カラーリングを白金色と金色に一新させた
 従来ロボの通常進化版ともいえるパラスアテナ、

 ロボというより作業車の風貌を持つ
 重機型ロボのDAN-GAN ZZ

 既存ロボとは一線を画す完全な人型
 次世代型最強ロボのカイエン

 最先端の技術を駆使して
 ロボバトの常識を覆した追放天使

 ここまで個性が分かれた4機が上位というのは、今までのロボバトでは考えられない。
 追放天使の横で並んでいるロボットアニメ同好会は、昨今の重機バトルとは違うこの光景に満足していた。

 様々な可能性を秘めた個性的なロボ達の戦い。そう、我々はこれが見たかったのだと。

 * * *

 しかし、同好会メンバーの中で一人、別の楽しみ方をしている者がいた。山本だ。
 山本はこの光景を見ながら、同時に遠くない未来に思いを巡らせる。

 最初は半分趣味で始まったロボットバトルが着実に進化し、機械や重機業界も参加する規模にまで到達した。
 そして、今回のロボバトで確実に”一線”を超え、次の、いや一気に最終段階まで進む事だろう。

「ふふふ」

 山本は今までとは違う表情を見せる。

――そう。この技術は確実に軍事技術に転用される

 そもそも、今回追放天使プロジェクトに参加した企業達が、硬化テクタイトや最先端技術を惜しげもなく投入した理由はそこにあった。
 稼働時間や稼働環境こそまだ限られているが、それらも解決したロボが遠くない未来にパワードスーツとして戦場を駆ける事になるだろう。
 その為の実戦テストとプレゼンとしてロボバトは絶好の舞台だったのだ。

「それに、そう考えていたのはどうやら僕達だけではなかったようですしね」

 山本は、カイエンとホソダチームを横目で見ながら楽しそうに呟いた。
 この大会が終わった後、業界の状況は大きく変わるであろう。

「会長」
「ん? どうした山本」
「今年のロボバトは最高ですね」
「ふふん。そりゃあ我々が台風の目となって大会をかき回したからな。うわははは!」
「そうですね。本当にこれからの…」

――これからの巨大ロボット業界がどうなっていくか。僕は楽しみで仕方がありません

 * * *

「ねいねちゃん、ついに決勝戦だねー」
「そうね。長いようであっという間だったな」

 知奈は、会長がお店に突然現れて企画書を見せてきた日から今までの事を思い出す。

「今まで色々あったし、今日なんて……」

 そう言いながら時計を見て、そろそろ配信が始まる事を知り、知奈は曇った表情を見せる。

「ねいねちゃん……」

 その時、ダイジェスト映像も終わったらしい。司会から威勢の良い声が聞こえてくる。

「あっ。そろそろ幕が上がるね」
「うんっ!頑張ってね!」

――そうだ。私は胸を張らないといけない

「ありがとう、みぅ」

――私に元気をくれたみぅやまりぃさん。同好会のみんな、応援してくれる人たち。

「そして……」

――そして、私を推してくれるほづみ君の為に

「勝敗は関係無い。私は全力を出し切って、笑ってこの大会を終わらせるんだから!」

 司会の声に合わせて目の前にある巨大な幕がゆっくりと開いてゆく。
 ロボバト最終日がいよいよ始まったのだ。
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