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第22話 バカと天才は紙一重と言うけれど
追放天使の準備はスピーディーに進み、引き続きセンサーの微調整に入った。
「あ。そろそろ3位決定戦が始まるね!」
知奈がそう言った時、司会の声がスピーカーから聞こえてきた。
「それではチームフィフネルの入場です!」
会場の照明が落とされて音楽もフェードアウトしていく。その後、少しの間をおいてスピーカーから入場曲が流れ始める。
「あら。いつもの入場曲じゃないね。これは……歌のイントロ?」
知奈がそう思った瞬間、信じられない事が起こった。
----------
女神の名の元に今、
運命の針が動き出す
愚かな罪人達よ祈るように踊れ
----------
「こ、この声は…!」
会場に伊集院まりぃの歌声が響き渡る。
思い出した。フィフネルのパンフレットにあったQRコードのあの歌だ。
ついに歌と共に巨大ビジョンでMVまで流れ始めた。当然、MV主演も伊集院まりぃである。
「あっはっはっは! まりぃさん最高です!」
「これはまいった! あの女やるなぁ!」
それを見て爆笑する渡辺会長と山本であった。
----------
罪人は運命に翻弄されながら
時の彼方に夢を重ねて
ただ彷徨う あてのない道を
その足が動かなくなるまで
その命が尽きるまで
私を求めよ(息も絶え絶えに)
私を崇めよ(歪な世界を嗤う)
私を恐れよ(僕らは取り残された)
私を愛せよ(干からびた胎児)
----------
光り輝く照明の下、歌に合わせて白金と金色で彩られたロボ、パラスアテナがゆっくりと入場する
「あ、あはははh」
「あの人凄すぎるわ……」
知奈とみぅも開いた口が塞がらない。
(バカと天才は紙一重と言うけれど、きっとあの人の事を言うんだわ)
-----------
今、女神の名の元に
救済の鐘が鳴り響く
哀れな罪人達よ祈るように眠れ
-----------
歌のクライマックスに合わせてパラスアテナの両腕が天を仰ぎ、それに合わせて照明が一段と眩しさを増す。、
会場全体がミュージカルと化したかのようだ。
観客はあまりもの光景にどよめきや喝采が入り乱れ混沌としていた。
予想の範囲を超えたパフォーマンスは人を不安にさせるものだ。
しかし、一度バトルが始まるとその雰囲気は一変する。
* * *
ガキィィン!
『また右フックが決まったァ!』
ウワアアァァァ!
いつもより派手な照明の下、ハイテンションな実況と歓声が会場に響き渡る。
「まりぃさん、凄いっ!」
前哨戦である3位決定戦が始まって、すぐにパラスアテナはDAN-GANを圧倒していた。
しかし、実際のところ試合展開は決して派手ではない。少なくとも準決勝の方が遥かに派手な試合をしている。
試合開始直後、パラスアテナはDAN-GANの懐に一気に飛び込み、真っ先に腕を攻撃し使用不能にした。
その時点で勝敗は決したと言っても過言ではない。
伊集院まりぃの今回の狙いはただ一つ。相手の長所を潰す事にあった。
パラスアテナは相手が加速する前に、一気に懐深く入る事で相手の強みを潰して、それ以降はずっと”タコ殴り”である。
飾りのようなDAN-GANの腕ではパラスアテナに対抗出来ず、更に動きの柔軟性はパラスアテナが遥かに上なのだ。距離を取る事も、正面に回り込んで得意の体当たりもさせてもらえない。常に死角に回り込まれてしまう。
しかし、重機型であるDAN-GANの防御力は高い為、攻撃力がそこまで高くないパラスアテナでは致命的なダメージを与える事は難しい。
それでも構わず同じ攻撃方法を繰り返す。シミュレーションで最適な攻撃方法を見つけて、必要とあれば泥仕合も乱れ打ちも特攻も辞さず、時には単調な攻撃を執拗に繰り返す事も出来る。
これが伊集院まりぃの1番の強さでもあり恐ろしい所でもあろう。
ゴコッ!ゴンッ!ガキィィン!!
打撃を受けすぎて音までおかしくなってきた。DAN-GANは踏ん張ってこそいるものの、執拗に繰り返される連打に屈するのは、時間の問題だった。
「ここまでくるとなぶり殺しだなぁ」
「流石まりぃさんですね。んっ? 何かコマスに動きがありますか?」
コマスチーム付近からどよめきが聞こえてきた。
「……あっ!」
コマスチームから白いタオルが投げられ、DAN-GANもボロボロの腕を上げて左右に振っている。
「試合放棄ですか!?」
「おおっ! これは珍しい!」
渡辺会長と山本も驚いた表情を見せた。
「特に身動き取れない訳ではなく、機体が壊れたレフリーストップでもない」
「つまりコマスの心が折れたという事ですね」
コマスチームの試合放棄を受けて試合終了のサイレンが会場に鳴り響く。
観客から歓声とどよめきが聞こえてくる。
パラスアテナのコックピットが開き、姿を見せた伊集院まりぃは観客に対して勝利のアピールを見せた。
「……綺麗」
スポットライトで光り輝くパラスアテナと、豪華な戦闘用ドレスに身を包む伊集院まりぃを見て、思わず知奈はそう呟いていた。
こうして3位決定戦、いや”伊集院まりぃショー”はフィフネルチームの完全勝利で幕を閉じた。
「あ。そろそろ3位決定戦が始まるね!」
知奈がそう言った時、司会の声がスピーカーから聞こえてきた。
「それではチームフィフネルの入場です!」
会場の照明が落とされて音楽もフェードアウトしていく。その後、少しの間をおいてスピーカーから入場曲が流れ始める。
「あら。いつもの入場曲じゃないね。これは……歌のイントロ?」
知奈がそう思った瞬間、信じられない事が起こった。
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女神の名の元に今、
運命の針が動き出す
愚かな罪人達よ祈るように踊れ
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「こ、この声は…!」
会場に伊集院まりぃの歌声が響き渡る。
思い出した。フィフネルのパンフレットにあったQRコードのあの歌だ。
ついに歌と共に巨大ビジョンでMVまで流れ始めた。当然、MV主演も伊集院まりぃである。
「あっはっはっは! まりぃさん最高です!」
「これはまいった! あの女やるなぁ!」
それを見て爆笑する渡辺会長と山本であった。
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罪人は運命に翻弄されながら
時の彼方に夢を重ねて
ただ彷徨う あてのない道を
その足が動かなくなるまで
その命が尽きるまで
私を求めよ(息も絶え絶えに)
私を崇めよ(歪な世界を嗤う)
私を恐れよ(僕らは取り残された)
私を愛せよ(干からびた胎児)
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光り輝く照明の下、歌に合わせて白金と金色で彩られたロボ、パラスアテナがゆっくりと入場する
「あ、あはははh」
「あの人凄すぎるわ……」
知奈とみぅも開いた口が塞がらない。
(バカと天才は紙一重と言うけれど、きっとあの人の事を言うんだわ)
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今、女神の名の元に
救済の鐘が鳴り響く
哀れな罪人達よ祈るように眠れ
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歌のクライマックスに合わせてパラスアテナの両腕が天を仰ぎ、それに合わせて照明が一段と眩しさを増す。、
会場全体がミュージカルと化したかのようだ。
観客はあまりもの光景にどよめきや喝采が入り乱れ混沌としていた。
予想の範囲を超えたパフォーマンスは人を不安にさせるものだ。
しかし、一度バトルが始まるとその雰囲気は一変する。
* * *
ガキィィン!
『また右フックが決まったァ!』
ウワアアァァァ!
いつもより派手な照明の下、ハイテンションな実況と歓声が会場に響き渡る。
「まりぃさん、凄いっ!」
前哨戦である3位決定戦が始まって、すぐにパラスアテナはDAN-GANを圧倒していた。
しかし、実際のところ試合展開は決して派手ではない。少なくとも準決勝の方が遥かに派手な試合をしている。
試合開始直後、パラスアテナはDAN-GANの懐に一気に飛び込み、真っ先に腕を攻撃し使用不能にした。
その時点で勝敗は決したと言っても過言ではない。
伊集院まりぃの今回の狙いはただ一つ。相手の長所を潰す事にあった。
パラスアテナは相手が加速する前に、一気に懐深く入る事で相手の強みを潰して、それ以降はずっと”タコ殴り”である。
飾りのようなDAN-GANの腕ではパラスアテナに対抗出来ず、更に動きの柔軟性はパラスアテナが遥かに上なのだ。距離を取る事も、正面に回り込んで得意の体当たりもさせてもらえない。常に死角に回り込まれてしまう。
しかし、重機型であるDAN-GANの防御力は高い為、攻撃力がそこまで高くないパラスアテナでは致命的なダメージを与える事は難しい。
それでも構わず同じ攻撃方法を繰り返す。シミュレーションで最適な攻撃方法を見つけて、必要とあれば泥仕合も乱れ打ちも特攻も辞さず、時には単調な攻撃を執拗に繰り返す事も出来る。
これが伊集院まりぃの1番の強さでもあり恐ろしい所でもあろう。
ゴコッ!ゴンッ!ガキィィン!!
打撃を受けすぎて音までおかしくなってきた。DAN-GANは踏ん張ってこそいるものの、執拗に繰り返される連打に屈するのは、時間の問題だった。
「ここまでくるとなぶり殺しだなぁ」
「流石まりぃさんですね。んっ? 何かコマスに動きがありますか?」
コマスチーム付近からどよめきが聞こえてきた。
「……あっ!」
コマスチームから白いタオルが投げられ、DAN-GANもボロボロの腕を上げて左右に振っている。
「試合放棄ですか!?」
「おおっ! これは珍しい!」
渡辺会長と山本も驚いた表情を見せた。
「特に身動き取れない訳ではなく、機体が壊れたレフリーストップでもない」
「つまりコマスの心が折れたという事ですね」
コマスチームの試合放棄を受けて試合終了のサイレンが会場に鳴り響く。
観客から歓声とどよめきが聞こえてくる。
パラスアテナのコックピットが開き、姿を見せた伊集院まりぃは観客に対して勝利のアピールを見せた。
「……綺麗」
スポットライトで光り輝くパラスアテナと、豪華な戦闘用ドレスに身を包む伊集院まりぃを見て、思わず知奈はそう呟いていた。
こうして3位決定戦、いや”伊集院まりぃショー”はフィフネルチームの完全勝利で幕を閉じた。
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