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第5章 契約と誓約の戦
第281話 椿たちの会話
しおりを挟む「そ、それで結依子医療局長とやったのか…」
ガンナが驚きを隠せない表情で言うと椿は真剣な顔で頷いた。
「悪いけど、昨日の今日で魔力融合は難しいから、今日の予定は明日に延期できないかな?」
「そ、それは確認してみるけど…。す、すごいね…。それほどうまくいくだなんて」
「うん。魔力融合実験の権限を握っているのは結依子医療局長、マカロン契術研究所長。すでに副局長と副所長とも良好な関係だし、案外すんなり実験くらいは中止できるんじゃないかな。これもレイチェルが支えてくれたおかげだよ。ありがとう」
レイチェルの目を見て微笑む椿。レイチェルは彼の柔らかな表情を見て頬を赤らめたながら口を開いた。
「最近、椿が襲撃されることも減ったし、良い流れだよね」
「でも、幹部全員…少なくとも過半数は完全にこっち側につける必要がある。まだまだ長い道のりだよ」
そこで、思い出したかのようにガンナが話を割った。
「ジョン元総監補佐とは会えそうなの?」
「…そっか。そうだよね、ごめん。結依子医療局長の件でまだ会えていない。ジュニアに聞いてみるよ」
「うん…。それと…アイス防衛局長が魔力融合に興味を示しているみたい。レティア第四部隊長がはっきりとそう言ってた」
「…そういえば、レイチェルも似たようなこと言ってたよね。ジョンさんに会う前に、アイス防衛局長を味方につけられるかな。アイスさんってどんな人かわかる?」
「あまり詳しくは…。でも、アイスさん自ら魔力融合実験に参加したかったらしいよ。彼女の魔力はAO±型なんだけど、たまたま任務で忙しくて都合が合わなかったの」
「それだともう魔力融合できないね…」
「レティアさんに会ってみたら?あの人、椿が霧ノ都に連れ去られた時に助けようとしてくれてたし」
「あ、そっか…。まだお礼もしてなかったな。じゃあ、会いに行ってみるよ」
「うん!面談依頼契約代理で済ませておくね」
「ありがとう、ガンナ」
数時間後、彼はレティア第四部隊長と面談することになった。
「…すぐにお礼に伺えず、すみません。その節はありがとうございました」
「いいんだよ!気にしない気にしない!無事で何よりさ!」
レティアが豪快に笑いながら明るく言うとすぐさま「それで、本題は?」と前のめりに尋ねた。
「…はい。アイス防衛局長について、どんな方なのかなと」
「なんだ?エルフの女が好きなのか?ん?」と意地悪そうに笑みを浮かべるレティア。
「い、いえ…!あの、アイスさんが魔力融合に興味があると聞いて、何故かな…と」
「あー…。なんでだろうね。あの人…あのエルフは冷徹なで他人に興味がないって言われているけど、単に魔力強化に興味があるんじゃないか?私もアイスさんに君のことを聞かれてね…魔力融合にも興味あると言ってたけど、理由は話さなかったな」
「……冷徹なんですか」
「うん。部下もついてこないね。私もあの人とは極力話したくないんだよね。防衛局は管理官とは繋がりが薄いからね。君と接点のある…と言っても、ほとんどなかったけど…まあ、それで私に話したんだとは思うけど」
「そうですか…。契約文化についてはどう思ってる方なんでしょうか?」
「うん…。契約文化はかなり尊重しているね。過激化した機構と言われるけど、こ"の程度当たり前"と言ったらしい。実力はあるけど、これまで幹部になれなかった理由は、彼女の強すぎる契約絶対主義のせいと言われている」
「…でも、魔力融合には契約と誓約の両方が必要です。そんな方が誓約を受け入れて魔力融合儀式なんてできたんでしょうか…?」
「契約絶対主義だからこそ、契約で"魔力融合のために誓約すること"とでも約束してしまえば、誓約するんだよ。契約を守ることが使命だから」
「ああ…なるほど」
「…そういえば、前に噂で聞いたことがあるな。確信はないけど、アイスさんはかつて契約を守らなくて婚約者と彼氏を失ったことがあるんだとか。それが関係してるのかなあ」
「…契約を守らず、大切な人を失って過激化したんですかね」
「まあ、会ってみなよ?」
「は、はい」
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