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第1章 契約と秩序
第20話 唯の力
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盗賊の影が、枯れ木の間から一斉に現れた。ぼろ布に身を包み、目だけがギラギラ光る。手に握るのは魔法の銃――魔力を弾丸に変える武器だ。十数人が周囲を取り囲み、銃口が私たちを狙う。私は鈴を鳴らし、両手を掲げた。
「風の精霊よ、守りたまえ――桜鏡の陣!」
桃色の光が円を描き、私たち三人を包んだ。結界は桜の花びらのように揺れ、精霊の鏡が攻撃を跳ね返す。魔法の銃から放たれた青い弾丸が、結界に当たって砕け散った。盗賊の一人が叫ぶ。
「なんだ、この壁は!?」
綾香ちゃんが左に跳び、手裏剣を取り出した。
「手裏剣乱舞!」
彼女の手から放たれた手裏剣が、霧の中で魚の群れのように増え、左半分の盗賊を襲った。悲鳴が上がり、何人かが血を流して逃げ出した。綾香ちゃんの動きは、まるで風の精霊みたいだ。
椿くんは右に踏み出し、両手を振った。
「風の精霊よ、突風を巻き起こし、敵を吹き飛ばせ!」
彼の魔力から緑の風が渦を巻き、残りの盗賊を枯れ草ごと蹴散らした。銃が宙を舞い、盗賊たちは霧の奥に逃げ去った。椿くんの目は真剣で、実は心配性の彼がこんな力を見せるなんて……そのギャップに、私の心が少し揺れた。
結界を解き、私は二人を見た。
「やるわね、二人とも。盗賊なんて、精霊の前ではただの塵よ」
綾香ちゃんが「何それ」と言いながら、笑った。
「てか、唯ちゃん、すごい結界だったよ! あの光、桜の花みたい!」
椿くんは息を整え、真面目に言った。
「唯さん、ありがとうございます。あなたの結界がなかったら、魔法銃にやられてたかもしれない」
私は鈴を鳴らし、微笑んだ。
「椿くん、まだ敬語? まあ、いいけど。君の突風、契約管理官の技とは思えないくらい強かったよ。でも何であんな初歩的な呪文を使うの?昨日みたいに、希望の魔力が溢れてたら、盗賊なんて一瞬で蹴散らしてたかもね」
椿くんの目が一瞬揺れた。
「希望の魔力……? 何それ?」
道を進むうち、涸れ川のほとりに出た。水は浅く、澄んだ流れが岩の間を縫っている。陽が傾き、汗と埃にまみれた体が水を欲していた。私は帯を緩め、笑った。
「ねえ、ちょっと水浴びしない? 精霊も清い水を喜ぶよ」
綾香ちゃんが手を叩いた。
「いいね! 唯ちゃん、さすがいいアイデア!」
椿くんは顔を赤くして、目を逸らした。
「え、僕、向こうで待ってるよ……」
私は白い巫女装束を綺麗に畳んで、川に足を踏み入れた。冷たい水が白い肌を滑り、長い黒髪が水面に揺れた。
「 綾香ちゃん、ほら、一緒に!」
服を畳んだ綾香ちゃんが川に入ってきた。
「え!綾香ちゃん、ずるい! おっぱいでっかー!」
ずるいから水しぶきを飛ばしたら、飛び返された。ああ、楽しいなあ。いつぶりだろう、こういうのは。
椿くん……昨日、霜雪町で感じたあの希望の魔力が、今日はなんだか薄い。不思議だな。あの光の魔法、セッコクを吹き飛ばした力は、ただの契約管理官のものじゃなかったな。
水浴びを終え、濡れた髪を絞りながら、私は遠くで川を眺める椿くんをチラッと見た。
『椿くん、さっきの突風、ほんとはすごかったよ。かっこよかった』
そう言いたい気持ちをぐっとこらえて服を着た。
「風の精霊よ、守りたまえ――桜鏡の陣!」
桃色の光が円を描き、私たち三人を包んだ。結界は桜の花びらのように揺れ、精霊の鏡が攻撃を跳ね返す。魔法の銃から放たれた青い弾丸が、結界に当たって砕け散った。盗賊の一人が叫ぶ。
「なんだ、この壁は!?」
綾香ちゃんが左に跳び、手裏剣を取り出した。
「手裏剣乱舞!」
彼女の手から放たれた手裏剣が、霧の中で魚の群れのように増え、左半分の盗賊を襲った。悲鳴が上がり、何人かが血を流して逃げ出した。綾香ちゃんの動きは、まるで風の精霊みたいだ。
椿くんは右に踏み出し、両手を振った。
「風の精霊よ、突風を巻き起こし、敵を吹き飛ばせ!」
彼の魔力から緑の風が渦を巻き、残りの盗賊を枯れ草ごと蹴散らした。銃が宙を舞い、盗賊たちは霧の奥に逃げ去った。椿くんの目は真剣で、実は心配性の彼がこんな力を見せるなんて……そのギャップに、私の心が少し揺れた。
結界を解き、私は二人を見た。
「やるわね、二人とも。盗賊なんて、精霊の前ではただの塵よ」
綾香ちゃんが「何それ」と言いながら、笑った。
「てか、唯ちゃん、すごい結界だったよ! あの光、桜の花みたい!」
椿くんは息を整え、真面目に言った。
「唯さん、ありがとうございます。あなたの結界がなかったら、魔法銃にやられてたかもしれない」
私は鈴を鳴らし、微笑んだ。
「椿くん、まだ敬語? まあ、いいけど。君の突風、契約管理官の技とは思えないくらい強かったよ。でも何であんな初歩的な呪文を使うの?昨日みたいに、希望の魔力が溢れてたら、盗賊なんて一瞬で蹴散らしてたかもね」
椿くんの目が一瞬揺れた。
「希望の魔力……? 何それ?」
道を進むうち、涸れ川のほとりに出た。水は浅く、澄んだ流れが岩の間を縫っている。陽が傾き、汗と埃にまみれた体が水を欲していた。私は帯を緩め、笑った。
「ねえ、ちょっと水浴びしない? 精霊も清い水を喜ぶよ」
綾香ちゃんが手を叩いた。
「いいね! 唯ちゃん、さすがいいアイデア!」
椿くんは顔を赤くして、目を逸らした。
「え、僕、向こうで待ってるよ……」
私は白い巫女装束を綺麗に畳んで、川に足を踏み入れた。冷たい水が白い肌を滑り、長い黒髪が水面に揺れた。
「 綾香ちゃん、ほら、一緒に!」
服を畳んだ綾香ちゃんが川に入ってきた。
「え!綾香ちゃん、ずるい! おっぱいでっかー!」
ずるいから水しぶきを飛ばしたら、飛び返された。ああ、楽しいなあ。いつぶりだろう、こういうのは。
椿くん……昨日、霜雪町で感じたあの希望の魔力が、今日はなんだか薄い。不思議だな。あの光の魔法、セッコクを吹き飛ばした力は、ただの契約管理官のものじゃなかったな。
水浴びを終え、濡れた髪を絞りながら、私は遠くで川を眺める椿くんをチラッと見た。
『椿くん、さっきの突風、ほんとはすごかったよ。かっこよかった』
そう言いたい気持ちをぐっとこらえて服を着た。
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