僕の国際恋愛記

青いピアノ

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国際デート: リトアニア人

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リトアニアを旅していた時の話。

この日、ちょうどピンクスープ・フェスに出くわした。街中がピンクのシャツを着た人であふれ、音楽と笑い声が絶えない。せっかくだから参加してみたが、人混みがあまりに多く、肝心のピンクスープは口にできなかった。結局、脇道のレストランに入り、普通のボウルでそれを味わった。

食後に広場をぶらついていると、ワインで赤ら顔になった三人組の女性に声をかけられた。写真を撮ってほしいと言われ、カメラを構える。彼女たちはラトビアとエストニアから来たらしい。日本から来たと告げると、一気に場が弾けた。ひとりは日本のアニメが好きで、興奮して質問を浴びせかけてきた。

それがザネだった。黒髪で、背は僕とほとんど変わらないのに、肩幅が広く、体つきは僕よりずっとしっかりしている。35歳で、母親はラトビア人、父親はセルビア人だと笑って話した。堂々とした雰囲気と、時折見せる上目遣いの愛らしさが、妙に心に残った。

彼女は頻繁にふふふと笑みを浮かべながら、度々「あなたキュートだね」と言ってくれた。

しばらく盛り上がったあと、どこに泊まっているのか聞かれた。ホテルの名前を告げると、ザネは他の友人と別れ、僕の隣にぴたりと寄り添った。そのままホテルまでついてきて、部屋に入っても帰ろうとしない。

仕方がないから僕たちはベッドの端に腰を下ろし、ワインの余韻を抱えながら取りとめもない話を続けた。

なんでこんな何もないところに来たのか、こんな国にくるだなんて変わり者だと揶揄われた。

沈黙が落ちた瞬間、彼女が唇を寄せてきた。柔らかく重ね、次第に舌を絡め合う。体温が一気に上がり、僕の呼吸は浅くなる。彼女の大きな手が僕の腰に伸び、ズボンのベルトを器用に外した。布からはみ出たあそこを確かめると、ザネは喉を鳴らして笑う。

「大きいね」

囁きと同時に、熱い口が覆いかぶさった。舌と唇で丹念に扱われ、粘膜が濡れた音を立てた。快感に耐えきれず、僕は彼女の口の中に出した。ザネは満足そうに唇を拭った。

そのまま並んで眠り、夜明けに再び体を求め合った。

体格が大きいから、まるで僕が子供、彼女が大人。いや、僕が女で彼女が男のようにすら思えた。

胸は割と大きかったが、ガタイがいいと不思議と普通サイズにすら思えた。

「ねえ、もっと触っていいんだよ?」

受け身の僕。いつもの通り躊躇しながら触っていると不満そうに言われた。

コンドームなど持っていなかった僕はなんとか外に出した。

「実は私、レズなの。男の人とやるだなんて久しぶりだったよ」

一通り終えた後のその一言におどろいたが、彼女は笑っていた。

「私黒髪だけどさ、金に染めようか迷ってるんだよね。似合うかな?」

「似合うんじゃないかな。黒でも綺麗だけどね」

「似合うかな。金だとチャラく見られるから黒が好きなんだけどね、好きな女性が金にしてって言うんだよね」

「え?金髪だとイメージ悪いの?」

「え?そりゃあそうでしょ。ヤリまくってる女だと思われるよ」

「ヤリマンじゃないの?じゃあ、なんで僕と寝たの」

僕は少し呆気に取られるようにして聞くと、日本人に会えた嬉しさと、小柄な僕が男らしくないところ、そしてなによりも勢いだったと少し冷めた様子で言われた。

勢いだったのかと思うと少しがっかりもした。ただ、相手はガタイがよすぎる。これでいいのかもしれないと気を取り直すことにした。

その後、連絡先を交換したものの、メッセージはほとんど届かなかった。数か月後に「元気?」と短い文が来ただけだ。だが、不思議とそれで十分だった。

旅先で偶然出会い、体を重ね、深く残るのに、永続しない関係。ザネは僕の記憶の中で、ピンクスープの鮮烈な色と同じくらい、消えない痕跡を残した。
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