世界の終焉

ぴんくじん

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愛央

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僕は忘れない

晴れの日も雨の日も

水の波紋のような優しい抱擁を交わしたこと

本当は強く抱きしめたかったけど

臆病な僕は愛の示し方を変化させたら君の気持ちまでも変化してしまうんじゃないかと恐れたんだ

君は本当に美しかった 

僕は臆病さを認めないために君はガラスで出来ていて

強く抱きしめてしまうと壊れる 君はガラスだと自分に暗示をかけていた

これから先も優しい抱擁を重ねていこう

僕は心に強く誓った

ある日君が告げた

別れてほしいと

どうして 優しい愛を送り続けたのに

君は言った

あなたの変化のないスキンシップなんて朝起きて歯を磨くのと同じでつまらないと

僕を見つめる君の瞳に僕は映っていなかった

黒曜石のような固い瞳に無くした自信

愛の示し方は変化させなくてはいけない単調な愛は氷の礫だと知ったが間に合わない

太陽が沈む

僕も一緒に連れていってくれないだろうか





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