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人間吸収器
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大変に人間嫌いな男がいた。男はある日人間を世界から消す方法として、人間吸収器なるものを思いついた。
苦心を重ね、ついに人間吸収器を完成させた。
「ようやくだ、ようやく完成した...この人間吸収器のボタンを押すことによって世界の全人間が吸収器によって吸収される。そして全世界から人間がいなくなるのだ」
男は不敵に笑いながらつけ加えた。
「しかしオレまでが消えてしまうと意味がない。オレしか存在しない世界で好き放題やるのだからな。そのためにカプセルを作った。カプセルの中に入っていれば、人間吸収器の餌食になる心配はない」
敵愾心を匂わせた銀色のボディに人間の欲ほどの大きさ、中心に人間の良心ほどのボタンが付いている。
その銀色の物の横に卵型のカプセルが転がっており、男は夢が叶った少年のような表情を浮かべつつも、良心とは裏腹な心持ちでボタンを押し、カプセルの中に入っていった。
人間吸収器がいかにして、人間を吸収していくのかは定かではないが、男の表情から察するに相当自信があるのだろう。
朝になった。男がカプセルから出てくる。
「おはようオレの世界。うん、静かだ。人間がいないと世界はこれまでに静かなものなのだな」
外は静かである。普段、気にもとめない風の音が耳障りだ。
「よし、この目で人間無き世界を確かめるため外に出てみるとしよう」
男はドアを開け、閉め、カギを掛けた。習慣とは悪友であり、容易に手を切れるものではないらしい。
男は隣に住むグイエさん宅にはじまり、二つ隣のカギロさん、三つ隣のサクネさん、四つ隣のハバイエさん宅にまで足を運んだ。
「成功だ。どの家にも人っ子一人いないぞ。それどころかいつものこの時間帯は通勤や通学で人間の道路が出来上がっているのに、ほら見ろ、誰もいない」
真直に伸びている道路は宛ら天道のようだったし、遠くに見えるビル郡らが人間消失について噂をしているようだった。
男は両手を広げ天に叫んだ。
「神だ。神は誰だ。神はこのオレだ」
「あなたですか犯人は」
不意に後ろから話を掛けられた。
「人間の気配が急に失せたので、どうしたものかと気になっていたのです」
スーツ姿の人間が言う。上から下まで人間である。それにいつの間にか、大勢のギャラリーが男を囲んでいた。
「私たちは宇宙人です。人間の生態を知るために、何百年も前から人間に紛れていたのですよ。今や地球の人口の6割は我々宇宙人。気が付きませんでしたか」
風の音が消えた。
苦心を重ね、ついに人間吸収器を完成させた。
「ようやくだ、ようやく完成した...この人間吸収器のボタンを押すことによって世界の全人間が吸収器によって吸収される。そして全世界から人間がいなくなるのだ」
男は不敵に笑いながらつけ加えた。
「しかしオレまでが消えてしまうと意味がない。オレしか存在しない世界で好き放題やるのだからな。そのためにカプセルを作った。カプセルの中に入っていれば、人間吸収器の餌食になる心配はない」
敵愾心を匂わせた銀色のボディに人間の欲ほどの大きさ、中心に人間の良心ほどのボタンが付いている。
その銀色の物の横に卵型のカプセルが転がっており、男は夢が叶った少年のような表情を浮かべつつも、良心とは裏腹な心持ちでボタンを押し、カプセルの中に入っていった。
人間吸収器がいかにして、人間を吸収していくのかは定かではないが、男の表情から察するに相当自信があるのだろう。
朝になった。男がカプセルから出てくる。
「おはようオレの世界。うん、静かだ。人間がいないと世界はこれまでに静かなものなのだな」
外は静かである。普段、気にもとめない風の音が耳障りだ。
「よし、この目で人間無き世界を確かめるため外に出てみるとしよう」
男はドアを開け、閉め、カギを掛けた。習慣とは悪友であり、容易に手を切れるものではないらしい。
男は隣に住むグイエさん宅にはじまり、二つ隣のカギロさん、三つ隣のサクネさん、四つ隣のハバイエさん宅にまで足を運んだ。
「成功だ。どの家にも人っ子一人いないぞ。それどころかいつものこの時間帯は通勤や通学で人間の道路が出来上がっているのに、ほら見ろ、誰もいない」
真直に伸びている道路は宛ら天道のようだったし、遠くに見えるビル郡らが人間消失について噂をしているようだった。
男は両手を広げ天に叫んだ。
「神だ。神は誰だ。神はこのオレだ」
「あなたですか犯人は」
不意に後ろから話を掛けられた。
「人間の気配が急に失せたので、どうしたものかと気になっていたのです」
スーツ姿の人間が言う。上から下まで人間である。それにいつの間にか、大勢のギャラリーが男を囲んでいた。
「私たちは宇宙人です。人間の生態を知るために、何百年も前から人間に紛れていたのですよ。今や地球の人口の6割は我々宇宙人。気が付きませんでしたか」
風の音が消えた。
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