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魔狼
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俺の腹の上に魔狼が覆いかぶさっているんだが。
魔狼のおかげで、俺はクソオークの棍棒攻撃から助かった。だけど、俺の代わりに魔狼が思いっきり叩かれ瀕死の状況になっている。
「おいお前っ。なんで俺を庇うんだよ?」
魔狼がゆっくりと顔を俺に向けると、手をペロリと舐めた。その仕草はまるで、心配している俺を安心させるかのように。
「…………お前」
自分の方が死にそうなのに。
何で俺なんかをっ……。
つい魔狼の腹を撫でようと手を伸ばすと。
——んっ!?
魔狼の腹に描かれた変わった模様。
赤色の毛並みが、スターマークの様になっている。
二匹の魔狼は毛並みが赤いのと青いのと。
俺の上に庇うように乗っかっているのが赤い魔狼。
魔狼は色んな色の奴がいるから、そうだと思い込んでいたけれど。
よくよく考えたら魔狼にこんな毛並み、模様が入っている奴はいない。
この見た目、この毛並み、前世ではこの姿の奴を。
——俺は知ってる。
もしかしてコイツは……コイツは……。
「アリスお願いだ! この魔狼達を全回復してくれ!」
『えっ……? その子達を全回復しちゃったら、私はもう魔力を使い切って消えちゃうよ? この先アベル様の事を助けられない』
「良いから! お願いだ! コイツらを回復してくれ。早くしないと死んでしまう」
俺はアリスに必死に訴える。
あまりにも必死な俺を、アリスは少し呆れた様にジト目で見た後。
『…………はぁ。もう。知らないからね? 何でその魔狼を回復したいのか……私には本当意味がわかんないよ! むうっ』
アリスはグチグチ言いながらも、神聖魔法を魔狼に放った。
すると俺の上にいる魔狼の体が光輝いていく。
魔狼も自分に何が起こってるのか、理解できないのだろう。
キョロキョロと慌てふためき動揺している。
『……アベル様……もう……消えちゃう。ちゃんと帰ってきてね』
アリスの小さな手が、俺の頬に触れる。
「アリス。ありがとうな。絶対に戻るから! 安心して待っててくれ」
『絶対だからね? 約束だよ』
「おう!」
パチンっとアリスの姿が消えた。
アリスありがとうな。
「クウン……」
赤い魔狼が頭を擦り寄せてきた。
「やっぱりお前は紅蓮か?」
俺が紅蓮と名を呼ぶと、赤い魔狼は大きく尻尾を揺らす。
「はははっ。じゃあアイツが雹牙か」
俺とオークジェネラルの間に立つ青い魔狼を指さした。
「クウン♪」
俺が雹牙と呼ぶと、振り返って尻尾を振る。
なぜ俺がコイツらの名前が分かるのか。
———本当に理解し難いんだが。正直、頭が混乱していて理解に苦しむんだが。
どうやらこの紅蓮と雹牙は、魔狼などではなく、俺が勇者アベルであった前世で、めちゃくちゃ可愛がっていた最強種族フェンリルの子供。
フェンリルには色んな種類があり、雷属性、炎属性、水氷属性、地面属性、光属性、闇属性の六種類生息している。
その姿は、属性に特化した毛並みの色をしている。炎属性なら紅蓮に燃えたような赤い毛並、という具合に。
さらに、何らかの特徴的な模様が体のどこかに入っている。
それが伝説の最強種族とも言われているフェンリルの特徴。
紅蓮が炎属性のフェンリル。雹牙が水氷属性のフェンリル。
この紅蓮と雹牙は赤ちゃんの時に拾って、それからずっと友達のように一緒だった大切な仲間。
コイツらは双子のフェンリルで、腹にお揃いのスターマークを持っていた。
その特徴的なマークで、紅蓮と雹牙だと気付けたんだが。
なぜステータスが分からず得体が分からなかったのは納得だ。
最強のフェンリル様だからな。
俺の記憶では小さな子供のフェンリルだった二匹。
だが今は、二メートルはゆうに超える大きく成長した姿となって俺の前に再び現れた。
何でコイツらが? ダンジョンで? 成長した姿で俺の前に?
疑問はありすぎるんだが、感動の再会と謎解きはオークジェネラルを倒した後にゆっくりと。
「紅蓮! お前の地獄の業火で豚野郎を消し炭にしてやれ!」
「ワフ!」
紅蓮が尻尾を振って俺の指示に応える。
紅蓮と雹牙なら、目の前にいる豚野郎なんて雑魚に等しい。
何故フェンリルである二匹が、この豚に苦戦していたのかは分からんが、アリスに全回復して貰ったんだ。
余裕だろ? 紅蓮。
紅蓮の口から戸愚呂を巻いた炎がオークジェネラルに向かって吐き出されると、一瞬にして豚の炭が焼き上がった。
「流石だな! 紅蓮」
「ワフフッ」
俺は紅蓮の頭を撫でまくった。すると雹牙までもが撫でろと走ってきた。
可愛い奴らだ。
———さてとだ。
何でコイツらがこの世界にいるのか、その謎を今から解明するとするか。
魔狼のおかげで、俺はクソオークの棍棒攻撃から助かった。だけど、俺の代わりに魔狼が思いっきり叩かれ瀕死の状況になっている。
「おいお前っ。なんで俺を庇うんだよ?」
魔狼がゆっくりと顔を俺に向けると、手をペロリと舐めた。その仕草はまるで、心配している俺を安心させるかのように。
「…………お前」
自分の方が死にそうなのに。
何で俺なんかをっ……。
つい魔狼の腹を撫でようと手を伸ばすと。
——んっ!?
魔狼の腹に描かれた変わった模様。
赤色の毛並みが、スターマークの様になっている。
二匹の魔狼は毛並みが赤いのと青いのと。
俺の上に庇うように乗っかっているのが赤い魔狼。
魔狼は色んな色の奴がいるから、そうだと思い込んでいたけれど。
よくよく考えたら魔狼にこんな毛並み、模様が入っている奴はいない。
この見た目、この毛並み、前世ではこの姿の奴を。
——俺は知ってる。
もしかしてコイツは……コイツは……。
「アリスお願いだ! この魔狼達を全回復してくれ!」
『えっ……? その子達を全回復しちゃったら、私はもう魔力を使い切って消えちゃうよ? この先アベル様の事を助けられない』
「良いから! お願いだ! コイツらを回復してくれ。早くしないと死んでしまう」
俺はアリスに必死に訴える。
あまりにも必死な俺を、アリスは少し呆れた様にジト目で見た後。
『…………はぁ。もう。知らないからね? 何でその魔狼を回復したいのか……私には本当意味がわかんないよ! むうっ』
アリスはグチグチ言いながらも、神聖魔法を魔狼に放った。
すると俺の上にいる魔狼の体が光輝いていく。
魔狼も自分に何が起こってるのか、理解できないのだろう。
キョロキョロと慌てふためき動揺している。
『……アベル様……もう……消えちゃう。ちゃんと帰ってきてね』
アリスの小さな手が、俺の頬に触れる。
「アリス。ありがとうな。絶対に戻るから! 安心して待っててくれ」
『絶対だからね? 約束だよ』
「おう!」
パチンっとアリスの姿が消えた。
アリスありがとうな。
「クウン……」
赤い魔狼が頭を擦り寄せてきた。
「やっぱりお前は紅蓮か?」
俺が紅蓮と名を呼ぶと、赤い魔狼は大きく尻尾を揺らす。
「はははっ。じゃあアイツが雹牙か」
俺とオークジェネラルの間に立つ青い魔狼を指さした。
「クウン♪」
俺が雹牙と呼ぶと、振り返って尻尾を振る。
なぜ俺がコイツらの名前が分かるのか。
———本当に理解し難いんだが。正直、頭が混乱していて理解に苦しむんだが。
どうやらこの紅蓮と雹牙は、魔狼などではなく、俺が勇者アベルであった前世で、めちゃくちゃ可愛がっていた最強種族フェンリルの子供。
フェンリルには色んな種類があり、雷属性、炎属性、水氷属性、地面属性、光属性、闇属性の六種類生息している。
その姿は、属性に特化した毛並みの色をしている。炎属性なら紅蓮に燃えたような赤い毛並、という具合に。
さらに、何らかの特徴的な模様が体のどこかに入っている。
それが伝説の最強種族とも言われているフェンリルの特徴。
紅蓮が炎属性のフェンリル。雹牙が水氷属性のフェンリル。
この紅蓮と雹牙は赤ちゃんの時に拾って、それからずっと友達のように一緒だった大切な仲間。
コイツらは双子のフェンリルで、腹にお揃いのスターマークを持っていた。
その特徴的なマークで、紅蓮と雹牙だと気付けたんだが。
なぜステータスが分からず得体が分からなかったのは納得だ。
最強のフェンリル様だからな。
俺の記憶では小さな子供のフェンリルだった二匹。
だが今は、二メートルはゆうに超える大きく成長した姿となって俺の前に再び現れた。
何でコイツらが? ダンジョンで? 成長した姿で俺の前に?
疑問はありすぎるんだが、感動の再会と謎解きはオークジェネラルを倒した後にゆっくりと。
「紅蓮! お前の地獄の業火で豚野郎を消し炭にしてやれ!」
「ワフ!」
紅蓮が尻尾を振って俺の指示に応える。
紅蓮と雹牙なら、目の前にいる豚野郎なんて雑魚に等しい。
何故フェンリルである二匹が、この豚に苦戦していたのかは分からんが、アリスに全回復して貰ったんだ。
余裕だろ? 紅蓮。
紅蓮の口から戸愚呂を巻いた炎がオークジェネラルに向かって吐き出されると、一瞬にして豚の炭が焼き上がった。
「流石だな! 紅蓮」
「ワフフッ」
俺は紅蓮の頭を撫でまくった。すると雹牙までもが撫でろと走ってきた。
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