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第1章 龍王様の番
見つけた……!
しおりを挟む「はっ……はぁっ……」
本来は道なき道のはずなのに、月に照らされた輝く一本の道を必死に走る。私の気持ちが樹の木さんに伝わっているかのように、最短の道を照らしてくれている。
「見えた……」
遠目からでも目視できる大きな大木が、私の視界に飛び込んできた。
「はぁっ……はぁっ……」
樹の木さんの所にたどり着いたは良いけれど、全速力で走っていたせいで呼吸が整わず、まともに話せない。
少し時間が経って呼吸が整うと、大きく深呼吸し樹の木さんに話しかける。
「今日はお願いに来ました」
私は飛龍様に起こった出来事を、こと細やかに樹の木さんに伝えた。
樹の木さんはそんな私の話を、葉っぱを揺らせて相槌を打つかのように聞いてくれていた。
「なので、虹彩花のある場所が知りたいのです。樹の木さんがその場所を知っているのなら教えて欲しいのです」
そう言って頭を下げると、上から黄金の葉っぱが十枚も落ちてきた。
「……え? これは」
その後……樹の木さんの奥にある森に向かって光の柱が……。
それはまるで、虹彩花がある場所への道を指しているよう。
「樹の木さん……ありがとうございます! あの光のさす方角に虹彩花があるのですね。今から向かいます。貴重な黄金の葉もありがとうございます」
私は何度も何度も頭を下げた後、樹の木さんの奥に広がる大きな森に向かって走り出した。
深夜に森に入るとか、普通ならあり得ない行動なのだけれど、なぜか樹の木さんに守られているような気がして、森に入ることが全く怖くなかった。
光がさす方角に向かって、道なき道を必死に走る。三十分ほど走ったくらいだろうか? 少し先がキラキラと水色に輝いているのが見える。
———あれは……泉?
「やっぱり、泉……!?」
近づくと月明かりに照らされキラキラと輝く泉があり、その中央には小さな平地が……その場所をよく見ると、沢山の虹彩花が煌めき幻想的に美しく咲き誇っていた。
「……虹彩花あった」
私は嬉しさのあまり勢いよく泉に入ると、そのまま中央にある平地まで泳いでいく。
「ついた……!」
私は虹彩花を十本だけ頂き胸にしまうと、再び泉に入り泳いだ。
服も濡れ本来なら冷たく感じるはずなのに、この時の私はそんな事全く感じる事なく樹の木さんの所に走って帰ってきた。
「樹の木さんありがとうございます! 虹彩花を見つける事が出来ました」
樹の木さんに採ってきた虹彩花を見せ何度もお辞儀をし、私は飛龍様がいる場所に戻ってきた。
その時入った泉が実は聖なる泉で……力を貰えると知ったのは、また後の話。
その聖なる泉のせいで、私が偽造していた髪の毛や肌の色が全て元通りになっていたなんて、この時の私は全く気づいておらず。
一心不乱に薬を調合していた。
「出来た~!!! これを飛龍様に飲ませれば……」
戻ってきてから朝日が出るまでずっと調合していたので、もう体はフラフラなのだけれど、どうしても薬を飛龍様に飲んでもらいたくて、そのまま寝室に向かった。
「良かった。苦しそうにしていない」
スヤスヤと眠る飛龍様を見て少しホッとする。
その後ベットに椅子を近づけ座る。
少しの間飛龍様のお顔を見た後。
私は眠っている飛龍様の口に、ソッとスプーンで調合した薬を少量流し込む。
眠っているので薬の量は口を濡らす程度。後は起きてからちゃんと飲んでもらおう……ムニャ。
もう体が限界だったのだろう。
私は知らぬ間に飛龍様のベットの横で眠っていた。
この後まさか……先に飛龍様が起きるなんて事が起こるとも知らず。
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