お人好し底辺テイマーがSSSランク聖獣たちともふもふ無双する

大福金

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本編 燦聖教編

報告 その②

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マーク司教は重い足取りを何とか奮い立たせながら、一歩一歩と大司教グリモワールがいる部屋へ向かっていた。

「はぁ……報告する事が多すぎて頭の中で全くまとまらない」

背中を丸めトボトボと歩く姿に司教の威厳は全くない。
そんなマーク司教に背後から声をかける者が。

「マーク司教様!この度は失態をおかしましたが、勇者達は悪くないのです!相手が魔族と強すぎたせいなのです。何卒!ご容赦ようしゃ頂けないでしょうか?」

異世界の勇者達を任せていたジーク司祭が、床に頭を擦り付け庇護を求めている。

「どうか…どうか大司教グリモワール様にひと言口添えして頂きたく……」

「ジークよ……確かに相手が悪かったのは認めよう。だが敵を前に闘わずして逃げるのはどうかな?そこまでは私も庇護出来ない、お前はあの勇者達の根性をいちから叩き直せ!分かったら散れ」

「ひっ!はいっ!」

マーク司教の冷たい言葉にジーク司祭は青褪め冷や汗が止まらない。バタバタと逃げる様にその場を去って行った。

「……今は異世界の勇者どころではないのだ!もしこの国が魔王に目をつけられたのなら……この国はもう終わりだ。あと少しで隣国ランプシとの戦いに勝てそうなこの時期にっ!はぁ……なんたる事!グリモワール様になんと報告すれば良いのだ……」


カツカツカツ……!

マーク司教は重厚な扉の前で立ち止まる。
大きく深呼吸し扉を三回ノックした。

「マークでございます!」

「……入れ」

大司教グリモワールの許可を得たので中に入る。

「こんな時間にどうしたのだ?」

時は夕刻時、夕食の時間には少し早い。
いつもならこの時間は、一人本を読んでいる時間。
一体何事だ?と大司教グリモワールは目を細めマーク司教を見据えた。

大司教グリモワールにじっと見られ、マーク司教は余計に緊張が走るも、必死に気持ちを奮い立たせ開口を切った。

魔族かも知れない少年が闘技場に現れた事、その少年はグリフォンと九尾の狐を従えていた事。
後を追っていたが、転移され今は何処に潜んでいるか分からない事を一気に話した。

「……その様な者がこの王都に?!何故この様な大事な時期に!」

流石に大司教グリモワールも驚き目を見開く。

「……そうなのです」

「して、その九尾の狐とはまさか封印されていた狐か?いやっあれは我が研究室に厳重に保管してある筈……では新たな九尾の狐か?」

「はい。禁忌の書に封印されている狐は流石に違うかと。我が国いちの賢者が、あの本に魔力を流しましたが、封印は解けず賢者の魔力は枯渇しました。あの封印を解く事ができる魔力なんて……」

「確かにそうだな。あの九尾の狐は女神に封印されたんだ!その封印をとくなど……」

次の瞬間ドアが激しくノックされ二人の司祭が入ってきた。

「失礼いたします!急を要しましたのでっはっはぁ」

「おっお前達は……森の研究所を調べに行ってたのでは?帰ってくるのが早くないか?」

マーク司教は怪訝そうに二人を見る。

「はっ!直ぐに報告する必要があったので、転移の魔道具を使い戻って参りました!」

男達二人の顔は何かに襲われたかの様な脅えた表情をしている。

「……一体何が?」

「我々が見に行った時には、森の研究所は壊滅していました!建物は全て倒壊し、貴重な書物を封印していた書庫は消え去っていました……」

「「なっ!?」」

「ちょっと待て!研究所が倒壊だと!?」

研究所が倒壊したと聞き狼狽えるマーク司教。

「書庫が消え去る?私が何重にも結界魔法を重ねていた魔法を解いたと言うのか?!……そんなっ」

どうやら書庫の結界は大司教グリモワール自ら行った様だ。

「そんな事……ありえるのか?!私よりも魔力が上だと!?このそんな奴が存在しているのか?」

「ではあの少年ティーゴが連れていた九尾の狐は封印されていた狐……と言う事は森の研究所を倒壊させたのも書庫の結界を解き全て奪ったのも……」

マーク司教は自分の考えを語りながらも怖くて震えが止まらない。

「そうだな。マーク司教の勘が当たっているようだな」

「そっそんな事…人族に可能なんですか!?」

「私と同等の力を持つ大賢者なら、人族でも可能だろうが……そんな人物はもう生きていないだろうな?」

「では……やはり魔族っ」

「そうだ、それも上位魔族のようだな」

「そんなっ!もしかして我ら燦聖教は、魔族に目を付けらたんですか?」

「マーク騒ぐな!まだ決まった訳ではない。本来魔族達は我ら人族に興味などない。たまたま森の研究所に行き、禁忌の本を見つけただけかも知れぬ!とりあえずその少年ティーゴとやらを探すのだっ」

大司教グリモワールは少し顔を上に上げると何もない所を見回した。

「お前達!聞いていたな?分かったら行け!」

「「「「「「はっ!」」」」」」

潜んでいた影達が一斉に何処かへと消えて行った。



★   ★   ★


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