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詰みと罰
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「ユメア、どうして?」
強者としてサラの気配に導かれたのはユメア。その気配と瞳を知っているアンは、畏れを若干に抑えつつも口を開く。
「ケルベロス隊、第三隊長ユメア。皇帝直属の部下か。」
「え?」
まさか自分の友人が皇帝の直属がであったとは思わなかった。確かに夢見現な雰囲気が不思議であったものの、その莫大な気配を一般人レベルに抑えることができたことに畏怖する。
さらにレイ・リンたちの計画に心配が征く。何にせよ、その“皇帝”の守られた情報を見つけると言うのだから。
しかし、ユメアの力なくしてこの状況を打破できるはずがない...。
「どう言う状況なの?」
ユメアはサラに優しく問う。
返礼のトラップやら状況やらを話そうとしたところ、
「──────。」
やはり言いたいことが伝わらない。
アンの能力、<秘蜜主義> によって私の口は固く閉じられている。
しゃがみ込んで、限界までの疲労に身振りもすることができず。目で訴えることが自身にできる唯一のことであった。
ユメアはサラの涙が浮かぶ目をじっと見つめて、母親が子供に向けるような優しい笑顔を向けた。
アンは先ほどまでは一切見せなかったような、丁寧な口調をユメアに送る。
「“金色の太陽”の居場所を知っているこの娘を、政府の権利下で吐かせようとしています。」
さらにドクロの瞳が鮮明になり、少し表情を歪めてから言う。
「皇帝直属のあなたからの“返礼”があれば譲渡いたしますが。」
返礼という言葉にサラは絶望した。必死に目で訴えようともユメアは無表情のままアンの方を見ている。
小さな<サラマンダー>を出す暇も体力も残っていなく。
「では約束しましょう。“返礼”を。」
ユメアは見事にそのトラップを踏み抜いてしまっていた。サラの背筋には凍るような絶望と恐怖がのしかかる。
勝利を確信したアンは、堪えていた歪み切った表情をあらわにする。
「ダボが。返礼はそうだな、皇帝の“命”だ。」
「は?」
「あと、言い忘れてた。返礼が先か後かは私が勝手に設定するからね。皇帝の命がないとムツキちゃんも解除されねェよ。」
サラの口元を封鎖していた <秘蜜主義> が解除される。
「ユメア、返礼を約束した以上。それを先に渡さなければ!どうしようも...
私も落とした財布を渡されて、返礼に“金色の太陽”を要求された!」
サラはやっと言葉狩りの詳細を発することができた。もうこの際、キューテストだとか皇帝だとかが一切どうでも良くなったのだ。
ただ同じ相手と敵対している事実に依存した。
ユメアはその瞳をサラに向ける。緘黙のまま、行動に出る。
クマの砲撃は発射準備の段階であった。ユメアは両腕を下から上に掬うような手振りをすると、地面が連鎖的に突出してクマの方へと向かう。
すぐにクマに突出は到達して、地面を抉るように青く大きい牙が露出する。
それでもクマを貫くことはできず、上方へ吹き飛ばされるのみ。
間髪入れず、ユメアはアンの方に視線を移す。
サラを守った時と同じように、垂直の手のひらをアンへ向けて菱形の”壁“が現れる。
“壁”は青い夜空を二次元的にしたように半透明で美しい。そしてすぐに手のひらに凝縮して、ところどころが光るサファイアのような球体と化した。
それを弾丸のようにアンの方へ放つ。直径が15cmほどの球なのにも関わらず、一つの天体のような威圧感がある。
その質量を以てしてもアンは無防備。全身で感じるようにアンは、けたたましい光に包まれるのであった。
それでも、見に汚れが一つもつかない様子であった。わざとらしくアンは腕を大きく上に伸ばしてあくびをするのだ。
「全く効かないね。でもサラ、私たちの勝ちだ。」
ユメアはサラの方を見て、笑顔でそう告げる。
強者としてサラの気配に導かれたのはユメア。その気配と瞳を知っているアンは、畏れを若干に抑えつつも口を開く。
「ケルベロス隊、第三隊長ユメア。皇帝直属の部下か。」
「え?」
まさか自分の友人が皇帝の直属がであったとは思わなかった。確かに夢見現な雰囲気が不思議であったものの、その莫大な気配を一般人レベルに抑えることができたことに畏怖する。
さらにレイ・リンたちの計画に心配が征く。何にせよ、その“皇帝”の守られた情報を見つけると言うのだから。
しかし、ユメアの力なくしてこの状況を打破できるはずがない...。
「どう言う状況なの?」
ユメアはサラに優しく問う。
返礼のトラップやら状況やらを話そうとしたところ、
「──────。」
やはり言いたいことが伝わらない。
アンの能力、<秘蜜主義> によって私の口は固く閉じられている。
しゃがみ込んで、限界までの疲労に身振りもすることができず。目で訴えることが自身にできる唯一のことであった。
ユメアはサラの涙が浮かぶ目をじっと見つめて、母親が子供に向けるような優しい笑顔を向けた。
アンは先ほどまでは一切見せなかったような、丁寧な口調をユメアに送る。
「“金色の太陽”の居場所を知っているこの娘を、政府の権利下で吐かせようとしています。」
さらにドクロの瞳が鮮明になり、少し表情を歪めてから言う。
「皇帝直属のあなたからの“返礼”があれば譲渡いたしますが。」
返礼という言葉にサラは絶望した。必死に目で訴えようともユメアは無表情のままアンの方を見ている。
小さな<サラマンダー>を出す暇も体力も残っていなく。
「では約束しましょう。“返礼”を。」
ユメアは見事にそのトラップを踏み抜いてしまっていた。サラの背筋には凍るような絶望と恐怖がのしかかる。
勝利を確信したアンは、堪えていた歪み切った表情をあらわにする。
「ダボが。返礼はそうだな、皇帝の“命”だ。」
「は?」
「あと、言い忘れてた。返礼が先か後かは私が勝手に設定するからね。皇帝の命がないとムツキちゃんも解除されねェよ。」
サラの口元を封鎖していた <秘蜜主義> が解除される。
「ユメア、返礼を約束した以上。それを先に渡さなければ!どうしようも...
私も落とした財布を渡されて、返礼に“金色の太陽”を要求された!」
サラはやっと言葉狩りの詳細を発することができた。もうこの際、キューテストだとか皇帝だとかが一切どうでも良くなったのだ。
ただ同じ相手と敵対している事実に依存した。
ユメアはその瞳をサラに向ける。緘黙のまま、行動に出る。
クマの砲撃は発射準備の段階であった。ユメアは両腕を下から上に掬うような手振りをすると、地面が連鎖的に突出してクマの方へと向かう。
すぐにクマに突出は到達して、地面を抉るように青く大きい牙が露出する。
それでもクマを貫くことはできず、上方へ吹き飛ばされるのみ。
間髪入れず、ユメアはアンの方に視線を移す。
サラを守った時と同じように、垂直の手のひらをアンへ向けて菱形の”壁“が現れる。
“壁”は青い夜空を二次元的にしたように半透明で美しい。そしてすぐに手のひらに凝縮して、ところどころが光るサファイアのような球体と化した。
それを弾丸のようにアンの方へ放つ。直径が15cmほどの球なのにも関わらず、一つの天体のような威圧感がある。
その質量を以てしてもアンは無防備。全身で感じるようにアンは、けたたましい光に包まれるのであった。
それでも、見に汚れが一つもつかない様子であった。わざとらしくアンは腕を大きく上に伸ばしてあくびをするのだ。
「全く効かないね。でもサラ、私たちの勝ちだ。」
ユメアはサラの方を見て、笑顔でそう告げる。
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