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“魔性”は止まることなく。
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この世界は三つの災厄によって、荒れました。
1度目は核戦争。
今となってはどちらが先に撃ったかなどわからない。
とりあえずその時代にいなかったことが幸福だ...蒸発したくないし。
2度目は宇宙からの侵略。
ナンタラ星から地球はオレたちのものだ~と攻めてきたくらいしかわからない。
ほんと、「いかにも」って感じのタコ星人だったそうだよ?
3度目は....まあいいや。
…どうにも人はしぶとく生き残った。
国家だってあるし生活は多少細々としてるけど、別に明日を生きるのに精一杯な人は少なくなった。
とくに戦前のサブカルチャーをかじって生きるのはそんなに悪くないと、ほとんどの人が思ってる。
...ところで、幾度の自然淘汰でヒトは“ちょっぴり”進化した
背骨の横に蛇の頭部のような器官がある。
<グラン>、災厄がもたらしたヒトの進化。
これがあることでヒトは“超常能力”を扱える。
捕食器官なので他人のグランを喰らえば、その力ごと奪える。
でもそもそも喰らうときにしか出てこないので、わたしはまだ見たことがない。というか見たくないキモチワルイ...。
<魔王>、喰らい続けて、災厄の種になり得る者のことを言う。
…。
---
「ムツキの勝利!」
「ちぇ、またサラの勝利か」
体育教師が右手を挙げてサラ・ムツキの勝利を高らかに叫ぶ。
荒れたこの世界。身を守るのは自分自身。中等、高等教育の一環に体術の授業が必須科目となっていた。
サラ・ムツキ、53連勝。彼女は細身ながらも相手を軽々しく投げ飛ばすことから、“無重力人間”と呼ばれている。
光に煌めく汗は爽やかに、この度も勝利を照らしていた。
体術の授業が終わると、大きな体育館からは明かりが消えた。ざわめくロッカー室の扇風機で涼むサラを親友のアズキが冷やかしに来る。
「また勝ったじゃんサラ、将来は皇帝直属の秘密部隊にでも入るの?」
サラは気だるげに答える。
「アズキ...入るわけないじゃん。私は <魔王> になるって。」
周りの生徒達も含めて一瞬で空気が凍りつくのだった。気まずくなったアズキは苦笑いを浮かべる。
「へへ、サラ。まだそんなこと言ってるの?冗談だよね...。そんなの自分が核兵器になるって言ってるようなものじゃん。」
魔王とは正しく破壊の権化、災厄の種。
「わたしは本気だ!お嬢様はもう終わり、逆にアズキはなりたくないの?そっちの方がわかんないんだよ~...」
アズキはこの意味の分からない熱意を並べるサラに引いてしまう。最初から言い返さなければよかった...とも後悔もしたが、同時に思うところが有ったのでサラに問う。
「私たちはこの荒れた世界で、ほぼ唯一高等教育まで受けれるんだよ!?なのに世界の脅威の魔王なんて....。
....というか!魔王になるとしてもそのちっちゃいトカゲの能力で?」
アズキはサラの方に乗った小さなトカゲを見て意地悪く嘲笑した。
「なんだ、アズキもこの子を侮辱するのか!私の天性、<サラマンダー>は火も吹ける!」
サラは15cmにも満たないような、小さなトカゲを手に掲げる。トカゲもトカゲで気合いを入れた表情でシャーっと鳴く。
アズキはニヤニヤとしながら、またしてもサラを煽り立てる。
「火を吹けるってどのくらいよぉ。。」
「マッチよりも強い!」
――でもライターには敵いません……。
ーーシャー....。
サラとトカゲは青菜に塩をかけたかのようにしょぼくれた。しかしすぐに自信を取り戻したように続けた、
「いまは弱いけど!いつかは街を1秒で焼き払える龍になるんだ!.....だ?」
「自分でも想像できてないじゃん。」
思わぬ反撃にサラは目が点になった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
煙が舞う。炎は絶えず人の形跡をあぶる。かつてのオアシスも今は高温に溶けた。
人の気はもう微塵と化した。弾けるように燃える街はいたって静かであり、夜空にも勝るような暗く分厚い雲が空を覆っている。
消し炭のようなビルの上で老人は口を開く、
「またこの景色となった...。懐かしささえ覚える。広がる荒野は簡単に人を包みよったわ。」
「感服した。もはや見守ることしかできん。そなたの目的は何だったのだ?」
そのよそで、少女はただ火の龍を撫でていた。その顔はこちらを向くことはなく、灰に汚れた桃色の髪は風に揺れている。
「桃色の魔王に、なりたかった...。」
一滴の涙が頬からこぼれ落ちた。
1度目は核戦争。
今となってはどちらが先に撃ったかなどわからない。
とりあえずその時代にいなかったことが幸福だ...蒸発したくないし。
2度目は宇宙からの侵略。
ナンタラ星から地球はオレたちのものだ~と攻めてきたくらいしかわからない。
ほんと、「いかにも」って感じのタコ星人だったそうだよ?
3度目は....まあいいや。
…どうにも人はしぶとく生き残った。
国家だってあるし生活は多少細々としてるけど、別に明日を生きるのに精一杯な人は少なくなった。
とくに戦前のサブカルチャーをかじって生きるのはそんなに悪くないと、ほとんどの人が思ってる。
...ところで、幾度の自然淘汰でヒトは“ちょっぴり”進化した
背骨の横に蛇の頭部のような器官がある。
<グラン>、災厄がもたらしたヒトの進化。
これがあることでヒトは“超常能力”を扱える。
捕食器官なので他人のグランを喰らえば、その力ごと奪える。
でもそもそも喰らうときにしか出てこないので、わたしはまだ見たことがない。というか見たくないキモチワルイ...。
<魔王>、喰らい続けて、災厄の種になり得る者のことを言う。
…。
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「ムツキの勝利!」
「ちぇ、またサラの勝利か」
体育教師が右手を挙げてサラ・ムツキの勝利を高らかに叫ぶ。
荒れたこの世界。身を守るのは自分自身。中等、高等教育の一環に体術の授業が必須科目となっていた。
サラ・ムツキ、53連勝。彼女は細身ながらも相手を軽々しく投げ飛ばすことから、“無重力人間”と呼ばれている。
光に煌めく汗は爽やかに、この度も勝利を照らしていた。
体術の授業が終わると、大きな体育館からは明かりが消えた。ざわめくロッカー室の扇風機で涼むサラを親友のアズキが冷やかしに来る。
「また勝ったじゃんサラ、将来は皇帝直属の秘密部隊にでも入るの?」
サラは気だるげに答える。
「アズキ...入るわけないじゃん。私は <魔王> になるって。」
周りの生徒達も含めて一瞬で空気が凍りつくのだった。気まずくなったアズキは苦笑いを浮かべる。
「へへ、サラ。まだそんなこと言ってるの?冗談だよね...。そんなの自分が核兵器になるって言ってるようなものじゃん。」
魔王とは正しく破壊の権化、災厄の種。
「わたしは本気だ!お嬢様はもう終わり、逆にアズキはなりたくないの?そっちの方がわかんないんだよ~...」
アズキはこの意味の分からない熱意を並べるサラに引いてしまう。最初から言い返さなければよかった...とも後悔もしたが、同時に思うところが有ったのでサラに問う。
「私たちはこの荒れた世界で、ほぼ唯一高等教育まで受けれるんだよ!?なのに世界の脅威の魔王なんて....。
....というか!魔王になるとしてもそのちっちゃいトカゲの能力で?」
アズキはサラの方に乗った小さなトカゲを見て意地悪く嘲笑した。
「なんだ、アズキもこの子を侮辱するのか!私の天性、<サラマンダー>は火も吹ける!」
サラは15cmにも満たないような、小さなトカゲを手に掲げる。トカゲもトカゲで気合いを入れた表情でシャーっと鳴く。
アズキはニヤニヤとしながら、またしてもサラを煽り立てる。
「火を吹けるってどのくらいよぉ。。」
「マッチよりも強い!」
――でもライターには敵いません……。
ーーシャー....。
サラとトカゲは青菜に塩をかけたかのようにしょぼくれた。しかしすぐに自信を取り戻したように続けた、
「いまは弱いけど!いつかは街を1秒で焼き払える龍になるんだ!.....だ?」
「自分でも想像できてないじゃん。」
思わぬ反撃にサラは目が点になった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
煙が舞う。炎は絶えず人の形跡をあぶる。かつてのオアシスも今は高温に溶けた。
人の気はもう微塵と化した。弾けるように燃える街はいたって静かであり、夜空にも勝るような暗く分厚い雲が空を覆っている。
消し炭のようなビルの上で老人は口を開く、
「またこの景色となった...。懐かしささえ覚える。広がる荒野は簡単に人を包みよったわ。」
「感服した。もはや見守ることしかできん。そなたの目的は何だったのだ?」
そのよそで、少女はただ火の龍を撫でていた。その顔はこちらを向くことはなく、灰に汚れた桃色の髪は風に揺れている。
「桃色の魔王に、なりたかった...。」
一滴の涙が頬からこぼれ落ちた。
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