荒れた世界で桃色の<魔王>になります

溟yuu

文字の大きさ
7 / 89

冷たい夢、凛と問う。

しおりを挟む
夢をみていた。暗い霧に包まれて、その静けさに溺れている。

あれは....人....?

そのシルエットは姿を覆い隠しながらもこちらへ近づいていた。

姿はわからないが、それの金色に輝く瞳のみがこちらを見る。

すると身を押し潰されるかのような圧迫感、自らの身体に天体が一つ乗ったかのような堪え難い重量感。

その金色に宿るは全てを内包した「不」であった..。


< わたしを覗く魔王の気配。>


...静かに微睡みは晴れる。

ーー目が覚めるとわたしは誰かに担がれていた。霧のようなモヤ。あの女の子、キューテストにつかまったのか...。

頭が朦朧とした中、貫かれた胸に手を当てる。

痛みがない...それどころか、傷口は癒えて塞がっている。どういうことか。

レインは影で形作った兵士にサラを運ばせていた。彼女はサラが起きた様子を見て言う。

「起きたのね、もうすぐで着くから安静にしてて。」

誰かに治させたのか? 眠っている間にあれだけの傷を...。かつて能力で傷を癒して回った医者の話は聞いたことあるが...。

周りに目を向けると、小洒落た路地。石のタイルと飲食店が立ち並んでいた。

しかし人は見当たらない。

「おう!レイン。」

とある飲食店のテラス席から声がした。レインを呼んだ男性の他にも5、6人が一つの丸いテーブルを囲んでいた。

飲みかけのワインやピザやらハムやらが机に不整頓に置かれていて、皆で食事をしているようだった。

何人かはサラとレインには目を向けず、談笑をしていた。

サラから見て正面には黒いナチュラルウェーブの髪をした女性が、座ってこちらを見つめる。

柔らかな美しさを纏っていた。

周りに他の客はいなくて、代わりに何匹もの猫がくつろいでいる。

レインの黒い影はそっとサラを地面に置いた。

先ほどの黒髪の女性がレインに目を向けから訊く。

「レイン、このお嬢ちゃんは?」

「名は知りません。彼女がロイを殺しました。」

「え??」

レインの言葉に、談笑をしていた者たちまでもが愕然として場は静まり返った。

混乱と大事をもたらしたサラは気まずそうに目を逸らす。

彼らがキューテストのメンバーであることはおおよそ見当がついていた。仲間のうちの1人を殺した、自らはどうなるのか想像に容易い。

「へえ。」

サラの身体は完全に癒えており、湧いてくる力が彼女の余力を示していた。しかし身体を押さえつけられているので、今は隙を待つ他ない。

黒髪の女性はにこやかにサラを見つめて問う。

「ねえ、キミ。名前は?」

包まれるかのような気配を感じる。彼女の言葉には、いちいち引きずり込まれそうになる。

サラは少し他のメンバーにも目を向けると、全員サラを凝視していた。黒髪の女性以外は一寸の動きも見逃さないような眼差し。

しかし構わず、サラはこの女性の目の離せない何かに取り憑かれて訊いてしまう。

「サラと言います...あなたは何者ですか、?」

女性は微笑むと囁くように答える。

「私はレイ・リン......魔王だ。」

サラはようやく先ほどの気配、包み込まれるような妖気の正体に気づいた。

それは、「魔性」。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

裏切り者達に復讐を…S級ハンターによる最恐育成計画

みっちゃん
ファンタジー
100年前、異世界の扉が開き、ハンターと呼ばれる者達が魔物達と戦う近未来日本 そんな世界で暮らすS級ハンターの 真田優斗(さなだゆうと)は異世界の地にて、仲間に裏切られ、見捨てられた 少女の名はE級ハンターの"ハルナ•ネネ"を拾う。 昔の自分と重なった真田優斗はハルナ•ネネを拾って彼女に問いかける。 「俺達のギルドに入りませんか?」 この物語は最弱のE級が最強のS級になり、裏切った者達に復讐物語である。

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います

こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!=== ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。 でも別に最強なんて目指さない。 それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。 フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。 これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン
ファンタジー
 世界中に色々な歪みを引き起こした第二次世界大戦。  大日本帝国は敗戦国となり、国際的な制約を受けながらも復興に勤しんだ。  GHQの占領統治が終了した直後、高度経済成長に呼応するかのように全国にダンジョンが誕生した。  ダンジョンにはモンスターと呼ばれる魔物が生息しており危険な場所だが、貴重な鉱物やモンスター由来の素材や食材が入手出来る、夢の様な場所でもあった。  そのダンジョンからモンスターと戦い、資源を持ち帰る者を探索者と呼ばれ、当時は一攫千金を目論む卑しい職業と呼ばれていたが、現代では国と国民のお腹とサイフを支える立派な職業に昇華した。  探索者は極稀にダンジョン内で発見されるスキルオーブから特殊な能力を得る者が居たが、基本的には身一つの状態でダンジョン探索をするのが普通だ。  そんなダンジョンの探索や、たまにご飯、たまに揉め事などの、華の無いダンジョン探索者のお話しです。  たまに有り得ない方向に話が飛びます。    一話短めです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

処理中です...