荒れた世界で桃色の<魔王>になります

溟yuu

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空く日差し

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光の王のいくつもの閃弾によって首都・エーデンは、粉微塵となり消えた。

ロラは、横たわる姉に背を向けてレインに走り寄る。

傷ついて動くことのできないレインの腕を首にかけて、ルフトが女神像の下敷きとなっているわずかな時間のうちにこの場を立ち去らんとする。

「うちの魔王がここまでやられるとはね。」

レインを担いだロラの背後から声がする。2人はその方向に視線を向けると、女神像を眺めて立っている者がいる。

小太りのラウルスのメンバー。そして、しゃがみ込んで地面を指でなぞる1人の女性。ルナ・リンの姿がそこにあった。

「ジェイク。<ガマンティス>でルフトを持ち帰って。」

ラウルスのメンバーとキューテストのレインらに面識はない。しかし、状況とその異質な気配は自らをラウルスの者であることを証明していた。

「ガマ...ガマン ガマン ガマン ガマン...」

ぞろぞろと目の前から、紫色のカマキリの大群が奇妙な声を発しながらルフトの方へ向かっていく。

その大きさは人間の子供ほどで、レインらを無視して進む。その光景にレイン達は唖然とした。

「あち」

ルナ・リンは熱で一部ガラスと化した砂をいじりながら呟き、続ける。

「情報はもらってくね。」

キューテストたちは理解していた。今ここにいるラウルスのメンバーも時間がないのだと。

少人数ながらも、街が吹き飛ぶような大規模な戦闘の後に政府が駆けつけるまではすぐであろう。

彼らから直接的な敵意は感じられなく、ただレインたちが去るのを眺める。

最後にルナ・リンは、長く柔らかな尻尾をそっと揺らして、数十メートル先にいる彼女たちに囁く。

「キューテスト。あなたたちの目的は?」

遠くに居ても心の芯に響く声。その感覚に覚えがあった。やがて、破壊された街の舞う砂埃にレイン達は姿を消す。

カマキリ達にルフトの回収を命じたのち、

小太りのジェイクは死亡したキューテストを眺める。

「ルフトはキューテストを2人仕留めたのか。1人は凄惨なことになってるな...。」

ルナ・リンもなんとなく顔面を抉られた双子の姉、アウに目を向ける。そして少し驚きつつ疑問を孕んで話す。

「あれ....この子、まだ生きてない?」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


同刻、吸血兎と化したスイの前に現れたのはサラ。

彼女のサラマンダーがクローガの残り香を辿って、この薄暗い地下に達することができた。

「アルトラ、まだ解けてない。」

繊維蟲でドレスに着替えた時にのみ発現することのできるサラの形態、“魔法少女アルトラ”。

減転によるいくつものデメリットがあるものの、彼女の手のひらから放たれる熱線は鋼鉄を瞬時に溶かすことのできる威力だ。

スイはサラを一目見て笑みを浮かべる、

「オモシロイのが来たナ。」

その言葉を気にすることなく、サラは真剣な眼差しで今度は左手を前に出して熱線を放つ。

それと共にスイが地面を蹴って、彼女へまっすぐ突っ込む。彼は自らの真隣を進む熱線を交わしてサラに到達するところ、

すると横より現れるのは雷獣、獰猛な牙を見せてスイの頭部を齧り落とそうとした。

スイは自分が進む方向を瞬時に直角に変更して、そのまま壁に勢いよく衝突した。

「サラ、僕の近くにいろ!」

クローガは瞬間的に雷獣を2体召喚した。同時に3体出現させることは自身にかなりの負荷をかけるものの、これが最善だと確信した。

自身とサラの周囲を守る1体、スイを直接攻撃する1体。そして腕に纏った1体。

早速火蓋が切られる。

2体の雷獣がスイに襲いかかる。そしてスイはそれぞれに軽く拳を当てて吹き飛ばし、

崩れかけている壁の埃に紛れて、続いてクローガは拳をスイの腹部に叩き込む。

凄まじい衝撃は突風を巻き起こした。そしてその短い時間の間に、スイは肩に生暖かい異変を感じる。熱線がスイの肩を削り開けていたのだ。

ーー手数、捉えきれナイ。

スイはぼんやりと口を開いたまま立ち尽くす。

片腕をなくし、肩には風穴を開けられて。3人の戦いは終わろうとしていた。
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