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あくびとともに報復措置 その①
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いつものように朝がやってくる。レイ・リンは睡魔に取り憑かれながら、うつ伏せの体を持ち上げる。
しかし、重力は朝の彼女にとってあまりにも強く吸い付くように布団へと落下してしまう。
再び薄れゆく意識の中で、今度は布団をがっしりと掴んで身体を無理やり起こした。
上下白、部屋着姿の彼女は、ベッドに座った状態のまま。
むにゃむにゃと口を動かしながら、猫のように大きなあくびと共に両腕を高く上げて伸ばすのだ。
暖かい日差しに包まれて、嫌いな朝に挨拶を告げてから、ゾンビのように無気力に洗面へと向かう。
他のメンバーの様子はなくて、この拠点にいるのはただ1人。廊下の冷たさをたどって洗面に着く。
蛇口を捻って不等速に流れ出る水を眠たげな目で数秒見つめたのちに、コップに挿された歯ブラシを手に取って鏡にいる自分を見つめる。
なんともなヘアスタイルだ。元々が癖っ毛、さらに寝癖がつくので朝のボリュームは凄まじく見える。
甘めのペースト塗ってからとくに何かを考える訳でもなく、上下左右に歯を擦る。
...何かが近づいてきている。遠い空に聞き耳を立てて、隕石のような襲来をレイ・リンは察知していた。
だけどとくに気にする必要はない。今自分にできることは何もない、とただ歯を磨き続けるのだった。
やがて、左の小窓から小さな黒い点がこちらに飛来してきていることを横目で確認する。
レイ・リンはようやく動き出して襲来に備える。彼女は磨くのをやめると、即座に構えるのだった、歯ブラシ。
凄まじい衝突音と共に、壁を破壊したソレは埃に塗れて声を上げる。
「グワワ...。」
ソレの様子など一切にどうでもよくて、姿を確認する前にレイ・リンは幽霊のように目前に現れる。そしてただ頬を左手でそっと撫でるかのように、ソレを殴打する。
ハープのような心地の良い音の先に、魔王レイ・リンの左手の裁きは、非情な音波を奏でながら拠点の窓ガラスを全て砕け散らせた。
その間0.2秒。28回に及ぶ攻撃を受けたソレは右手に吹き飛んで、重機のような音をたてながら幾つもの壁を突き破る。
「拠点、ばれちゃったか...。」
レイ・リンは俯きながら、拠点への愛着を呟く。
「...?」
遠くで、石片を足が踏む音がかすかに聞こえる。
「グルワ...ラウ...サマ...。」
「グラン人間ね。ラウルスの報復措置といったところか。」
徐々に早く、4本の足でソレが向かってくる。レイ・リンはレイピアを構える中世の騎士のように歯ブラシを持ち。
姿を現したのは灰色の肌を持つ人間。ただ違うのは瞳が光を吸い込むかのような暗さで、その空いた口からは刃物のように尖った八重歯が剥き出ている。
フランケンシュタインの“怪物”を彷彿とさせるようなグラン人間に理性は見当たらない。
そして向かってくる“グラン人間”に薙ぐように武器を横に振りかざす。澄み切った音のあと、頭部は上半分が切断される。
なおも呻きを絶やさず。
レイ・リンは再度自分に向かってくる敵を無表情で見つめて口を開く。
「本来グランは、ヒトより優位に立つことはなく...。」
彼女はその場から姿を消す。頭部を半分失ったグラン人間は、自分の胸元を触れているレイ・リンの存在には気づかない。
そして彼女はグラン人間の耳元で囁く。
「人体の主導権を握ってはならない。」
しかし、重力は朝の彼女にとってあまりにも強く吸い付くように布団へと落下してしまう。
再び薄れゆく意識の中で、今度は布団をがっしりと掴んで身体を無理やり起こした。
上下白、部屋着姿の彼女は、ベッドに座った状態のまま。
むにゃむにゃと口を動かしながら、猫のように大きなあくびと共に両腕を高く上げて伸ばすのだ。
暖かい日差しに包まれて、嫌いな朝に挨拶を告げてから、ゾンビのように無気力に洗面へと向かう。
他のメンバーの様子はなくて、この拠点にいるのはただ1人。廊下の冷たさをたどって洗面に着く。
蛇口を捻って不等速に流れ出る水を眠たげな目で数秒見つめたのちに、コップに挿された歯ブラシを手に取って鏡にいる自分を見つめる。
なんともなヘアスタイルだ。元々が癖っ毛、さらに寝癖がつくので朝のボリュームは凄まじく見える。
甘めのペースト塗ってからとくに何かを考える訳でもなく、上下左右に歯を擦る。
...何かが近づいてきている。遠い空に聞き耳を立てて、隕石のような襲来をレイ・リンは察知していた。
だけどとくに気にする必要はない。今自分にできることは何もない、とただ歯を磨き続けるのだった。
やがて、左の小窓から小さな黒い点がこちらに飛来してきていることを横目で確認する。
レイ・リンはようやく動き出して襲来に備える。彼女は磨くのをやめると、即座に構えるのだった、歯ブラシ。
凄まじい衝突音と共に、壁を破壊したソレは埃に塗れて声を上げる。
「グワワ...。」
ソレの様子など一切にどうでもよくて、姿を確認する前にレイ・リンは幽霊のように目前に現れる。そしてただ頬を左手でそっと撫でるかのように、ソレを殴打する。
ハープのような心地の良い音の先に、魔王レイ・リンの左手の裁きは、非情な音波を奏でながら拠点の窓ガラスを全て砕け散らせた。
その間0.2秒。28回に及ぶ攻撃を受けたソレは右手に吹き飛んで、重機のような音をたてながら幾つもの壁を突き破る。
「拠点、ばれちゃったか...。」
レイ・リンは俯きながら、拠点への愛着を呟く。
「...?」
遠くで、石片を足が踏む音がかすかに聞こえる。
「グルワ...ラウ...サマ...。」
「グラン人間ね。ラウルスの報復措置といったところか。」
徐々に早く、4本の足でソレが向かってくる。レイ・リンはレイピアを構える中世の騎士のように歯ブラシを持ち。
姿を現したのは灰色の肌を持つ人間。ただ違うのは瞳が光を吸い込むかのような暗さで、その空いた口からは刃物のように尖った八重歯が剥き出ている。
フランケンシュタインの“怪物”を彷彿とさせるようなグラン人間に理性は見当たらない。
そして向かってくる“グラン人間”に薙ぐように武器を横に振りかざす。澄み切った音のあと、頭部は上半分が切断される。
なおも呻きを絶やさず。
レイ・リンは再度自分に向かってくる敵を無表情で見つめて口を開く。
「本来グランは、ヒトより優位に立つことはなく...。」
彼女はその場から姿を消す。頭部を半分失ったグラン人間は、自分の胸元を触れているレイ・リンの存在には気づかない。
そして彼女はグラン人間の耳元で囁く。
「人体の主導権を握ってはならない。」
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