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氷のやつ、探していたぞ!
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鱧男及びタコ型生物との対峙から数日...
ソファの後ろは窓にすべきか、壁にすべきか...。
そんなことでサラは延々と悩んでいた。ソファの前にしゃがみ込み、そちらの方を鑑定士のように見つめていた。
この数日でキューテストはまたしてもアパートを買取り、そこに自らの拠点を築いた。豪勢なものではない。
キューテストという組織が経済的に貧しいというわけではない、むしろ倫理問題を踏み抜くようなこれまでのグラン売買で相当の利益を出していた。
以前の拠点はラウルスのグラン人間のその襲撃があったために破壊されたということを考えると、相応に仕方がないのだ。
しかしなんと今回のアパートは扉が錆びていない。比較的と新しい建物だ。レイ・リンの好みなのか、雑居ビルのようなお隣さんのいない設計である。
インテリアを担当するのはサラということになっていた。若くて常識のある...というよりもクローガにもカイにもロラにも、どうにも任せきれないからということであった。
とはいえサラも細かいことで悩むのだ。10畳ほどのリビングで、モダンなブラインドの奥から差す光はとても良いもの。
この薄茶のソファはぜひとも陽光の差す窓側に置きたい。しかし問題はテレビだ、背後からの光が液晶に反射して見づらくなるではないか。
サラはソファを設置してからこの欠陥に気づいた。
ブラインドも絹地のおしゃれなものを買ったせいで、遮光は機能は皆無に等しく。かといってレイアウトを変えると、背後が玄関となるので心地が悪い。
「ん~.......まじで悩むな。」
「おお!新しいソファじゃねえか!」
扉の開閉音が鳴るよりもはやく、カイはソファに飛び込んだ。
低反発のクッションが彼を受け止める。
「わたしが最初にダイブする予定だったのに!」
「このソファは俺を待ち侘びていたのだろう、いいセンスだサラ、なんて心地が良い...。」
彼は完全に溶け込んでいた。陽の光を吸ったなんともな香りである。
「というかカイ、傷は平気なの?鎖骨折れてて身体も傷だらけだったのに。」
カイはムニョムニョと喋り出す。
「ああ、あのタコめ。でもレインの治癒能力のおかげでモーマンタイ。」
「あれね、わたしも死にかけた時にレインさんに直してもらった。傷痕は露骨だけど。」
「...それよりもシャルテだ。あいつの視力は戻りそうにもない。」
「そう...レインさんでも難しかったのか。」
「んーーー.....」
ソファにめり込みそうなほどの脱力。サラも少しばかり呆れていると、再び扉が勢いよく開く。
扉が壁に衝突するその音でカイも驚いた猫のように飛び跳ねた。
「大丈夫かサラ!カイ!...縛っていたはずのタコが消えた!」
「やほ、クローガ。」
いつも冷静なクローガが焦燥に駆られた表情をして突っ立っているのだ。
「びっくりしたぞクローガ。あいつにはボスの首輪がついてるから万が一逃げても問題はないはずだ。」
「そうか...。」
クローガはそっと胸を撫で下ろした。猫のように固まって座るカイはキッチンに顔を向けて聞く。
「あー、というかサラ。なんで冷蔵庫が開きっぱなしなんだ?」
「え?」
そこでクローガは足元に何かが転がっているのを感じる。視線をそこに移すと鎖のようなものが千切れた状態で落ちていた。
「これって...。」
クローガはその鎖を拾い上げた途端に震え上がる。同様にそちらを見たカイとサラも恐怖する。
「レイ・リンさんの鎖だ!あのタコ、ほどいたのか!?」
同時に視線の端で冷蔵庫ががたっと揺れるのを3人は目撃する。全員が一瞬で青ざめた。
ーー「雷獣!こい!!」
ーー「サラマンダー、拳を覆え!!」
ーー「氷剣むらさき!!」
彼らは重なるようにその場で臨戦体制を整えた。
魔王であるレイ・リンの鎖を解いたのであれば、それすなわちタコ型生物は彼女以上の力を持ち合わせているわけだ。
緊張の視線の先の、背丈の低い冷蔵庫はやはり小刻みに揺れている。彼らの背後でサラマンダーと雷獣が唸っていた。
数秒の緊張と沈黙が拠点に迸る。
すると冷蔵庫の中からひょこっと顔を出したのは、赤髪の少女。
それを見ても3人は表情を変えない、じっと睨み続ける。
「姿は少々違うが間違いない...あいつがタコだ。あらゆる能力に適応する...。」
彼女は彼らの顔を見ると満面の笑みを見せた。
「氷のやつ!いた!」
その視線の先にはカイ。少女は冷蔵庫から飛び出してペタペタと足音を鳴らしながらこちらへと走ってきた。
やがて大きく跳躍し間合いは一寸のものとなり...
「え。」
カイに大きく抱きつくのだった。
目を細めて少女は喜んだ。
「氷のやつ、探していたぞ!涼しいっ!!」
誰もがそれに困惑した。
ソファの後ろは窓にすべきか、壁にすべきか...。
そんなことでサラは延々と悩んでいた。ソファの前にしゃがみ込み、そちらの方を鑑定士のように見つめていた。
この数日でキューテストはまたしてもアパートを買取り、そこに自らの拠点を築いた。豪勢なものではない。
キューテストという組織が経済的に貧しいというわけではない、むしろ倫理問題を踏み抜くようなこれまでのグラン売買で相当の利益を出していた。
以前の拠点はラウルスのグラン人間のその襲撃があったために破壊されたということを考えると、相応に仕方がないのだ。
しかしなんと今回のアパートは扉が錆びていない。比較的と新しい建物だ。レイ・リンの好みなのか、雑居ビルのようなお隣さんのいない設計である。
インテリアを担当するのはサラということになっていた。若くて常識のある...というよりもクローガにもカイにもロラにも、どうにも任せきれないからということであった。
とはいえサラも細かいことで悩むのだ。10畳ほどのリビングで、モダンなブラインドの奥から差す光はとても良いもの。
この薄茶のソファはぜひとも陽光の差す窓側に置きたい。しかし問題はテレビだ、背後からの光が液晶に反射して見づらくなるではないか。
サラはソファを設置してからこの欠陥に気づいた。
ブラインドも絹地のおしゃれなものを買ったせいで、遮光は機能は皆無に等しく。かといってレイアウトを変えると、背後が玄関となるので心地が悪い。
「ん~.......まじで悩むな。」
「おお!新しいソファじゃねえか!」
扉の開閉音が鳴るよりもはやく、カイはソファに飛び込んだ。
低反発のクッションが彼を受け止める。
「わたしが最初にダイブする予定だったのに!」
「このソファは俺を待ち侘びていたのだろう、いいセンスだサラ、なんて心地が良い...。」
彼は完全に溶け込んでいた。陽の光を吸ったなんともな香りである。
「というかカイ、傷は平気なの?鎖骨折れてて身体も傷だらけだったのに。」
カイはムニョムニョと喋り出す。
「ああ、あのタコめ。でもレインの治癒能力のおかげでモーマンタイ。」
「あれね、わたしも死にかけた時にレインさんに直してもらった。傷痕は露骨だけど。」
「...それよりもシャルテだ。あいつの視力は戻りそうにもない。」
「そう...レインさんでも難しかったのか。」
「んーーー.....」
ソファにめり込みそうなほどの脱力。サラも少しばかり呆れていると、再び扉が勢いよく開く。
扉が壁に衝突するその音でカイも驚いた猫のように飛び跳ねた。
「大丈夫かサラ!カイ!...縛っていたはずのタコが消えた!」
「やほ、クローガ。」
いつも冷静なクローガが焦燥に駆られた表情をして突っ立っているのだ。
「びっくりしたぞクローガ。あいつにはボスの首輪がついてるから万が一逃げても問題はないはずだ。」
「そうか...。」
クローガはそっと胸を撫で下ろした。猫のように固まって座るカイはキッチンに顔を向けて聞く。
「あー、というかサラ。なんで冷蔵庫が開きっぱなしなんだ?」
「え?」
そこでクローガは足元に何かが転がっているのを感じる。視線をそこに移すと鎖のようなものが千切れた状態で落ちていた。
「これって...。」
クローガはその鎖を拾い上げた途端に震え上がる。同様にそちらを見たカイとサラも恐怖する。
「レイ・リンさんの鎖だ!あのタコ、ほどいたのか!?」
同時に視線の端で冷蔵庫ががたっと揺れるのを3人は目撃する。全員が一瞬で青ざめた。
ーー「雷獣!こい!!」
ーー「サラマンダー、拳を覆え!!」
ーー「氷剣むらさき!!」
彼らは重なるようにその場で臨戦体制を整えた。
魔王であるレイ・リンの鎖を解いたのであれば、それすなわちタコ型生物は彼女以上の力を持ち合わせているわけだ。
緊張の視線の先の、背丈の低い冷蔵庫はやはり小刻みに揺れている。彼らの背後でサラマンダーと雷獣が唸っていた。
数秒の緊張と沈黙が拠点に迸る。
すると冷蔵庫の中からひょこっと顔を出したのは、赤髪の少女。
それを見ても3人は表情を変えない、じっと睨み続ける。
「姿は少々違うが間違いない...あいつがタコだ。あらゆる能力に適応する...。」
彼女は彼らの顔を見ると満面の笑みを見せた。
「氷のやつ!いた!」
その視線の先にはカイ。少女は冷蔵庫から飛び出してペタペタと足音を鳴らしながらこちらへと走ってきた。
やがて大きく跳躍し間合いは一寸のものとなり...
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