荒れた世界で桃色の<魔王>になります

溟yuu

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未完結の始動

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サラがまだ学園にいた頃、カイとロラは理事長に会う必要があった。

すでに入手した3つの生体認証と、理事長が持つというセキュリティトークンがようやくキューテストを皇帝に導く。

皇帝らの動きはこの数日、まったくみられていない。その異質さは彼らに警戒を生んだ。

どのような方法でトークンを奪い取っても構わないとのことだ、カイとロラの2人がいれば万が一のことがあっても問題はない。

教室の数階下、生徒たちの獲得したトロフィーが飾られる廊下の前で、”校長室“と書かれた札が風に揺れ動く。

ノックは3回、カイが行った。

数秒後にスライド式の戸を開けたのはメガネの校長であった。

「学生ボランティア会の活動資金の話をさせていただきたくて来ました、ユムラです。」

この校長は組織の傀儡だ、ゆえにこの適当な話は通してある。

「あぁ、ユムラくんたち。された理事長殿がちょうどお見えになっているよ。」

?」

そのような話は一切聞いていない、まさか聞いていた人物とは違うのか?

校長はにこやかに彼らを通した。その奥のソファから立ち上がったのは1人の人物。

黒いハットに、場違いな白い仮面。左には杖を持っていた。彼から漂うレザー系の香水がカイらの鼻をつく。

カイにはそれが誰だかわからなかった、代わりに隣のロラは硬直する。

彼は白く上品な手袋に包んだ手を、握手のために差し出しながらいう。

「初めまして、理事長のラウルスと申します。」

ラウルスの気配は彼らを絶望の底に叩きつける。

「...魔王・ラウルス。」

...

校舎はには削り取られたかのような大きな穴が空いていた。

瓦礫の海と静かな煙。

カイは意識のないロラに肩を貸していた。

「アウがいないのに...よくここまで。」

<ラストシャイン>、赤色矮星を作り出して相手にぶつけるという大技だ。

双子のアウとロラ、本来2人が時間をかけて行うべきムーヴでもある。姉を失ったロラはそれを1人でこなしたのだった。

結果的にカイを致命傷から遠ざける。だがそれとともに多くの代償を支払うこととなった。

カイも胸部から腰にかけてのいくつかの骨が砕けており、動けはするものの戦闘の続行は不可能。

たった数十秒だが、十分の時間を稼いだ。

カイとロラの前に佇む男、光の王・ルフトは空を見上げていた。

「魔王程度のくだらない人間か...。」

上空よりゆっくりと降下する人物。白いYシャツをゆるく着こなし、外されたカフスボタンが彼女を風にさらす。

猫の耳が生えており、大きな槍を下に構えていた。

「カイ、サラの援護に向かって。彼女は現在 <魔王> と戦っている。」

「了解。」

カイは立ち上がるとロラを背負い、すぐに走り出した。

「待たせたね。始めようか、ルフト。」

橙色の光がレイ・リンの目に灯る。
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