幕末任侠伝 甲斐の黒駒勝蔵

海野 次朗

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第一章・青雲

第5話 鰍沢の秋祭り(二)

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 数日後、勝蔵は鰍沢かじかざわの賭場へ遊びに行った。そこで秋祭りの賭場が開かれるからだ。
 鰍沢は甲府盆地の南端にある。甲府盆地には北東から南西へ流れる笛吹川と、韮崎にらさきから鰍沢へ南北に流れる釜無かまなし川という二つの大河があり、この二つが鰍沢で合流して富士川となる。そのあと富士川は現在のJR身延みのぶ線に沿うように山間を南下し、最終的には駿河湾へと注がれる。
 鰍沢は富士川水運の拠点として大いに栄えていた。
 富士川水運は甲州と駿河を結ぶ物流の大動脈である。さらにその途中の身延には日蓮宗の総本山・身延山久遠寺くおんじがあり、そこへ船で参詣する利用客などで鰍沢の河岸は大いににぎわった。ただし船旅は便利とはいえ富士川は日本三大急流の一つで、船を岩礁にぶつけてたびたび転覆事故をおこしたため、この船に乗るのは「乗るもバカ、乗らぬもバカ」と言って揶揄やゆされたそうである。
 勝蔵は鰍沢へ来る途中、市川大門という村を通ってきた。市川大門は鰍沢の少し北東にあり、そこに三部代官の一つ、市川代官所が置かれている。三部代官とは甲府、石和、市川のことを指す(また郡内の谷村やむらには石和代官所の出張所があった)。甲州の南西地域は、この市川代官所の支配下にある。ちなみにこれらの代官所とは別に御三卿・田安家の所領も甲州には数万石ばかりある。その陣屋は一町いっちょう田中(現、山梨市一町田中)に置かれていた。安五郎の竹居村はこの田安家の所領に含まれている。

 そしてこの鰍沢の賭場も、甲州の南部ということで安五郎の縄張りであった。ただしこの日、安五郎は鰍沢に顔を出してはいなかった。
 例によって賭場は寺の敷地内で開かれている。
 おこなわれている博打はもちろん丁半博打だ。
 盆茣蓙ござと呼ばれる白い布で覆われたタタミ数畳分の台が中央にあり、それを挟んで両側に客が十数人ほど座って、丁または半にコマ札を張っている。
 盆茣蓙の中央ではふんどし一丁の半裸の男が壺振つぼふりとして座り、その対面には座を取り仕切る役目の中盆なかぼんが座っている。壺振が半裸なのはイカサマをしていない事を示すためだ。また丁半博打は丁方と半方の額が一致しないと賽の目は振れず、その計算を素早くきっちりやるのが中盆の重要なつとめで、その計算力が低い者は「盆に暗い者」すなわち「盆暗」と呼ばれた。今でも能力が低い人間のことを「ボンクラ」と呼ぶのは、これが語源である。
 寺の敷地内ではこういった丁半博打の座がいくつか開かれ、そこかしこの座から、
四二シニの丁!」「三六サブロクの半!」
 といった中盆の声が聞こえ、それにつづけて客の歓声やため息も聞こえてくる。

 勝蔵は鰍沢の賭場へ来たのが初めてだったので、まずはいろんな座の様子を見て回った。
 そして一つの特徴に気がついた。
(ここの賭場は他とくらべると妙に女が多いな。それも、いかにも女房風の年増が多い)
 そういった女の多くは富士川で働く船頭の女房なのだが、若い勝蔵はまだそういった事情までは知らない。
 船頭はいったん船で仕事に出かけると数日は家を留守にすることになる。それで彼女たちは亭主不在の淋しさをまぎらわせるために賭場へ来ているのだ。といって、そこで「おかしな関係」が生じるといった事は、現代とちがって滅多にない。なぜなら、この当時の不倫は「双方にとって命にかかわる罪」だからだ。
 不義密通は死罪なのである。
 亭主は、密通した相手と女房を殺して良い、と法律が許可している。と言うよりも「殺せ」と法律が推奨しているに等しい。ちょっとした火遊びのつもりで、などといった感覚でも許容されがちな現代とは違うのだ。
 が、後家となれば話は別で、一切お構いなし。なので、男は後家が相手となると目の色を変えたという。

 そして勝蔵が加わった博打の座にも、ちょうどその対面に妙齢の美女が座っていた。
 二十半ばぐらいと思われる小柄な女で、抜けるような白い肌をしている。目に険があって表情はややキツめだが顔の作りは整っている。
 女は立て膝をしており、もちろん太ももは裾で隠しているのだが勝負に熱くなると時々チラチラとその白い太ももをのぞかせる。
 まだ女も知らないウブな勝蔵としては「目のやり場に困る」と思っていたところ、たまたま見えたその太もものつけ根あたりに何か模様が入っていたような気がした。しかし一瞬だったのでそれが何なのか、よく分からなかった。
(あれは何の模様だったのだろう……?)
 と気になって博打に集中できない。
 勝蔵の隣りに座る長者風の若旦那がその勝蔵の様子を見てとって、そっと声をかけてきた。細身で、歳のころは二十半ばぐらいの男だ。賭場にいるだけあって目つきは鋭いが、若い勝蔵に興味がありそうな表情をしている。
「お若いの。鰍沢に来られたのは初めてかい?」
「ええ」
「対面の女の様子が気になるのだろう?」
「まあ……、そうです」
「あれはこの辺りでは有名な女博徒で『箱原はこばらのおさん』というんだよ」
「さっきチラっと足が見えた時に、何か変な模様があったような……」
「あれはかえる刺青いれずみだ」
「蛙」
 おさんは若後家の女博徒であった。
 元は鰍沢の名主の娘であったというが真相は定かではない。一度結婚したもののすぐに亭主と死に別れた。当然ながらその後、この美しい若後家にはたくさんの男が言い寄ってきた。けれども、おさんはそれらを全て断った。そういった男たちとのやり取りをつづけているうちに、おさんが既婚者の親類(義父であったともいう)と密通したと身に覚えのない噂話を立てられてしまった。
 密通は重罪である。それで市川代官所に突き出され、牢屋にぶち込まれてしまった。取り調べの結果「事実無根の冤罪えんざいである」として釈放されたのだが、いったんこういう噂を立てられてしまうと世間は冷たいもので、婚家や親類縁者からすっかり見放されてしまった。
 おさんは牢屋に入れられていた時に何人かの女囚と知り合いになった。その中には女無宿や女博徒などもいた。そのツテから、おさん自身も博打の世界に身を投じ、女無宿となったのだった。

 ところで、おさんの太ももに入っている蛙の刺青は、ただの末端部分に過ぎない。
 むろん、太ももの蛙の刺青も勝負相手である男たちの集中力をぐために利用しているのだが、肝心かなめの刺青は、上半身に彫られている大蛇の刺青なのだ。
 背中からお腹にかけて大蛇が描かれており、へそ下から陰部へ向かってその蛇の頭がクワッと口を開き、そこから伸びた舌先が茂みの中に隠れる、という刺青である。その大蛇が太ももの蛙を狙っている、というのが全体の構図なのだ。
 抜けるような白い肌にこの見事な刺青が入っているということで、賭場の男どもはこぞって「おさんの蛇」を見ようとして勝負を挑んだが、実物を拝めた男はごくわずかしかいないという。

 といった事まで、さすがにその男は語らなかったが、勝蔵は話しているうちにすっかりその男と打ち解けるようになった。
 男は市川大門で松坂屋という大店おおだなを営んでいる商家の倅で、名前を喜之助きのすけといった。松坂屋は酒、魚、菓子などを扱い、蔵をいくつも持っている地元きっての大店である。
 金には困らぬのでしょっちゅう賭場で大金を使って遊んでいる。こういった博徒をいわゆる「お旦那だんな博打ばくち打ち」とも呼ぶ。この場合の「お旦那」は「名家」と言い換えてもいい。勝蔵も、また安五郎もそうだが、彼らも名主の倅なので「お旦那」の一種である。
 勝蔵が喜之助と打ち解けたのは、同じお旦那同士ということもあったであろう。話していると喜之助は安五郎と知り合いであることが分かった。喜之助は侠客(無宿者)ではないので兄弟盃までは交わしてないが、ほぼそれに近い付き合いを安五郎としている、ということだった。
 それで勝蔵も自分の素性を述べた。
「黒駒の小池家の倅、勝蔵と言います」
「ほう。じゃあ武藤外記さんの八反屋敷はもちろん知っているだろう?」
「あそこの賭場は俺の地元のようなものです」
「そうか。ということは竹居の親分ともお知り合いなのか?」
「いえ。もちろんお名前は存じておりますが、会って話したことは一度もありません」

 そんな風に二人が話しているうちに、対面のおさんが席を立って帰り始めた。そこそこの稼ぎを得たので潮時と見て帰る、といった具合のご帰陣すがただ。
 その空いた席に、四十ぐらいの中年男が入ろうとした。いかにも博徒風で、目の細い冷酷そうな表情をした男である。
 男は、帰ろうとするおさんに声をかけた。
「おい。今日はバカにツイてたようだな、おさん。ここは一つ気前よく、俺にお前の蛇を見せてくれねえか?」
「バカをお言いでないよ、文吉。見たいんだったら百両出しな。それか、あたしに博打で勝って脱がせてみな」
「けっ。あいかわらず気の強え女だぜ。いつか必ず脱がしてやるからな!」
 と言って、その文吉という男は席に着いた。
 そしてその文吉の後ろに、長脇差を抱えた用心棒風の男が腰を下ろした。猿のような雰囲気のある小男だ。

 勝蔵はその猿のような男を見て、思い出した。
(あれは、甲府で見た「腕斬り増田」と一緒にいた、あの時の目明しか……)

 この小男は祐天ゆうてん仙之助せんのすけという「二足の草鞋」の博徒である。
 甲府を地盤とする三井卯吉の子分で、親分の卯吉同様、博徒でありながら目明しも兼ねている。
 氏素性の知れぬ男と言われており、甲州生まれとも駿河生まれともいう。甲府の元紺屋町の寺に預けられて山伏をしていたらしい。“祐天”というのは山伏だった頃の名前で、歳はよく分からない。多分二十半ばぐらいだろう。
 卯吉の子分ということは、この安五郎の賭場では敵性分子ということになるが、この頃はまだ卯吉と安五郎の対立はそれほど先鋭化しておらず、仙之助としては敵情視察も兼ねて文吉と一緒にやって来たのである。

 その文吉は「津向つむぎの文吉」という博徒である。
 鰍沢から富士川沿いに南へ一里強ほどいった所にある津向つむぎ村(現、市川三郷町みさとちょう鴨狩かもがり)の名主の次男である。つまり文吉も「お旦那博打打ち」ということになる。
 ただし文吉の博打好きは尋常でなく、いったんやり始めると相手か自分のどっちかが裸になるまでとことん勝負する性分だった。まさに博打狂いといっていい。それでこの鰍沢へもしょっちゅう足を運んでいるのだが、そのうち、以前からこの鰍沢の賭場を物にしようと動き回っていた仙之助と知り合い、ここ最近は一緒につるんで遊び回っているのである。

 文吉は席に着くといつものように「行け行けどんどん」の構えで大枚を張りつづけた。
 一回負けたとしても次に倍賭けをして取り戻す、という攻撃一点張りの博打である。勝てば大勝ち、負ければ大負け。そのどちらかしかない。
 こうなるとさすがに、一人で文吉と渡り合える勝負相手は出て来ない。
 勝蔵としても、そこまで大勝負するほどの軍資金はないし、そもそもそこまで入れ込んで博打をするつもりもない。文吉の大勝負を横目で見ながらのんびりと小金の勝負に徹している。

 そうやって勝蔵が小博打をつづけていると、おもむろに隣りの喜之助が文吉の勝負を受けて立った。
 なにしろこの喜之助は超がつく程の大金持ちなのだ。
 同じお旦那といっても名主とは桁違いの金持ち商家で、喜之助がいろんな賭場で打ち回って負け分の借金がかさんでも、それを店の番頭がすべて払って回ったという逸話もある。
 喜之助は以前、仙之助から卯吉の傘下に入るよう勧められたことがあった。
 しかしそれを断った。卯吉より安五郎に肩入れしているのだから当然のことだ。が、それ以上に卯吉や仙之助といった素性の知れない連中が、代官所の権威を借りて偉そうにしているのが気に食わない。それで、その仙之助とつるんでいる文吉も気に入らないのだ。
 文吉が丁に五枚張れば喜之助は半に五枚、あっちが十枚ならこっちも十枚といった具合に、お互いの資金がすべてけるまでとことんやる。そんな大勝負になった。

「博打というのは金を持ってない奴のほうが強い。金持ちは勝負に甘く、金を持ってない奴はあらゆる手段を尽くして必死で勝とうとするからだ」
 という博打のセオリーを筆者は聞いたことがある。
 互いの社会階級が似たようなレベルで、一回や二回の短期決戦の博打であればそうかも知れない。だが資金力が大きくかけ離れた者同士が戦えば、貧乏人は絶対に富裕者には勝てない。丁半博打のような完全に運任せの博打であれば、なおさらである。

 先に資金が溶けたのは、やはり文吉であった。
 資金力の勝負で喜之助に勝てるはすがないのだ。
 文吉は衣服など身につけているものすべてを胴元(賭場の元締め)にぶち込んで金を借りたが、それもすべて溶けてしまった。文字通り、褌一丁の丸裸である。
「おいっ、仙之助!てめえも少しは金をもってるだろう!それを俺に貸せ!」
 といって文吉は仙之助から金を引っ張ろうとしたが、仙之助は首を横に振った。
「文吉さん。今日はここまでにしときましょうよ。ツイてねえ日は何やったってダメだ」
「こんなみっともねえ姿で帰れるか!もう一回勝負して、絶対に金も服も取り戻す!」
 そこで仙之助は子分を一人呼んで、そいつの着ていた服を無理やりはぎ取って、それを文吉に着させた。それで文吉もとうとうあきらめた。
「おぼえてやがれ!」
 と、ありきたりな捨て台詞を残し、文吉・仙之助の一味は賭場から去っていった。


 勝蔵も賭場での勝負を終え、帰宅の途についた。この日は鰍沢の宿に泊まるつもりだ。
 宿へ行く道すがら、賭場で意気投合した喜之助と途中まで同行した。
 その際、喜之助には桑原雷助という浪人風の用心棒が付き添ってきた。
 喜之助が言うには、安五郎のところで世話になっている浪人で、安五郎が喜之助の身辺警護のために寄こした男とのことだった。
 それで勝蔵が本人に話を聞くと、元は江戸で大村という軽格の武家に養子として入っていたのだが、武者修行の旅に出て、甲州まで来たところでいつの間にか安五郎の賭場に身を置くようになり、養家の大村家に顔向けもできず、今は実家の桑原姓を名乗っている、といった話だった。
 桑原はつづけて言った。
「だが、このまえ妻から便りが届いて、大村家では俺の罪をすべて不問にすると言っているから、一刻も早く帰ってきてもらいたい、と書いてあったのだ」
「ほほう。それで江戸へお帰りになるんですか?」
「ああ。その便りには、家を出る時はまだ赤ん坊だった息子も、健やかに育っていると書いてあった。何はともあれ、大きくなった息子の顔が見たい」
「なるほど。いくつなんですか?息子さんは」
「まだ二歳だ」
「それはそれは。さぞかし、その子の顔が見たいでしょうね」
 などとしゃべっている時に、暗闇の中から仙之助が子分らしき男二人をしたがえ、喜之助の前にあらわれた。それで用心棒の桑原も話をやめ、喜之助をかばうように前へ進み出た。

 仙之助は、薄笑いを浮かべながら喜之助に語りかけた。
「喜之助さん。あんた、どうしても三井の親分に逆らうつもりかい?」
「逆らうもクソもあるか。なぜ俺が卯吉ごときに頭を下げなきゃいけないんだ」
「いや、頭を下げろとは言ってない。俺と兄弟分になって、一緒に鰍沢の賭場を取り仕切ろうじゃないか、と言ってるだけだ」
「バカも休み休み言え。卯吉でさえお呼びでないのに、お前ごときと兄弟分になんぞなれるものか」
「なんだと!大店の旦那だからって偉そうにしやがって!俺を本気で怒らせる気か?俺や三井の親分に逆らうってことは、お代官様に逆らうってことだぜ?」
「お代官様も、お前や卯吉と一緒にされたら、さぞかしお怒りになるだろうよ」
 これで仙之助の目つきが変わり、子分ともども今にも喜之助に飛びかかりそうな雰囲気となった。
 ちなみに喜之助はただの金持ちのお坊ちゃんではなく、剣の心得もあった。のちの話として、喜之助が祐天一味と再びケンカとなって斬り合いにおよび、その際、たまたま喜之助は燃えさかる炎を背負う体勢となった。しかも彼は髷がほどけてザンバラ髪となり、その姿が鬼神のように見えたことから「鬼神おにがみ喜之助」と異名を取ることになるのである。

 文字通り、一触即発の場面だ。
 が、このとき突然、勝蔵が仙之助の前に飛び出してきた。
 この中では勝蔵が一番の若造だが、一番図体が大きいのも勝蔵だった。特に小柄な仙之助とくらべると体と年齢がまるで逆転状態だ。
 仙之助は関取のような大男の勝蔵に気圧けおされつつも、見上げるようにして勝蔵に叫んだ。
「てめえはどこの馬のほねだ!」
 勝蔵はニヤリと笑みを浮かべた。なにしろケンカは大好物の男だ。
「確かに俺は“黒駒”の人間だから“馬のほね”にはちげえねえ」
「黒駒だと?」
 それから勝蔵が自分の名前を名乗ろうとした時、それをさえぎるように桑原が太刀を抜いた。そして仙之助たちを一喝した。
「貴様ら、この人たちに手を出すなら俺が相手になるぞ!」

 仙之助としても、この場で喜之助を斬る気など元より無かった。
 脅しで屈服させるか、それが無理なら二、三発ぶん殴って言う事をきかせる。それぐらいの事しか考えていなかった。
 相手が反撃してくる。ましてや太刀を抜いてくる。とは思ってもいなかった。
 しかも想定外の関取みたいな大男もいる。
 この状況でケンカなんぞできる訳がない。それで、
「おい、引くぞ」
 と子分に言い放ち、仙之助たちはそそくさと暗闇の中へ去っていった。

 去ったあとに桑原が勝蔵に言った。
「あの祐天仙之助という男は蛇のように執念深い男だから、下手に自分の正体は明かさないほうが良い。その若さで目明しに目をつけられでもしたら後々、面倒くさいことになるぞ」
 勝蔵は、桑原の気づかいはもっともだと思いつつも、あの仙之助とかいう憎たらしい男をぶちのめせなかったのは残念だ、と思う気持ちのほうが強かった。
 翌日、勝蔵は黒駒へ帰って行った。



 それから数日後。
 桑原雷助は鰍沢で仙之助の一味に襲撃された。
 桑原が自宅にいたところへ仙之助が外から鉄砲を撃ちかけ、その弾が足に当たった。桑原はすぐさま刀を手にとって家から飛び出し、足をひきずりながら仙之助に向かって突き進んで行った。
 ところが、そこに仙之助の子分が数名待ち伏せしており、四方から取り囲まれてずたずたに斬殺されてしまったのだった。
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