幕末任侠伝 甲斐の黒駒勝蔵

海野 次朗

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第三章・狂瀾怒濤

第41話 夜明け前の再会(二)

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 大文字の送り火も終わり、季節は夏から秋へと移ろうとしている。
 この頃になると西郷、大久保を中心とした薩摩藩の武力倒幕計画がかなり現実味を帯びはじめていた。それで、その周辺で活動している勝蔵にもその雰囲気がほのかに伝わって来ていた。
(いよいよ幕府に対して兵を挙げる時が来たか。もしそうなれば俺も一暴れして『甲州の池田勝馬ここにあり!』と名を上げてみたいものだ……)
 と勝蔵は無邪気に考えていた。

 ある日、勝蔵は洛北の岩倉村を訪れた。
 陸援隊には大橋慎三や香川敬三など岩倉具視と親しい者が何人かおり、また隊長の中岡自身も度々岩倉のところを訪れていたため、彼らに随行して岩倉の隠れ家を訪れたのだ。
 といっても岩倉と会話を交わしたわけではない。彼ら陸援隊幹部の従者の一人として随行していっただけのことで、彼らと岩倉が室内で話しているのを少し離れたところから見ていただけだった。
 こういった尊王攘夷活動をしている者の中には「元は博徒の親分だった」という経歴の持ち主である勝蔵を嫌う者も少なからずおり、岩倉のところへ連れて行くことに反対する者もいた。
 実際、勝蔵がこういった政治活動に身を置くようになったのはつい最近のことで、しかも元は博打を稼業とするヤクザである。なるほど確かに、志士たちから嫌われるだけの理由はある。
 そういった声に対して勝蔵はあえて弁解しなかった。
 皆がそのように懸念するのはもっともなことだ、と自分も思う。
 今は公家の白川家の家臣で、甲州の武藤家という有力な尊王攘夷家の後ろ盾があり、さらに尊王攘夷で有名な千葉道場の出身者でもある。
 そういったことを説明して弁解することも可能だった。しかしいくら言葉で弁解したところで無意味だろう。行動で示すしかない。ということで、ただひたすら認められた範囲内で政治活動をつづけていた。

 勝蔵が見た岩倉の印象としては、体が小さくて風采もあがらず、全体的に公家特有の優雅さがまったく感じられない。
 が、むかし実家で賭場を開いていたという噂通り、胆力がありそうで判断力も鋭く、周囲の人間を威服させる風格が感じられた。また逆境にくじけない精神力もありそうだ。まるでそのまま博徒の大親分にでもなれそうな傑物である、と見えた。

 またある日、勝蔵は山県から「薩摩藩が江戸で何か事を起こすつもりのようだ」という話も聞いた。
 しかもその話によると「甲州でも事を起こす予定らしい」とのことだった。
 勝蔵は三年前、天狗党の乱に便乗して武藤藤太と甲府城攻略計画を企てたことがあった。それゆえ、今回のその計画も「おそらく甲府城攻略を狙うつもりだろう」と思った。
(なんなら自分がその計画を助けたほうが事を上手く運べるのではないか?それに、久しぶりに甲州へ帰るのも悪くない)
 という思いもある。
 けれども、その計画を薩摩藩から正式に聞かされたわけではないし、その話がどこまで正確なのかも分からない。とにかく自分には声がかからなかったのだから、とりあえず傍観するしかないだろう。いずれこの京都で倒幕派が挙兵すれば、そのあと甲州へ兵を進めることもあるだろう。自分はそれに加われば良い。
 勝蔵はそう考えて、ここはひとまず時期を待つことにした。

 この「薩摩藩が江戸や甲州で何か事を起こす」というのは、西郷の指示で薩摩藩士の益満ますみつ休之助きゅうのすけ伊牟田いむた尚平しょうへいなどが江戸へ派遣されたことを指している。
 薩摩藩が京都と大坂で挙兵するにあたり、同時に東の関東でも挙兵して幕府の戦力を分散させるために計画したものだった。
 が、この西郷の計画は、このあと予想外の展開をたどることになる。

「そろそろ一家の皆を京へ呼ぶべきだろうか?」
 勝蔵はこう、玉五郎に尋ねた。今、白川家の一室には勝蔵、玉五郎、綱五郎、猪之吉の四人が集まっている。綱五郎は近況報告のために岐阜からやって来て、久しぶりに再会したところだった。
「皆を呼んで、勤王倒幕のいくさに参加させるつもりですか?」
「ああ。この戦さでそれなりの活躍をすれば、幕府の取り締まりを恐れる必要もなくなるだろう。うまくすれば、あいつらも武士になれるかもしれない」
「もし勤王側が勝てば、の話ですけどね。でも、どのみち幕府が倒れるんであれば、無理に戦さに参加しなくても、我々への取り締まりはなくなるんじゃないですか?」
「へえ~、玉兄ィは戦さに参加するのに反対なんですか?」
 と猪之吉が聞いた。
「そりゃあ事と次第によるさ。俺は親分を甲州一の大親分にするためだったら何だってやるつもりだ。しかし、もしこれから幕府と戦さになって、それに俺たちが参加したとしても、そう上手く事は運ばないような気がする」
「俺はあいつらと久々に会って一緒に暴れることができるんなら、別に戦さしても構わねえけどな」
 と綱五郎は相変わらずノンキな様子で言った。それを鼻であしらうようにして玉五郎は話をつづけた。
「戦さといったって、かたや薩長、かたや幕府で、所詮は武士同士の戦さだ。俺はかつて武士をやっていたから分かるが、どっちみち俺たち博徒のことなんて虫けら同然だと思っている。もし薩長が勝ったとしても、そういった武士たちの考えは変わらないでしょう。そして仮に俺たちが武士に取り立てられたとしても、あの窮屈な世界で生きていけるとは思えない。だったら、今のまま博徒をつづけていたほうが、この先も気ままに生きられるんじゃないですか?」
「俺は武士になれるかどうかはさておき、みかどの世にするために働くのは賛成だから、薩長の軍に加わっても良いと思う」
 と猪之吉が言うと、それに玉五郎が答えた。
「ふふん。また猪之吉お得意の『一君万民』か。すっかり志士気どりだな。そんな夢みたいな世の中が本当に来るのかねえ」
「そんなのは実際にサイコロを投げてみないと分かんないでしょ。投げる前に分かってたら博打になんない」
「博徒のくせに志士気どりで、命を的に一か八かの大勝負に出るか?まったく大した度胸だよ、お前は」
 皆の意見を一通り聞いてから、勝蔵が自分の決意を述べた。
「玉五郎が言うことはもっともだ。理屈としては全くその通りだろう。だが、俺はやはりこの大勝負に賭けてみたいと思う。むろん、俺たちを散々追い回してきた幕府をやっつけたい、という気持ちもある。しかしそれ以上に、今度の薩長と徳川の戦さは関ヶ原以来の大戦さだ。これを黙って見過ごす手はねえ。俺たちもその戦さに参加して『甲州男児ここにあり!』と歴史に名前を残してみてえじゃねえか」
 この勝蔵の一言で、三人は首をたてに振った。


 こうして勝蔵たちが倒幕戦争に参加しようと決めた矢先、将軍徳川慶喜が政権を朝廷に返上した。
 大政奉還である。
 十月十四日に慶喜が朝廷に大政奉還を上奏し、翌十五日に朝廷から勅許された。
 まったく驚天動地の出来事であった。
 薩摩藩は、慶喜が大政奉還を拒めば、それをきっかけにして挙兵しようと考えていたが、アテが外れた。
 かたや幕府側の人々は、もし将軍が大政奉還を上奏しても朝廷は(政権担当能力などないのだから)政権をそのまま幕府に差し戻すだろうと思っていたのに、なんと朝廷にまんまと受理されてしまった。
 この政変に直接かかわっていた当事者ですら、これである。
 局外から事態の推移をながめていた第三者からすれば、何が起きたのか、にわかに理解できなかった。
 それは勝蔵も同じである。
(これで当面のところ、戦さはなくなった、ということなのか?)
 と当初は思ったものの、そのあといろんな噂や流言飛語が耳に飛び込んで来た。
 薩摩の兵が比叡山に立てこもったとか、会津や桑名が御所制圧のために挙兵するとか、また会・桑の狙いは御所じゃなくて薩摩藩邸だ、大政奉還を幕府に押しつけた小松・西郷・大久保の命を狙っているのだ、とか、そんな話を勝蔵は志士仲間から聞かされた。
 ただし幕府側が小松・西郷・大久保の命を狙っていたのは事実だったようで、それを見越してか三人は十月十七日に京都を去って鹿児島へ帰っていった。ただしこれは単に京都から脱出するのが目的ではなく、いわゆる「討幕の密勅」を国元へ持ち帰って藩の上層部を説得し、薩摩軍の上京を実現させるためでもあった。
 そんな薩摩藩内の詳しい事情など勝蔵は知る由もなかったが、京都の状況は戦争が回避されたというよりも、特に薩摩藩邸では、いつ幕府・会津・桑名の兵が攻めて来るかも知れず、三首脳不在で代わりに責任者となった吉井幸輔こうすけ(のちの友実ともざね)が、
「今は少ない兵力しかいないが全員討ち死にする覚悟で御所と藩邸を死守いたす」
 と岩倉に言明しなければならないほど切迫した状態となり、勝蔵が予想していたのとは違ったかたちで戦争が始まりそうだった。
 また、このとき吉井は予想外の大政奉還成立を受けて、関東で挙兵するために派遣した益満と伊牟田に対して、
「大政奉還が成立したので、しばらく挙兵は見合わせるように」
 と作戦をいったん休止するよう手紙を書いて送った。

 こうした状況の中、勝蔵が白川村の陸援隊へ行って土佐人に話を聞いてみると、すでに龍馬が長崎から京都へ戻っているという。
 そしてそこで勝蔵は信じがたい話を耳にした。
「実は今回の大政奉還には、裏で龍馬が大きく関わっていた」
 と聞かされたのだ。
 それだけでもにわかに信じがたい話だったが、その話からさらに詳しく龍馬のことを聞いていくと、過去には薩摩と長州を結びつけ、そのうえ土佐と薩摩をいったん結びつけたのも龍馬、というか「我々の隊長である中岡先生と龍馬が協力して、それらを結びつけたのだ」と、そういったこれまでの経緯も知ることになった。
(あの龍馬が、本当にそこまでのことをやってのけたのか?!)
 と、十数年前の龍馬しか知らない勝蔵としては、その豹変ぶりに今さらようやく衝撃をうけた。

 とにかく龍馬に会いたい。
 懐かしいのもさることながら、龍馬がそれほどの男であれば今の混沌とした京都の政局を詳しく教えてくれるに違いない。
 ただ、龍馬がそれほど偉い男になってしまったのでは、ほぼ浪人同然の自分みたいな一介の公家侍に会ってくれるだろうか?といった不安もある。
 それでも、とにかく龍馬に会いに行ってみようと思って龍馬の宿舎となっている酢屋へ行ってみた。
 が、既にそこは引き払っていた。
 それで龍馬の引っ越し先を確かめようとしたところ、なにしろこういった時期だけに誰も龍馬の引っ越し先を知らなかった。あるいは知っていても、あえて教えなかったのかもしれない。
 大政奉還にかかわった小松・西郷・大久保たちでさえ幕府側から命を狙われたのだ。龍馬だって用心して当たり前だ。
 そのため勝蔵にはなかなか龍馬の居どころをつきとめることができなかった。しかも白川屯所の土佐人たちの話では、龍馬は現在、福井へ行っていて京都にいないという。
(なんという腰の落ち着かん奴だ。あっちこっちへ飛び回りおって!一体いつになったら龍馬に会えるんだ?)
 しかしまあ、あわてても仕方がない。あいつもどこか遠い異国へ行ってしまうわけでもあるまい。遅くとも年末までには会えるだろう。
 などと、わりかしのんびり構えていた。
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