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目が覚めると、そこは宇宙だった。
俺は宇宙を光の玉になって彷徨っていた。
「あれ……? 確か、残業の後久々に家に帰って、それで……」
そこから先の記憶が無い。
というか、口がないのに声が出てるのはどういうことだ? 目も普通に見えるし。
辺りを見回すと、俺と同じような光の玉がいっぱい浮かんでいた。
……なんだか死後の世界みたいだな。
そんな風に考えていると、突然虚空に少女が現れた。
ウェーブかかった髪の、目が冴える程の美少女だ。美少女は枕片手に欠伸をしている。いわゆるダウナー系というやつだろうか。
『ども、あたしは神。えー、君たちは死にました。ってわけで、これから異世界に送るからよろ』
ダウナー女神はかったるそうに言い放つ。
そうか。俺死んだのか……
まあいつ過労死してもおかしくないようなブラック企業勤めだったので、あまり驚きもしないが。
『神の世界もSDGsとか色々配慮しなきゃいけない時代だからね。ある程度若い魂はリサイクルすることになってるの』
流石に説明不足と思ったのか、ダウナー女神はそう付け加えた。
『ま、こっちも時間無いから疑問は受け付けないんでよろしく。まあ過酷な世界だし一応の配慮はしてあるから……』
ダウナー女神が手を振りかざすと、虚空から巨大なガチャガチャがドスンと音を立てて落ちて来た。
『このスキルガチャを一人一回引かせてあげる。それじゃ、さっさとやって』
世間に異世界転生が認知されてきたからか、女神の圧倒的な美しさと威圧感が故か。誰一人意義を唱えることはなく、光の玉が一列になってガチャに並ぶ。
俺は様子見の為に敢えて後ろの方に並んだ。
最初の1人がガチャを回す。すると金色の花火が打ち上がり、引いた奴はおお!と歓声を上げた。
なるほど、当たるとあんな感じで演出が出るのか。一昔前のソシャゲのガチャみたいだな。
その後も金、銀、虹など、当たりのエフェクトが続く。金がSRで、銀がR、虹がURといった感じだろうか。
偶に外れるものの、基本的にはいいスキルが手に入っているようだ。
——だが、その偶にが俺にとっては大きな問題だった。
「俺、ソシャゲのガチャ運くっそ悪いんだよなぁ……」
ピックアップの天上課金は当たり前。完凸なんて目指そうものなら諭吉が10枚以上必ず吹っ飛ぶ。その上、せっかく凸したキャラが次のイベントですり抜けまくったりするのだ。
あれマジでなんなんだろうねクソ運営ぶっ殺してやる!!!
すまん話が逸れた。だがまあ、とにかく俺はソシャゲのガチャ運がとんでもなく悪いのである。
そして遂に俺がガチャを引く番が回って来た。
神が目の前にいるのに変な話だが、とにかく祈りながらレバーを回す。
虹とは言わないまでも、せめて通常レアである銀くらいは当たって欲しい。
「……あれ?」
だが、いくら待っても花火が上がる様子はない。
俺が困惑していると、
『ああ、貴方は『はずれ』だね。演出はないけど、一応スキルは手に入ってるはずだよ』
言われて意識を集中すると、頭の奥にぼんやりと文字が見えてくる。
――――――
【ステータス】
名前 源田源五郎
HP 100
MP 100
力 G
守り G
知力 F
敏捷 G
運 G
スキル ランダムダメージ(ノーマルレア)
効果 : 対称1体に1~9999の中からランダムで固定ダメージを与える(参照:運ステータス)。
クールタイム:10分。消費MP:70。射程:長い。
——————
あれ? ステータスは疲れた社畜らしい貧弱なものだが、スキルは言うほどはずれか?
固定ダメージ系のスキルは、ラノベとかだと優良枠だ。
ノーマルとはいえ、やはり生きていくのに困らない程度の性能ではあるのかもしれない。
そんな淡い希望は、次の瞬間に打ち砕かれた。
『プッ、凄いね君。それ、今回のスキルで一番のはずれスキルだよ。運ゲースキルで試行回数稼げないのは致命的でしょ……くくっ』
女神が気怠そうに、しかしはっきりと馬鹿にした調子で笑っている。
確かに。言われてみればクールタイム10分はきつい。しかも、MP的に1発しか打てないし。強くなるまでにネトゲで言う所の介護プレイが必要になって来るタイプのスキルだ。
そして、俺みたいなおっさんを育ててくれる猛者はきっと異世界にはいない。
「うおっ、なにこれウルトラレア……光の剣!? めっちゃ強そうじゃん!」
しかも、俺の次に引いた奴はマツケンサンバばりのド派手な演出でしっかりとチートを引いている。
なるほど。虹がはURではなくSSRで、マツケンサンバがURだったか。
『お、それ一番の当たりだね。……これ前にはずれ引くとか。貴方余計に惨めだね……くくっ』
女神は再度馬鹿にしくさった様子で俺を嘲笑って来る。
もう神だとか関係なく一発殴りたいなこいつ。まあ今は腕がないから無理なんだが。
『まあ、人生超ハードモードだと思うけど頑張ってね~』
……こうして俺は、はずれスキルと共に異世界へと飛ばされたのだった。
俺は宇宙を光の玉になって彷徨っていた。
「あれ……? 確か、残業の後久々に家に帰って、それで……」
そこから先の記憶が無い。
というか、口がないのに声が出てるのはどういうことだ? 目も普通に見えるし。
辺りを見回すと、俺と同じような光の玉がいっぱい浮かんでいた。
……なんだか死後の世界みたいだな。
そんな風に考えていると、突然虚空に少女が現れた。
ウェーブかかった髪の、目が冴える程の美少女だ。美少女は枕片手に欠伸をしている。いわゆるダウナー系というやつだろうか。
『ども、あたしは神。えー、君たちは死にました。ってわけで、これから異世界に送るからよろ』
ダウナー女神はかったるそうに言い放つ。
そうか。俺死んだのか……
まあいつ過労死してもおかしくないようなブラック企業勤めだったので、あまり驚きもしないが。
『神の世界もSDGsとか色々配慮しなきゃいけない時代だからね。ある程度若い魂はリサイクルすることになってるの』
流石に説明不足と思ったのか、ダウナー女神はそう付け加えた。
『ま、こっちも時間無いから疑問は受け付けないんでよろしく。まあ過酷な世界だし一応の配慮はしてあるから……』
ダウナー女神が手を振りかざすと、虚空から巨大なガチャガチャがドスンと音を立てて落ちて来た。
『このスキルガチャを一人一回引かせてあげる。それじゃ、さっさとやって』
世間に異世界転生が認知されてきたからか、女神の圧倒的な美しさと威圧感が故か。誰一人意義を唱えることはなく、光の玉が一列になってガチャに並ぶ。
俺は様子見の為に敢えて後ろの方に並んだ。
最初の1人がガチャを回す。すると金色の花火が打ち上がり、引いた奴はおお!と歓声を上げた。
なるほど、当たるとあんな感じで演出が出るのか。一昔前のソシャゲのガチャみたいだな。
その後も金、銀、虹など、当たりのエフェクトが続く。金がSRで、銀がR、虹がURといった感じだろうか。
偶に外れるものの、基本的にはいいスキルが手に入っているようだ。
——だが、その偶にが俺にとっては大きな問題だった。
「俺、ソシャゲのガチャ運くっそ悪いんだよなぁ……」
ピックアップの天上課金は当たり前。完凸なんて目指そうものなら諭吉が10枚以上必ず吹っ飛ぶ。その上、せっかく凸したキャラが次のイベントですり抜けまくったりするのだ。
あれマジでなんなんだろうねクソ運営ぶっ殺してやる!!!
すまん話が逸れた。だがまあ、とにかく俺はソシャゲのガチャ運がとんでもなく悪いのである。
そして遂に俺がガチャを引く番が回って来た。
神が目の前にいるのに変な話だが、とにかく祈りながらレバーを回す。
虹とは言わないまでも、せめて通常レアである銀くらいは当たって欲しい。
「……あれ?」
だが、いくら待っても花火が上がる様子はない。
俺が困惑していると、
『ああ、貴方は『はずれ』だね。演出はないけど、一応スキルは手に入ってるはずだよ』
言われて意識を集中すると、頭の奥にぼんやりと文字が見えてくる。
――――――
【ステータス】
名前 源田源五郎
HP 100
MP 100
力 G
守り G
知力 F
敏捷 G
運 G
スキル ランダムダメージ(ノーマルレア)
効果 : 対称1体に1~9999の中からランダムで固定ダメージを与える(参照:運ステータス)。
クールタイム:10分。消費MP:70。射程:長い。
——————
あれ? ステータスは疲れた社畜らしい貧弱なものだが、スキルは言うほどはずれか?
固定ダメージ系のスキルは、ラノベとかだと優良枠だ。
ノーマルとはいえ、やはり生きていくのに困らない程度の性能ではあるのかもしれない。
そんな淡い希望は、次の瞬間に打ち砕かれた。
『プッ、凄いね君。それ、今回のスキルで一番のはずれスキルだよ。運ゲースキルで試行回数稼げないのは致命的でしょ……くくっ』
女神が気怠そうに、しかしはっきりと馬鹿にした調子で笑っている。
確かに。言われてみればクールタイム10分はきつい。しかも、MP的に1発しか打てないし。強くなるまでにネトゲで言う所の介護プレイが必要になって来るタイプのスキルだ。
そして、俺みたいなおっさんを育ててくれる猛者はきっと異世界にはいない。
「うおっ、なにこれウルトラレア……光の剣!? めっちゃ強そうじゃん!」
しかも、俺の次に引いた奴はマツケンサンバばりのド派手な演出でしっかりとチートを引いている。
なるほど。虹がはURではなくSSRで、マツケンサンバがURだったか。
『お、それ一番の当たりだね。……これ前にはずれ引くとか。貴方余計に惨めだね……くくっ』
女神は再度馬鹿にしくさった様子で俺を嘲笑って来る。
もう神だとか関係なく一発殴りたいなこいつ。まあ今は腕がないから無理なんだが。
『まあ、人生超ハードモードだと思うけど頑張ってね~』
……こうして俺は、はずれスキルと共に異世界へと飛ばされたのだった。
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